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「2005 年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査(予測・評価)報告書(その3)」
 万博駐車場アセスメントの予測・評価を行い、その結果等をまとめたものが発表されました。
 その中から、
ダルマガエル、カヤネズミ、ハッチョウトンボという希少種への影響に関わる部分を抜粋しました。協会の発表はこちらへ。
 


 カヤネズミについては、地元市民などが先日実施した調査
(徳太郎も参加)では、予定地の中央部にて、1時間半の間に
5名で10ヶ所の巣を確認しています。(写真の球状のかたまりが巣。)
カヤネズミにとってこのように良好な環境をそのまま保全し、
駐車場を移動させる検討が必要ではないでしょうか。

 カヤネズミについては全国カヤネズミ・ネットワークもご参照ください 



愛知県知事 神田 真秋 様  FAX 052-951-1074 秘書課
愛知県庁 〒460-8501名古屋市中区三の丸三丁目1番2号 TEL(052)961-2111(代)
国際博推進局総務課企画・広報グループ
〒460-8501名古屋市中村区三の丸三丁目1番2号
TEL:052-961-2111(内線5506,5507) FAX:052-953-6484 ダイヤルイン052-954-6625
ご意見募集 
http://www.pref.aichi.jp/expo/j/goiken.html

尾張旭市役所

長久手町役場

藤岡町役場

財団法人2005年日本国際博覧会協会 会長 豊田 章一郎 様
〒450-0002名古屋市中村区名駅3丁目15番1号名古屋ダイヤビルディング2号館4階
TEL:052-569-2005 FAX:052-569-2100
Expoの耳(ご意見募集) 
http://www.expo2005.or.jp/jp/footer/voicebox.html

経済産業大臣 中川 昭一 様
〒100-8901東京都千代田区霞ヶ関1-3-1 FAX03-3501-0541秘書課 (代)TEL03-3501-1511
経済産業省博覧会推進室 TEL03-3501-0289 FAX03-3501-6203

環境大臣 小池 百合子 様
〒100-8975東京都千代田区霞が関1-2-2 FAX03-3581-3003秘書課 (代)TEL03-3581-3351
ご意見募集 
http://www.env.go.jp/moe-mail.html
ご意見メール宛先 MOE@env.go.jp
自然環境局野生生物課 FAX03-3581-7090 TEL03-5521-8282(ダイヤルイン) e-mail:shizen_yasei@env.go.jp


V 追跡調査結果の概要

V−1 環境保全のための措置
「本報告書」において、予測・評価の前提とした環境保全措置等は、以下に示すとおりである。なお、今回選定しなかった項目についても、評価書に記載した「回避又は低減の方針」を徹底することにより、本整備工事等による環境影響の回避又は低減に努めていくこととしており、ここにあわせて示した。

1 .計画段階における環境の保全のための措置
【自家用車駐車場の立地選定に関する措置】
・会場周辺道路への負荷を軽減するため、パーク&ライド方式の採用により、会場から離れた位置に自家用車駐車場を整備することとした。

・各駐車場は各方面別のアクセスに対応できるよう、会場から概ね20 〜40 分圏内に分散して配置した。

・駐車場周辺への影響を回避するため、各駐車場は基本的に密集市街地を避け、地域の幹線となる交通容量が大きい道路(2 車線以上の既設または計画道路)に隣接する地点を選定した。

・新たな地形改変等を抑制し、自然環境への影響をできる限り回避するため、各駐車場は既舗装地、採石跡地、土地区画整理中の用地、耕作地など、植生自然度の比較的低い区域を選定した。

【農地の復元に関する措置】
(尾張旭駐車場)
・計画地内に存在する農地については、再び農耕地として速やかに利用できるよう、現地形の上にシートを敷設して、その上に盛土を行い、地形の平準化と舗装を行った後に供用し、博覧会終了後にシート及び構造物を撤去して農地の復元を図る。

(長久手インター駐車場、藤岡インター駐車場)
・計画地内に存在する農地については、再び農耕地として速やかに利用できるよう、現地形や造成面の上にシートを敷設して、地形の平準化と舗装を行った後に供用し、博覧会終了後にシート及び構造物を撤去して農地の復元を図る。

【工事工程に関する措置】
・原則として夜間工事を実施しない。

3 .存在影響に対する環境の保全のための措置
【生息個体の損傷の回避・低減に関する措置】
(尾張旭駐車場)
・工事着手前及び工事中において、計画地内で確認されたカエル類(ダルマガエル以外も含む)は捕獲するとともに、計画地周辺の生息環境(水路等)へ移入する。

・捕獲にあたっては、残存個体を可能な限り少なくするため、多人数によって一斉に行うこととする。

(長久手インター駐車場)
・工事によるカヤネズミ及びツマグロキチョウの生息個体の直接的損傷を回避・低減するため、カヤネズミの営巣前及びツマグロキチョウの産卵前に計画地内の草本類を刈り取ることとする。

【生息環境の保全・創出に関する措置】
(尾張旭駐車場)
・移入先の水路のコンクリート面は、カエル類が登りやすいよう網等を設置し、移入先の生息環境の改善を図る。

・駐車場の存在中は、ダルマガエルの生息環境となるよう、駐車場内の調整池を緩傾斜構造とし、浅瀬を整備する。

(長久手インター駐車場)
・カヤネズミの生息環境となるよう、駐車場計画地内(残置林の隣接地)の一部に、計画地内のうちススキが優占する土壌を客土し、「カヤ場」としての草地を創出し、駐車場の存在中は維持する。

・ツマグロキチョウの生息環境となるよう、駐車場内の2ヶ所の調整池の法面を草地化するとともに、同種の幼虫の食草であるカワラケツメイ(マメ科植物)の生育環境を播種等により整備するとともに、駐車場の存在中は維持する。

・カヤネズミ及びツマグロキチョウの移動路となるよう、駐車場内の盛土部の法面を可能な限り草地化するとともに、駐車場の存在中は維持する。

(藤岡インター駐車場)
・ハッチョウトンボの生息が確認された湿地の環境変化を防ぐためフェンスを設置し、浅水域を確保するための排水路を設置するとともに、湿地及びその周辺の草地を整備する。

・保全湿地においては、随時環境の状況(水況等)を確認するとともに、ゴミ等が見られた場合は取り除くなど、生息環境の維持に努める。

【緑化等に関する措置】
(尾張旭駐車場)
・計画地内の既存高木を可能な限り残置する。
・調整池に敷設するシート上を覆土し、草地化する。
・駐車場内の法面を草地化する。

(長久手インター駐車場)
・駐車場内に灌木植栽帯を設置する。
・調整池に敷設するシート上を覆土し、草地化する。
・駐車場内の法面を草地化する。

V−2 環境影響の総合的な評価

 今回の「計画熟度に対応して実施する追跡調査(予測・評価)」における予測評価結果によれば、工事中の影響については、会場本体工事を合わせても、V−1の環境保全措置を講ずることにより、環境への影響は回避又は低減が図られるものと評価した。また、バックグラウンド濃度に伴うものなど一部を除いて、国等の環境保全施策との整合性についても概ね図られていた。
 存在影響については、計画段階において基本的に既改変地およびそれに準じる地点を駐車場計画地として選定したこと、及び駐車場の配置にあたっては小規模化、分散化を図った事によって環境への影響は計画段階において相当程度回避することができた。加えて、計画地における直接改変域の一部縮小、注目すべき動物種の生息個体の直接的損傷の回避・低減、生息環境の保全・創出、待合室等仮設工作物の規模や色彩、緑化等に関する各段階での保全措置の採用により、さらに低減が図れるものと評価した。
 供用時においては、駐車場のスムーズな運用が可能になるように保全措置の徹底を行うこと、夜間の照明の設置について、周辺に対する光漏れの防止や、照明時間の短縮、昆虫の誘因特性の小さい光源の使用などの配慮の徹底を行うことにより、環境への影響は回避又は低減が図られるものと評価した。

 なお、今回選定しなかった項目についても、評価書に記載した「回避又は低減の方針」を徹底することにより、本整備工事等による環境影響の回避又は低減に努めていくこととしている。
 以上から、全環境要素を含めて環境影響の程度は総合的に回避又は低減ができるものと判断した。

V−3 追跡調査(環境モニタリング)計画

 V−1で、今回の「計画熟度に対応して実施する追跡調査(予測・評価)」において予測・評価の前提とした環境保全措置をまとめて整理し示した。また、V−2において、この環境保全措置に基づき予測、評価した結果、環境影響の程度は総合的に回避又は低減ができるものと判断した。
 これらの今回の追跡調査(予測・評価)の実施に伴い、評価書に示した追跡調査(環境モニタリング)計画の内容に関し、追加すべき項目があるか否かについて検討した。
 その結果、今回の追跡調査(予測・評価)の対象とした自家用車駐車場整備の事業内容及び予測・評価した結果から判断して、評価書に示した追跡調査(環境モニタリング)計画の内容に、動物(注目すべき動物種)を追加することとした。
 なお、会期終了後の調査の継続に関しては、専門家の助言・指導を得ながら、関係機関に対し協力を要請するとともに、調整を図っていくこととする。

IV 追跡調査結果
7 .動物(注目すべき動物種)
7.1 存在
ア 環境影響の回避又は低減に係る評価
 注目すべき動物種について、尾張旭駐車場はダルマガエル、長久手インター駐車場はカヤネズミ及びツマグロキチョウ、藤岡インター駐車場はハッチョウトンボが現地調査で確認された。尾張旭駐車場、長久手インター駐車場の整備によって、計画地及びその周辺域に広がる当該種の生息地の一部が、一時的にではあるが改変されると予測された。

<尾張旭駐車場>
 前述の保全措置によって、以下のように計画地内の生息個体に対する損傷は最小限に留められ、また工事及び供用期間中における計画地及びその周辺での当該種の生息を維持することは可能であると予測された。

・工事前及び工事中においては、冬眠からさめる時期に計画地内で確認されたダルマガエルの個体を一斉に捕獲するとともに、計画地周辺の生息環境へと移入することにより、駐車場整備による個体への損傷が回避又は低減される。

・供用期間中においては、個体移入先(水路等)も含めた計画地周辺域の生息環境の改善を図るとともに、駐車場内の調整池に生息環境を整備することにより、ダルマガエルの生息環境の保全・創出が図られる。

 また、計画地は現在、農業基盤整備のための造成が施された水田を主とする農地であり、会期終了後に農地の復元を図ることにより、供用後は再びダルマガエルの生息地としての環境が回復する可能性があると予測された。このことにより、計画地及びその周辺でのダルマガエルの生息を維持することは可能であると判断した。

<長久手インター駐車場>
  前述の保全措置によって、以下のように計画地内の生息個体に対する損傷は最小限に留められ、また工事及び供用期間中における計画地及びその周辺での当該種の生息を維持することは可能であると予測された。

〈カヤネズミ〉
・春の営巣前に計画地の草本類を刈り取り、周辺域に営巣場所を誘導することにより、工事による新規繁殖個体の直接的損傷を回避又は低減される。

・駐車場計画地内(残置林の隣接地)の一部に「カヤ場」として草地を創出・維持するとともに、移動路として駐車場内の盛り土部の法面に草地を創出・維持することにより、カヤネズミの生息環境の保全・創出が図られる。

〈ツマグロキチョウ〉
・越冬は周辺部の林内で行うものと想定されることから、春の産卵前に計画地の草本類を刈り取り周辺域に産卵場所を誘導することにより、工事による卵(繁殖個体)の損傷が回避又は低減される。

・駐車場内の盛り土部の法面及び調整池の法面にカワラケツメイを播種し、駐車場内でのツマグロキチョウの産卵を促すことにより、ツマグロキチョウの生息環境の保全・創出が図られる。

 また、計画地は現在、土地改良中の造成地が主体であり、一部に水田やその放棄地が含まれる。
これら農地及び放棄地については、会期終了後に農地の復元を図ることにより、供用後は再びカヤネズミの生息地及びツマグロキチョウの幼虫の食草であるカワラケツメイの生育地としての環境が回復する可能性があると予測された。このことにより、計画地及びその周辺でのカヤネズミ及びツマグロキチョウの生息を維持することは可能であると判断した。

<藤岡インター駐車場>
 ハッチョウトンボの生息地である小規模な湿地に対する直接改変を行わないことから、計画地内の生息個体に対する損傷及び生息地に対する直接的影響の回避又は低減が可能であると予測された。供用期間中には湿地へのフェンス及び排水路の設置や、湿地及びその周辺の草地の整備により、湿地及びその周辺の環境変化に対する影響も低減できるものと判断した。また、会期終了後に農地の復元を図ることにより、供用後における湿地周辺の環境回復も可能であると判断した。このことにより、計画地におけるハッチョウトンボの生息環境を維持することは可能であると判断した。
 しかし、尾張旭駐車場、長久手インター駐車場、藤岡インター駐車場における注目すべき動物種に対する環境保全措置の効果に対しては、予測の不確実性を伴うことから、モニタリング調査を実施することとした。