平成15年(ワ)第5148号 索道7号支柱及びその前後の支柱建設差止請求事件
                         平成16年2月10日
名古屋地方裁判所 
  3部合議係 御中
                   
                   原告 岡田 みどり外14名
                   被告 財団法人二千五年日本国際博覧会協会

            弁護士草野法律事務所(送達場所)
                   被告代理人弁護士 草野 勝彦
                   同    弁護士 平野 好道
                   同    弁護士 丹羽 正明
                   同    弁護士 清水 浩二
                   同    弁護士 渡辺 直樹
                   同    弁護士 河合 伸彦

            答 弁 書
            
第1、請求の趣旨に対する被告の答弁
1、 原告の請求を棄却する。
2、 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。

第2、請求の原因に対する答弁
1 請求の原因第1項の事実中、被告が2005年日本国際博覧会の2つの会場をつなぐ輸送手段としての索道建設計画では、保安林の中に索道の支柱の一つである7号支柱を建設することとなっていること、瀬戸市上之山3丁目の住民の一部が被告に対し索道の建設中止を求めて説明を求めたこと、原告らが訴訟を提起したことは認めるが、その余の事実は不知、主張は争う。
2 同上第2項(1)の事実中、上之山3丁目の原告らの団地は、国道155号から雑木林を挟み最も近いところで約80メートルに位置し、平成15年10月1日現在で75戸228人が居住することは認めるが、その余の事実は否認する。
3 同上第2項(2)の事実中、被告の索道建設計画によれば、7号支柱が保安林の中にあること、愛知県砂防課土砂災害危険箇所マップによれば、土石流発生の危険性のある地域内にあること及び索道の撤去方法について公表されていないことは認めるが、その余の事実は否認し、主張は争う。
 なお、索道を撤去することは公表されており、索道の撤去方法については、環境影響調査をした上で決定される予定である。
4 同上第3項(1)の事実中、被告は二千五年日本国際博覧会協会であること、博覧会協会は博覧会の長久手会場と瀬戸会場を索道によって結び観客を輸送しようと計画していることは認めるが、その余の事実は否認する。
長久手会場と瀬戸会場との間はシャトルバスとゴンドラ(索道)を合わせて1万5000人を輸送する計画である。
5 同上第3項(2)の事実中、ア 設置の場所及びイ 索道の概要はほぼ認める。
  なお、索道の全長は2013.79m、建設工事については平成16年1月8日に契約し、順次着工してきているところである。
6 同上第3項(3)冒頭の主張は争う。
 被告は、索道支柱建設によって、土砂災害をもたらす危険性はないと考えるが、7号支柱を建設する地点は原告らが居住する上之山町3丁目と尾根をはさんで反対側に位置しており、仮に何らかの土砂崩れが生ずるとしても、尾根を超えて反対側である原告ら居住地に土砂が流出することはあり得ない。
7 同上第3項(3)アの事実中、7号支柱建設予定地が保安林の中にあること、及び愛知県砂防課による土砂災害危険箇所マップによれば土石流危険渓流地域に位置することは認めるが、その余の事実は否認し、主張は争う。
8 同上第3項(3)イの事実は不知、主張は争う。
9 同上第3項(3)ウの事実中、「2005年日本国際博覧会に係る環境影響評価追跡調査報告書(その2)」によれば、7号支柱建設に当たっては、地形の改変を最小限にするために、資材運搬等をヘリコプターで行うこととしていることは認めるが、その余の事実は否認する。
 7号支柱から北東の原告らの住宅までは直近で約200メートルあり、ヘリコプターは、7号支柱の西に位置する2005年日本国際博覧会東ゲート予定地を離発着場とし、最短距離を飛行経路として資材搬入とするため原告らの住宅地の上を通過することはない。
 また、原告らの住宅地での最大騒音レベルは81dB以下であり、ヘリコプターの利用は1年間の工事期間のうち7日から10日程度、利用日における飛行回数は1日あたり平均約15〜20回程度、1回あたりの空中停止時間は1分から5分程度であって限られた日数、時間、回数に過ぎない。従って、騒音が耐え難いとする原告の主張はあたらない。
10 同上第3項(3)エの事実中、索道の計画路線を中心とした幅100mの範囲内において、「カザグルマ」「シデコブシ」「ギフチョウ」「オオタカ」などの注目すべき動植物が生息していることは認めるが、その余の事実は否認し、主張は争う。
 ゴンドラの支柱の位置の選定にあたっては、環境影響評価追跡調査に基づき、注目すべき植物種の集中する地域及び注目すべき動物種の営巣・生育地を回避し、林縁近傍や既改変地等を選ぶとともに、ルートが樹林内を通る部分では支柱の間隔を最大限とすることにより、直接改変による影響を極力回避又は低減するよう配慮しており、豊かな自然環境が消えるとする原告の主張はあたらない。
11 同上第3項(3)オの事実中、平成15年9月に追跡調査報告書(10月に公表されたとあるが、9月の誤まりである。)が公表される前の8月23日に住民への工事説明会が行われたことは認めるがその余の事実は否認し、主張は争う。
 被告は、8月23日に開催した住民説明会においても博覧会の進捗状況、工事の概要についても説明し、その後も書面による原告を含む住民からの要求・意見に対し、真摯に回答してきたものである。
12 同上第4項の主張は争う。


第3 求釈明
 1 原告らは、種々の主張をしているが、どのような権利を根拠として差し止め請求をするのか明確ではないので、実体法上のどのような権利を根拠とするのかを明らかにされたい。
 2 原告らは、索道7号支柱のほかにその前後の支柱の建設の差し止めを請求しているが、前後の支柱というのは、6号、8号を指すのか明らかにされたい。
  7号支柱以外の支柱も差し止めを求めるのであれば、その支柱を特定されたい。
 3 原告らは、索道7号支柱については、保安林の中にある等の主張をしているが、その余の差し止めを求める支柱(6号、8号なのか)については、差し止めを求める根拠が異なるのか、異なるのであればそれぞれの根拠を明らかにされたい。
 添付書類
1、 委任状 1通