ゴンドラ差し止め提訴
愛・地球博支柱建設 沿線の瀬戸市民15人
二○○五年日本国際博覧会(愛・地球博)の長久手会場(愛知県長久手町)と瀬戸会場(同県瀬戸市)を結ぶゴンドラ計画に反対している沿線の瀬戸市上之山町三丁目の住民十五人が十日、博覧会協会に対し、ゴンドラ設置のための支柱建設の差し止めを求める訴訟を名古屋地裁に起こした。
ゴンドラは両会場を結ぶ延長約二キロの計画で、十四基の支柱が建設される。原告らによると、このうち七号支柱は上之山町三丁目の住宅地近くの森林内に設置され、建設によって森林が改変されると土砂災害を引き起こす恐れがあり、容認できないとしており、七号支柱とその前後の支柱の建設差し止めを求めた。
上之山町三丁目の住民たちはゴンドラ計画に当初から反対し、計画の撤回を求めていた。
これに対して、協会はゴンドラが住宅地に差し掛かる際は、自動的に曇って外が見えなくなる「瞬間調光曇りガラス」採用や、七号支柱の工事については工事用道路を造らず資機材をすべてヘリコプターで運搬するなどの対策を決定。今月に中部運輸局に事業許可を申請したところだった。<中日新聞2003年12月11日>
『危険、私生活も侵害』
万博ゴンドラ反対 提訴の住民会見
愛・地球博のゴンドラ建設計画に反対する訴訟を名古屋地裁に起こした瀬戸市上之山町三丁目の住民団体が十一日、県庁で記者会見=写真。「ゴンドラ建設で土砂災害の危険性が高まり、プライバシーも侵害される」とあらためて主張した。
代表の主婦岡田みどりさん(四四)は「私たちは万博事業には反対せず、中立の立場」と強調したうえで、ゴンドラの支柱の一つが保安林の地盤の弱い場所に建つと指摘。さらに「住宅地の頭上を索道が通るため威圧感がある」と訴えた。
弁護士を立てずに費用を安く済ませる「本人訴訟」で、地区の住民約二百五十人のうち十五人が原告として名を連ねている。
博覧会協会の豊田章一郎会長に対し、問題の支柱の建設差し止めを請求。建設停止の仮処分申請もする予定。
これに対し、博覧会協会は、ゴンドラの窓ガラスが自動的に曇り、周辺の民家が見えなくなる装置でプライバシー問題の解決を図る。訴訟については「訴状の内容を弁護士と検討する」としている。<2003年12月12日中日新聞>