資料−4
瀬戸会場におけるムササビのテレメトリ調査状況について
2005年日本国際博覧会協会 環境グループ
1.ムササビ巣箱における痕跡確認(平成15年10月30日)
平成15年10月30日午後、調査コンサルタント(ムササビのモニタリング調査の委託先)による、現地調査を実施し、ムササビの生息状況把握の目的で瀬戸会場北側区域に設置した巣箱において、ムササビと思われる痕跡(巣箱入り口のかじり痕)を確認した。ただし、目視による巣内固体の確認はできなかったため、翌日に捕獲により固体確認をするとともに、発信器装着(テレメトリ調査のため)を試みることとした。
2.巣箱内の固体捕獲及び発信機装着(平成15年10月31日)
平成15年10月31日午後、博覧会協会職員、調査コンサルタントにより、巣箱内の固体を捕獲するとともに、固体に発信器を装着した。また、捕獲地点で放獣するとともに、その後のテレメトリ調査を実施した。その主な内容及び経過は以下のとおりである。
(1)調査者
博覧会協会環境G職員、調査コンサルタント
(2)捕獲・放獣地点
瀬戸会場北側区域(吉田川左岸側・会場北側の谷地)
(3)捕獲・放獣状況
巣箱入り口に捕獲網(ナイロン製)をかぶせ、巣箱内の固体を追い出し、1頭(成獣・雄)の固体を捕獲。個体の首に発信器付ナイロン製バンド(自然着脱仕様)を装着した後、捕獲地点付近で放獣した。
【参考】・発信器の仕様−約2cm×2cm×0.3cm、重量約3g
・発信器の電池の耐用は1〜1.5年、装着バンドの耐用は0.5〜1年。
(4)放獣後の行動状況
放獣後、近辺の樹木(スギ)の頂部まで登った後、東方向の樹木への移動を確認した。その後のテレメトリ調査(17:00〜21:30)の結果、同日は北側地域の谷地周辺のみでの行動を確認。
3.調査結果速報
平成15年11月4日以降、調査コンサルタントにより、放獣固体の行動を追跡するためのテレメトリ調査を実施中。行動の概要は以下のとおり。
【行動範囲等】
夜間のテレメトリ調査の結果から、放獣固体の行動範囲は北側、東側、南側地域を含め、吉田川上中流域、愛工大北西部の林地に至る広範囲であることが確認された。また、「北側地域→東側地域→南側地域」を主な行動パターンとしていることが確認された。
【飛翔状況】
夜間のテレメトリ調査、定点観察調査の結果から、「北側地域→東側地域」への飛翔移動が数回確認された。なお、瀬戸会場のパビリオンゾーン(既造成区域)における飛翔移動は、現在のところ確認されていない。
【ねぐら位置】
昼間のテレメトリ調査の結果から、北側区域の巣箱、吉田川中流域の巣箱、愛工大北西部の球状巣(新たに発見)を「ねぐら」として使用していることが確認された。
4.今後の調査について
今後は、行動が安定するまで週2〜3回、その後は月1〜2回程度のテレメトリ調査を実施し、捕獲固体の行動圏の把握に努めるとともに、巣箱調査、フィールドサイン調査、夜間定点観察調査を併行し、テレメトリ調査結果との検証を行っていくこととする。また、繁殖期の「なわばり」を把握するため、当該行動圏内の雌固体の捕獲も同時に試みていくこととする。
以上