80mm屈折望遠鏡自作方法 how to make 80mmF6.25 telescope TOPへ
概要説明
20cm屈折で火星を観望できるようになり、水星日面通過用に40mmF4正立望遠鏡も完成しました。
今抱えている課題は火星用16cmF8反射のリニューアル化とお気軽観望用80mmF6.25屈折望遠鏡の2つです。
その内の80mmF6.25屈折望遠鏡の製作に本腰を上げました。
| 1)製作目標 初めに、概要にも書いたようにお気軽観望用という目的があります。たとえば海外の日食用にコンパクトでカメラ三脚で使用できるとか、双眼鏡で倍率が足りないときに重宝する望遠鏡が理想です。 ・コンパクト・・・・・・・・・・全長400mm以内・総重量3.0Kg以内 ・アクロマート・・・・・・・・私のこだわり ・総金属製・・・・・・・・・・メーカー製とは違う高級感を出す (打倒 テレビュー・クエスター) ・高性能・・・・・・・・・・・・同クラスのAPO屈折に迫る?性能でハイコントラスト ・アクセサリ・・・・・・・・・双眼装置や2インチ正立像がえられるアクセサリーがつけられる。もちろん写真も撮れる。 ・予算・・・・・・・・・・・・・・一生使えるものを作るので多少かかっても?いや、なるべく低コストで。 ・製作期間・・・・・・・・・・2003年中に完成させる。 |
| 2)レンズの入手 (2002.8.17) この80mmF.l.500mm(F6.25)アクロマートレンズはツアイス・イエナ製のコメット・キャッチャー用の物です。 現在ツアイス製の望遠鏡が購入できないので非常に貴重なレンズです。品番から調べるとプリズム有り無しで2種類発売されていたらしいのですが、どちらの仕様かは判りません。いずれにしろ、使用時は天頂プリズムを使う事が多いと思います。 |
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3)接眼部 (2002.12.24) 2インチアイピースが使えるようにクレイホード2インチタイプを利用する事にしました。 ただし、屈折用として販売されているものは無いので反射用から鏡筒取り付け部をはずして使用する事にします。 接眼部の重量は650gでストロークは54mmあります。元々は16cm反射用に購入したものです。 |
| 4)鏡筒材料手配 (2003.5.24) メーカ製小型屈折望遠鏡の鏡筒の材質はほぼ100%アルミ合金が使われています。これは軽量で加工性が良いことの他に適当なサイズのパイプが入手しやすい点があげられます。しかし、自分で作るならメーカー製と同じ物を使用しては自作の醍醐味が味わえません。ただ、見えれば良いなら既製品を購入するほうが手っ取り早いですから、とことんこだわりを持って自作を楽しむ事が星を見た時の感動につながります。 実際に使用する材質は今回チタン材の規格品である溶接管を使う事にしました。チタン材を使うの理由は今更説明するまでも無く軽量かつ強度剛性に優れ熱膨張率も少ない事です。今回、何故規格品かと言うと特注のロール加工よりもコストが抑えられる点を重要視しました。 |
5)チタン溶接管入手 (2003.6.17)
注文から約1ヶ月かかりましたが、鏡筒とフードに使うチタンパイプが出来てきました。鏡筒はφ89.1*186*T=2mmで重量468g・フードがφ101.6*100*T=2mmで287gです。強度的にはチタン材ですと0.5mmの厚みもあれば鏡筒として成立してしまうのですが、2.0mmが最小の肉厚でした。その為筒の長さを極力短くしてなるべく軽量化の方向にしています。そして、入手後すぐに内側の溶接部を超鋼の刃を使いリュータで削りました。チタン材は堅い事は充分に認識していますが、溶接部はさらに堅くてかなり手こずりました。
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6)チタン溶接管の寸法測定 (2003.6.18) チタン配管を入手した時に多少気にかかっていたことはパイプの真円度がどの程度なのか?という問題です。 測定結果を以下の表にまとめました。 |
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7)チタン溶接管の真円度の追求(2003.6.21) チタン溶接管の真円度の問題は通常の目的である化学プラントや原子炉の配管ではこの精度は許容範囲と考えざろう得ません。しかし、私が目指している高精度の望遠鏡には、この真円度では使えません。それは前回製作した20cm屈折望遠鏡のチタンパイプの真円度は99.91%でしたのでこの数字を目標として考えています。しかしながらこの数字をJISの規格品に当てはめようとしても到底無理な事は充分承知しています。ここで、選択肢が2つ出てきます。1つはパイプを薄肉で作り直すか、もうひとつはこのパイプの真円度を向上させるかです。新規に作り直してもさらに2〜3ヶ月かかりそうなので、このパイプの真円度を向上させる方法を検討しました。 @ 内部に専用の治具を作りプレスで塑性させて真円を出す。まず、フード用のパイプから始めます。治具はアルミ無垢材φ100.0mmで油圧プレス(以下プレス)で100kg/cm2負荷させたところで変形し始めますが、内側の治具にあたりそこまで(安全性を考慮)で負荷を抜くと弾性の為に元通りに戻ってしまい塑性領域まで到達しません。 |
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| A 治具なしでプレスで塑性変形させる。この方法は一気にチタン配管を塑性領域まで負荷させる方法ですが、内部に治具が無いので段階的に荷重を負荷させなければ破損の危険性があるので、パイプの変位をデジタルノギスで測定しながらやる事にします。荷重と変位量の関係から何度となく荷重を負荷させると序序に変形するのが確認でき目標に近い真円度まで持っていく事が出来ました。(注意)内側の溶接箇所を削らないとを均等に塑性変形しない可能性があります。 | ||||||||||||||||||||||||
| ★ポイント★ 「弾性・塑性」とは何かについて説明します.バネを例にとると、 バネを手で少し引っ張って離すと元に戻ります.この、少し引っ張ると元に戻る性質のことを「弾性」(だんせい)といいます. では、バネを思いっきり引っ張るとどうなるでしょうか? 手を離しても伸びたままになってしまいます.この、思いっきり引っ張ると元に戻らなくなる性質を「塑性」(そせい)といいます. |
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![]() *右の写真はφ120.00mmの基準治具にすっぽり外形がはまった状態 |
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| *カッコ内は入手時との差 |
8)チタン溶接管のバフがけ (2003.6.22)
20cm屈折製作時はあまりにも大変そうなので表面は何も処理していませんでしたが、今回は表面をバフがけすることにしました。写真は処理後の物です。2ページ目の写真と比較すると光沢の度合いが良くわかるかと思います。チタン材は磨いてもステンレスみたいにピッカピカにはならないんですよ。しかし、疲れました。
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| 9)仮組み (2003.7.19) まだ、筒とレンズ・筒と接眼部を繋ぐアダプターが出来ていませんが、間に合わせ部品で仮組みをしてレンズの色収差などの簡易的な確認をしました。使用したアイピースはPENTAX XL5.2mmで倍率96倍で未完成アダプター分の光路長確保の目的で天頂ミラーを追加して合焦させました。この状態で全長55cmで下においてある9cmFL1300mmと比較するとその短さが判ると思います。気になる色収差ですが、この倍率で50m遠方の電柱を見ましたが、ほとんど着色は認められません。内部の遮光処理がまだ未実施ですので若干のコントラストの低下が認められます。撮影条件: 天候・曇り 光学ズーム3倍 実視野 67×47cm |
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| 10)絞り環の製作 (2003.7.21) 前回20cm屈折用の絞り環はアルミ板2.0mmで製作しましたが、今回は以前からどうしても使ってみたかった材質であるカーボンを使用しました。厚さ1.5mmのカーボン板は比較的厚い部類です。しかもレースカーのカールなどに使っていたものですのでバツグンに強度があります。絞り環の外形はφ84.0mmで内径はφ63.0mmとφ68.0mmの2種類で、加工はジグソーにより切断してφ84.0mmのアルミ円板治具に両面テープで貼り付けて外形をそろえて組やすりで円径に整えました。カーボンですからこの形状で加工上の歪み(熱変形)がでませんが、熱伝導の良いアルミや鉄ではおそらくこの形状に作るのは至難だと思います。完成後の重量はとても軽量で2枚合わせても5gにしかなりませんでした。チタン材とカーボン材の組み合わせが以前から一つの夢で、今回すこし夢がかなった気分です。 |
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| 11)レンズセル・接眼部用アダプター (2003.8.5) 長い事かかりましたが、レンズセルと筒を繋ぐアダプターと接眼部と筒を繋ぐ2つのアダプターが完成しました。この2つは私では加工が出来ませんので、旋盤加工を依頼していました。時間がかかったの理由は筒の真円度の問題が発生していましたので数回に渡り寸法の修正加工をしていた為です。元の材料は星の里のイベントで入手した顕微鏡のアルミ部品で綺麗に黒アルマイト処理がされていました。この筒を2分割して、それぞれ写真の左側をレンズセル用に右側を接眼部ように利用しました。 |
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| 12)鏡筒の組み立て・1 (2003.8.9) まず、ファインダーですが前回製作した40mm屈折を利用する事にしました。ファインダー脚はタカハシ製の物を流用しています。次に筒内部にカーボンの遮光環を入れて植毛布(810HD 超強力タイプ)で固定しました。フードはレンズセル固定用ネジの逃げ分を3箇所U字に加工しています。 |
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| チタン筒と各アダプターとのはめ合いは0.1mm以下になる様に高精度に加工しています。抜け止めようにM3チタンネジ各3本で固定しました。ここは筒側にメスネジをたてています。 |
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| 13)鏡筒の組み立て・2 (2003.8.10) ちょうど1年前に製作を開始してちょうど丸1年がかりでここまで出来ました。持ち運びを意識しているので鏡筒の最短長さはフード付きで42cmでフードを外すと34cmとなります。重量はファインダー付きで2.6キロになりました。赤道儀はなつかしのタカハシ製D型にφ95mmの鏡筒バンドを加工して載せています。 |
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| 14)鏡筒のバランス (2003.8.11) 赤道義に搭載した状態でもバランスを合わせる為にSUS304 t=6mmのプレートを作りました。SUS304は純チタンに匹敵するほど堅くて切削にはフライスを用いても困難を伴いました。 |
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15)光軸調整 (2003.8.13) 鏡筒の最終調整の光軸合わせを行いました。方法は対物レンズにキャップをして接眼部側からの人工光によるレンズの反射で合わせる方法です。具体的な調整は本望遠鏡は光軸調整機能がないのでセルと筒とのクリアランス0.05mm(片側)のガタ分で調整します。写真はデジカメのズームで約10倍ほど拡大していますので実際はこんなに大きく反射光は見えません。2枚の写真の光軸のズレ幅は焦点面で僅か±1.20mmと微小なものです。 |
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| 16)火星観望 (2003.8.22) TITANIUM−80にて初の火星を観望しました。FL=500mmのアクロマートにとっては火星は夢物語のような存在でレンズ性能と鏡筒設計が評価されるところです。使用アイピースはPENTAXの新型XO2.5mmで倍率は200倍で、さすがに赤の色収差が目立ちます。しかし、本体の模様が見づらくなるほどではありません。その他、恒星も高倍率で見てみましたが、恒星ではシャープな気持ちの良い像が見られました。 |
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