40mmF4 正立屈折望遠鏡の自作 TOP     前Pageへ   


 まず初めに
 3年前のJTBで頂いた鎌倉のルーペを何とか有効に使えないものか悩んでいました。40mmと言う口径はちょうどファインダーに最適なサイズですが、ファインダーといっても小型屈折望遠鏡ですから自作しようとするとそれなりの費用がかかりメーカー品を購入した方が手っ取り早くなります。コンセプトとして御気楽に観望でき、しかも正立像で風景から天体までなんにでも使える望遠鏡を目指しました。

 
1)鎌倉ルーペ用レンズの概要

 口径40mmFL=160mm(F4)バルサム接着のアクロマートレンズです。ルーペとしては中々高級品な部類だと思います。
 レンズ表面もマルチコートされています。
    
バージョン2(直視 正立)

 昨年の星の里でのイベントでそういえばダハプリズムを購入していたのを思い出し、直視タイプも造ってみることにしました。

 1)45°から直視タイプへ

ダハプリズムのハウジングサイズは32mmでレンズ径が16mmでおそらく双眼鏡用の物だと思います。
 
 2)完成

 製作時間10分(バージョン1からバージョン2の変更) 制作費500円 皮製の見口を付けました。
スペックは45°タイプとほとんど同一ですが、ちじめると長さが18cmになります。
実際に星を見た感想ですが、4倍でも木星の衛星が確認出来ますし、恒星もシャープに見えます。
明るさは45°アミチプリズムよりもずいぶん暗くなります。30mmの望遠鏡並の明るさです。
45°タイプと直視タイプのどちらがいいかというと使い勝手は直視タイプで、像の明るさから言えば45°タイプです。

  
 バージョン3 実写 (2003.5.5)
どの位見えるのかデジカメで写真を撮ってみました。ニコンクールピクス4500  接眼レンズ カートンGEN 10.5mm

 1) 風景
自宅のベランダから遠方300m先の高電線を撮ってみました。写真用なので正立プリズムをはずしてをぶれない様に三脚に固定して撮りました。
  デジカメ1倍       デジカメ ズーム4倍

 GEN10.8ズーム1倍   GEN10.8ズーム4倍 
 2) 太陽 
風景と同様な撮影システムですが、減光の為に対物レンズ前にND400・ND8を使用しています。
左からデジカメズーム4倍 ・ GEN10.5 1倍(写真をクリックすると640×480が見られます) ・ GEN10.5 4倍
 3) 月 (月齢3) 
クリックすると640×480の写真バージョン3
 4) 考察

 昨日、星の里のイベントに持参して何人かに見てもらったのですが、どっちから覗けばいいか分からないほどのコンパクトで、よく見えるという感想をいただきました。JTBショーでおそらく何百人の人に渡ったレンズですので、多くの方が使わないままにしているのではないでしょうか。口径40mmのルーペですが、そのスペックからは想像も出来ないような風景や星を見せてくれました。単なるルーペですが、設計者は本格的な望遠鏡用に設計したのかも?と思える良さが感じられます。

 水星日面通過撮影 (2003.5.7)

冒頭でお気軽に使える望遠鏡というコンセプトで製作を開始しましたが、実は水星日面通過用にひそかに製作したのです。その理由は私が所有している望遠鏡とデジカメの組み合わせでは太陽全体像が入りきらなかったのです。(短焦点望遠鏡は所有していない)

 1)写真用に使うには正立プリズムは像の悪化を招く原因になるので延長管をつなぎ合わせてアイピースを付けてカメラアダプターが付くようにしました。アイピースはカートンGEN10.5mmで倍率は約15倍になります。減光フィルターはND400+ND8+ND4を使用しました。
  
当日はとても雲ばっかりの天気でしたので、偶に雲の切れ間から太陽が覗いたらシャッターを切る方法でしたので、このコンパクトな望遠鏡はすごく役に立ちました。焦点距離が160mmしかないレンズで正直ここまで写ったので大成功でした。色収差は口径40mmではF4でもあまり出ないと言うことの実証ができました。
 土星観望 (2004.3.5)

この望遠鏡の限界性能を探る為に土星の撮影にチャレンジしました。撮影形態は水星日面通過のセットと同等ですが、土星は暗く低速でしかシャッターが切れないので赤道儀に載せて追尾しました。アイピースはカートンGEN10.5mmで倍率は約15倍でこの倍率では土星が歪なのは解りますが、輪はわかりません。そこでアイピースをLE5mmに変える(32倍)にすると小さいながら輪の存在が解りました。
*2005.10.15追記 レンズの有口径がφ34mmであることが判明しました。
  カートンGEN10.5mm 露出1/2秒 ズーム4倍 ISO100相当
 バージョン 4 (2003.6.1)

 1)バージョン2ではダハプリズムを使用して直視タイプの正立像を実現させましたが、かなり大型のダハプリズムを使用しないと像が暗くなる事がわかりました。大型のダハプリズムは大変高価でとてもお気軽望遠鏡には使用できないので、正立像をつくる方法としてアイピースの2段重ね方式を考案しました。ただし、この方法はメインのアイピースで出来た像をさらにルーペ(セカンダリーのアイピース)で拡大する方法で単純に考えた場合、メイン・アイピースの中心像しか使えず、セカンダリー側で像がけられたり、暗くなったりする弊害が懸念されます。

 2)対物レンズ側は前回と同様ですが、対物レンズセル・36.4mmチューブ・ボーグ7317(36.4→31.7mm 唯一所有のボーグ製品)・ミードカメラアダプター(31.7mm)・マスヤマ15mm・36.4mmチューブ・タカハシ36.4→31.7mm・カートンGEN16.8mmと言う構成です。アイピースの2段重ね方式はアイピースの形式・焦点距離・アイレリーフなどにより相当数の中から組み合わせの良いものを選びました。オルソ・アイピースが色収差も像のゆがみもなくて良いのですが、視野が狭いので普段手持ちで使用するには使いずらいです。完成後の全長は340mmで重量が750gで、形がライフルスコープに似てしまいましたが、この形が究極な形なのかもしれません。実際に使用する構え方はまさにライフルの持つときのような姿勢がベストです。でも、これだけ部品点数があるのも珍しい。
    
    
 3)このアイピースの組み合わせですと風景を見るくらいなら倍率は22倍程度視野2度ですが、手持ちでも400m先の車のナンバーが確認できます。

 お月様 (2005.10.14)

お月様が綺麗でしたので手っ取り早く撮るにはこれしかないと思いカートンGEN10.5mmを付けて室内から撮りました。右の画像はRGB分解した後G成分のみ処理したもの。昔のネオパンとかプラスXの時代は欠け際のディテールを出すのに多い焼きに苦労しましたが、デジタルではその必要がないほど自然にでるんですね。 2005.10.13 21:57 ニコンクールピクスE4500 露出1/30秒
2005.10.15
先日撮影したお月様の画像処理をしていてふと気が付いた事があった。本当にレンズの口径が40mmだろうかという疑問点であった。たしかにレンズ径が40mmだから「40mmF4」をうたい文句にしてきたが、レンズセルで多少絞られているはずである。そこでノギスで有効な口径を測定してみたらなんとφ34mmしかなかった。つまり34mmF4.7というのが本当のスペックになる。
   なんとφ34mm