第24学校訪問記
「第24学校」は、マガダンで唯一の「日本語」の授業を持つ学校です。
セルゲイ先生、2年生の学生2名と「第24学校」を訪問しました。
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日本語教室の一角。人形が着物を着て(それも右前に)いるのが笑えます。
ロシアの学校は、7歳で入学し、それから11年間同一の学校で勉強します。
規模の大きい校舎と校庭を持つ学校ですが、校舎に一歩入って「この学校はいい学校だな。」
とまず思いました。廊下や教室のたたずまいに温かみがあり、目が行き届いている、といった感じが
まず伺えました。
「日本語」は、5つある外国語(英語、日本語、フランス語、ドイツ語、ラテン語)コースの中の一つ
で、英語以外は選択コースです。学生は10歳から16歳まで15,6人ということでした。
先生は温和な感じの中年女性です。もともとロシア語の先生ですが、日本語に興味を持ち、前に
いた日本人に手ほどきを受け、その後も自分で勉強を続けた人です。
静かな中に、マガダンの日本語教育の一翼を担っているといった自負と情熱を感じさせる人で、そ
れをまたわかりよく学生達に教えていく、なかなかすばらしい先生でした。
学生も、小学生、中学生の年齢でよくがんばり、力もついてきているようです。私の孫程度のかわい
い子達が懸命に学ぶ姿勢に感動させられます。
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かわいい女の子・11歳です。
その子たちが、 日本語の模擬会話を見せてくれました。発音もセリフも立派なものです。
今日の勉強は「スポーツ」というテーマで、日本の「野球」が教材ですが、実際に見たことのないスポ
ーツでは理解も難しいものです。
私が招かれたのを機に、即製のバットとボールでキャッチボールとボールを打つことをやって見せました
ら学生達にずいぶん受けました。
ロシアにも、それに似た競技があったそうで(多分イギリスのクリケットから来たものでしょう)、それをや
ったことがある、という学生がいました。
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キャッチボールの実演風景 板書の文字
授業後、先生、副校長、学生、私たちみんなでお茶とこの学校製のおいしいパンをご馳走になりま
した。
そこでも、学生達は積極的に私にまだ拙いながら日本語で質問してきます。
「最近の日本の忍者ブームはどうなりましたか。」「日本人が長生きなのはどうしてですか。」
「日本ではロシア語の通訳は多いですか。」などたじたじの質問攻め。たいしたものです。
音楽の先生も同席されていて、すぐさまアコーデオンを持ってきてロシア民謡です。今の若いロシア人
はそういう歌を知らないそうで、伴奏に合わせて私が何曲か歌ったら驚きと賞賛をいただきました。
授業後の茶話会。学生も先生もみんな、というのがすばらしい。
彼らは、もちろん将来にわたって日本語を専門に勉強するつもりはないと言いますが、それでもこんな
若い時期に日本語や日本文化に触れる機会があることは、将来いろんな形でまた芽を出すこともある
のではないかと思います。
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4人は16歳。この教室は日本語の教室ではありません 美術教室
心理学の先生がいる部屋。学校にはどこも心理学の先生がいて、先生でも学生でも
この部屋で癒しの時間を過ごせるのだそうです。今の日本におおいに参考になるシステムです。
前の校庭では、スキーやアイスホッケーを楽しむ学生がいます。日本語の学生も、空手、レスリング
新体操、ピンポンなどもう数年に亘って続け、かなりのレベルだそうです。
(その練習の様子をビデオでも見ました)
学生は用があって、一人ずつ先に教室を出ましたが、どの学生もがきちんと日本語で失礼します、さ
ようなら。と言うのにはまたまたびっくり。
これは、学生の質もさることながら、先生、学校の教育の成果です。
ただただ感心し、いい気持ちで帰ってきました。
来週、この学校の25周年記念のパーティがあるそうで、私とセルゲイ先生は招待を受けました。