【4】 全国鉄道ネットワーク・サービスを維持し、貨物鉄道の動脈としての発展を
<資料4-1> 北陸信越の貨物輸送図
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
           (出所)第4回「石川県並行在来線対策協議会幹事会・合同専門会」配布資料より、2006年11月9日
<資料4-2> 総合物流施策大綱(2005-2009)
 「経済社会の持続的発展を図るためには、経済効率性の追及だけでなく、環境問題へ対応が重要(中略)運輸部門の貨物自動車からの二酸化炭素の排出量については、自家用トラックから効率の良い営業用トラックへの転換、低公害車の導入、モーダルシフト、ITの活用による物流システムの全体最適化の進展により、減少傾向に転じ、平成14年には、京都議定書に基づく削減目標の基準年(平成2年)における排出量を下回る水準となっている。(中略)二酸化炭素や浮遊粒子状物質の環境基準を達していない測定局が都市を中心に依然存在(中略)。またCO2排出規制に関しては、旅客分野を含む運輸部門全体では見込み通りに進んでおらず、京都議定書に基づく削減目標の確実な達成のためには、従来からの取り組みに加え、物流分野においては、荷主企業と物流業者との連係・協働をはかる・・・・・。」
 同時に、総合物流施策大綱は、「ジャストインタイムに対応した多頻度・小ロット輸送」や「道路交通の円滑化を確保」などを掲げている。             (出所)「総合物流施策大綱(2006-2009)」2005年11月5日閣議決定
 
<資料4-3> モーダルシフトの目標
@2010年までに地球温暖化対策推進大綱にもとづく目標値
  CO2排出削減量 モーダルシフト量 輸送機関分担率
トラック→鉄道    70万トン   28億トンキロ    約3.6%(コンテナ)
トラック→内航海運   370万トン   181億トンキロ   約44%
 (2000年度の輸送分担率は、鉄道コンテナ約3.2%、内航運輸約41.8%)
 
A鉄道貨物の利用促進に向けた施策
 貨物鉄道の利用促進に向けた施策として、山陽線の鉄道貨物輸送の輸送力増加、E&S式荷役駅、スーパーレールカーゴ、スピードリミッター、グリーン物流、コンテナー輸送サービスの向上など。〔スピードリミッターは2003年9月1日大型トラック(車両総重量8トン以上、最大積載量5トン以上)義務化、90q/h以上出せないことに〕
            (出所)国土交通省「モーダルシフト促進に向けたアクションプログラム」平成15・16年度より作成
 
Bモーダルシフト化率(長距離輸送における鉄道・内航分担率)
                 (鉄道+海運+フェリー)の輸送量
〇モーダルシフト化率の推計=
               (自動車+鉄道+海運+フェリー)の輸送量
〇モーダルシフト化率は、1988年33.4%、1998年42.9%、2003年30.9%、2004年40.4%
(出所)「モーダルシフト化率の動向分析・モーダルシフト促進のための要因分析調査委員会」(2007年3月26日)より作成
 
<資料4-4> 欧州における地球環境問題解決のための貨物鉄道への支援策
(1)貨物鉄道輸送に対する考え方・方針
E U


 
道路輸送の拡大と共に鉄道離れ進行。このまま、市場原理にまかせると2010年には貨物鉄道輸送が消滅する可能性があると危機感。環境面から鉄道貨物輸送を基幹運輸部門支援。
91年「共同体の鉄道の発展に関する閣僚理事指令(91/440/EEC)」@鉄道インフラ管理事業と鉄道輸送事業の会計上の分離A鉄道事業経営の独立保証と財政構造の改善などを各国に命ずる。
フランス




 
環境問題対応のため、トラックによる輸送量をこれ以上伸びないよう鉄道にシフト。今後の輸送量の増加分については鉄道輸送を利用。2010年までに貨物鉄道輸送量は、99年の520億トンキロメートルから2倍の1000億トンキロメートルに。そのうち400億トンキロメートルは複合輸送。
フランス国鉄(SNCF)は、92年から環境担当局長職を設置し、鉄道の環境面での貢献を外部に訴えるとともに、環境団体や政府との環境面での対応をおこなっている。SNCFは、鉄道の複合輸送は、道路輸送と比較すると環境面で優位性は非常に高いと分析。
ドイツ

 
EUの中央に位置するドイツは通過トラックの貨物輸送が増加。酸性雨の影響で南部の森林が被害。環境問題が国民的な関心をもたらし、緑の党が環境問題への政策的な提案。
99年から環境税の導入。電気、ガソリン、ディーゼル、暖房用の軽油、天然ガスに課税。
スイス
 
憲法84条2項にアルプス横断の通過貨物は、鉄道によることが定められている。アルプスの環境を守るため、トラックから貨物輸送にシフト。
 
(2)貨物鉄道輸送への支援策とトラック輸送への規制策
  貨物鉄道輸送への支援策 トラック輸送への規制策

E U














 
92年EU白書。トラック輸送依存による問題を指摘し、鉄道や内陸水運の活用による輸送需要拡大。複合輸送の促進、欧州横断ネットワークの整備。欠落線をつなぐなどの方針。
94年EUの鉄道整備計画を定め、鉄道貨物に対する支援策を展開。ヨーロッパ横断ネットワーク(TEN)の具体的な14優先プロジェクトのうち10が鉄道に関するプロジェクト。財政面の支援のため欧州投資銀行EIFの融資など。
96年白書は、鉄道が利用者のニーズを捉えられなかった理由を分析。財務や、競争の導入、公共サービス、鉄道網の統合、社会政策について提言。
EUの方針として、旅客鉄道事業、貨物鉄道事業そのものへの補助を禁じている。但し、鉄道インフラ部分への補助は、複数の鉄道事業者が乗り入れのため重要であるため禁じられていない。
トラックの最大重量(総量)は40t。
総重量7.5t以上のトラックは、土曜日の夜10時から日曜日の夜10時まで通行禁止。バカンス時も走行禁止時間帯がある。
EU指令に基づき、自動車の排気ガス規制(CO2、NOX、PM微粒子)等の規制が3.5t以上のトラックに適用。
タコグラフの義務付けと車両規格の統制
大型貨物自動車の速度抑制装置が義務づけ。時速90q以上になるとエンジンの噴射装置を制御する仕組みで運用。
12t以上のトラックに道路通行料課す方針。




 

フランス

















 
インフラを担当するフランス鉄道ネットワー
ク(RFF)社へ駅や積替施設設備の半額補助。
貨物鉄道には、コンテナを列車からトラックに乗せ替える、トラックから列車にコンテナを乗せ替える複合輸送に補助。複合輸送とトラック直送の料金差を補填する。
財源は、1995年から高速道路料金に国土整備税を課し、その一部を地上及び水運特別基金に入れ、複合輸送を行う会社に助成。99年度の複合貨物輸送等に3億フラン(約54億円)の補助が出されている。
複合輸送トラックは、最高重量40t規制が44tまで緩和になる。
政府とSNCF(フランス国鉄)間で、コンテナ装備の低利融資に対する助成が年間数百万フラン(約9000万円)。
複合輸送のインフラ補助としてガントリークレーン等の施設への補助(国と自治体半々)。

 
EUの規制とほほ同じ基準。
日曜日、祝日は、終日総重量7.5t以上のトラックは通行禁止。
バイパスがある場合、トラック規制は自治体ごと。サントマリーントンネルでは、総重量3.5t以上は一切通行禁止。(国道の通行禁止は自治体の権限にない)
CO2、NOX、PMを96年から01年で30%減(これは技術的に解決している)。01年から06年でさらに30%減。微粒子は01年から06年で80%減。06年からはさらに厳しい基準の予定。
高速道路料金はパリ〜リヨンの主要区間で乗用車1に対してトラック24。
速度抑制装置(スピードリミッター)の義務付け。
運転手の一日運転時間は9時間。週に2回だけ10時間まで増やすことができる。4.5時間毎に45分の休息。週1回休日。違反の罰金は企業ではなく、雇用者個人(社長)が出すことになっており、抑制効果あり。

ドイツ







 
環境税はドイツ鉄道としては基本的に賛成であるが、重荷になる。2000年の段階で1億8300万マルク、2003年3億1200万マルクの負担。
複合輸送トラックは無税。例えば、指定された駅から往復で行く場合は無税、そのトラックが90%複合貨物輸送を行い、10%は普通トラックを活用している場合は10%の自動車税を払う。
複合輸送トラックは44tまで走行可能。日曜日はトラックは路上を走ってはいけないが、複合輸送は週末でも走れるという提案がなされている。
EUの規制とほほ同じ基準。
トラック運転手は一日最高9時間。一週間に2回は10時間以下、4.5時間走ったら少なくとも45分休憩。規定に違反したケースが見つかれば直ちに停車させ、強制休憩をとらせる。
タコグラフは、スピードだけでなく、運転時間と休憩時間と全部チェックできる。
路上で、輸送車両の長さ、高さ、重量を計測。重ければ重いほど道路を傷め、費用がかかるので、フェアーな輸送競争の観点から規制。

スイス













 
スイス連邦鉄道は、収入がわずかな割には出が多いため、全体でインフラ補助金が12億7300万スイスフラン、公共輸送サービス補助金6億8290万スイスフランが国から支出されるなど鉄道に対する政府の支援は手厚い。
ビギーバックには経費の50%が連邦政府の補助金として出る。ビギーバックは常に赤字。ビギーバック輸送に補助をして、道路通行料と同じくらいに価格を設定して利用者確保。石油輸入税の一部が使われる。
工場などの引き込み専用線の維持管理費投資費用は、連邦政府が補助。引き込み専用線の工事費の半分が政府補助。
騒音防止に対しても連邦政府が補助。

 
国民投票により1994年度にアルプスを通過した65万台を基本に、それ以上増えたトラックは、新しい道路を建設せず、全部鉄道により輸送することを決定。憲法に盛り込まれる。
大型トラックが走った距離数とそのトラックの重量によって通行料が決定される。料金を高めにし、鉄道を利用の促進が政府の方針。
排気ガス規制量により、トラック通行料を差別することにしている。
トラックは日曜日は通行禁止、平日は夜10時から朝5時まで通行禁止。ミルクの配達、集荷は一部のみ許可。
大型トラックの総重量は28tまで。但し28tトラックの年間の税金8000スイスフランを払えば、何十回何百回も走行可能。鉄道を使った場合、これから5〜10%安くなる。
 
(3)イギリスにおける貨物鉄道輸送に対する支援策
@トラックから貨物鉄道輸送へシフト政策    
 






 
 97年誕生の労働党ブレア政権は、自動車偏重の交通体系の見直しをすすめ、トラックから貨物鉄道へのシフトが決められる(新交通政策)。2000年から2010年間に、貨物鉄道輸送量の80%増、貨物鉄道シェアを7%ら10%に引き上げる。貨物鉄道輸送に40億ポンド(7900億円)を投じる目標を定める。
  





 
                            イギリスの鉄道民営化と現在
Aイギリス政府機関と貨物鉄道グループの関係









 
戦略的鉄道委員会の目的
鉄道ネットワークの利用拡大と発展の実現、旅客と貨物の総合輸送システムの発展に貢献。
戦略的鉄道委員会の戦略
道路混雑の解消、道路維持費用の削減、自動車事故によるコストの減少、自動車騒音の減少、大気汚染の減少、排ガスに起因する気候変動の影響減少。
 
 
 
 
 
B貨物鉄道補助制度の対象            D補助額の算出方法
 補助金対象は貨物鉄道事業者と顧客企業     環境負荷の軽減度を基にした補助額システム
 
(出所)株式会社 ジェィアール貨物・リサーチセンターの調査報告書「欧州主要国における地球環境と鉄道への誘導策に関する   調査」(2000年9月)と「英国における貨物鉄道輸送システムに対する公的助成スキーム調査報告書」(2004年3月)より公共   交通をよくする富山の会・渡辺眞一が作成。 
 
<資料4-5> 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案要綱
 1、目的 この法律は、近年における急速な少子高齢化の進展、移動のための交通手段に関する利用者の選考の変化により地域公共交通の維持に困難を生じていること等の社会経済情勢の変化に対応し、地域住民の自立した日常生活及び社会生活の確保、活力ある都市活動の実現、観光その他の地域間の交流の促進並びに交通に係る環境への負荷の軽減を図る観点から地域公共交通の活性化及び再生を促進することが重要となっていることにかんがみ、市町村による地域公共交通総合連携計画の作成及び地域公共交通特定事業の実施に関する措置並びに新地域旅客運送事業の円滑化を図るための措置について定めることにより、地域公共交通の活性化及び再生のための地域における主体的な取組及び創意工夫を総合的、一体的かつ効率的に推進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に寄与することを目的とするものであること。
 
<資料4-6> 交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会・中間とりまとめから
〇沿線の地方自治体や住民などによる主体的な取組を促くすための環境整備の必要性
 地方鉄道の維持・活性化を実現していくためには、路線毎の運営形態・条件等を踏まえながら、地方自治体、住民、観光関係団体、NPO、沿線企業など、沿線地域の様々な関係者が、それぞれの能力や特性を活かして相互に連携しながら、鉄道事業と一体となって創意工夫に基づく取組を展開していくことが必要不可欠。
〇地方自治体による鉄道施設の保有など取組を活溌化させるための支援
 沿線の地方自治体による鉄道事業者への支援の形態の一つとして、地方自治体が鉄道施設を保有することにより運行を担う鉄道事業者の負担を軽減する手法があるが、これをはじめとする多様な手法が幅広く活用されることを促進するための方策について具体的な検討を進めるべきである。
〇鉄道事業者、地方自治体、住民などが連携して行う取組に対する総合的かつ重点的な支援
 今後は、まちづくりや地域活性化、観光振興、地球温暖化対策等と連携しながら沿線地域の様々な主体が一体となって鉄道の維持・活性化を図ろうとする意欲的な取組を対象とする支援を目的とすることとし、このような観点から、沿線の地方自治体、住民などと鉄道事業者が連携して策定した連携計画に基づく取組に対して、まちづくり等の施策と連携して重点的な支援を行うことができる補助制度に移行させる方向で具体的な検討をすすめるべきである。
         (出所)国土交通省「交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会・中間とりまとめ−ネットワークとサービスの            充実に向けて直ちに具体化を図るべき施策−」2007年6月19日