富山県並行在来線経営計画概要(第1次)(素案)に対する「質問」と「回答」」
 
 公共交通をよくする富山の会が、さる1月6日、富山県知事宛に提出した「富山県並行在来線経営計画概要(第1次)(素案)に対する質問」に対する回答が2月20日付で、富山県知事政策局交通政策室の名前で届けられました。
 下記に、当会の「質問」と県の「回答」をご紹介します。
 
2012年1月6日
 富山県知事 石井隆一 殿


北陸線・ローカル線の存続と公共交通をよくする富山の会
(略称:公共交通をよくする富山の会)

 昨年11月14日貴職は、富山県並行在来線経営計画概要(第1次)(素案)を発表され、1月には富山県並行在来線対策協議会を開催される予定と伺っています。
 公共交通をよくする富山の会は、昨年9月7日、利用者・県民の立場から将来にわたって維持可能な並行在来線・北陸本線を願い、「富山県の並行在来線『経営計画』策定にあたっての『提言』─県民の要望をいかし、暮らしと地域振興に役立つ、いまと将来の並行在来線のビジョンを」、貴職ならびに県議会議員や関係諸団体にお届けしてきました。この「提言」は、多くの方々に読まれ、活用され、昨年11月県議会での「決議」にも生かされたものと自認しております。
 私たちは、並行在来線の「経営計画」が利用者と県民の要望に沿って、より充実した将来展望のある「経営計画」となることを願い、並行在来線経営計画概要(第1次)(素案)を検討してまいりました。
 その結果、様々な疑問などがあり、(1)将来にわたって維持可能な並行在来線の経営安定、(2)県内を横断する基幹鉄道であると共に全国鉄道ネットワークの一環を担う役割、(3)新たな鉄道運営会社の安全・安心の確保と向上、(4)より便利で快適な、地域振興にも役立つ並行在来線─この4つの角度から、以下、質問するものです。
 貴職からは、これまでも文書による回答を頂いており、今回も文書でご回答ください。
 
【1】 将来にわたって維持可能な並行在来線の経営安定に関して
質問@ 「無償譲渡」を明確にすることは県民の総意に応えることでは?
 並行在来線経営計画概要(第1次)(素案)は経営安定化策として、必要な譲渡資産はJR西日本と「極力低額となるよう折衝」するとしていますが、赤字が累積する「厳しい収支見通し」です。昨年12月13日富山県議会は、「鉄道資産の無償譲渡」などを求め、「JRに対して、その公共交通に対する社会的責任をふまえ」、JRに対する交渉に県議会としても全力を尽くすことなどを内容とする決議を全会派一致で採択され、昨年末には、JR西日本への行動を起こされました。この県議会の決議は、県民の総意をあらわすものです。
 この県議会の決議にも応えて、県は、「JR資産無償譲渡」の姿勢を明確にし、JRと交渉にあたるべきではありませんか。それが県民の総意に応えることになるのではありませんか。
 また、新潟県・石川県・長野県に、「JR資産無償譲渡」を目指して、共同してJRに働きかけるよう行動を起こすべきではありませんか。
 さらに、並行在来線の経営が成り立つよう、貸付料の活用の具体化、国の新たな制度の創設など、各県と共同した取り組みで、県民に展望を示すべきではありませんか。
(答)JRとは、車両を含む鉄道資産の譲渡に関して交渉を重ねていますが、JR側は「譲渡資産について基本的に簿価譲渡」としています。一方。県としては、極力低廉な価格での譲渡となるよう粘り強く折衝しています。
 また、JRとの折衝にあたって、隣県とも連携した取り組みを進めているほか、国に対しては、貸付料の活用などによる並行在来線への支援について要請しています。














 
質問A 「経営安定基金」を10年間とした理由は、民間との係わりは?
 これまでの県の試算では、新たな鉄道運営会社が発足し10年を経過しても黒字に転換しません。それだけに、知恵を絞り県民の力を結集することが求められています。
 並行在来線経営計画概要(第1次)(素案)は、「投資に係る公的支援」及び「経常収支不足を賄う」ことを目的とした「経営安定基金(仮称)を設置する方向で検討する」としています。
  この「経営安定基金」を「10年間」に限定したのは、どのような理由があってのことですか。
 また、「経営安定基金」の出資者に、民間企業や県民を含めるのですか、含めないのですか。
(答)経営収支や経営安定基金については、当面10年間を一つの区切りとして検討していますが、その後も必要に応じて検討を進めることになるもの考えています。
 また、基金の拠出などその仕組みについては、今後、関係者と協議していくことしています。







 
質問B 新しい貨物線路使用料は10年後も継続になるのか?
 国の新たな貨物調整金制度は、1000億円を今年から10年間に限って並行在来線を支援するものではありませんか。そうすると、2015年春に新たな鉄道運営会社を発足させれば、貨物調整金制度が適用されるのは2020年までの6年間ということになりますが、これは間違いですか。
 また、10年後も貨物調整金制度が継続するとのお考えなのですか。継続されるとするとその根拠はなんですか。
(答)今回拡充された貨物調整金は、平成32年度までの10年間で総額1,000億円必要とされておりますが、国土交通省は平成33年度以降の20年間で貨物調整金の財源として約2,500億円確保する資料を公表(H23.12.26)していることから、10年後も継続されるものと考えております。




 
質問C 「民間」出資者にJR貨物、JR西日本は含むのか?
 新たな鉄道運営会社に対する出資比率は、県63%、市町村27%、民間10%として新年度予算に計上するとの報道があります。この「民間」とは何を指すのですか。JR貨物やJR西日本も対象としているのですか。「民間」には、県民も含むのですか。
 「資金計画」では、「マイレール意識を持ってもらうために県内全体で支えていく」としていますが、県内外の企業に広く出資を呼びかけるのですか。「マイレール意識」とは県民のどういう意識を指しているのでしょうか。また、どうすれば「マイレール意識」を持ってもらうことができるとお考えなのでしょうか。
 
(答)民間出資については、主に県内企業を中心にお願いしたいと考えており、今後、具体的に相談していくこととしております。
 また、マイレール意識は、多くの県民が並行在来線を自分たちの鉄道との意識で利用していただくことと考えていますが、そのためには、計画概要に記載するような取り組みを県民の皆さんと一緒に推進していくことが大切であると考えています。






 
質問D 利用者・県民参加の仕組みをつくれば新会社に展望をひらくのでは?
 予想される厳しい経営の現状から「積極的な利用促進策を講ずる」ことは必要です。同時に、利用者とともに、県、沿線自治体、鉄道・交通関係事業者、労働組合・労働者、県民(公募)による利用者、地域住民の要望を生かした企画・立案、運営・運行などをすすめる仕組みをつくることが、県民の力を引き出し、新たな鉄道運営会社に展望をひらくのではありませんか。
(答)計画概要では、県民ぐるみで利用促進策を推進するため、県並行在来線利用促進協議会やサポーターズクラブなどの設置について検討する旨を記載しています。





 
 
【2】 県内を横断する基幹鉄道であると共に全国鉄道ネットワークの一環を担う役割に関して
質問@ 県土の発展から「全国鉄道ネットワークの一環を担う」位置付けがないのは?
 東日本大震災直後、第三セクター鉄道の青い森鉄道、いわて銀河鉄道は、被災地への石油輸送などに重要な役割を果たしました。大災害などを考えれば、日本海縦貫鉄道である北陸本線がJRから切り離され、地方線扱いになっても、全国鉄道ネットワークの一環を役割を担う路線です。この北陸本線の役割は、国土の発展からも大切なことと考えます。県は、伏木富山港が日本海側拠点港に選定されたことで、高岡貨物駅の拡張や、伏木外港万葉ふ頭まで線路を延伸することも構想しているとの報道があります。富山県の発展のためにも全国鉄道ネットワークの一環を担う位置づけが必要なのではないでしょうか。
 ましてや、JR貨物の貨物線路使用料は、新たな鉄道運営会社の収入の約半分を占める重要な財源になるのです。「経営理念」に、全国鉄道ネットワークの一環としての役割を担うことを明記しない理由は何ですか。
(答)並行在来線は、貨物鉄道の広域ネットワークの一部を担っていますが、何よりも多くの県民の日常生活を支える交通機関として重要な役割を果たしています。こうしたことから。経営理念は、県民の通勤一通学等の交通手段を確保することを基本に記載しています。













 
質問A 利便性の「確保」はあるが、「向上」がないのは?
 鉄道は、地域に密着した公共交通機関であり、より安全で、より便利、快適で、低廉であることが望まれます。「経営理念」には、「利用実態に即した利便性の確保」と記載されていますが、「利用実態に即した利便性の確保」とは何を意味しているのですか。また、利便性の「確保」にとどめないで、より便利で、快適な鉄道を目指して、「向上」を図ることを加えるべきと考えますがいかがですか。
(答)経営理念の「利用実態に即した利便性の確保」とは、並行在来線が身近な生活路線として、多くの県民に利用されている実態に即して、その利便性の確保が図られるよう配慮していく趣旨であり、可能な限りより便利にしていくことも大切であると考えています




 
質問B 組織の「簡素化」「効率化」「健全経営」とは?
 会社組織の「簡素化」「効率化」「健全経営」は、一般的には当然のことです。しかし、企業経営の論理では、合理的で、効率的であっても、利用者や地域住民、企業で働く従業員、あるいは環境にとって、不経済であり、非合理的であることもあります。要員の削減や労働強化、利便性・安全性の軽視、環境汚染などが引き起こされることも少なくありません。「経営理念」に盛り込まれている「簡素化」「効率化」とは、具体的にはどういう内容のことですか。
 また、並行在来線のJR経営分離という国の運輸政策のもとで赤字を押しつけられる新たな鉄道運営会社の「健全経営」とは、どういうことを表しているのですか。
(答)経営理念の「組織の簡素化」や「業務の効率化」については、鉄道経営の基本である安全性の確保や、利用実態に即して利便性の確保を図ることを踏まえつつ、会社組織はできるだけ簡素にし、業務は効率的に行う体制を整える趣旨です。
 また、「健全経営」とは、将来にわたる県民の通勤・通学等の交通手段として、持続可能な経営を目指していく趣旨で記載しています。







 
 
【3】 新たな鉄道運営会社の安全・安心の確保と向上に関して
質問@ 資産譲渡前の総点検と費用は、保守・修理はJRの責任で行うのか?
 安全問題と経営安定は一体のものです。とりわけ、高規格線で大重量の貨物列車が走行し、新設路線の譲渡ではないため、保守・修理費が経営を圧迫します。県議会の決議も「譲渡前の施設設備の補修・修理」を求めています。譲渡前の保守・修理は、前例はありますが、100%であったかどうかは疑問のあるところです。総点検を鉄道総研に調査を依頼することも必要です。
 施設・設備(電路・変電所など電気設備、信号・保安通信・踏切など運転保安設備、トンネル・橋梁など土木施設など)の譲渡前の総点検と保守・修理をJRの責任で行うよう計画されていますか。また、保守・修理にかかる費用の総額はどれくらいですか。
 高山線、城端線、氷見線と新しい鉄道運営会社の境界線ははっきりしていますか
(答)JRから譲渡を受ける鉄道施設や設備については、JRにおいて譲渡前に点検と必要な修繕を行うよう要請しており、経費面も含め協議を進めています。
 また。高山線などの枝線との境界線についても協議中です。











 
問A 指令システムは、隣県共同が簡素で効率的で現実的では?
 指令システムには、輸送指令、旅客指令・電力指令などいくつかのセクションがあり、県独自の新指令システムに移行した場合、貨物指令や石川県会社、新潟県会社、JR高山線・城端線・氷見線など幾重にもまたがる業務になります。さらに、輸送指令員は、乗務員経験者など線形や路線に精通した職員が携わることが旅客輸送業務の要です。これらのことからも、県独自の新指令システムには、運行や異常時への対応など不安がつきまといます。
 新しい鉄道運営会社の開業時には、石川県会社、新潟県会社とともに現行のJR金沢指令所を合同使用するとしていますが、これは、県ごとの会社を設立しても輸送・運行上の問題が発生しないということではありませんか。
 石川県内の経営分離区間は20.6qです。青い森鉄道は、青森まで開業する間、いわて銀河鉄道と同じ指令システム(盛岡)を使用しました。青い森鉄道の目時・八戸間は25.9qです。金沢以西の整備新幹線開業はまだ先のことで、県独自の指令システムを急ぐ理由にはなりません。
 指令システムは、隣県と共同使用とし一体運行にすることが、事故などの異常時への対応や
数社にまたがる複雑な運行や安全性を考えても現実的ではありませんか。
 新設指令所や信号設備の改良費などに約40〜72億円が必要としていますが、JR西日本に委託するとか、3県共同の指令システムをつくれば、「効率的」で「簡素」な体制になりませんか。
(答)運行管理システムについては、鉄道事業者がそれぞれ整備することが基本とされており。開業後は単独システムを構築する方向で検討を進めることとしています。
 また、開業後の設備投資は、三セク会社が自ら行うのが基本と考えているほか、3県共同の指令システムの整備については、上記の理由により難しいと考えています。






















 
質問B 必要要員数約300人程度の内訳は? JRとの関係は?
 JR西日本からの社員派遣を前提に開業時の必要要員を約300人程度としていますが、駅員や技術職員の労働時間はJRの条件で算出したのですか。JR西日本の現在の県内職員数は何人ですか。
 JRからの運転士と車掌の出向者は、どの程度見込んでいますか。新型車両は22編成ということですが、運転士は何人で、一人あたりのハンドル時間は何時間と見込んでいますか。
 JR西日本の線路や電路などの保守・修理は、多くはJRの下請け会社の業務となっています。つまり、JR社員ではないのでが、保守・修理部門の要員をどのように確保するのですか。
 駅の要員数は、どれだけと見込んでいますか。現在JRが委託駅としている中間駅の要員数は、必要要員数のなかに含まれていますか。
 また、JR出向者の人件費の扱いについてはどう考えていますか。
(答)要員数については、JRや先行事例などを参考に検討を進めています。なお、JR西日本の現在の県内職員数は公表されていません。
 運転士や車掌のJRからの出向者数、保守修理部門の要員などについては、現在JRと協議中です。
 駅の要員数についてもJRや先行事例などを参考に検討を進めていますが、要員数は三セク会社としての必要な人員としています。
 また、JR出向者に関しては、人件費支援などについてJRと交渉中です。








 
質問C 除雪は初動が決定的だが、体制は?
 除雪は、初動が遅れることになれば、運行に重大な影響を与えます。とりわけ、新型車両の521系は、現行のJR車両より軽く、富山県のようなベタ雪には弱い電車ではありませんか。
 除雪車両は、JR富山運転センター等に配備している車両を有効活用するとしていますが、除雪は、新たな鉄道運営会社が行うのですか、JRに委託するのですか。また、県境での除雪は、どのような体制にするのですか。
 また、初動除雪に対応した人員の配置をどのように考えていますか。
 ベタ雪では、ロータリー除雪車の役割は重要ですが、配備をどのように考えていますか。
(答)521系車両は、現在、金沢以西で走行している車両ですが、冬季間の走行も問題ないと聞いています。
 除雪は三セク会社が行うことが基本と考えていますが、その実施方法等についてはJRや関係事業者と調整していくこととしています。
 また、県境での除雪については、隣県と協議を進めています。
 除雪人員についても必要な体制が確保されるよう検討しており、ロータリー除雪車など除雪車両の配備についても適切な除雪が行えるよう検討しています

 
質問D 事故など非常時のワンマン運転の対応は?
 10時頃から15時頃はワンマン運転で対応することが検討されています。521系はワンマン運転の設備が標準装備された車両ということですが、例えば踏切事故などがあった場合、運転士が指令との連絡、踏切の確認、乗客への案内や誘導などを一人で行うことになります。
 ワンマン運転時の非常時に対する対応をどのように考えていますか。
(答)ワンマン運転については、先行事例でも導入が進められており、非常時においても適切に対応できるよう検討しています。






 
質問E 大規模災害に対する対応は?
 大規模な災害によって被害を受けた場合、県単位の小規模な鉄道になれば復旧が困難になることが予想されます。
 東日本大震災で大きな被害を受けた三陸鉄道などには、新たな国の補助制度がつくられ復旧への目途が立つようになりました。大規模災害に対する国の制度の充実を求めることも必要ではありませんか。
 
(答)大規模災害の復旧に際しては、国の支援が不可欠と考えており。関係県と連携し、国に対して災害復旧制度の充実について要望しています。





 
 
【4】 より便利で快適で、地域振興にも役立つ並行在来線に関して
質問@ 新型車両(521系)による通勤・通学時間帯の車両数は?
 現行のJRの運行では、朝7時台や夕刻の4時台からの通勤・通学時の車両は6両編成で運行している区間があります。また、共通1次試験などの臨時的な対応もあります。
 通勤・通学時間帯は、JRの現行車両数は維持されるのですか。通勤・通学時間帯などの車両編成は、どのように考えていますか。
 ダイヤの遅れや事故、臨時の運行などを考えると予備車が必要ですが、新型車両22編成には予備車を含めていますか、含めていないのですか。
 現在JRが運行している車両の譲渡はまったく考えていないのですか、考えているのですか。
(答)通勤・通学時間帯の車両数や編成数については、計画概要の基本的な考え方を踏まえ検討を進めることとしています。
 また、編成車両数は予備車両も含め検討しているほか、JRとは現在運行している車両も含め協議しています。







 
質問A 「地元密着のダイヤ」とは、現行のJRダイヤを上回るのか?
 線路容量を考慮すれば、利用者の要望によって列車本数を増発することができます。「現在の利便性の確保を基本」とし、「より地元密着のダイヤ」にするとは、現行の運行ダイヤを維持し、利用者のニーズを掘り起こし、現行を上回る運行ダイヤをつくることを基本にしているのですか。また、区間によっては、現行より下回ることも考えているのですか。
(答)「より地元密着のダイヤに見直す」とは、通勤一通学等の利用が多く、朝夕に混雑している時間帯については、現在の利便性の確保を基本とし、これまでよりも利用しやすいダイヤとなるよう検討を進める趣旨ですが、具体的なダイヤについては、こうした考え方を基本に検討を進めることとしています。


 
質問B 現行JR運賃水準を維持する具体策を示すべきでは?
 JR運賃を維持することが県民・利用者の願いです。運賃水準は、「会社経営の健全性が図られるようバランスを考慮して検討」するとは何を意味しているのですか。
 通学・通勤定期の割引、身障者割引などを検討するとしていますが、値上げをした運賃を基準にして割引率を検討するのですか。現行のJR運賃を維持することを前提に検討するのですか。
 隣県をまたぐ乗車の場合、乗り継ぎ割引などを検討するのですか。
 昼間時間帯の病院通いや高齢者割引など福祉目的の運賃制度などは検討しないのですか。
(答)運賃水準について「会社経営の健全性が図られるようバランスを考慮する」とは、運賃水準の設定にあたっては、利用者の負担が過度に増加しないよう配慮しつつ、持続可能な会社経営についても考慮しながら検討する趣旨です。
 また、割引運賃については、その種類や割引方法などについてJRや先行事例の状況等
方向で協議を進めることとしています。
 通院割引など福祉目的の運賃制度などについては、先行事例なども参考に対応について検討していきます。


 
質問C 多様な旅客の流動を想定した調査の工夫は?
 来年度に再度、旅客流動調査を行うとのことですが、新しい鉄道運営会社の運営に役立つようにするには、県内区間の旅客流動の現状(利用者数、利用区間、利用時間帯、利用券種など)にとどまらない調査が必要ではありませんか。
 北陸新幹線開業後は、北陸新幹線糸魚川で降りて県東部の駅へ向かう、魚津から富山駅にきて新幹線に乗車するなど乗客の移動の流れは変化することが予想されます。また、日中の時間帯も、高齢者割引など福祉目的などの企画切符などをつくれば乗客も増加することでしょう。現行の乗客の流れが、そのまま移行することにはならいといえます。
 そこで、新しい鉄道運営会社発足後の利用者のニーズを把握することを含めた調査が求められているのではありませんか。
 まず、JRの線区別輸送成績の開示を求めるべきではありませんか。
 旅客流動調査には、繁忙期も含まれていますか。
 定期外利用者が、10年後に約35%減とした根拠はどこにありますか。
 沿線駅勢力圏の人口減少も予想されていますが、駅を中心とした新たなまちづくりを関係自治体とすすめ定期の乗客を増やすことにつながる調査も必要ではありませんか。
 
(答)来年度実施する旅客流動調査では、北陸本線の利用実態を把握するとともに、将来の需要予測も行うこととしています。流動調査の実施時期や需要予測方法等については、前回調査などを踏まえ検討中です。
 なお、調査にあたっては、JR各駅の乗車人員についても参考にしていくこととしています。
 計画概要の将来需要予測は、北陸本線の利用実績や国の人口推計等に基づき沿線駅勢圏人口等を算出し試算しています。なお、データは。昨年11月の素案では、平成18年度調査結果に基づき記載していますが、1月の並行在来線対策協議会資料においては、最新の利用動向を踏まえるため、平成22年度の利用実績や平成20年の国の将来推計人口を踏まえたものに見直しました。
 また、駅を中心としたまちづくりによる効果等については、今年度実施している新駅設置可能性調査などが参考になるものと考えています。









 
質問D 富山−直江津間の列車は、なぜ運行しないのか?
 普通列車の富山駅−直江津間は、現行でも一日12本運行しています。特急「北越」がなくなれば、新潟への不便性は増すばかりです。521系電車はデット・ゾーンをクリアできます。日本海側沿岸を走る観光列車として集客に貢献するという位置づけをもたせた発想があってもよいのではありませんか。なぜ、富山−直江津間に列車を運行しないのですか。
 それとも、新潟県が直江津までの乗り入れを拒んでいるのですか。
(答)県境を越える運行については、隣県と相互に乗り入れする方向で協議を進めていますが、乗り入れ区間については、利用実態等を踏まえ、新潟県境においては本県会社は糸魚川駅までを考えています。






 
質問E JRは、なぜ特急を乗り入れないのか。特急がなくなればまちづくりや観光に打撃では?
 「特急が金沢止まりになれば中京や関西方面から富山に人がこないのでは」という声を聞きます。大阪まで新幹線が開業しないもとで、JR特急の県内への乗り入れが廃止になれば特急が停車しない駅が一気に増えます。不便さが増すだけでなく、逆に、まちづくりや観光、移動人口の増大にも打撃になるのではありませんか。
 JRは、特急の乗り入れが出来ない理由をどのように述べているのですか。
 「新幹線で代替えされない時間帯に運行する特急列車」をJR西日本に要請するとは、いつの時間帯を指すのですか。
 
(答)特急列車に関しては、JRは、金沢以東では「新幹線を有効活用していただくことが基本で、特急列車の運行は考えていない。金沢駅での乗り継ぎを含め、できるだけ不便にならないように検討したい。」(H23.7県議会新幹線・総合交通対策特別
委員会での参考人意見)としています。
 また、「新幹線に代替されない時間帯」については、新幹線の運行は先行事例では朝6時から夜12時までとされていることから、それ以外の時間帯を想定しています。