2014年6月7日、富山市で開催した9回目となるシンポジウムの記録。
北陸新幹線の開業で 北陸本線は どうなる どうする Part 9
並行在来線と地域交通の未来を語る
土居靖範 立命館大学名誉教授
あいの風は、今・・・
朝倉隆文 あいの風とやま鉄道代表取締役専務
司 会 岡本勝規(公共交通をよくする富山の会世話人)
世話人兼事務局の岡本勝規と申します。本日はよろしくお願いいたします。まず、冒頭に、私どもの代表世話人である奥村先生から、ご挨拶をさせていただきます。奥村先生、よろしくお願いします。
奥村義雄(公共交通をよくする富山の会代表世話人)
今日はどうも、みなさん、ご苦労様です。いま、司会の方から一言ありましたが、北陸新幹線の開業で、「北陸本線はどうなる どうする」と題して、シンポジウムを開催しますのは、第9回目を迎えることになりました。「公共交通をよくする富山の会」が発足しましたのは、2001年の秋、確か11月だったと思います。これは,北陸新幹線の上越~富山間の新規着工が行われたその年ですから、それから13年が経っているわけですが、このシンポジウムはおかげさまで第9回になりました。おそらく来年は、北陸新幹線が開業して、「あいの風とやま鉄道」も開業して、いろんな問題が明らかになってくるであろうというときに、第10回目の同じテーマのシンポジウムを、これは私個人の考えですが、持つことになるのではないかと思います。
昨年の12月、交通政策基本法が出来ました。公布・施行されたわけですね。そして、その交通政策基本法をうけて、交通政策基本計画が今年の11月ごろを目処に、策定というか、閣議決定される予定になっています。その段階で、ほぼ全国レベルの公共交通をめぐる問題の骨子が、あるいは枠組みと言いますか、これがはっきりして来ると思います。ところが富山の場合、どうも新幹線の方に多くの人の関心が向いていて、どちらかといえば、新幹線が通れば、富山はよくなると、漠然とそういう印象、イメージを持っておられるのではないかと思います。その陰に隠れてというわけではありませんが、肝心の北陸本線がどうなるのか、「あいの風とやま鉄道」はどういう鉄道になるのかということについては、あまり関心が持たれていないのではないかと危惧しております。
実は、私、つい先ほど、11時56分に富山に着くサンダーバードで京都から帰って来たばかりですが、これはサンダーバードが廃止になるわけですね、そうしますと、金沢でいったん乗り換えて、そして富山に帰って来るということになって、大変不便になります。
いま、交通政策基本法や交通政策基本計画によって、全国レベルの交通機関の在り方の骨子・枠組みが作られていくだろうと言ったわけですが、全国的に見ますと、富山というのはやっぱり「金沢と」と言いますか、「石川県と」と言いますか、いわば一つのブロック、地域を形成してはじめて、全国レベルで認知されるのではないかと思います。
権力とか資本が東京に一極集中しているということもあって、もともと中央志向と言いますか、権力志向と言いますか、そういう富山(県民)の特性も手伝っているのでしょうけれども、どうも東京あるいは関東方面には目が行っているけれども、西の方、京都、大阪の方には、あまり目が行っていないのではないかと思います。
ところで、北陸新幹線が開業し、北陸本線がなくなって、「あいの風とやま鉄道」が開業ということになった時に、現在の北陸本線とその沿線の市町村、あるいは周辺の市町村のあり方、あり方といいますのは、交通機関の利用者、そこに住んでいる人々、そこに生活している人々、その地域の社会的、経済的な条件などが、果たして現状のままで、あるいは少なくとも現状を維持して、さらにその地域を良くしていく、住みよい地域にしていくという方向になって行くのだろうか、あるいはなって行くように出来るのだろうか、もちろん可能なかぎりそれらの課題を探って、そのための方策を模索していく必要があるわけですが、そういった疑問があります。
今日は、お二人、土居先生と朝倉専務にお話を願って、これからの鉄道の在り方、あるいは地域の、なんと言いますか、流行りの言葉で言いますと、地域の活性化等について、いろいろ参考になるお話を聞かせていただければありがたいと思います。
最後に若干の質疑の時間もありますので、質問や意見あるいは感想などを出していただきたいと思います。よろしくお願いします。
司 会 岡本勝規
ありがとうございました。それでは、引き続きまして、本日、講師を務めていただきます、土居靖範先生に「並行在来線と地域交通の未来戦略を語る」と題しまして、講演していただきます。
土居靖範先生は3月末まで立命館大学の特任教授を務めておられます。経営学部で交通論を担当されておられました。私事ですが、私も立命の出身で、私のサークル鉄道研究会の顧問を務めておられた先生でもございます。先生は、交通論の世界では、大変な権威でいらっしゃいまして、さまざまな著作も持っておられます。とりわけ、従前は交通権学会の会長も務められ、また、在来線問題、それから地域交通の問題、さらには交通基本法の制定に関してもかかわっておられます。今日は、そのような見地から、さまざまなお話を伺えるものと思います。それでは、土居先生、よろしくお願いいたします。
土居靖範(立命館大学名誉教授)
ただいまご紹介をいただきました、土居です。肩書は、3月末までは特任教授で勤めていたのですが、今は完全に退職しています。まったくのフリーになっています。
テーマは、「並行在来線と地域交通の未来戦略を語る」ということで、来年北陸新幹線が開業するということで、華々しいスポットライトがあたっています。これを機会に観光開発とか、産業のいろいろ新しい発展ができるんではないかとか、東京に非常に行きやすくなるとかいわれています。
その裏側と言ったらおかしいですけが、これまで日本海側の基幹的な交通機関であった、北陸本線が、まったくJRの経営から切り離されてしまう。先行事例をあとで紹介しますが、新幹線の並行在来線で、第3セクターになった会社はかなり問題があるんですね。
国鉄分割民営化の時に、赤字ローカル線が、国鉄の赤字の元凶といわれました。それは3つあると言われました。1つは職員が42万人というのは非常に多いと。人手がものすごく人件費をくってると。それから、貨物輸送、トラック時代の中で国鉄貨物を全国すみずみに運んでいた。貨物が元凶ではないかと。3番目は、赤字ローカル線だということでした。国鉄分割民営化に際しドラスティックな改革が強行されました。
1つは42万人という職員を6つの会社に分割し削られました。ものすごく人件費を減らしました。それから貨物も全国津々浦々にやっていた線路だけ旅客会社から借り、夜しか走らず、貨物駅を多数切り捨てました。それから、赤字ローカル線の83路線は、JR会社は運行しない、地元でなんとかせいということになりました。鉄道で残ったところは、地域の自治体がなんとかやろうとして残ったのが、第3セクターです。圧倒的多数がバスになってしまいました。バスになっても廃止になったところがほとんどです。こういった事態がこれまで国鉄「分割民営化」にともなって出てきた事態です。
今回、北陸新幹線ができ並行在来線の北陸本線をJRが経営しないということになりました。これにより、どういった事態が起こるか。ローカル線と違います。この北陸本線は。ものすごく重要な幹線で、日本海側の動脈の役割を果たしています。特急列車も多数走ってます。
もう一つは貨物の点です。3.11の東日本大震災の時に、いろんな物流のルートが寸断されました。これまで高速道路で運んでいた石油も、道路が断絶しました。地域では、食料も手に入らなくなりました。そこでどうしたかというと、この日本海側の鉄道を使って石油や食料を運び、ものすごく役に立ったわけです。この貨物も今回並行在来線として切り離してうまく通せるか問題があります。極めて大きな問題です。来年の春の新幹線の開通とともに出てきます。新幹線が開通するとともに、これまで幹線鉄道が、石川県、富山県、新潟県に分断されて経営をせざるを得ないという新しい事態になっています。
どういった形でこのような問題をクリアできるか、改革する手だてがあるか。具体的には先ほどご紹介のありました、「交通政策基本法」を1つの手がかりに法律をつくって、新しい形を追求せざるを得ない。単に要求だけでは獲得できないと思います。交通政策基本法を1つの手がかりにして、富山県は努力をしていただきたいと願っています。
それでは、お手元の資料1ページから具体的にお話したいと思います。テーマは「並行在来線と地域交通の未来戦略を語る」で、とりわけ、この北陸本線の基幹的なルートを持っている富山県に焦点をあて、富山県の並行在来線の問題点と改善方向をお話したいと思います。来年の春、北陸新幹線が東京〜長野から延伸し、金沢まで開業すると同時に、JR東日本から信越本線の長野以北、JR西日本から北陸本線が経営分離され、第3セクターとして経営されることになります。すでにこれに対してJRから分離された線路を経営する会社が4社できています。長野県ではすでに運行しています「しなの鉄道株式会社」、1995年生まれです。新潟県は「えちごトキめき鉄道株式会社」、富山県は「あいの風富山鉄道株式会社」、石川県は「IRいしかわ鉄道株式会社」です。第3セクターは公私混合企業といわれますが、会社の形態は株式会社です。
各県ごとに、それそれ4つの第3セクターの会社が作られ並行在来線を経営することが決まっています。先行の第3セクター鉄道の経営状況に関して触れておきます。1ページの下から4行目が整備新幹線の5つのルートです。北から北海道、整備新幹線ですね。北海道、東北、北陸、九州・鹿児島ルート、九州・長崎ルートの5つを並行在来線として国が指定したわけです。北海道、九州の長崎ルート、北陸新幹線の金沢以西が建設中となっています。
次の2ページにいきます。新幹線の建設には非常に膨大な資金がかかります。国として建設は国の運輸機構の事業をつかってやるのですが、建設費の3分の1は新幹線が開通する沿線自治体に持ってほしいといしてきたわけです。膨大な建設費用がかかります。だから、地元の担当自治体が、この新幹線の建設費3分の1を出しています。地方債という借金で負担するところが多く、あとの残り3分の2は国が出しています。そして、JR本体自体はできた線路を借りるという形です。インフラと運行とを分けるシステムが、今現在の整備新幹線のやり方です。
JRになってから、露骨に採算重視ということになってきました。国民のものとは違うということですね、JRは民営化されたんだから、やはり採算をとらないとだめだということで露骨に経営採算重視という形になっています。並行在来線も一体でやると、そこはもうからない。分離したいということで、JRが分割民営化以降、赤裸々に、分離を出してきたのです。1990年の政治決着により、採算の望めない並行在来線をJRから経営分離するが決まりました。どこで決まったかというと、1990年12月に自民党政府と自民党の申し合わせという形で決まったのです。ここの論点は、こういった非常に重大なこと、整備新幹線をつくるときは、並行在来線を分離をするということをJRから要求を突き付けられた当時の自民党と、その内閣がのんで、申し合わせたわけです。ですから、論点は、これは法律で決まったことではなくて、たんにその時の政権党の内閣と党が申し合わせてやったという点ですね。大きな論点です。
7ページに年表があります。表1というのがあります。整備新幹線、並行在来線関連の略年表です。一番最初は、東海道新幹線の1964年10月から開業で、これ東京オリンピックが開催された年です。下の方に下りた1990年12月に書いてあります。1990年の12月に並行在来線の分離を決定する。政府と与党の申し合わせです。整備新幹線の着工等についての政府・与党の申し合わせで、建設着工する区間の並行在来線は、開業時にJRの経営から分離することを、その工事の3日前までに承認することが決められたわけです。承認を地元自治体がしないと工事が始まらないということです。
その後に、ちょっとした変更がされています。1996年12月25日に、整備新幹線の取り扱いについて、政府・与党合意において、若干の修正が行われました。修正は「JRの同意を得て」となったたわけです。沿線の自治体、公共団体に加えてJRの同意を得てということを意味するのJRは全部並行在来線を切られたら、儲かっているところがあるのに、それも切り捨てざるを得ない、分離せざるを得なくなって、困ったわけですね。JRは儲かるところは切り離さず押さえたいということなんですね。JRの同意、別にJRがそこを残してほしいということになったら、並行分離しなくてもいいということが論点なんです。後で具体的に例をあげます。
次に見てもらいたいのは、8ページの表でタイトルは並行在来線一覧です。その下の方に、路線を図であらわしたのが図2です。左から北陸ルート、真ん中が東北ルート、それから鹿児島ルート、というふうに5つの路線があります。そこに分離された路線と会社が書かれています。鹿児島ルートは博多から、本来は、鹿児島までなんです。これまで山陽新幹線の終着駅博多駅から鹿児島の方に、西鹿児島まで伸びてます。本来でしたら、博多からずっと南の方に下りてきた、西鹿児島までが並行在来線なんです。基本的にですね。 肥薩おれんじ鉄道として八代から川内の116・9キロだけが分離されているわけです。川内から西鹿児島までは分離されてなくて、JR九州が経営していることになります。これが1つの例です。
儲かるところとで、手書きでJRの存続と書いてあります。この表の2のAの長野新幹線では篠ノ井〜長野間、9.3キロが、JRの存続ルートなんですね。ほかにもありますが、そこはJRとしては残す。このように並行在来線であっても、機械的に全て分離するのではなくて、残すところは残すのが現状です。この新しい申し合わせでJRとしては“おいしいところは残しておく”ことになりました。
もう一つ見ていただきたいのは、鉄道で残らなかったところもあるのです。長野新幹線の軽井沢〜横川間は鉄道では残らなかったのです。バスに変わって、JRバス関東がやっていて非常に不便になっています。これまで高崎からずっと鉄道で行けたところが中断し軽井沢−横川間はバスになる。それ以降は、第3セクターしなの鉄道になる。運賃が乗り換えごとにかかり、乗り換えごとに不便になる。こういった分離と鉄道廃止の問題が、並行在来線問題には出てきているということを確認していただきたいと思います。北陸ルートでも線の分離問題が焦点になります。
それで、もう一度またレジュメの方に戻ります。既存の4つの第3セクター会社を分析しました。「肥薩おれんじ鉄道」二つ目は「青い森鉄道」です。「青い森鉄道」社名の次に青森県と書いてあります。これは、第3セクター会社の青い森鉄道は、運行だけをやる会社で、線路とか駅舎とか、土地の部分は青森県が持っている「上下分離」といいます。 3つ目の「IGRいわて銀河鉄道」、岩手県は出てきませんね。これは線路部分を含めて一体でやっています。4つ目の「しなの鉄道」に関してもそうです。軽井沢−長野間の線路部門、列車部門、特急部門をすべてを所有して、運行もやっています。青い森鉄道は、運行だけに責任を持ち線路とか駅舎は青森県が所有してるわけです。これは北陸本線を引き受ける第3セクターの経営問題と絡みます。上下分離にするか、一体にするかの論点です。
既存の並行在来線のこれら4つの会社の経営を分析しました。非常に深刻な状況です。どんな状況が起こっているかですが、1つはJR時代の運賃が、会社によって違いますけど、大幅に値上がりしています。運賃は、JR時代を1とすると、青い森鉄道では1.37倍。IGRいわて銀河鉄道は1.58倍、しなの鉄道の場合は1.23倍、肥薩おれんじ鉄道は1.28倍です。それは、お客がすごく少なくなる。これまで特急に乗っていた人は乗らなくなる。採算をとるには運賃を上げざるを得ない、ということですね。
それから、職員の削減が行われています。とりわけ安全面の人員です。収入は非常に悪くなります。見通しが暗いわけですから、ギリギリの合理化をしていると思います。とりわけ目に見えない安全面が大変になります。また、サービス水準も低下しています。これまでの利用者からみると乗りづらい事態になります。
こういった第3セクター会社は、赤字で推移しています。ようやく平成23年になって、経常収支だけですが黒字になってきました。青い森鉄道が800万円。いわて銀河鉄道が、3.1億円。しなの鉄道が1億円の黒字となっています。肥薩おれんじ鉄道は、開業して以来赤字が続いています。平成23年度は2.3億円の赤字です。経営収支上はものすごく厳しい状態で推移しているわけです。果たして今回の北陸本線の第3セクターは、どんな形になるのか。運賃を大幅に上げるか、人手、とりわけ目に見えない安全面の人手は確保できているかですね。大きな課題が出ています。やはり安定して継続して経営しうる構造にすることが望まれます。そういう意味では、青い森鉄道が、経営収支では800万円ですが、経常収支が黒字になった点は、インフラ部分を青森県がちゃんと責任を持って、経営ができている事例だと思います。
後ほど北陸本線の上下一体方式が、どういう形でクリアできるか、分離できるか提案したいと思います。これまでの先行事例を見た場合、地域の違いにより、需要の違いが極端にでます。青森や肥薩の方は少ないです。肥薩おれんじ鉄道自体は、鹿児島県と熊本県が共同設立、上下一体で経営しています。1日の輸送人数が900人と極端に少ないのです。しなの鉄道の場合は、1日7200人と多いです。岩手の場合は3200人、青い森鉄道が1900人で推移しています。地域によって利用者数が、かなり少ないところと、安定したところがあります。経営的には、どれだけの人に乗ってもらえるか、いかに輸送密度を上げていけるか北陸本線の今後のポイントです。利便性を上げることが提起されますが、やたら本数を増やしたらいいかというと、どうでしょうか。利便性を上げるために、10分おきにするとかはどうでしようか。大都会では10分、15分おきで、どんどんお客を運んでます。ここでは、そういう風にね、サービスレベルをあげて、15分おきにしても、そう簡単にはお客は乗らないでしょう。どんな形が、利用者を惹きつけるかどうか。利用者に打って出るような施策ができるかどうかが問われます。後ほど、この富山の第三セクター会社のICカードを利用したシステムが提起されます。利用者にとって、ものすごく便利になるんじゃないかと思います。
現行の北陸本線を引き受ける各社を見たら、かなり悲観的です。インフラ部分を持つことによる大きな支出が問題になりきます。在来線の再生の手だてということで、3ページに案を提案しています。地元密着型で新駅をつくるというのはどうでしょうか。むやみやたらと駅をつくるんではなくて必要な、需要が喚起できるところに新駅をつくる。新駅をつくって利便性を高める。それから運賃ですがJR時代と同じようにするか、若干の値上げで納められるかもポイントです。値下げがベストと考えますが、よっぽどウルトラCが出ないとで、値下げまでいくかどうか。運賃は核心です。
人々が鉄道を利用するか、マイカーを利用するかというときに、運賃がポイント、大きく絡むのです。マイカーを利用する人は一般的にマイカーの購入費用とか、保険費用は考えていません。ガソリン代、1キロあたりいくらで行けるか、それと運賃を比較するだけです。トータルで比較したら、マイカーの方が非常に負担が高いのですが、単にJR運賃や公共交通の運賃と、マイカーのガソリン代だけを比較して選択しています。運賃は大きな問題です。運賃値上げをせずに済むか、大きな論点だと思います。
それと、ICカードを利用しても、乗り継ぎごとに運賃を払うというのは、非常に問題なわけです。公共交通の利用の壁になっています。長いこと待つのも壁です。運賃抵抗といわれますが、乗り換えごとに初乗り運賃がかかる点は問題です。
現在、富山県内JR線以外に、地鉄や富山ライトレールなど鉄軌道があります。これまで競争関係にあって運賃体系も違うし、ダイヤも全部違いますが、これらを地域公共交通とし一体化し便利にしていく。こういった方向をめざすことが重要と考えます。それぞれの交通機関が競争だけし、お客のことを考えないというのが大きな問題です。新しい第3セクター鉄道が中心となって沿線の地鉄、バス、ライトレールが一体として連携・連帯を高めるべきではないかと考ます。
それから、各県ごとに第三セクター会社も問題です。新潟県ではえちごトキめき鉄道、富山県ではあいの風富山鉄道、石川県ではIRいしかわ鉄道とそれぞれ県ごとに、別々の第3セクター鉄道会社ができています。先ほどの乗り継ぎ運賃と同じで、県をまたがると会社が違い運賃が初乗りになってしまう。富山から金沢に行くとき直通運賃ではなくて、高くなります。こうしたことはJR時代にはなかったわけで。どうしたら一体的な運賃にすることができるのか問われます。ダイヤの問題もあります。ダイヤも統一して駅に着いたらすぐにバスが2、3分後には来てるとかですね、こういった工夫もやっていかないと、地域交通の再生は難しいのではないかと思います。
やはり、一体化して経営する。鉄道貨物も、現在はつながっていて、青森や北海道に行くのもスムーズですから、県ごと分かれたら、すごい問題になるわけです。旅客の場合は、面倒くさいけど足があるから乗り換えとかあっても、やってくれるかもしれません。貨物の場合、各県ごとに、鉄道を、線路を区切ってしまうと、輸送のネットワーク、連携したネットワークが問われます。いま物流で大きな役割を果たすトラックで問題が大きく出ています。人手不足や環境問題です。やはり鉄道貨物のほうが人手がいらず、環境にもやさしいです。分断したやり方では鉄道貨物が安定的に運べないと考えます。
JR西日本と東日本は分離し、今は“赤の他人”的な感じですね。協力的な関係を構築していく、社会的な責任が問われます。並行在来線の分離は、本体のJR西日本や東日本が赤字になる恐れから、やったわけです。しかし、どうですかね。JR西日本や東日本はものすごい儲かっています。膨大な利益をあげています。その分離の根拠の新幹線と並行した在来線を経営したら赤字なるからと切り離しました。本体は、ものすごい黒字になってるんです。本体も赤字だったら仕方がないなあということになるかもしれません。これは社会的な責任問題です。JR西日本、東日本の社会的責任、ひいては、国の責任です。国鉄分割民営化で6つの旅客会社ができました。本州では、東日本、東海、西日本、3島の四国、九州、北海道です。本州3社は、完全に収支がとれて、株も上場してるわけです。ものすごく儲かっている会社です。なぜ儲かってるかというと、3社は国鉄時代の資産をすべて無償でもらっているからです。国民の税金で整備してきた線や財産を全部無償でもらったわけです。新幹線は、もうドル箱です。この新幹線もすごく安く手に入れています。黒字で推移しているのに並行在来線を運営するのは、赤字になるから、いやだと言ってるわけです。ずっと突き放してきているわけです。自分には責任はないとかいってね。
国も入れて法律的な枠組みをつくるべきです。単なる取決め、申し合わせではまずいです。水面下の内閣と与党の話し合いでは非常にまずい。これだけの大きな影響を与える問題です。地域住民に対してどんな影響があるか、もう一度整理しますと、運賃が1.2倍から1.5倍に上がってるわけです。それから安全面でものすごい不安がでてきています。サービス水準も落ちています。そうゆうことを国が見逃していること自体が非常に問題だと思います。ですから、やっぱりこれまでの取り決めを変更すべきと考えます。交通政策基本法の枠組みの中で決定すべきときが来たのです。
現行の上下一体の枠組みは大きな問題があると考えております。ですから、「上下分離」し、第3セクターとして運行だけに責任を持って存続してもらう。安全面も含めて非常に高いレベルのサービスで運行してもらう。富山県域の県民の交通権を保障していく。これが非常に大事だと思います。「下」の部分をどうするかです。下の部分は青森県と同じように富山県にその線路部分から全部を持ってもらう。あるいは国の方に新幹線と同じような機構を設けてもらう、「上」の部分は4県が統一した会社がベストですね。
従来までの上下一体の第3セクターでは限界が見えている。目安は、交通政策基本法が施行されたことにあります。国は当然、交通基本計画を立てますが、それに基づき各自治体も交通基本計画、5か年計画を立てて、目標を決めて実行していく。こういったこと提起されています。交通政策基本法、各地方自治体に交通基本計画を立て実行するよう提起しています。
ただ交通政策基本法は、かなり問題のある法律です。去年の年末12月の4日に公布されて、即日施行されています。これは交通分野で国の政策に関する基本方針を初めて法的に示すものです。教育基本法、環境基本法、スポーツ基本法とか様々な分野で基本法が制定されています。国の、日本国憲法実際を各論で実行していくために、さまざまな目標を具体的に決めている法律です。交通分野で初めての交通政策基本法ができました。ただ、交通安全対策基本法がすでに、昭和45年・1970年にできています。ですから交通関係の初めての法律ではないのですが、交通安全対策基本法といっしょに使いながら、交通政策を打ち立てていこうと自民党政権が、閣議決定で出した法律です。
非常に短時間で通っています。去年の11月1日に閣議決定し、衆議院で11月15日賛成多数で可決されています。11月21日には参議院で賛成多数で可決されて、12月4日に公布という具合です。交通政策基本法の公布から1週間後の11日に国土強靭化基本法が成立しました。強靭というのは強くする意味です。ものすごくあわただしく国土強靭化基本法も通っています。2つの基本法が同時に通って交通政策基本法も、かなり色濃く、国土強靭化のためにということを打ち出しています。
目標は、4つあります。資料の15ページです。表ですね、国土交通省のホームページに載ってます。第1条は目的です。第3条「交通機能の確保、向上をめざす」とあり、具体的に「豊かな国民生活の実現」「国際競争力の強化」「地域の活力の向上」「大規模災害への対応」の4点があがっています。非常に総花的で、国土強靭化とか大規模災害とか、国際競争力とを入れている。大規模な港や空港、韓国とか中国に負けないようなハブ空港とか港湾をつくる。それから高速道路も含めてです。国民の足を守るのでなく、インフラ整備の方に使われそうなのが特色です。サイドに、交通政策基本計画の閣議決定を実行と書いています。第15条です。具体的にこの交通政策を決めるのに、国がまず、この理念を体現する基本的な施策をつくのです。 ただこの法律を高く評価している人もいます。例えば、具体的にどこを評価してるかといいますと、24条2、25条です。24条に総合的な交通体制とあり、徒歩、自転車、自動車、鉄道、航空機等の交通手段の役割と連携強化とか書いてます。ここに、自転車なんかも入ったということで評価している人がいます。これまでの交通政策では徒歩や自転車なんか入ってなくて整備していく点が入っただけで評価してる人はいます。これが実際やられるかどうかは全然わかりません。具体的なことが、この交通政策基本計画に入らないとだめです。これを受けて、各県ごとに、本計画を策定して現実化するわけです。方向だけ決めるものなんです。基本法は。具体的には、この精神を受けて新たに作っていく形でしか実現しないんです。いまようやくスタートが始まったばかりで、いかにこれに魂を入れるかが課題です。
そういう意味で、片一方で、ハードな面で空港とか港湾とか高速道路をつくろうとしており、他方で公共交通のバスを非常に便利にしたり、鉄道をもっと使いやすくしようとせめぎあいがあるわけです。ですから、今後の交通政策基本計画を点検していくということは非常に大事なことになってきます。交通基本計画を作るときにはいろいろな審議会ができます。具体的に、富山県にいかに意見を反映させうるかどうか。これを使って、北陸本線の在来平行線の経営を安定させるべきではないかが問われます。
いかに国やJRに社会的な責任を持たせるかどうか、ぜひ、討議していければと考えています。石川県や新潟県と連携して新たな第3セクター鉄道会社をつくるべきでしょう。
まずは、富山県の地域交通全体をいかに便利にしていくか。個別のバス事業者や鉄道事業者は、みんな競争関係にあり足の引っ張り合いをしています。ヨーロッパによい見本があります。「運輸連合」という組織です。例えばドイツのハンブルクには、ハンブルク運輸連合というものがあって、鉄道事業者やバス事業者がそこに加盟し、それに行政の州政府や自治体が入ります。組合みたいなものですね。日本的に言うと、ごみ処理事務組合のイメージですね。広域的にごみ処理のために、各地方自治体が集まってつくる事業体です。消防とかにもありますね。それと同じようなものです、公共交通全体の事業者と沿線の全自治体が入る事務室を持ってます。何をやってるかというと、定期的に会議をし、いかに便利なダイヤをつくっていくかです。運輸連合のあるところでは、乗り換えごとに、いちいち運賃を追加して払うことはありません。その地域を区分けし、第1ゾーンとか、広いところは第2・第3ゾーンとか3つぐらいに、地域的な区分をしています。
第1ゾーンの場合、初めに例えば150円を払ったら2時間の間に他の交通機関にいくら乗り換えてもいちいちお金を払わなくてもいい。初乗り料金だけで、その2時間は乗り放題になるのが基本です。そして、ダイヤを便利にしています。遠距離の場合、運賃はちょっと高くなって200円とか、もっと遠いところは300円とか運賃ゾーンはありますけどね、非常に便利なんですね。それから、電車に乗るとき切符をいちいち見せなくていいんです。ただ、バスに乗るときには見せます。最初に乗るときにチケットや回数券に、打刻といいますが、時間を刻印します。乗った時間が打ち出されます。例えば10時に乗った。それで、2時間以内は乗り放題できるということです。たまに打刻していない人がいます。やろうと思えば“ただ乗り”もできるわけです。ときどき5回に1回か、10回に1回くらいLRTなんかに乗ってたら、3人くらいの人が車内に入ってきます。制服を着てね。切符は持っていますかとか言って点検をします。その時に打刻をしてなかったり、切符を持ってなかったら、かなりの罰金を取られます。検札ですね。すべての利用者は、切符をちゃんと持って、ちゃんと打刻をしているのが基本なんですね。
ヨーロッパでは公共交通は、乗りやすいシステムをとっています。これを、ぜひこの富山でも実現していただきたいのです。富山は公共交通の先進地域です。1つは富山ライトレールですね。8年前の2006年の4月20日から新型の路面電車が運行されています。それまで58年間、わが国ではまったく路面電車の新しい登場はなかったんです。58年ぶりに、このライトレールが我が国に登場したわけです。それも新型の、人と環境にやさく、非常にサービスレベルが高いものとしてですね。これが登場してもう、8年たちますね。京都で、大阪の堺市で、宇都宮市とかいろんなところがLRTを導入したと言ってたわけですがまだ実現していません。
それから富山県の万葉線も評価されます。民間の地鉄がギブアップしたのを地元が第3セクターとしてものすごく努力されて残ってます。ここは第4セクターと言っています。普通の第3セクターの公共と民間以外に、市民も資金を出して非常に画期的なものができてるわけです。新型の電車を入れて、運賃も安くしてます同じ北陸の福井の越前鉄道も地元住民が支援をして、大きく変わりました。民間の鉄道会社が経営を放棄して廃止になるところを自治体と住民が協力して建て直したといえます。他の自治体だったら、すべて廃止になったかもしれません。まさに、奇跡的な形かもしれませんが、3つとも、新しい形で打って出ていったわけです。
こういった北陸方面の公共交通の整備の先進性といいますか、「運輸連合」をつくれるのではないかと考えています。他の地域では、なかなか運輸連合は考えられないんですが、富山県で、新しい第3セクター会社が先頭に立っていただいて設立して下さい。これまでの壁を打ち破る方策として、ぜひ、運輸連合を検討してください。そのために、ヨーロッパとかの都市の事例を調査して、どうしたら実現できるかを検討していただきたいと思います。
交通政策基本法を具体的に運用する上にあたって、日本で運輸連合がこの富山県で実現すれば、非常に画期的なことになると思います。期待するところは大きいわけです。運輸連合方式ではありませんが、長野県の飯田市を中心とした南信州広域連合というのがあります。運賃は統一していませんが、各自治体を結んだいろんな交通システムをつくっています。市町村合併しなくても公共交通を便利にしているわけです。その地域によってシステムも違って、ディマンドタクシーがいい地域もあるでしょう、あるいはコミュニティバスがいいところあるでしょう。それらを長野県の飯田市が中心となって県のバックアップを得ながら連携してやってます。ぜひ、この南信州広域連合なんかも研究していただきたいですね。並行在来線の大きな問題を富山県がモデルとなって成功事例に導いていただきたいと思います。これで話を終わります。どうもありがとうございました。
司 会 岡本勝規
ありがとうございました。土居先生に対する質問等々に関しましては、最後にまとめて承りたいと思います。それではですね、引き続き朝倉先生のご講演ですが、その前に、休憩をとらせていただきます。現在、2時43分で、10分くらいですから、2時55分まで休憩をいたします。
(休 憩)
司 会 岡本勝規
えー、それではすいません。休憩時間、終わりましたので、再開をしたいと思います。それではですね、ご講演を、あいの風とやま鉄道の朝倉隆文専務様からですね、「あいの風とやま鉄道はいま」と題して、ご講演を頂戴したいと思います。
朝倉専務様には、昨年もシンポジウムに来て、ご講演いただきましたが、今年も引き続きお越しくださいました。ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
朝倉隆文 (あいの風とやま鉄道代表取締役専務)
あいの風とやま鉄道の朝倉です。今ほど言われましたように、昨年は、並行在来線の現状についてですね、かなり詳しく説明させていただいたものですから、今日は非常に短い、20分程度でですね、あいの風とやま鉄道のいまについて、お話をしたいと思います。今ほど土井先生からお話がありました通りですね、平成2年当時に、旧国鉄から変わりまして、赤字体質のよちよち歩きだった、JRといったものがあって、政治的な枠組みが作られたと。その後も、古い政治的枠組みが今も生きてて、それで現在の我々の会社に至っているという状況でございます。今年の26年3月期のJR西日本の決算を見られた方おられると思います。本業の運輸業で、910億円の営業利益をあげています。910億円なんてすごい金額です。わが社は10年間に1億円利益あるのかどうかというところでございまして、天と地の差というところでございます。
それで、こういった事実も踏まえましてですね、今のこういった状況をご説明いたしますが、昨年も説明したので、既にご承知の方もおられると思いますが、私どもの会社は過去4つの並行在来線会社から見ますとですね、極めて大規模な移行作業をしております。
例えばですね、社員数、現在6月1日現在で、本社には、役員を含めまして48名います。それからJRに出向しておりまして、1期生、2期生が、合計で100名あまり研修しております。富山駅で先日見かけたんですけど、昨年の1期生が、今年入った2期生を改札口で一生懸命教えています。片一方が実習生のマークを付けて、もう片一方が、なんか偉そうな服を着てやっています。教えている側が高卒の子ですから、まだ19歳です。それで今年入ってきた子が大卒で、22、3歳の子なんで、先輩ってえらいなあと思ってみておりました。
こういったたくさんの社員を抱えますとですね、正直、事務量が非常に増えております。採用の時も、すごい事務量でありましてですね、1期生の時には、10倍以上の倍率の職種もあったものですから、大変な目にあいました。富山大学の大きな会議室を借りて採用試験をやったりしています。
現在、出向中とはいえですね、給与等の支払、それから各種、諸届出とか、社宅、1部の社員がですね、京阪神、一番遠いところは大阪、京都の方に行っています。15人も京阪神に受け入れていただいておりますけども、それ以外にも福井、それから金沢、富山県外もかなり入れています。といいますのは、なかなか富山県内の職場だけでは研修生を受け入れられる規模じゃないということです。101名の社員を育てるというのは、JRさん、金沢支社でさえ大変だという状態の中で、かつ石川、それから新潟県会社の分もJRさんが引き受けていただいてますので、トータルすると百数十人の方を見ていただいているなかで、我々も日夜ですね、非常に苦しみながらと言いますか、悩みながらやっています。
これだけの人数がいますと、病気になる人もいますし、それから勤務中にですね、いろいろと事件が発生することもあります。お客様との関係でですね、お客さんの勘違いでからまれたりとかですね、そういったような問題も発生しています。それから、大雪などによる交通事情の問題で、本来、出社すべき時間に間に合わない社員が出てくるということも、場合によってはあります。そういった場合の処遇・待遇なんかについても、我々のなかでもいろいろと考えながら対応して行っています。それ以外に、健康診断があったりですとかですね、今一生懸命やっていますのは、産業医を置く必要が出てきました。開業までには産業医を置かなくてはいけないということで準備をしております。
こういうこともしつつですね、もう1つ大事なのは、社員の意識を何とかしてキープしていくということで、毎月社員向けの社内誌を作っています。あいの風通信というのをつくりまして、会社のですね、いろんな諸制度がどんどん、新しい会社なものですから、改正、改正できています。最初の頃につくった諸規程なんかも、もう間に合わない状態になってきて、開業まで完成させるつもりではいますが、徐々に変わってきています。それから、研修先で、みんなバラバラで研修しているものですから、お互いがどういう研修をしているかということを、知ってもらうということで、そういう社員の活動ぶりをですね、あちこちから情報を集めまして、みなさんに配って、同じ1期生、2期生がお互いに頑張ってるなということを伝えています。
それから、研修の方ですが、JRの中で、出向中はですね、あちこち転勤になります。2年間ずっと同じ所に居るわけではなくて、ほとんどの社員が1回か2回転勤しています。例えば、車両の研修と言いまして、整備するときは、413系と521系の車両がございますものですから、それをやるには、金沢だけで全部はできないんです。敦賀の方まで行って、研修しています。そうすると、その子たちに行く準備をしてやって、アパートを用意してやって、いろいろなことの諸条件を整えてやると、そういった作業も必要になってきます。
そういうことをやりながら、今まできてるんですけども、最終的には、来年の開業時でございますが、開業してから2年間、暫定指令というものをやることになっておりまして、JRさんの今持っておられる指令の一部を分離しまして、それを富山県会社が石川県の分と新潟県の分、併せまして、指令業務を受けまして、やっていくことになっています。石川さんと越後さんの社員も、いったんは富山県会社に人数がいるということで、基本的には320人ぐらいのベースの会社と考えているんですけど、開業から2、3年は、380人前後になるかなというふうに思っています。他の先行会社のところより大きいと言われていますが、例えばしなのさんですが、しなの鉄道さんは開業時240人ぐらいだったんです。240人と380人というのは、数字的にはそんなに大きくないように見えるかもしれませんが、我々実務をやる立場からしますと、極めてしんどいのが現状です。
その中で、日々やっておりますが、それ以外にも、富山ならではの問題がいくつかあります。富山駅が高架工事をやっております。これの、並行在来線側の部分というのは、わが社が将来的には管理していかなくてはいけないものですから、それに向けた準備、いろんな準備入っています。例えば、今月、ガスとかですね、電気とか水みたいなものの配管がすでに、計画のなかで動き始めています。そういったことについて、一生懸命、うちの将来を考えて、どういう形がいいかということをやっています。
それから新駅、先ほど先生が細かく言われましたが、2駅あります。高岡−西高岡間と、富山では鍋田、この2つのですね、それぞれ動きがありまして、それに対して、会社としての考え方を整理しながら進めているところでございます。
そして、このあとちょっと詳しく説明しますが、共通交通ICカード、これも過去の先行会社にない導入です。ICカードというのは、使う分には便利なんですけど、導入するとなるとですね、機械を各駅につけるに際しまして、ただ入れればいいというものではなくて、ネットワーク化という作業が入ってきます。それから社員教育という問題も出てきます。それでなんやかんやですね、準備をぼちぼちしなきゃいけないところで、あちこち現場を見ながら、社員がまわっています。ソフト面で、非常に、特殊性と言いますと、うちの場合はですね、石川、新潟、長野と、それにJRさんと、関係者がたくさんいるなかで、お互いつながっているものですから、あまり違う取り扱いはできないという問題があります。といいつつですね、JR東さんと西さんというのは、それぞれ別会社としておられて、それぞれのグループがあります。1会社であれば、みんな仲良く同じようにやりましょうというふうになるんですけど、残念ながら、微妙に違います。そういったなかで、我々が間に入って、どこかで妥協点を生み出していくような調整作業をいろんな分野で出てまいります。
それから、先日、県利用促進協議会というところでも発表したんですが、パークアンドライドをどんどん進めてですね、お客さんを増やしたいということもあります。JRさんから今度、譲っていただく土地の中に、そういったところの候補地がないか、そういったところの現地確認をして、候補地探しをしています。それからファンクラブの準備とか、それから、ワンマンカーとか、アテンダントといった課題もですね、利用促進協議会の方で議論されているということもございまして、私どもなりに検討しているところでございます。
それと、事務的にちょっと大きいものがですね、貨物調整金というのがあります。収入がうちの場合、貨物調整金と運賃が大きな収入ですが、貨物調整金がだいたい4割程度入ります。貨物の、通っていただいた時のその通行料みたいなものですね。そういったものがあるんですけれど、過去にもこれに類したものがあったんですが、先行3セクさんがいままで開業された時点には、そういう制度があまり複雑ではなかったんです。簡単に計算できるような制度だったんですけども、どうも平成23年度ぐらいの大幅改正されたときに、非常に細かいシステムになっていましてですね、その積算のためのいろいろな事務手続きが膨大なものになっています。そのために、1人の職員じゃとても対応できるようなボリューム感ではなくて、複数以上の社員でとりくむということで、いまやっています。
そういった、その作業をしつつですね、いま、交通ICカードの話をしたいと思って、お手元にICカードの資料を配らせていただきました。5月29日に、県の利用促進協議会というのがございまして、そちらの方でお配りした資料でございます。今回導入いたしますシステムはですね、JR西日本の交通ICカードシステムICOCAのことでございます。わかりやすくいいますとですね、本来ならうちの会社でカードを開発してつくれば、わかりやすいんですけども、うちでつくるとなりますと、県の試算によりますと、30億円から40億円近くのシステム開発費が要るという計算となりました。一昨年だったと思いますけど、県知事と、JR西日本の真鍋社長さんとの会談の中でですね、JR西日本のシステムを貸してあげようというお話になりましてですね、俗に腹借りと言ってるんですけど、JR西日本が開発いたしましたICOCAシステムのなかに、向こうの持っているセンターサーバーの中にですね、1つのエリアとしまして、うちのあいの風とやま鉄道というのが入っているという状態になります。そこでいろいろな利用データを管理していただいたり、それから運賃の精算業務とか、さまざまな事務を、向こうのシステムのなかでやっていただくということで、JR西日本の多大なるご支援を得てということで、今回は、初期投資、運用経費において、できるだけ少なくするという考え方で、取り組んでいるところでございます。
通常ですね、ICカードを導入する場合には、そちらの、お渡ししたパンフに書いてありますが、改札機とかですね、チャージ機とか、窓口処理機とか印刷発行機とかいったものを、すべて独自に開発する必要があるんですけど、今回は、JR西日本さんの方からは、印刷発行機以外のものについては、すべて現在持っている機械を貸してあげるといいますか、それをカスタマイズして、使ってもらっていいよということで、開発費が非常に安くなっております。
今回、利用できるエリアでございますが、あいの風とやま鉄道19駅での乗り降りが基本だと思ってます。ただ、皆さんご承知だと思いますが、昨年3月にですね、全国の10種類のカードが、そのまま相互利用できるようになりました。この中に、ICOCAも入っているものですから、例えばですね、県民の方が、このICOCAカードを、私どもがこの後販売するICOCAカードを持って、首都圏であるとか、近畿圏であるとか、北海道、九州のですね、中心都市に行かれた時に、それぞれのカードのエリア内というところがございますが、使えることができます。
そのエリア内であれば、交通カード以外にですね、お金、電子マネーという形で、コンビニでも使えることになります。そういった意味では、お金を持たずに動ける時代が目の前に来ているという考え方であると思います。ただ、エリア外という言葉を実は使わさせていただきましたが、交通ICカードの特有の問題であります。具体的な例で言いますとですね、JR東日本は、いまスイカというのがあると思います。これはですね、首都圏エリアと、それから新潟エリアと、仙台エリアとの3つのエリアを持っています。それぞれエリア内で使う分には何も問題はないですが、例えば東京で乗って、新潟駅で降りるというそういったスイカの使い方をするとはじかれます。エリア内を超えての利用はできません。新潟に着いた段階で現金でいったん清算して、東京駅で乗ったデータを落としてもらわないと、次からカードが使えなくなります。そういう、思わぬ電子システムの特殊性であります。
これは全国相互のカードの導入でありましても、駅を降りた途端にアウトです。愛知県であったと思いますが、すぐ隣接するところにスイカがついて、もう片一方でスイカ外エリアがあって、エリア割り設定したところがあるそうなんです。1駅のところでエリアが違うというところがあるそうなんですけど、ちょっと駅名まで覚えてませんが、そういったところですと、どうもやっぱり1駅超えた途端にアウトになるということなので、エリア外というものをぜひ覚えていただきたいと思っています。本当はといいますと、私も含めてですね、素人のみなさんにとってはですね、自分のカードなんだから、どこで乗ろうが、どこで降りようが、使えるようにしてくれよというのが本音だろうと思います。私もそう思っているんですけど、残念ながらですね、それぞれのカードのシステムというのは、それぞれの会社で開発されたシステムですから、共通化がはかられていない。ということがあります。それと、電子カード、お金を扱うカードなものですから、だれかが胴元になってお金を精算しなくてはいけないという作業が出てきます。そういったこともどうするかといった問題がいっぱいありましてですね、なかなかこれは今後も解決するには時間がかかるだろうなと思います。
それから、新幹線という問題があります。今度、ICOCAカードが入ったら、富山駅に来た新幹線にそのまま乗れたらいいなと、皆さんお思いになると思いますが、残念ながら、新幹線で、こういう交通ICカードが使えるというのは、現時点ではですね、スイカにモバイルスイカというのがありますけど、そういうモバイルスイカの中にですね、なんでしたっけ、EXICサービスとかいう特別な機能を持たせて、初めて使えるそうです。EXICサービスが入るところは他にもあるらしいですけど、自動的にクレジットカードで、新幹線利用料金も落とせるというそういうシステムがJRさんのほうにあるそうなんですけど、そういったものが、例えば、北陸新幹線が来るシステムの中でですね、そういう機能が導入されればですね、将来的には新幹線も、もしかしたら、このICカードでスッーと乗れる時代が来るかもしれませんが、現時点ではなかなか難しそうだというのが現状だと思っています。
それから、JRの枝線です。高山線、それから氷見線、城端線なんですけど、こちらについては、JR西日本さんは、ICカードを入れる予定はないということでございます。1つの機械が数100万円程度しちゃうんで、先ほど何種類か機械が必要だと言いましたけれど、恐ろしい金額がかかります。これだけのものを入れてですね、採算性が合わなかったということになると、もともと枝線、例えば城端線ですと、100円儲かるのに500円くらいかかっている路線なので、そこに入れる意味がないというのが、採算重視の経営者の考え方としてはありうるだろうなと思います。一応、いまのところ入れる予定はないというのが、公式見解 でございます。
隣県会社問題というのがありまして、石川県につきましてもですね、今のところ入れる予定はないということでございます。富山県の場合はですね、先ほど言いましたように、JR西日本の社長さんと知事のなかで、そういうシステムを安く使わせてやるよみたいな話になって、かつですね、国の補助金がありまして、県のお金と、国の補助金で、実は導入いたします。私どもの会社自身がですね、この部分を負担する体力がない会社予算なものですから、基本的には県と国の支援を得て、県が入れてくれる形になります。
隣の石川県さんの方では、皆さんご承知の通り、20kmという圏域の一部で、在来線が走るものですから、そういったときに、ICカードを今入れる時期かどうかというのがなかなか難しいんだろうなというふうに、私的には思っています。あそこは、七尾線なり、それから、金沢駅が、北陸鉄道さんが入っているし、金沢以西が圧倒的に長いという状態なので、そのあたりは政策的な判断で、今のところ入れないのだろうなと思います。
あと、もう1点ですね、県内の方なんですけど、地鉄さんのエコマイカ、それからライトレールのパスカなんかと両方一緒に使えたらいいなというご意見を非常にお聞きしていますが、残念ながらあいの風仕様とは異なり、非サイバネ方式と言いまして、全国のカードのシステムの方式とちょっと違うタイプが導入されております。現時点では、相互利用はできないというのが現状かなと思っています。
ただ、ある人に聞いた話では、これは個人的な見解だろうと思いますけど、現在のスイカカードとエコマイカカードを1つのカード入れに入れといて、それで持ち歩いた後で機械にぽんと置けば問題や支障がないというご意見などもございます。これは1つの考え方かなと思っています。
それで、今回使っていただく、利用の券種ですが、ICカードとIC定期券との2種類ございます。導入時期としては2段階を考えておりまして、ステップワンとしまして、来年の春までに、JRさんが今持っておられる既存の機械をできるだけ活用してですね、最低限ICカードが利用できる状態を作ろうじゃないかということで考えております。ステップ2では、現在開発しておるんですけど、ICカードの新規発行という印刷発行機というものを一生懸命開発しております。それで大体仕上がるのが、28年春かなと思っておりますので、その段階からIC定期券の発行・販売ができるなと思っております。
そういう意味ではですね、2段階方式ではなくて、本来ならばといい始めると、28年の春に全面的に入れるのが筋なんですけど、ただ、せっかく機械を、既存機械があって、せめてそのICカードが使える状況が生まれるのであれば、少しでも皆さんに早くこういうものに慣れていただいて、利用していただいて、現実に享受していただきたいということで、2段階方式をとることにしました。それぞれの配置駅につきましては、そちらに書いてあるような構成で提供したいと思っています。
若干の問題は、先日の新聞報道を聞いて、皆さんも非常に気にしておられると思いますが、こういう利用エリアがある程度限られた中でのICカードの導入なものですから、どうしてもその利用エリアを超えてですね、乗り越してしまうことが出てくるんじゃないかという不安があります。私どもも、できるだけ導入時にはですね、説明会を開催したり、ホームページでもPRしますし、それから改札口とか、駅構内のポスター等を使っての広報、それから車内放送とか、ホームでの放送で、いろいろとPRしていきたいと思いますが、やはり、こういったものはですね、皆さん慣れていただくには、口コミで広がっていくのが一番大きいなと思います。ですので、今日お集まりの皆さんには、是非ですね、PRというものをよくご理解いただいて、できるだけICカードはこうだよと、そこをぜひ押さえていただきたいと思っております。
このICカードの導入についてはですね、個人的な見解ということで申し上げますけど、富山県民にとってはですね、新たな生活文化の導入だと思っています。お金を持たずにですね、列車に乗れて、お金を持たずにコンビニで買えるというのが、日常的に当たり前のようになる社会が富山県のなかに生まれるということになります。なんでそういうことを言うかといいますととですね、だいぶ昔の話になりますが、インターハイというのが、高校生が対象ですね、インターハイ、平成6年に富山県でやったんですが、そのときに、県外の高校生から何を言われたかといいますと、富山はコンビニが少なくて不便だと言われました。今回のような共通ICカードの導入は、いまは非常に先端的技術でありますが、いずれは当たり前になるであろうと思います。東京から来られたお客様が、スイカを使って県内を乗り継いで、コンビニで食べ物を買って、観光地をまわるという時代が目の前にくるのかなと思っています。
これによく似た動きが、JR西日本が最近少し動いてまして、金沢市ではですね、JR西によりますが、全国でICカードが利用できるピタパというものを来年の春からやります。JRのバスだけということで、規模的にはそんなに大したことないと思いますが、そういう時代が目の前にヒタヒタと来てるんだろうなということを思います。富山県がそういう意味では、先取りの精神で、そのもので今回頑張っているということを今日はお伝えしたいと思っています。
それから、皆さん関心が高いのはダイヤだと思うんですけども、ダイヤの発表時期につきましては、どうしても新幹線ダイヤに引っ張られる部分がありまして、今のところは年末と想定されております新幹線のダイヤというものが発表され次第、早急にわが社もですね、発表できるんではないかと思っております。
ダイヤというのは非常に難しいものがございまして、8市町なり住民説明会なりを回っておりまして、いろいろなご要望を聞いております。富山駅で新幹線の乗り継ぎがうまくできるようにという、そういうご要望も結構ございますし、金沢以西に、金沢駅でですね、特急と乗り換えなきゃいけないので、その時間を最優先にしてくれというご要望も聞きますし、やはり、日々8割の方が通勤通学で使っているんだから、通勤通学者最優先だよという方もおられます。それから、パターンダイヤという声もお聞きします。あと、市町村の中にはですね、黒部駅での折り返しが5往復あるのですが、泊駅までもっていってくれとか、西部では、高岡まで来ているやつを石動駅まで引っ張ってくれとか、折り返し点の変更みたいなものも聞いております。それから、終電時間も、もうちょっと時間を遅くするとか、そういったご要望も聞いているんですけど、なかなかですね、すべてを満足する答えというのは正直言ってないなというのが現状だと思っています。
3セクの利用促進協議会で、パターンダイヤということが市町村のほうから出てきたんですけども、パターンダイヤを組めるには条件がありますね。ライトレールのように自分たちの会社の中で、線を持っているところ、自社線が完結しているということであれば、パターンダイヤは非常に組みやすいと思います。それから、うちの、今回の、特殊性ではありますけど、貨物調整金といいましてですね、お客さんを運ぶ列車が増えると、逆に会社の収入が減るというようなシステムがなければですね、パターンダイヤを入れて、多少お客さんが乗っていなくても走らせるかという選択肢が出てくるんだろうなと、思ったりしています。それ以外に、一昨年に採用した1期生でしたかね、東京の方で、地下鉄の運転手をしていたと聞いていたんですけども、東京の方でパターンダイヤの地下鉄は、運転手1人なんですね。JRの。駅に着くとですね、監視カメラがあって、カメラで、テレビでザーッと何十台とあったのを見て、お客さんの入り方を見終わると、ドアを閉めて、次に何をするかというと、発車ボタンを押すだけで、あとはすることがないと、いうことを言っていました。そういう自動化が進んでいるところであれば、人員が減らせますんで、経費削減したうえでやれるということがありますので、そういう諸条件が必要なんですけども、うちの場合はですね、石川県と相互乗り入れしています。石川県さんはいまのところパターンダイヤということは、発表されていないと思います。やはり同じようにパターンダイヤをしないと、パターンダイヤの意味はないので、富山金沢間でうちだけがパターンダイヤだと意味ないので、そういったことがございます。
それと金沢駅のですね、ホームの問題もございます。IRいしかわさん、それから七尾線のJRの部分、うちの会社の分、それぐらいがですね、同じホームを共有する可能性が高いと思っています。そうなると、それぞれが自分のところの都合のいいダイヤを言ってくる可能性があるので、駅のホームの戦いになります。これは別に金沢駅に限ったことではなくて、たぶん新幹線の、大宮−東京間、ここもたぶん同じ問題を抱えていると思います。どこかでパターンをしようと思ったら、どこかをあきらめなきゃいけないというのがパターンの問題かなと思ってますので、できるだけこのあたりを、どこに比重を置くかということを柱に議論をしていますと、なかなか方向性が定まらないというのが現時点ですが、基本的にダイヤの本数自体は、昨年ですか、県の対策協議会でまとめられた基本ダイヤ案をベースにもちろん議論していますので、便数自体は減らない、若干増便ということになろうかなと思っております。
それから、運賃ですけども、運賃は現行の従来の運賃水準と比較してということで、並行在来線対策利用促進協議会では言われておりまして、通学が1・03、通勤定期が1・12というしばりがございますので、これは基本として守っていくつもりでおります。現在も富山県の3セクとして、新潟の北陸信越運輸局といろんな打ち合わせをしているところでございまして、先ほど先生の話にあったような初乗り運賃の乗り継ぎ割引については、割引方式をどうするかということについて、具体の話をしておりまして、これにつきましても秋ぐらいには、運賃の認可申請を正式に申請を出して、年内に公表できればなと思っております。
それから、今回ですね、JRさんから譲渡いただく鉄道資産というのがあるのですが、そういったものについては、この春からですね、用地の境界確認とかですね、施設設備の確認、それから、非常に細かい話ですけど、各駅に、小額備品というのがたくさんございます。そういったもののうち、JR西さんが持ち帰ってしまうのと、うちがいただくものと、要らないものといったような、そういう細かい作業ですが、日々やっています。そういったもののなかで、最終的にはどれだけものがくるかというのが固まっていくということなのでございまして、年末前に基本的な合意をもらえたらいいなと思っております。JR西日本さん自身がですね、いろいろと頑張っていただいていまして、土地の中でですね、用地境界がはっきりしていなかったものなんかも、過去にやっぱりあったものですから、そういったものに一生懸命金かけて、いま、明確にする作業をしていただいておりますし、それから施設関係でも、黒部川関係の橋梁なんかを全部塗装し直したりですね、それから、皆さん、列車に乗られるとわかるんですが、各駅の塗装を直したり、橋をつくったり、それから、ホームの高さを変えたり、いろんな工事を今、してもらっています。私どもとすれば、ホームのかさ上げとかですね、それから、バリアフリー化の工事とか、それから、車両の点検整備とかを行う富山運転センターというのがあるんですけど、そちらの設備も金をかけて改修工事をやっていただいてまして、開業時に通常の会社として動かせるような、ハード面の整備もどんどん進めているところでございます。たぶんですね、この春から営業を始めることになりますが、一晩でですね、制服を変える形にはしますが、制服を変えて、円滑に動くようにはしますが、実はですね、それまでの間にしなくてはいけないことはまだいっぱいあります。
十分なシステム、会社として持つべきシステムが一杯ございまして、そういったもののシステム導入をどんどんやっています。日常的に、施設管理のために、どこに何があって、それを日々どういう点検をして、それがいつまで工事を、修繕をしなくてはいけないとか、そういったデータをJRさんの方からいただいて、うちのシステムに入れ替えて、管理していくということをします。そういったもののシステム導入の準備をしたり、それから、皆さん、他ではまだ言っていないことなんですけど、会社として決めなくてはいけない規程がございます。会社の社員を管理する規程もありますけど、たとえばその、お客さんに乗っていただくときに、そういうお金をとることについて、規定・規則、そういったものがございます。それから、安全面についての、いろんな決まり事もございまして、そういったものが、軽く200ぐらい超える規程やマニュアルを作らなくてはなりません。その作業をこれから必死になって、やっていく状態が続くかなと思っております。
それ以外にもっとびっくりしたのは、JRさんは、地域の地元の市とかですね、他の交通事業者さんと、いろんな協定を結んでおられます。これもすべて、うちとその方々の協定にし直す必要がございます。
それから、一番わかりやすい例でいいますと、各駅にですね、JRさんが持っている駐車場が数百台ございますが、その数百台の方々の駐車場の契約について、すべてうちの方に切り替えていただいて、口座振り込み手続きとか全部しないといけないんですが、そういったことも準備し始めております。日々ですね、新たな仕事が見えてくる状況のなかで、いま追われていますが、とにかく来年の開業時にはですね、安全第一ということを最優先にしまして、普通に列車が動く会社になりたいと、そのことをこの1年でみんなで頑張っていくものでございます。皆さんにはですね、できる範囲で結構でございますので、例えばですね、この秋に、募集を始める予定なんですが、クラブなどに入会いただきましてですね、ぜひ会社を支えていただきたいなと思っておりますのでよろしくお願いをし、簡単ではありますが、報告を終わりたいと思います。ありがとうございました。
司 会 岡本勝規
ありがとうございました。それではですね、引き続き質問の時間に入りたいと思いますが、いま、まさに朝倉専務からお話をいただきましたから、それに関しての質問用紙に書こうと思われている方もいらっしゃると思いますので、少し時間をとります。
いま、15時34分でございますので、40分まで休憩にいたします。質問等がおありの方は、その間に質問用紙に記入して司会者まで届け出下さい。
(休憩)
司 会 岡本勝規
それでは、再開をしたいと思います。いくつかご質問を寄せていただきましたが、お1人ひとり立って、それから一問一答してというのでは、ちょっと時間があまりにもかかってしまいますので、先生方の方でですね、順不同だとは思いますけど、いただいた質問用紙を順繰りに繰っていって、それでまとめて回答していただくことにいたします。それで足りなければ、補足があればまた、質問を受けたまわりたいと思います。それでは、土居先生から、よろしくお願いいたします。
<質問に答えて>
土居靖範先生
私の方は大きく2点の質問がありました。新駅の問題です。第3セクターの新会社が新駅をつくって、うまくいった例があるかどうかのご質問でした。事例をまだ研究していませんので、正確には答えられませんけども、住民が新駅をつくりたい、つくってほしい要望は多数あると思います。それをいかに受け止めて新しく打って出れるかがポイントだと思います。新駅ですから、まだ駅舎はないでしょう。利用する住民にいろいろ要望をいただき、デザインを決めてもらう。単に駅だけつくるのはまずいんです。その駅を中心としたまちづくりを考える。例えば駅舎の中の一定の部分に、どんなものを入れたらいいか意見を募る。具体的なデザインも場合によっては利用する高校生にプランや運営まで任せることもやってみたらどうなんでしょうか。住民の人も本当に愛着がわくと思います。
先行事例ですが、駅をつくる場合、どういう運営をするかや地元でお金をまわすとが必要になってきますね。新駅ではありませんが、長野県の飯山線の栄村の駅ですが、JRが無人化しようとしたんです。切符が買えないといった運賃問題があります。やはり駅員を置くべきということで、栄村は特別公務員という名前で一定の賃金で駅員を任命する。その人たちが、駅の改札に入ってお客さんの対応や掃除とかをやっています。一定村からお金を出してやっています。駅を利用したまちづくりが重要です。今後、新駅をみんなに利用してもらえることができるようぜひ工夫していただきたいと思います。
先ほど朝倉専務からいただいた資料の一番の下に無人駅5駅のリストがあります。無人駅ではまずいんです。富山地鉄の上滝線の終点まで乗せていただいたんですが、高校生がたくさん使っています。自転車が駐輪場所に納まらずあふれていました。高校生が、ちゃんとあいさつをしてくれました。地元意識が湧く情景です。いったんは遠いところの大学に行っても地元に帰ってくる人がいるかもしれません。地域の利用者を、とりわけ中高生を大事にすることも含めて、駅づくりを第3セクター会社を核にしていただければと思います。
もう1点は運輸連合の問題。運輸連合は、過疎地域にもつくれるかという質問でした。運輸連合というのは大都会や、その近郊にあって、地下鉄や鉄道、路面電車があり、またバスなどのさまざまな交通機関が競争しているところに多いです。過疎地域でバスしかないところではつくっていません。そのバスもなかなか運営がむつかくしく、郵便局の集配用の車に住民を乗せることもしています。時間を決めて、ポストのそばで待つ人をピックアップしてとどける。過疎の地域では、運輸連合というのは難しいんで、違う工夫が必要ではないかと思います。それから、運輸連合というのには、富山県内だけでなく北陸全体の石川、福井、新潟を入れた運輸連合の可能性があるかもしれません。
とりあえずは、一番実現の可能性が高い公共交通先進県の富山県でモデルをつくる。いろんな事業者を束ね沿線の自治体も入って、マップをつくったり、ダイヤを統一することで広がるんではないかと思います。新しい第3セクター鉄道会社と周辺の自治体およびバス会社も含めてぜひ、運輸連合をつくっていただけれと思います。
朝倉隆文専務
私の方はちょっとたくさんありまして、20数枚ありまして、簡単に答えさせていただきます。まず、長野県に交通ICカードがないのは何故ですかという、非常に素朴な疑問ですが、簡単に言いますと、JR東日本さんのお考えでしかないので、いま新潟エリアですね、飛び地を縮小しようと一生懸命やっています。それで直江津とか、いったん、途中駅を無視しましてですね、終駅に飛ぶ飛び地でやっています。大体ネットワークが少しできていますんで、いずれはみんな作ると思いますけど、そのタイミングを東日本さんはどうお考えかということの問題でしかないと思います。
それから2つ目が、新型車両の521系を富山以東に導入するのかという質問ですが、開業時には、21編成のうち16編成の新型があるので、必ず入ります。先日、利用促進協議会の時に、JR西日本の金沢支社長さんが言われたのが、いま、521系を入れるために、ホームのかさ上げを行っているので、ホームのかさ上げ工事がある程度めどが立てば、わりと早い時期に入れることもあるというようなことも言われたので、もしかしたら、JRさん時代に導入する可能性が出てくるかと思っています。
終駅を泊駅まで延長することについては、先ほどチラッと言いましたが、社内検討をしておるところでございます。一応、今悩んでいるのが、自動的に貨物調整金の問題に跳ね返りまして収入が減ることが問題になるこということとか、人員とか、車両のまわしの問題が出てくるので、そういった中でなんらかの実現を図れないかということをちょっと詰めていきたいと思っています。
それから、新幹線の運転ダイヤは何本かという質問については、わかりません。一切そういうのを聞かせてもらっていないのでわかりません。
それから、旧の北越号について、新潟、石川の協力があるかということなんですが、基本的には北越号については、新潟県会社が窓口になって要望中ですが、我々の方に新たな情報が入ってきませんので、今のところわからないという現状であります。
それから青春18切符なり、北陸お出かけパスの話なんでございますが、八戸−青森間に、青春18切符が利用可能であることも十分知ってますし、北陸、今回の関係4県の会社が、このことについての問題意識を実際持っていましてですね、ようやくちょっと、どうするかなということを検討し始めたところです。先行事例になかなかいいものがなくて、そういう八戸−青森間のようにお金を取らないやり方もございますし、もう片一方で、オレンジ鉄道のように、別の切符をつくって代替切符で若干お金を取るというやり方もあるので、このあたりは、これからの協議の中で、おいおい決めていく話だと思っております。
それから、風雪害、大雪対策ということで、機械や人員確保についてあまり話題になっていないんじゃないかということなんですが、一応経営計画概要のところにですね、必要な機械とか、必要な台数について書いてあります。ラッセル車2両とMCロータリーが7だったか8だったか正確に覚えてませんけど、必要な台数を確保することになります。それから、日常的な除雪についての、運行会社等の人員確保について、常にいろいろ議論していますので、どこまでやれることになるか100%の自信はございませんが、JR西日本並みに除雪体制にもっていきたいというような形でとりくんではいます。
それから、コンクリートの寿命の話がございました。橋とか電柱の寿命が不安だということでございます。これは昨年のこの会でも触れましたが、このあたりJRさんから聞いている話では、日々点検されている中で、県内に5000本あまりの電柱があるらしいですけど、そのあたりの部分について、必要な延命のための措置であったり、場合によっては付け替えという話も出てきます。1本替えると、100万円単位の金が出ていきますので、そういったことも踏まえて、できるだけ金のかからない中で、安全性の確保をしていくという意味で、先ほど言いましたような、支出の管理をしっかりしてですね、状態をうまく把握したうえで、事故が起こらないようにしていくことが大事かなと思っています。今回、JRさんの新潟の方で、電線が垂れ下がったという事故があったんですが、あれがあった後に、JRさんの方では、いっせいに点検していますんで、私どもの開業時には、ここはしっかり見ていただけるものだというふうに思います。
それから、県境を越えた運賃の、初乗り運賃の対策ですが、これは別のラインということで、両県会社さんなり、それからJRさん、枝線とそれぞれ初乗り運賃の割引の話が進んでいますんで、これからこの協議をさせていただきます。
それから、貨物車両がですね、高速で走行したら線路が傷むんじゃないかと、種類の違いが多大にあるんじゃないかということですが、まさにこれはですね貨物調整金というものを、制度改正が平成23年度に整備されて、車両キロという言葉に変わりまして、1つの車両が100キロ走ると、100車両キロだし、10両の車両が100キロ走ると1000車両キロみたいな話で、鉄道も貨物の車両キロと旅客の車両キロの比率で比をみましょうということで、そういう比率でいったときに、本当にうちは得なのか、そこが大事なので、ここに書いてあるように、重さが違うという議論はあり得ます。ただ、じゃあ荷物が乗っている状態、人が乗っている状態を比較しているのかということになったりして、ここは国ではそこまで細かい議論されていませんので、まず車両キロの世界でのキーワードを出させていただいています。ただ、このあたり、貨物調整金についての見直しの議論はずっと続くと思いますんで、これは会社も当然要求をしていきますが、行政の力をお借りしてやっていく世界だろうと思っています。
それから、越中宮崎駅の折り返し運転なんですが、越中宮崎駅、ご存じのように真ん中にホームがある1面2線駅でございまして、分岐機と信号機ございません。どうしても、そういう折り返し運転ができない、限られていましてできないところいくつかあります。中線がとられてしまったところであったりですね、そういう信号機とか、分岐機が過去になくなったところがいくつかございまして、先日、利用促進協議会で言われたのは石動駅だったんですけど、石動駅は残念ながらそういう機器が撤去されていますので、もし今からやるとなると、機械に金をかけて設備を直したうえで、そういう折り返し運転をやることになります。宮崎駅の場合は多分、複線だけですから、本当に大規模な線路をつくる形をした上でのものだと思うので費用はちょっとけた違いだと思っています。
それから、石動駅の駐車場のことで、いままで特急等を利用された方には、無料で利用していただく駐車場ということで、石動に40台分あまりの駐車場が割と頻繁に使われている実態があったようです。これも利用促進協議会でご意見がでたんですが、駅によってかなりばらつきがありまして、数台しかそういう無料の部分をもたないところもございますし、こういう、小矢部のように40台持っているところもございまして、無料であれば本当は一番いいんですけど、皆さんもお分かりだと思いますが、近隣にですね、民間の駐車場、それから市営駐車場が有料で確実にあります。安いところですと3000円くらいからいわゆる6000円くらいまでの駐車料金がございます。そういったところの方がおられて、片一方で無料の駐車場をたくさん持っているのがいいのかという議論がありまして、そういうバランス論もですね、今後、各市、町、村の皆さんと議論させていただいてやっていくのかなと思っています。
もう一つその利用促進協議会のお話は、会社の経営の面でいきますと、従来その、新幹線をご利用いただいた方に無料にしていたのは、当然JRさんがたくさん利益を確保できていたからですね。うちの場合はですね、JRさんの切符をもし売ったとしても5%程度の利益にしかなりません。それで、もし売れなかったら、ただでそういうお客さんに駐車場を貸すことになるので、うちの会社はいったい何のために駅前の1等地を貸すのかという、それは結果的にはですね、県民の皆さんの税金で会社を運営させていただいているので、結局皆さんの負担になっちゃうということがあるので、そのあたりは微妙なんですよねという話をしていかざるを得ないので、もうちょっと時間が、結論にはかかると思います。
それから、本数の充実の話で、朝夕の本数の充実でございますが、若干違うんですが、富山−高岡ですと、若干増便のなっております。
それから運賃については、先ほどもちらっと出ておりましたが、県の対策協議会の方で決められた、通学については1.03、それ以外は1.12は基本的に守ろうと思っているのですが、あくまで平均ということなので、それぞれの区間によって微妙に割合が動くと思います。そのあたりは、駅の発表の段階で見ていただければと思っています。
それから、交流と直流の違いで電車の運行はどうなるのかという話なんですが、私どものレールはですね、交流の車両が走る構造となっておりますので、交流対応をしておりますが、現在入っている521系とか、走っているやつは交直両用という形になっています。気動車は、私どもの会社自体が持つ予定はございませんが、朝、城端線から入ってくる気動車は、当社のレール上を走ります。それと、えちごトキめきの列車が、泊駅までディーゼル車で来ます。
それから、新駅をつくってうまくいった事例はあるかということなんですが、あくまで判断が難しいと思うんですが、IGRさんというところが、地元の市町村が協力をしてですね、パークアンドライドの駐車場を町でつくられて、新しい駅をつくられたところがございます。そこなんかは、かなりのお客さんが増えたということは聞いてます。新たに列車の乗るようになった人たちとそうでないという人を分けることをしなくてはいけないものですから、なかなか見えにくい部分になりますが、一応成功事例だというふうに思います。
それから、魚津−泊間の黒部駅の可能性としてはどうか?これは県の調査でも難しいとの結果が出ております。通学定期券を値上げしないことが必要だと思うがどうかというご質問ですが、1.03ということで現在は、若干値上げということです。
それから城端線、氷見線の方の管理は、引き続き富山地方鉄道部でといわれるのですが、名前を変える可能性がありますけど、こちらは引き続き株式会社JRさんとして管理していくと思います。
それから、これも同じ質問ですね。私の会社とJRさんの接続の時に、初乗り運賃があるのかということですが、初乗り運賃は生まれます。
それから、最後にちょっと、これはJR貨物の話として書いていただいているんですけども、JR貨物が営業面のゾーンダイヤということでいくつか書いていただいておりまして、現在、JRさんの現状からいきますと、どうしてもその、優先順位というのがあるそうなので、JRさんと、JRグループの中でのですね、ルールにのっとって運用されているようなんですが、どちらかといえば貨物の方が、長時間待たされ、人の乗っている旅客車が優先するとお伺いしております。これも考え方の問題でありましてですね、いわゆる貨物というのが、日本海側の重要な物流ルートでどんどん発展するためには、JR貨物最優先にダイヤを組むというのが1つの形としてはあると思うんですが、ただ、先ほど言いましたように、いろんなその旅客なり鉄道に対するニーズがあるなかで、何を優先させるかということだと思います。私の会社からいいますと、JR貨物さんがたくさん走ってくれればですね、一日あたり50本も60本も走ってくれると、貨物調整金がいっぱい入るものですから、是非そうなっていただきたいというところはあるんですが、もう片一方で、日々利用される旅客の皆さんが貨物のために、こういった時にまた列車がまた20分、30分と遅れるというようなことになると、それでよしとするのかという議論になったりするので、そのあたりは、共存共栄をどうやってしていくかということを貨物さんと一生懸命話していく世界だろうなと思います。ただ、本当に、3県だけで、3県というか、日本海側の新潟と石川とうちだけでこの問題について取り組んでいく問題ではなくてですね、JRグループを含めて、日本海全体を1本で通す話なものですから、どう考えるかというのは結構大きい問題だと思っていますんで、私ら的には、先ほど言いましたように、もうかる観点からすればとしか言えないなと思っております。
それから、運行指令についてですね、3県一緒でまとめてやった方が、JR貨物さんとの調整が楽なんじゃないかという議論があるんですけど、これもルール作りの問題でありまして、そこはなんとかうまくいくような工夫をしていくのかなと思います。
もともとは、JRもJR東さんなり西さんなり、いろいろな会社がからんで指南を受けてた中に、そのあたりをどううまくやるかというのが、新たなルールをどうつくるかという議論なんで、これもずっと協議しているんですけど、これも結論は出ていません。あの、ここまでがわかるところです。以上でございます。
司 会 渡辺眞一 (公共交通をよくする富山の会世話人)
私、公共交通をよくする富山の会の世話人をしています、渡辺といいます。司会をしていました岡本さんが教え子の今日結婚式で、どうしても岡本先生に出席をということになりまして、中座せざるをえなくなりました。それで、私、代わりに、わずかな時間ですけども、司会を務めます。それで、いま、二人の先生にご回答いただいたんですけども、質問された方でここをもう少し聞きたいというのがありましたら・・・・何人ほどおられます? 2人、3人、4人。4人ですね。じゃあ、後ろから順番に前の方へと、お願いします。
質問(A)
ちょっと調べてみるとね、青春18切符で東京とか大阪から富山県よくね、(?)でかいとつかわれるんですよ。逆に富山の人も、私自身も青春切符乗って東京まで行っております。姫路の城を見て帰ってきとるがですよね。富山県だけですよ。東も西もこんで並行在来線ないようになるが。これでもいいんですか。富山県が。それでも新幹線なんですか。2千何百億円という莫大な借金を、並行在来線、30年間でこれから返してかんなならないしね。これから孫の末代までね、高い通勤、通学料金も出さんにゃならん。まんで新幹線がバラ色のことばっかし、みんな、地元を自負しているある新聞なんかね、新幹線、新幹線、バラ色のことばっかり、いうとるがです。みんな高いがで、これからなるんですよ。それから2100億円ですか、いま負担金、いま30年で償還になっとるはずなんですよね。それでも新幹線、新幹線なんですか。この新幹線もね、一番得したのは石川県金沢なんですよ。もとから私はそう言い張っとるんですよ。だいたいね、新幹線ちゅうもんはね、富山県が言い出いて、富山県が一番熱心にやったんですよ。いざとなったら、一番いいが、みんな金沢に行ってしまうんですよ。これも、私は毎回、富山県に警告を、気つけれと言うとってもだめなんです。中沖知事に言ったんですよ。整備局が富山くるさかいで、すぐ、当時の田中総理大臣が、金沢に来た時ですね。えらい抗議したんですよ。政財界に。なんでそういうこというたら、富山県が繁栄せんがですか。だから、だいたいね、車両技師さんて(?)県単する必要ないがですよ。あれ勤めるが、固定資産税とか、職員ちゅうのは、いったい全体富山県のがこれから勤めるんですか。あこ。金沢県とか石川県のために新幹線できとるがですよ。今の状態でちゃ。以上です。青春18切符とか、やっぱし乗り入れつくって、富山と長野(?)富山県だけですよ。西も東もないようになってしまうが。これだめですよ。地元の知事とかね、県庁所在地の市長っていうのがね、早くつくってもらわんなならん、そればっかしですよ。
司 会 渡辺眞一
すいません、あとつっかえてますから。前の方。
質問(B)
前回の時も参加させてもらったんですけど、朝倉専務さんがですね、こういう場でお話しするっていうのはすごく器の広い方か、会の方とうまくいっているのかというふうに思いました。私は、新潟で同じような取り組みをしているんですけど、それで先ほど、特急の方からちょっと聞きたかったんですけど、これは、単に私は、新潟だけの問題でなく、特にですね、魚津、滑川から、やはりその住民の皆さんが新潟へ行くときにですね、やっぱり新幹線に乗り換えて、それから牧野場で乗り換えてというふうなことにならないように、利便性からも考えて、せめて私たちは富山から新潟まで直通ですね、「北越」の特急をということで運動をすすめているんですけど、その皆さんの、富山の皆さんの運動がちょっと、朝倉さんの方に伝わっていないのか、そこらへんも含めてですね、例えば、そういう運動がやられて、一緒に含めてということになると、この、さっきのような一歩のですね、形にもなるんじゃないかというふうに思ったりもするんです。
それで、新潟県は、いわゆる新幹線の駅から新潟までというのはあるんですけど、それが上越なのか、糸魚川なのかというのはわからないんですけど、私たちは、そんな上越から新潟でなく、やはり最低でも、富山から新潟の特急をということで運動をすすめたいと思うんですけど、その専務さんのお考えとして、その辺を含めていかがなものかということで、私らも、今度、富山に学びまして、新潟で会社の専務さんをお願いしてですね、こういう会をつくりたいというふうに思います。どうもありがとうございます。
質問(C)
あの、石動駅の駐車場の件なんですけど、私、小矢部の(C)ですが、パークアンドライドといっておられる原則から言いまして、現在ある駐車場、特に手を加えなくても、そのまま使えるわけなんですね。もし、これをやめてしまったら、どういうことが起きるかと言いますと、石動の駅を使って、あいの風鉄道を使って富山の駅に行くとかいう人がほとんどいなくなって、長距離の方ですよ。新高岡の駅まで車で行って、あいの風鉄道を全然使わずにJRに行ってしまうということになるものですから、これはやっぱり、現状の駐車場を手を加えずに利用できるので、ぜひやっていただきたいと。
それから、先ほど、民間の駐車場の話をされましたけれども、民間の駐車場というのは、通勤の方が月ぎめで借りているわけで、フリーの方とか、長距離の電車に乗る方が利用しているわけではないので、すみわけはできると思います。収入の話をされましたけども、まったくあいの風鉄道にそういう方々が乗らなくなれば、40台の車を利用している方が乗らなくなれば、収入減にもつながると思いますので、ぜひ実現できるようにお願いします。
質問(D)
先ほど朝倉先生の話をありがとうございました。すみません、いままでの質問の方からいわれると、私のは初歩的なことかもしれませんけども、まずは、私、以前新幹線のタウンミーティングに行ったときに、県が新幹線にたくさんのお金を出されるものですから、その負担した分を持ち分として、そこから得る収入をあいの風鉄道さんの経営安定基金にあてるということはどうですかということを申し上げました。そういった県からの財政支援はあいの風鉄道さんにあるのかということ。
もう1つは、例えば、JRさんとあいの風鉄道さん乗り継いだときの乗り継ぎ割引ですね、せっかくあいの風鉄道さんが新幹線にお客さんを流し込んでくれるんですから、例えばその分ですね、割引、あいの風さん乗車の分を割引にして、そのあいの風さんが割り引いたお金をJRさんから手数料としていただくという形にすれば、もう少し収入も好転するのではないかと思いますし、あと、国土交通省さんが(?)2次交通、2次交通と言ってますけど、そういう2次交通を利用させる手段としても、JRさんはせっかく、主要駅までお客を運んでくれる、そこからいろいろなところに行くわけですから、そのくらいの割り戻しをしていただければ、2次交通の財政にも少し寄与するのじゃないかと思いますが、その辺、制度など教えていただければと思います。以上です。
司 会 渡辺眞一
それでは朝倉さん、まずお願いします。
朝倉隆文専務
大変難しい問題ばかりで答えにくいんですけど、青春18切符でですね、いまいろいろと調べている途中なんですけど、青春18切符の構造からいきますと、会社経営の視点からいきますと、うちの会社に入ってくる金はかなり少ないと思っています。もともと単価が安いのに、たぶん、うちの運転区間が短いものですから、非常に少ない金額しか多分、もらえる金がない。会社経営の視点からみるとそうなんですが、もう片一方で違う視点がいると思っています。東京からお客さんが来られてですね、富山で飲み食い、泊まっていただければ、富山にお金が落ちるわけなので、そういった意味では富山県には貢献するだろうなと。そういう利用者的視点もあるだろうなと思うし、それから先ほど言われましたように、富山県の住民が東京に行くのに経済的な負担を軽くできるという問題もあるでしょう。そういった多面的なことを考えながら、どうするのかということを、いま関係の県と会社とですね、お話をしているところであります。ですから、結論的なものはまだないというのが現状です。
質問(A)
これは乗れるように、長野と金沢間利用できるようにしてもらいたいですよ。
朝倉隆文専務
ご要望はお聞きしました。それから北越でございますが、富山-新潟の北越運行ということでございます。お客さんの利便性という観点からいきますと、あった方が望ましい。これは誰しも異論がないと思います。ただ、鉄道経営という観点からいきますと、この北越が走れば、その分うちの収入が減るんで、お客さんがそんなにたくさん乗る車両ではないものですから、なかなか厳しい選択になるのかなと思います。これらは、旅客の圧倒的にみんな、なんといいますか、割合と言いますか、えちごトキめきという新潟県の並行在来線会さんの考え方がまず中心になって、それに基づいて私どもがお付き合いして頑張っていくんだという世界だと思うので、そこまでの議論は進んでないというのが現状かなと思っています。
それから駐車場ですが、実際先ほど、新高岡駅という話をされましたが、多分ですね、私たち心配していますのは、小杉駅から呉西の方、どこもそうなる可能性が高いと思っているのが、新幹線駅のところに無料の駐車場が大量にできるみたいにちらっと聞いていたような気がするんですが、もしもそうなったらですね、多分、わざわざ石動駅で無料駐車しあいの風に乗らなくて、直接新高岡へ行った方が、余分な経費かからずに新幹線に乗れるよというのが富山県民の感覚だろうかなと思っています。そうなるとちょっとうちは困るなという状態でございまして、それで、いま先ほど言いましたように、フリーの方だけが乗ってくれればいいといわれましたが、それも奪われてしまうのかなという不安の中で悩んでいるというのが現状だと思っています。
それから、最後の方ちょっと、はっきりわからなくて、ちょっと聞き漏らしました。ごめんなさい。3点ほどあったと思いますけど、真ん中だけちょっとわかって、お答えしますけど、真ん中の乗継割引という話ですけど、いま乗継割引きの議論をしているのは、JRさんとの乗り継ぎ割引の話は、私どもの会社と枝線に行くときの乗り割の話なので、私どもの列車と新幹線の乗り割という議論はとくにしていません。これは一部相互乗り入れという形で、連絡運輸の中で、どこまで割引しようかという議論を枝線とはやっているということであります。
質問(D)
新幹線の建設にあたっては、先ほどの見解でも言われたようですけど、県も県民の税金から負担しているわけですね。ですから、その負担した分を新幹線の県民の持ち分として、そこから得る収入をあいの風さんとか、他の公共交通事業さんへのその財政支援基金にあてればどうかということを以前、県のタウンミーティングで提案したんですけれども、そういったような支援はあいの風さんとか、いろんな2次交通の会社にあるのかどうか、できるのであるのかどうかということをお伺いしました。
朝倉隆文専務
ちょっと詳しく知らない分野なんですけど、ただ、先ほどの貨物調整金のところには、新幹線のほうのお金が回ってきているのは確かなんで、一定のそういう枠組みは政治的には徐々に改善されているし、今後も、言われたような趣旨で、県に働き掛けていくことになっていくと思っています。
司 会 渡辺眞一
すいません、先に進めさせていただきます。質問の方、いま4人で打ち切ったのですが、どうしてもっていう方、おられますか?、はい、どうぞ。
質問(E)
泊駅で隣県の接続を考えておられると聞いているんですけども、同じホームで乗り換えできるようになるのでしょうか。
朝倉隆文専務
泊駅のホームを改修してまして、同じホームで、20メーター位だったか正確には覚えていませんけど、歩いて乗り換えできるような構造にして、たぶんホームで待ち合わせする時間が出る可能性も高いものですから、待合室の整備もいま準備しています。
質問(C)
あと、石動駅ですけど、折り返しなんですけども、いまの上り一番線を利用して出発を想定して折り返しできるようにするということは考えておられるんですか。
朝倉隆文専務
先ほど言いましたように、石動駅は非常に構造的にかなり金をかけないと難しいというのが現状です。それを会社で負担できるだけの体力がないので、行政的な判断をいただいて、そういう方針になったら考えていくのかなという話を小矢部市にはしています。
司 会 渡辺眞一
もう何分になってきたんですが、土居先生のですね、レジュメの5ページなんですが、土居さんから話されました交通基本条例にかかわってですね、2013年12月に長岡京市でできた条例があります。これについて話をしてほしいという質問が来ましたので、土居先生…。
土居靖範先生
ちょっと補足でまちづくり条例、交通まちづくり条例についてお話しします。ぜひ、名称はいろいろありますが、交通まちづくり条例をつくっていただきたい。全国でできています。最初は福岡市です。交通基本法を国で議論している中で、やはり地域住民の交通の足を守るのは自治体だと制定されました。高齢化社会になってきて、公共交通がなくて引きこもりになってしまうとか、買い物にもいけない状況です。そこでまちをどういうふうにしていくかということですね。
基本的に交通を便利にしたまちづくりをやっていこうということで、公共交通を便利にすることがあります。また車椅子の人には歩道に段があったり、車道も歩道がないところがあって、非常に歩きにくいんです。それも含めてね、どういったまちづくり条例が必要検討し打ち出してほしいと思います。京都の長岡京市は12月にできたばかりでです。前にバスの調査で行ったんですけどね、非常に意欲的なまちで100円バスを運行したりしています。
司 会 渡辺眞一
だいたいちょうどいい時間になったので、終わりたいと思います。第9回目になりました今日のシンポジウムなんですけども、今日来ておられる顔ぶれを見ましてもですね、いろんな立ち場の人がおられます。いろんなセクションで頑張っている人もおられます。それでこのシンポジウムとすれば、なにかをまとめるということはいたしません。これまでもずっとそういうことだったんですが、まとめるということはしません。それぞれの方が、今日学んだことをですね、今後に生かしてほしいと。そして、県に申し入れる人もあれば、運動をする人もおれば、いろいろだと思いますが、それぞれの立場でやってほしいというのがこのシンポジウムの趣旨です。ですから、チラシにも書いておきましたけれども、「県民の討論の場を提供する」というのが趣旨であります。今日は、どうもみなさん、ありがとうございました。
(文責;公共交通をよくする富山の会事務局)
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