2003年8月21日
 
  富山市長 森 雅志 殿
 
                            公共交通をよくする富山の会
                              代表世話人 奥田淳爾
 
 
JR富山港線の路面電車化に関する質問について
 
 貴職におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 JR富山港線を路面電車にする構想が動き始めたことは、富山市の将来の公共交通体系確立にとって画期をなすものといえます。私たちは、この構想の実現を願い先月21日、富山港線の歴史を継承し、新たな時代にふさわしい富山港線となるよう市民・沿線住民などに呼びかけ「富山港線探訪と路面電車を考えるつどい」(以下「つどい」)を企画したところ多数のご参加をいただき、市民の関心の高さを伺わせました。また、富山市や県のご参加もいただきありがとうございました。
 私たちは5月16日、貴職に「富山港線の路面電車化に関する質問と要望」をさせていただき、ご回答をいただきましたが、今回の「つどい」をつうじまして、寄せられた様々なご意見などもふまえ、改めて質問させていただきます。
 ご回答は、9月5日までにいただきたく、宜しくお願いします。
 
質問1、「JR富山港線路面電車化検討会」の役割と今後のスケジュールなどについて
 さる7月25日、県・市・学識経験者・交通事業者などで「JR富山港線路面電車化検討委員会」の初会合がおこなわれたとの報道がありました。この「JR富山港線路面電車化検討会」は、「経営主体」「サービスレベル」「施設計画」について実質的な協議に入り、今年11月にも「基本方針をまとめる」と報道されています。
 
 そこで、@「JR富山港線路面電車化検討会」の役割と、検討される内容、今後の協議スケジュールについてお聞かせ下さい。
 AJR富山港線の路面電車化に関して、上記の「JR富山港線路面電車化検討会」の他に、「富山駅周辺整備協議会」、さらに「富山市交通マスタープラン策定協議会」においてもJR富山港線の路面電車化が課題にあがっています。この三つの「検討会」「協議会」のそれぞれの役割と相互の関連はどのようなものなのですか。
 
質問2、「JR富山港線路面電車化検討会」の「非公開」という扱いについて
 さる5月、当「会」は、「富山港線の『路面電車化』は、富山市の交通体系の将来に新たな大きな展望を切り開くものだけに、市民の参画、沿線住民の参画は大変重要です。市民のニーズに応え、市民の協力が様々に得られるなかで持続的な運営がはかられます。私たちは、『路面電車化』に関する情報提供と、政策立案・決定のあらゆる過程に市民参画をつうじて、築き上げられることを要望します。このことについても、お考えをお聞かせ下さい」と質問をさせていただきました。
 これに対して、貴職からは、「現在の富山港線の利用者は年々減少傾向にあり、その利用実態に応じた運行形態を強いられています。富山港線の路面電車化にあたっては、市民、特に沿線住民の支援協力が必要不可欠であります。いかにして、より多くの方々に路面電車に乗って頂けるかは、市民がどのようなニーズを持っているかを把握することが重要であり、それを計画に生かしていくことが持続的な運営を支えていくことにもなります。現時点では経営形態等が未決定でもあり、収支採算性の問題もありますが、市といたしましても、できる限り市民のご意見、沿線住民のご意向を伺いまして、計画立案に反映させていきたいと考えております」との回答をいただきました。
 ところで、今回の新聞報道を見る限りにおいては、「市民参加」の方向がありません。加えて第1回の「協議は非公開で進める」(「富山新聞」7月26日付)と報道されてます。
 
 そこで、@「路面電車化」の政策立案・決定のあらゆる過程に市民参画をおこない、あらゆる情報を市民に提供し、公開を原則として「路面電車化」計画を推進されることを要望します。このことについての貴職のお考えをお聞かせ下さい。
 A第1回「JR富山港線路面電車化検討会」を「非公開」とされた、その理由をお聞かせ下さい。また、今後も「非公開」とされるのですか。
 
質問3、JR富山港線・路面電車の新設ルートについて
 先月21日、当「会」が「富山港線探訪と路面電車を考えるつどい」を開催した際に、参加者を対象にして「JR富山港線の路面電車化アンケート」をおこないました。(この「アンケート」は、沿線住民などを対象にしてその後も取り組むことにしています)
 この「アンケート」では、市の路面電車化構想には72%の方が「歓迎」です。ところが、路面電車の新設ルートについては、富山市案について44%の方が「賛成」ですが、「別ルートをつくる」「他の案」と答えた方が32%、未記入は24%となりました。もちろん、このアンケート結果だけで判断を下せるものではありませんが、「つどい」に参加された路面電車化に関心の高い方々の声として大切であると考えます。
 
 そこで、路面電車の新設ルートは、市の案を提示しつつも広く市民の声を汲み上げてこそ、「市民の支援協力」の具体化であり、持続的で市民がつくる路面電車となって発展すると考えますが、このことについてのお考えをお聞かせ下さい。
 
質問4、平成18年にJR富山港線を路面電車にすることで危惧される問題について
 JR富山港線を富山駅高架化に入れないという結論は出ておりません。今後の協議とされていますが、貴職の計画では、JR富山港線の路面電車化は平成18年とされています。この計画通りに、路面電車となれば、平成18年に富山港線は独立した線路として運行することが予想されます。
 このことは、次のような新たな問題を発生することにつながります。
@路面電車は鉄道事業法ではJRが路面電車を運行することができません。路面電車化する富山港線をJRが運行することになれば、JRは新たに路面電車の免許を取得することが求められます。
A富山市の計画通りに推移すれば、北陸新幹線が開業するまでの間、富山港線は、富山駅に入る手前で線路が切断されたることが予想されます。
 それは、一つには、富山港線を独自に運行することを余儀なくされることにつながり、新たな車両、検修のための工場と人員が必要になります。もちろん新たに運転手の確保と訓練期間も必要です。これらの確保と体制はどのようになるのでしょうか。
 もう一つは、財政的な側面からです。新たに車両の購入、検修のための工場、職員や運転手の人件費など諸費用は大きなものとならざるを得ません。それに、車両検修などの施設・設備は北陸新幹線開業後、現在の市電と接続することになれば無用の長物となりかねません。
B平成18年にJR富山港線を路面電車にすることは、北陸新幹線開業までのおよそ7年間は、富山駅に乗り入れすることができず、市電とも接続しない期間が発生します。これは、現状より利便性を後退させることになります。さらには、この期間の富山港線の経営はどこがおこなうのかという問題があります。
 
 そこで、以上の@ABの各項目について、それぞれお考えをお聞かせ下さい。
 
質問5、JR西日本の経営参加について
 富山市も県も、先の6月定例議会では「JRの責任は重大」との考えを打ち出されています。それは、私たちも同じ認識です。先に紹介した「JR富山港線の路面電車化アンケート」でも、JR西日本が富山港線の路面電車の経営に携わることに関する質問では、JRは「経営に参加すべき」72%、「なんらかのかたちで参加する」20%と、合わせて92%の方がJR西日本が経営に参加することを望んでいます。
 
 そこで、JR西日本が路面電車化する富山港線の経営に参加することを求める市民の声を、どのように生かそうとされいるのか、お考えをお聞かせ下さい。