公共交通をよくする富山の会は、富山港線路面電車化検討委員会「中間とりまとめ」を受けて2003年12月18日、「申し入れ」を行いました。全文を掲載します。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 2003年12月18日
 
   富山市長 森 雅志 殿
 
                            公共交通をよくする富山の会
                                代表委員 奥田淳爾
 
  富山港線路面電車化検討委員会「中間とりまとめ」について、
  さらに、ご検討をすすめて頂きたい件に関する申し入れ
 
 公共交通の充実について貴職のご活躍に心から敬意を表するものです。
 さて、私たちは大きな関心を寄せて富山港線路面電車化検討委員会「中間とりまとめ」を拝見させて頂きました。私たちは、富山港線の路面電車化が富山市の将来の公共交通の活気となることを願い、これまでに二回の「質問」をさせて頂き、私たちとしても「富山港線探訪と路面電車化を考えるつどい」や沿線住民のみなさんへのアンケートなどをおこなってまいりました。また、9月には貴職へ「提案」もおこなって参りました。
 
 そこで、今回の「中間とりまとめ」を拝見させて頂きますと
〇路面電車の導入による自動車交通への影響を最小限にするよう、地元住民の意見を聴きなから、関係行政機関と十分協議し計画決定をおこなうこと。
〇施設等については、安全と適切な保守レベルを維持できる要員体制をとること。
〇100%低床車であることが望ましいとされたこと。
〇15分程度の間隔で運行する計画を基本とし、運行時間帯の延長をはかること。
〇富山地鉄と同じ運賃体系である「均一制」をとること。
〇富山港線とバス路線の連携強化によるバス&ライドや、サイクル&ライドをはかること。
〇富山駅の南北を結ぶ短絡軌道を建設し、駅南側の富山地鉄の市内軌道と接続すること。
 以上の諸施策などは、市民のみなさんや私たちの「提案」も組み入れられたものとなっているものと有り難く思います。
 さらに「中間とりまとめ」では、「富山港線路面電車化の社会的便益の試算」「市民・企業との協動による推進・協力体制の確立」などにも踏み込んだ積極的なものと伺えます。
 
 新聞報道などによれば、富山港線の路面電車化について「年度内に最終答申。来年1月ごろに庁内に推進室を設置し、第三セクターの新会社の資本金や出資者とその額などにつて本格的な検討を始める」(「読売」03.11.28)とされており、今後急速な展開が予想されます。
 この状況に鑑み、私たち公共交通をよくする富山の会が富山港線沿線で独自に行ったアンケート調査結果や現地調査に基づき、以下の諸点について改めて要望するものです。
 また、私たち公共交通をよくする富山の会と貴職との懇談の機会を設けて頂くことを、合わせて申し入れるものです。
 なにとぞ格段のご配慮を賜りますようお願い申し上げます。
 
、「中間とりまとめ」は、最もふさわしい経営形態として第3セクター化の方向を打ち出されました。しかし、貴職が議会などで明らかにされてきた「JRの責任」については、「現富山港線の事業者として大きな役割を果たすことが期待される」にとどまっています。
 当「会」のアンケート結果をみても77.9%(参加すべき、何らかのかたちで参加)がJR西日本の経営参加を求めています。この市民の願いをいかして頂きたいこと。
 
、初期投資額は約45億円で、内訳は新車両導入に約16億円、綾田北代線の拡幅などに9億円、ホームや変電所の施設設備に約20億円(「富山新聞」11月28日)となっています。
 この施設設備投資額約20億円は、JR資産の買い取りを含むのかどうかは不明確ですが、仮に、JR西日本が第三セクターに参加しないとなれば鉄道資産の無償譲渡を求めること。
 
、富山市の具体的な支援については明確になっていません。万葉線やえちぜん鉄道のように「上下分離方式」を採用し富山港線の経営安定をはかること。
 
、富山駅内に停留場(新設駅)を設置すること。
 
、需要予測について、競輪送迎バス廃止、将来の市電との接続、利便性の向上などの施策をすすめることで約5000人/日程度まで増加すると予想し、平成32年で約4800人/日の需要を見込み、開業時は約4200人/日としています。
 この需要予測を現実なものとしていくためにも
@富山駅高架化工事完成までは仮設線路等による市電との連絡運行を検討すること。
A富山港線沿線のバス路線と富山港線の連携強化によるバス&ライドやサイクル&ライドを沿線住民や富山港線利用者の声をいかして急いで推進すること。
B昨年、今年と福井県勝山市では、市・鉄道事業者・市民団体・学者研究者による「鉄道まちづくりシンポジウム」が行われています。これも参考に市民、利用者、商店街、交通労働者、交通事業者の代表などによる「市民委員会」(仮称)を早急に立ち上げること。
C新設ルートについては、沿線市民の意見を汲み上げ合意形成を図るとともに、富山港線の路面電車化にかかわる全工事期間を通じて適時「市民公聴会」を開催すること。合わせて、地元新聞紙上での意見交換の場を設け、市民とのコミュニケーションをはかること。
 
路面電車の運行にあたっては、安全運行のための基準を確保し、労働者には労働基準法の厳守で、利用者が快適に安心して利用できるようにすること。
 
、各駅と現行のJR用地の活用について、各町内会など住民の総意をいかした施設などに活用すること。街の名所・観光などを考慮した案内板の設置をおこなうこと。
 また、富山港線と富岩運河を活用した回遊性のあるまちづくりをすすめること。
 
、JR線から路面電車するにあたっては、2週間程度の運休期間を設け代替えバス運行をすると承っています。運休せずに路面電車への切り替えができるよう検討されたいこと。