富山市長 殿
2004.11.09
富山港線の路面電車化に関しての申し入れ
北陸線・ローカル線の存続と公共交通をよくする富山の会
貴職におかれては、よりよき市民生活の向上にご尽力されていることに敬意を表します。
さて、近々実現するとされております、JR富山港線の路面電車化にあたりましては、様々な施策を試みられておれることと存じます。私ども「北陸線・ローカル線の存続と公共交通をよくする富山の会」におきましても、各担当者様から様々なご説明をいただき、そのお取組は十分に承知しております。
しかしながら路面電車が具体性を帯びるにつれ、いくつかの点で確認申し上げたいことが生じて参りました。つきましては、運賃、車両等、下記の4点について申し入れをさせて頂くものです。
@運賃の問題について
路面電車化されたJR富山港線は、北陸新幹線開通後に富山駅南の地鉄路面電車とつなげられ、両者合わせて富山市街を南北に貫く交通機関軸に一本化されると計画されています。しかしながら運賃面では、一本化されるのかどうか、いまだ不透明です。特に、新幹線開通までは地鉄路面電車とつなからず、別々に運行されることから、運賃面でも別々に徴収されるのではないかとの懸念がもたれています。
仮に別々に徴収されることになれば、JR富山港線沿線の利用者は富山市中心部に向かう際、運賃を二度にわたって徴収されてしまい、負担が加重されます。結局JR富山港線の競争力をそぎ、乗客確保が難しくなるでしょう。それにもまして、そもそも一本化された交通機関軸を構想している以上、運賃面でも一本化することが自然でもあります。
そこで、路面電車化されたJR富山港線の運賃については、地鉄路面電車に接続した後はもちろん接続前でも、地鉄路面電車と運賃表を一体化させ、運賃が通算されるようにすべきです。地鉄路面電車との接続前の時点では、富山駅北口での降車時に乗り換え券などを発行して対応してはいかがでしょうか。
さらに、一本化された交通機関軸として確立していくためには、この軸に接続するバス路線を培養線として活かしていくことが必要です。そのためには、路面電車とバス路線で別々に運賃を支払うことがネックになります。この問題を解決するためにも、路面電車とバス路線を運賃面で一体化した、ゾーン運賃制の導入も計画すべきでしょう。これを導入に向けて、関係する、ライトレ−ル社、JR西日本、地鉄、まちづくりとやま等が協議する場を設け、市が主導的な役割を果たしていただきたいと考えます。
A乗り継ぎの問題について
路面電車化されたJR富山港線は、北陸新幹線の富山開業まで、富山北口の仮駅止まりで、富山駅南の地鉄路面電車に接続されません。この時、懸念されるのは、富山北口の仮駅から、富山駅南のバスターミナルまでの導線の長さです。この長さは400メートル程度あり、登り降りもあります。この距離を移動することがバス乗り継ぎの前提となってしまうと、路面電車化されたJR富山港線は競争力をそがれ、乗客の確保に悪影響を与えるでしょう。
そこで、地鉄路面電車に接続されるまでの暫定処置として、駅南止まりのバス路線のうち、主だった路線で駅北口へ乗り入れを行うべきです。また、富山駅北口では路面電車とホームを挟んだ対面で乗り換えできる位置にバス停留所を設けるなど、シームレスなかたちの乗り換え環境を整えるべきです。とくに、コミュニティバスや市民病院方面(41号線)へのバスでこの施策が必要と考えます。
B車両の問題について
JR富山港線を導入される車両は、現在走行している万葉線の新型低床車両(新潟トランシス社製)と聞いています。この車両は、車椅子やベビーカー、高齢者の手押し車でも楽に乗り降りできるバリヤフリーとして喜ばれていましたがが、次の3点で検討が必要と考えます。
a.降積雪時、凍結時に車輪の空転感知機能が作動することで生ずるトラブルの防止対
策です。上記の件で一時正常運行ができなくなったとの報道もありました。このト
ラブルの起きる要因は、
・交流モーターを使用しているため、過大電流が流れることへの防護
・全車軸が駆動軸でないため、路面凍結や、積雪時の負荷から起きる、従軸車輪
との回転数の違い
などから発生するものと考えられています。
この種のトラブルは、「アイトラム」車ばかりでなく、交流モーターを使用し全
軸が駆動軸ではない地鉄市内軌道線の8000型車でもほぼ同様のトラブルに悩まされ
ていると聞いています。
冬期間の定時運行の確保は、路面電車にかけられている大きな期待と言えます。
降積雪時、凍結時に起きたトラブルについて、メーカー側と綿密な検討と対策が求
めます。
b.8月8日万葉線で起きたR160M、1000分の20上り勾配での脱線事故、さらに9月30日
の本丸会館前電停ポイントでの脱線事故は、原因不明のまま現在も運休状態が続い
ています。台車の構造自体に問題があるのでは、との指摘もありますが、それでも
全車をこの車両とすることに、問題はないのでしょうか。
c.JR富山港線は全ての車両が同型車とすることになっています。もし同車に共通する トラブルが万が一発生した場合、代替車両がないことになく、全線運転休止の事態 をまねく恐れがあります。万葉線は、幸いにも代替車(7000型車)がいるため、通 常のダイヤが確保されています。
全車両を同一にするメリットもあれば、デミリットもあることを想定し、より慎
重な検討が必要ではないでしょうか。
C路面電車化前のJR富山港線の利便性維持について
路面電車化を前にして、現在のJR富山港線について、その利便性の低下を訴える声が沿線の学校関係者より寄せられております。具体的には、学生の帰宅時間にあたる時間帯で減便され(かつての岩瀬浜発17時17分発の便など)、学生の帰宅に支障をきたしているというものです。とくに、年少、障害等で保護を必要とされている学生については、待ち時間が延びることは深刻な問題です。また、路面電車化を前にしてかような利便性の低下を放置すれば、JR富山港線の利用客離れが一層進み、路面電車化後の富山ライトレール社路線の利用客確保にも悪影響を与えることでしょう。
一度離れた利用者はなかなか戻ってきてはくれません。将来、富山ライトレール社が自身の路線で利用客をしっかり確保するためにも、路面電車化前のJR富山港線の利便性の維持・充実についてJR西日本に対し、富山市から明確に申し入れを行っておくべきと考えます。
以上4点につきまして、ご検討下さいますよう申し入れいたします。
◇連絡先
北陸線・ローカル線の存続と公共交通をよくする富山の会
〒933-0293 富山県新湊市海老江練合1-2 富山商船高専
岡本勝規研究室(事務局)
電話・FAX:0766−86−5293
E-mail:okamoto@toyama-cmt.ac.jp
HP:http://www5e.biglobe.ne.jp/~thlt/
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