2011年8月3日
国土交通省
国務大臣 大畠 章弘 様
 
孫・ひ孫の時代にも維持可能な並行在来線を実現するための申し入れ
 
                      北陸新幹線・並行在来線問題連絡会
                             
                      在来線を守る長野県連絡会
                      暮らしと地域を支える鉄道の充実を
めざす新潟県連絡会
公共交通をよくする富山の会
公共交通を守る石川の会
長野県労働組合総連合
新潟県労働組合総連合
富山県労働組合総連合
石川県労働組合総連合
国鉄労働組合長野地方本部
国労労働組合新潟地方本部
国鉄労働組合北陸地方本部
                                                          
東日本大震災の復旧・復興と公共交通の充実、発展のため奮闘されていることに敬意を表します。
私たちは、並行在来線といわれる北陸本線・信越本線が、孫・ひ孫の時代までも地域住民の生活と地域経済、さらには国土のつり合いの取れた発展のために維持・存続されることを切に願っています。これは、沿線住民の共通する願いでもあります。
 特に、東日本大震災では、東日本の大動脈である東北本線や常磐線が地震と津波で寸断され甚大な被害を受け、被災地への物資や石油輸送において、北陸本線が鉄道貨物の代替の役割を発揮しました。
国におかれましても、交通基本法案の制定や6月8日に成立した「国鉄債務等の処理法案」など、交通に関する施策についての基本方針・目標や、交通に関する総合計画・計画的に構ずべき施策を定めたり、経営難を抱えるJR三島、貨物などの鉄道支援の処置等、国民の足を守るため、環境保護の視点での対策を講じようとしておられます。
加えて、国会の創意であるその「附帯決議」では、全国鉄道ネットワークの再確認と並行在来線について、地域の足、物流の動脈、新幹線鉄道ネットワークの補完・充実に資すること、経営の安定などを上げています。
平成22年10年27日に並行在来線関係道県協議会(11道県)の国への「要請書」にも明記されているように、並行在来線は地域公共交通の基幹、地域間を結ぶ幹線鉄道です。また、国の物流政策の基幹であり、地球環境からも重要な役割を担う鉄道です。
 さらに、11道県「要請書」が指摘しているように、並行在来線は「国の運輸政策の中で引き続き維持存続すべきもの」と考えます。
 しかし、整備新幹線が開業すれば並行在来線を「廃止」(JR経営分離)するという国の運輸政策の基本は、政権が変わっても変更されることなく、沿線自治体・利用者と住民生活・地域経済に過大な負担を背負わせるものになっています。事実、長野県はじめ北陸4県では別々の会社が運営することで進んでいます。北陸本線の新潟区間は電化区間にもかかわらずディーゼル車導入を明言するなど、「赤字」になることが分かっているのに会社を立ち上げざるをえなくさせる政府の政策は、地域に新たな格差や不公平を生じさせるものです。
 並行在来線をJRの経営から分離することに同意した沿線自治体の責任にも大きなものがあります。だからといって、地方自治体や沿線住民に苦難の経営となる並行在来線を押しつけて、政府の責任が免罪されるものではありません。
 また、並行在来線の経営からJRが撤退しなければならない“経営上の根拠”や“経営上の必要性”については、国からも、JR東日本やJR西日本からも示されてはいません。国鉄からJRに変わった時点と現在の両社の経営状況は内部留保の増大にみられるように大きく変化しています。
 本来国は、東日本大震災の教訓を踏まえ、11道県の「要請書」が示しているように、前政権の「政府・与党合意」について、根本的な「見直し・再検討」を行い、並行在来線を将来に渡って維持・存続するための実効ある政策を示す責務を負っていると考えます。
 私たちは、現在の並行在来線を巡る各県の取り組み状況も踏まえ、国が責任をもってこの事態に対して、積極的なイニシアチブを発揮されることを求め、下記の申し入れを行うものです。
 
 
 
1.東日本大震災の教訓は、国が全国鉄道ネットワークを維持することの重要性、さらに、並行在来線が物流の動脈として、地域住民の足としての重要な役割を再提起しました。
その教訓にも学び、平成2年の「政府与党申し合わせ」を見直し、
@北陸新幹線の開業に伴う並行在来線は、JRかもしくは国が運営する方式にすること。
A並行在来線を将来に渡って維持するための新たな「法」をつくることも検討すること。
 
2.第三セクターの復旧費用の国の補助率を引き上げるとともに、北陸本線を第三セクター鉄道にするとしても、国の物流の動脈としての役割を維持できる災害補償制度を確立すること。
 
3.当面、整備新幹線貸付料などを運用し、現行通りJR東日本・JR西日本が並行在来線区間を運行する制度を確立すること。
 
4.11道県「要請書」が求める鉄道施設の「無償譲渡」「初期投資への助成」「税制上の優遇措置」「貨物線路使用料増額」「赤字補填・運営費助成」「災害助成の充実」などは各県の切望するものであり、国が責任をもって実行すること。
  特に「無償譲渡」は、各県が第三セクターに踏み出す中で、「無償」か「簿価」であるか  は、今後の経営にとって決定的である。国鉄から無償で譲渡された、九州や富山のライトレ  ールなどを参考にし、既存の第三セクターの苦境を踏まえ、「無償譲渡」とすること。
 
1.JRの経営責任を明確にし、前原元大臣の「JRに応分負担をさせる。」という発言をきちっと実現させること。加えて、並行在来線区間の総点検と修繕をJRの責任によって行わせること。 
                                 以上