165系
 1963年に急行用電車として、中央東線などの山岳・勾配線区にも対応可能なよう、抑速発電ブレーキや耐寒設備を装備して登場しました。当初から制御電動車クモハ165形が製造され、短編成の組成が可能であったため、次第に急行列車が廃止され、本来の活躍の場が狭められながらも短編成に組替えのうえ、普通列車などローカルな運用に転用され、永らく活躍してきました。車内は4人掛けボックスシートが整然と並ぶ客室で、客室とデッキ部には仕切りもある国鉄時代の標準的な急行型の構造です。最近では老朽化により廃車も進み、その姿を見ることも少なくなりました。
 K(K1〜3、K1−1〜4−1)編成(静岡運転所)
実車について
 K編成は、急行「東海」用編成の8両編成(K1〜3)と同じく急行「東海」用付属編成の3両編成(K1−1〜4−1)です。K1〜3編成は中間にグリーン車サロ165形を2両連結した堂々たる編成で、両先頭車が制御車クハ165形となっています。編成は3本全てが静岡運転所に配置され、急行「東海」廃止まで運用に就いていました。編成にはユニット窓に改造されたサロ165形や、中間電動車同士ユニットを組んだ新製冷房車など、特色のある車両が組み込まれており、編成中でも製造時期が異なる車両が混結されるなど、興味深い編成でした。K1−1〜4−1はK1〜3編成の付属編成として使用された編成で、こちらは制御電動車クモハ165形を組み込んだ3両編成です。K1〜3、K1−1〜4−1ともに、1996年の急行「東海」廃止により東海道本線を去っていきました。
模型について
 写真はKATO製「さよなら急行「東海」セット」です。最終日の急行「東海4号」に使用されたK3編成を再現した限定品として発売されたものです。急行「東海」が廃止された1996年頃は、次第に床下のグレー塗装化が進行していた時期で、165系も例外ではなく、床下をグレーに塗装した車両が多くありましたが、K3編成はあえてスカートを黒塗装に戻すなど、往年の姿をとどめていました。そのため模型も黒い床下となっています。また、冷房改造車と新製冷房車とで異なるクーラー・ベンチレータ配置や避雷器の位置、K編成のほとんどの先頭車で施されていた信号炎管の助士席側から運転席への移設を忠実に再現しているなど、見どころの多い製品です。写真では、この製品を小加工し床下グレー塗装後のK2編成を再現したものです。また、ユニット窓化されたサロ165−108を組み込んでみました。
模型写真
 

 

 F編成(静岡運転所)
実車について
 F編成は、急行「富士川」用の4両編成です。グリーン車の連結もなく、普通車ばかりの4両という短い編成で、急行「東海」用のK編成と比べると影の薄い存在でしたが、両先頭車がクハ165形の端正な編成でした。こちらの編成も、急行「富士川」の廃止とともに、後進の373系に追われるように姿を消してゆきました。
模型について
 KATO製165系単品で揃えた4両編成です。初期の製品ではシールドビームに改造されたクハ165形がリリースされていなかったため、原型ライトのケーシングを削って、それらしく見せています。また、信号炎管が表現されていなかったため、運転席側の屋根上に追加しました。
模型写真
 
 T編成(神領電車区)
実車について
 静岡運転所の165系が姿を消した後も、神領電車区の165系はしばらくの間、活躍を続けていました。神領電車区に配置されていた165系はいずれも制御電動車クモハ165形を組み込んだ3両編成で、中央西線を中心に運用され、飯田線内の普通列車や週末のイベント列車としても活躍しましたが、313系の投入により、姿を消しました。
模型について
 KATO製「165系JR東海仕様」6両セットです。JR東海神領電車区に所属した編成をモデルとしたセットで、床下はグレー、Hゴムは全て黒色となっているほか、先頭車の信号炎管の位置も各車で作り分けてあり、末期の姿を再現しています。動力付きとなしの2編成6両セットで、中間の先頭車同士の連結部はアーノルトカプラーでスカートも可動式のものですが、これをTOMIXの169系用のTNカプラーおよびスカートに交換してみました。
模型写真
 

 U1編成(静岡運転所)
実車について
 165系700番台「ゆうゆう東海」は、1989年に登場したジョイフルトレインです。静岡運転所に配置の165系3両編成を元に改造され、JR東海の他のジョイフルトレインと同様、700番台が付されましたが、等級標記はグリーン車(ロ)には変更されず、普通車(ハ)のままとされました。車内は座席部分を一段高くし、リクライニングシートを1000mmピッチで配置した特急普通車並みのもので、中間車中央にはカラオケセットを完備した多目的ステージが設置され、また先頭車には前方展望も楽しめるラウンジも設けられました。
 外観も塗色変更以外に、先頭部のデザイン変更や側窓の固定窓化などが施され、およそ165系とは思えないような外観となりました。
 汎用性の高い165系(800番台)を元に誕生した「ゆうゆう東海」は、平坦・山岳線区どちらの線区でも十分な性能を発揮できる機動性や、3両編成のコンパクトさを生かして、静岡地区をはじめJR東海エリアを中心に団体貸切列車などに活躍しましたが、改造元の車両が決して車齢の若い車両ではなかったため、登場から10年、1999年11月11日の臨時列車を最後に引退しました。 
模型について
 TOMIX製165系からの改造です。先頭部はライトなどの穴を一旦全て埋めた後、窓・ライトケーシングを開けています。側窓の固定窓化には、中島工房のはめ込みガラスを使用しています。
屋根上では、「ゆうゆう東海」に改造された165系3両編成は、すべて新製冷房車だったため、デッキ部のベンチレーターの撤去などの加工を施しました。その他、電動車(モハ164形)の屋根上には、ラジオアンテナを追加しています。前照・後尾灯については、現在のところケーシングのみとしています。
模型写真
 

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