自転車革サドル(皮サドル)の製作の3回目を報告します。モンダイ山積みですが、一応はカタチになっています。乗ってみたフィーリングは考えていたよりも柔らかい感じです。実際の使用ではもう少し硬い方がいいような気がします。全体が少しずつチグハグにまとまっている感じです。
カタチにしたことで問題点が現れた状態ですね。それがわかっただけでも試作の意味があるんじゃないかなあ。
前部の固定金具
前回提示のモノから変更しています。自転車部品でいうとチェーン引き(チェーンアジャスター)の機構と似ています。考え方もまったく同じです。取り付けのベースに対してトップ革が引っぱれればOKですから、もっと簡単な構造があるかもしれません。生産性が良くて軽くカンタンな考え、、、
まだまだ金具としての工夫が必要です。プレス製にこだわった前回の反省(しないけどね)から、手作りタイプに変更しましたが、これを作ったことで前の考え方も入れて作りなおします。何度か作っていくうちにまとまってくると思います。
月形金具
鉄板をそのまま切り出したタイプです。前回よりも板厚を薄くして曲げ加工しています。トップ革との裏側の密着は革をかまぼこ状に削って当ててみました。密着度はだいたいOKと思います。少数試作の場合はこれでもOKじゃないでしょうか。まだまだ分解組み立てしますのでネジ止めになっています。
最初に製作していた中ではこの金具が一番難関かと思っていましたが、いろいろやっていくうちに考えがまとまってきました。もう少し軽くして、見た目の質感も上げなければなりません。
ワイヤーベース部と組み合わせ
通常はトップ革に張力をかけながら組み立てていくようですが、前後の金具を組み立てた後に調整ネジで張力をかけています。このへんの感覚は何度か作ってみないとわかりませんね。
各部の組み立てはネジです。ここまで来るのに組み立て、分解をくり返していますし、乗車テストの後にも分解して確認をしますので、いつもこんなやり方をしています。寸法が落ち着くまではネジも長くしておきます。
後ろから見るとこんな感じです。ここから見てまとまって見えなければ作る意味がありません。
この状態で約600グラムです。最初の試作としてはこんなものでしょうか。もう少し軽くできるところもありますが、改良していくと重くなるだろう、、、なんてとこもあったりして、これをいじっている限りは重さとして変わらないかもしれません。部分的にアルミ化することも平行していきたいです。
乗った時のフィーリングで一番問題だと思っているのがトップ革の硬さです。革の剛性感と言ったほうがわかりやすいかな。まだちょっと柔らかい。組み立て時に張力をかけた状態がたよりない。カタチも変形してくる、、、。革の硬軟だけでなく金具などの要素も複合している感じです。
さらに硬い革での実験をやってみます。そうなると成形性が悪くなりそうですが、、、
自分でも乗っていますが、B社の革サドル、もう少し柔らかかったらどうなんだろうなぁ、、、と以前から思っていました。自転車乗りとしては「これくらい乗れなければ恥ずかしい」という思いや、「伝統のクラフトマンシップ」という言葉の前に、硬いよぉ~なんて言えなかった訳なんですね。
わざわざ革サドルを自作したのは、自分で作ってみればどっちにしても納得するはず、と考えたからです。作っている過程でいろいろ考えましたね。ここまでやってみてはっきりしたことは、
1、革の工芸としてはまったく追い付くことはできなかった。(やる前からわかっていたけど)
2、それでも試作1号としてはうまくできた、カタチになった。
いろいろ問題点が出てきましたが、進めていけばクリアーできる程度の内容です。今度はもっとうまくできる、、、
自転車ってほんとにむずかしい。
次回の報告は4月8日までにします。テーマは「もの運び自転車」として実車の製作。
革サドルの製作レポートとしては今回で終わりにしますが、製作実験はさらに進めていきます。さらにまとまったら報告します。あと一息なんだよね。
こんな話しですがわかってもらえますか?