マニアックでもいいですか?(4) 2006年6月

今回の製作は自転車部品のリアディレイラー(後変速機)製作レポートです。少し動きのあるモノを作ってみたくなったのでやってみました。動きが命の部品ですから実際に自転車に取り付けて実走テストもやっています。これでいきなりレースに出場というわけにはいきませんが、、、どうにか変速できて良かったです。

ディレイラーの形式はタテ型にしています。パンタグラフの方向がタテ方向に並んでいる形式ですが、今ではあまり見なくなりましたのでタテ型、ヨコ型の呼び方もなくなりましたね。取り付け自転車がモールトンAM7なのでちょっと古めのスタイルでまとめてみました。7段変速のフリクションタイプなので、昔のなつかしい感触を思い出します。


写真のディレイラーはカンパニョーロのタテ型ディレイラーです。以前の乗っていた自転車で使用していたモノですが、ワイヤー取り付け部から壊れてしまっていました。これをベースにした製作です。1つしか作りませんのでバネやプーリーなどはカンパニョーロの部品を流用しています。バラバラにして移植、再生するわけですね。

基本的には部品ごとに同じものを作ればいいのですが、作っていくだけでは動きやストロークが悪かった場合に検証できないので簡単な図面も書いておきます。製作したブツのどこが悪いかを確認するための図面ですね。基本的なところからやっていきます。せっかく作るわけですから、カンパニョーロの割れた部分はすこし厚めに作っておきます。


製作じょうたい

ほとんどがフライス加工で、アルミ材からの削り出しになります。前回のランプ製作と違って、削り量は少ないですが構造が複雑で、関係寸法がシビアです。寸法が狂っているとパンタグラフの動きがおかしくなります。きつく作りすぎると動きが悪く、ラフにしすぎるとガタで、、、ランプのようにどんどん削っていると寸法まちがいで即、オシャカです。

これはフレームAとフレームB(それぞれ右側が製作品)の写真。ワイヤーアジャスターも付けています。

 

シフター1とシフター2です。裏側に製造番号も刻印してみたり、、、

プーリーケージ(ガード)部 仮組みもしてみます。カンパーニョーロ部品と一緒に撮影しました。

 

これは製作途中のモノです。ピンを仮に組み込んで何度も動きを確認してみます。こんなことを何度もやります。だいたいOK(?)になると、紙ヤスリの番手を替えながらキズを取り、研磨剤で磨きます。なるべくきれいに作っておきます。


いちおう完成

パンタグラフの組み立てはカシメなどをすると再分解しにくいのでネジにしました。シフター1には(ナマイキな!)転写マークなども付けてみました。

   

自転車に取り付けた状態です。シフトレバーのワイヤー引き量の範囲におさまっています。適度なアップダウンをえらんで変速テストもやっています。シフトレバーに位置決め機構はありませんから、昔ふうの変速フィーリング。シフトの性能は泣いて感激するほどスバラシイわけではありません。まァ、こんなところでしょうか。

プーリーケージ長さも少し長くしたいです。ディレイラーを立ててセットすると地面との間隔も気になりますし、なるべく広げるとなるとヨコ型形式がベストかなぁ。写真で見るとタテ型と言うより、寝そべり型といったイメージですね。


自転車乗りの周りには壊れて使えなくなった部品がいくつもあると思います。壊れた部品でも、自分が使っていてモノに愛着がこもっているとなかなか捨てられません。部品を買ったときのことや、走ったところなどが浮かんできます。一般的な「機械の修理」として考えるとこんなことはまずありません。壊れた部品は捨ててしまうモノですね。

ぜったい使えないとわかっていても捨てられない。だんだんゴミ(のようなモノ)が増えてくるわけです。自転車乗りだったらわかってくれると思います。こんなところが自転車とフツウの機械と違うところです。

自転車って、ほんとにむずかしい。自転車には魂がこもります! という訳でもないが、、、


次回レポートは全天候型自転車のレコードブレーカー製作、あるいはワンタッチピクニカのどちらかを予定。梅雨の時期の製作は余計な時間がかかり、、、更新は7月8日までにします。

前から考えていた新・工場の建設準備に入りました。今年中にはある程度のカタチにする予定。そこで、何をやるかっていうと「立体版 ラットエンジニアリングの作業日誌」、、、なんかよくわからない。

こんな話しですがわかってもらえますか?

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