マニアックでもいいですか? (1) 2002年12月

自転車に興味をお持ちの方は御存じかも知れませんが、100年以上前にペダーセン自転車(Dursley Pedersen)というのがありました。デンマーク人のマイケル・ペダーセン(Mikael Pedersen)がデザインした自転車で、細い鋼管をトラスのように組み上げた自転車です。自転車のデザインといういろいろな制約のなかでは見事なものです。構成美があると思います。

1917年に第一次世界大戦が製造を阻止するまで英国で製造が行われていました。その後、生産はされていなかったようですが、1978年頃からデンマークのイエスパー・ソリング氏(Jesper Solling)が復活させたのでした。最近になってまた再評価され、ドイツ製のレプリカが輸入されているようです。ファンとしてはウレシイです。


初回のテーマはそのペダーセンです。わたしのモノはデンマーク製で93年東京サイクルショーで見て購入しました。部品構成はショーモデルと同じカンパニョーロにチネリのハンドルセットがついています。子牛皮のサドルとハンドルグリップやメープルでできた曲げ木ドロヨケ仕様のものです。税込みで37万円しましたが、実を言うと今まで一度も乗ったことがありませんでした。

乗らなかった言い訳はハンドルステムのガタつきとハンドルバーの固定力不足で(つまり2ケ所ともユルユルだった)、こんなもの乗れないよ。と。

本当の理由は自転車自体が変わったカタチをしているため、近所で変な評判が立つことを恐れたためです。「あの野郎、ヘンだとは思っていたが、、かわいそうに、、」などと。


せっかく買ったんだから一度ぐらい乗ってみるか、、。第一の不具合ハンドルステムを作り直そうと思い、やってみたわけです。

1,ハンドルバーのクランプは2本ボルト締めのオープンタイプ。26.0ミリ用

ハンドルバーとクランプの寸法が合っていないまま永年締め付けていましたので、下側は疲労破壊してしまいました。交換しようにも皮製グリップが抜けないので通常の交換作業ができませんでした。泣く泣くチネリのステムのクランプ部を切断して取り外しました。チネリが使えなくなったので、引き上げボルトは流用しました。たとえ部品として壊れていても切断する時は心が痛みました

2,突き出し寸法は110ミリ。

3,鉄製ラグ補強付(懐かしいイタリアンカット型) ロー付け

三日ぐらいで製作しました。写真のものはメッキ前のものです。バフ研摩をしてメッキをします。もちろんクロームメッキ。

以前にあったようで、また、なかったような不思議なパーツができました。


イロイロ申し述べましたが、虎の門の自転車会館にある本物にはかなわない。細工が実にいいです。一度ごらんください。

今回の改良を機に乗ってみると、ハンモック型のサドルはなかなか快適です。愉快な気分になります。日本製でもこんな乗車感を持った自転車があればいいなぁ。


こんな話しですがわかってもらえますか?

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