人間の自動的情報処理過程の検討
──閾下プライミング法を用いて──
東北大学 文学部 石田 翼
目的
いわゆる単語のプライミング効果が,プライム刺激を閾下で提示しても起きるという現象を確認する.
一般的な人間の情報処理過程は,意識的な過程と無意識的自動的な過程の2つの過程があると良く言われている(c.f. 注意研究など).これらの過程の特徴を説明すると,無意識的自動的な過程は,情報処理過程のかなり初めの方で立ち上がり,並列的な処理で,関連する機構・概念を活性化させる.一方意識的な過程は比較的ゆっくり立ち上がり,系列理で,関連する機構・概念を活性化させるだけでなく,関連しない機構・概念を抑制する.
このような過程が単語の意味処理においても行われていると言われている.すると,その単語の意味を意識的にわかる前に既に自動的無意識的に既に処理されわかっている,わかる前に既にわかっている,という奇妙な事態が起こることになる.そこで,本当に単語の意味処理についても同様の過程が行われているのかを見るのが,この実験の目的である.
閾下の刺激は意識できないので,この意識的過程を起動させることはないはずである.したがって閾下刺激は意識的処理機構が持つような特徴を示さず,無意識的自動的な機構が持つような特徴のみを示すはずである.つまり,立ち上がりが早く促進のみで抑制はかからないはずである.
また,プライミング刺激の提示時間によってプライミングの効果が変化するかどうかもあわせてみた.
方法
最初に被験者毎に閾値を測定し,次に漢字熟語を用いた語彙決定課題をおこなってもらう.プライム刺激は,その測定した閾値の80%・100%・50%の提示時間でと閾上で提示する.最後に,実験中に被験者の閾値が変化していなかったか確認する.
他に操作する変数は,プライムとターゲットの意味関係(関連・中立・無関連),プライムとターゲットの間のISI(50msec・500msec)である.
被験者は,東北大学文学部の心理学研究室の学部生13人である.
結果
残念ながら,実験終了後に実験機材が故障していたことが判明した.したがって上述のような操作は意図したとおりになっていなかった.卒業論文ではその上で得られた結果を元に結果および考察を述べたのだが,ここでは述べない.
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ISHIDA, Tsubasa <tbs-i@mtg.biglobe.ne.jp>
Last modified: Sun Apr 16 20:31:17 JST 2000