日本心理学会第61回大会発表用資料・付録
Last modified: Sun Apr 16 20:32:33 JST 2000

日本心理学会第61回大会発表用資料・付録

 ここでは実験1・2における分散分析の結果を示す.付録にしたのは,結果は検定するまでもなくあきらかであるためと,本文中に組み込むと煩雑になるためと,今回の仮説のうち幾つかしか検定にのらずそれほど参考にはならないためである.
 分析にはAbacus社のSuper ANOVAを用い,平方和はType IIIを用いた.

実験1の分散分析結果

 要因の自由度が2以上の要因のθのほとんどが0.5〜0.6と低い(要因の自由度が2の場合の最低値は0.5)ので,Huynh & Feldtのεを有意水準として採用する.

表A 実験1の分散分析の結果
Source df SS MS F-Value P H-F
Subject 8 1022966.71 127870.84
Category 1 77755.54 77755.54 5.82 0.042 0.042
Category * Subject 8 106898.11 13362.26
Target presence 1 252170.78 252170.78 13.03 0.006 0.006
Target presence * Subject 8 154781.93 19347.74
Display size 2 100092.59 50046.30 12.04 0.000 0.007
Display size * Subject 16 66510.57 4156.91
Category * Target presence 1 4256.50 4256.50 5.70 0.044 0.044
Category * Target presence * Subject 8 5978.30 747.29
Category * Display size 2 11505.44 5752.72 8.89 0.002 0.005
Category * Display size * Subject 16 10352.51 647.03
Target presence * Display size 2 6913.62 3456.81 4.78 0.023 0.047
Target presence * Display size * Subject 16 11569.54 723.10
Category * Target presence * Display size 2 1726.04 863.02 0.96 0.404 0.373
Category * Target presence * Display size * Subject 16 14392.81 899.55
Category: カテゴリ要因(WC/BC),Target Presence: ターゲット要因(あり・なし),Display size: ディスプレイサイズ(2/4/6)

 その結果表Aの様にカテゴリ×ターゲットの有無,カテゴリ×ディスプレイサイズ,ターゲットの有無×ディスプレイサイズのそれぞれの相互作用に有意差がでた.これらの相互作用の単純主効果を分析した.これらの検定においても,θが低いのでHuynh & Feldtのεを有意水準として採用している.
 カテゴリの効果はターゲットありの場合は有意傾向(F(1, 8)=3.480, p=.0991)で,ターゲットなしの場合有意(F(1, 8)=7.837, p=.0232)であった.どちらもWCの方が反応時間が遅いという傾向である.
 またディスプレイサイズの効果は,WCの場合(F(2, 16)=12.048, p=.0063)とWCの場合(F=(2, 16)=10.212, p=.0110)とが有意であった.下位検定として傾向性の検定をしたところ,WCでもBCでも1次の成分が有意で2次の成分は有意ではなかった(WCの1次成分:F(1, 16)=24.056, p=.0023,BCの1次成分:F(1, 16)=19.882, p=.0045,どちらも2次成分はF(1, 16)<1).さらにターゲットがある場合(F(2, 16)=14.781, p=.0035)でもない場合(F(2, 16)=10.014, p=.0117)でも有意であった.同じく傾向性の検定をしたところ,どちらでも1次成分のみ有意で2次成分は有意ではなかった(ターゲットありの1次成分:F(1, 16)=28.940, p=.0014,ターゲットなしの1次成分:F(1, 16)=19.989, p=.0045,どちらも2次成分はF(1, 16)<1).
 これらの結果のうち,ディスプレイサイズの1次増加の効果がすべて有意であったことは,本文での考察の中の「すべて条件で傾きは一定程度ある」という部分に相当し,ターゲットがあった場合にカテゴリの効果がなかったのは本文中の「ターゲットがない場合にはWCもBCもほぼ等しい」という部分に相当する.

実験2の分散分析の結果

 ここでもθが0.5〜0.6と低いので,Huynh & Feldtのεを有意水準として採用する.

表B 実験2の分散分析の結果
Source df SS MS F-Value P H-F
Subject 7 759872.64 108553.23
Target condition 2 369452.96 184726.48 21.53 0.000 0.001
Target condition * Subject 14 120134.99 8581.07
DS 2 101722.71 50861.35 7.11 0.007 0.031
DS * Subject 14 100191.16 7156.51
Target condition * DS 4 29620.38 7405.09 6.81 0.000 0.006
Target condition * DS * Subject 28 30444.24 1087.29
Category: カテゴリ要因(WC/BC/ターゲットなし),Display size: ディスプレイサイズ(2/4/6)

 表Bのように,ターゲットの種類×ディスプレイサイズの相互作用が有意であったので,この相互作用の単純主効果を分析した.
 その結果,ディスプレイサイズの効果はWC/BC/ターゲットなしのいずれでも有意であった(WC:F(2, 14)=3.892, p=.0471,BC:F(2, 14)=5.858, p=.0311,ターゲットなし:F(2, 14)=8.034, p=.0249).下位検定として傾向性の検定をしたところ,どれでも1次成分のみ有意で2次成分は有意ではなかった(WCの1次成分:F(1, 14)=7.379, p=.0176,BCの1次成分:F(1, 14)=11.687, p=.0116,ターゲットなしの1次成分:F(1, 14)=16.060, p=.0101,いずれも2次成分はF(1, 14)<1).
 これら結果も,本文中の「すべて条件で傾きは一定程度ある」という部分に相当する.


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