Last modified: Tue Dec 7 11:06:24 JST 1999
1999年10月
- 10/16
- 今日は池袋で『レコードジャケットで見るロック50年史展』というのがやっているというので見てきた.ロックというものも,ビル・ヘイリー&コメッツの「ロックアラウンドザクロック」が1956年(だったかな)が世に出て以来,ほぼ50年経ってきたわけだが,その間出たロックのアナログレコードのジャケットを展示しようじゃないかという展覧会.半分位のジャケットは見たことがあり存在を知っており,1/3くらいは聞いたことがあった.「おれって結構聞いているな」という感想と「ロックも幅が広いなあ」という感想と半々.いずれにせよ,頭の中ジュークボックスがフル稼働の展覧会であった.試聴も出来たらしいが,私が行ったのは夕方だったのでもう終わっていたようだった.
ちなみに展示品はすべて金沢工業大学の"Popular Music Collection"なるコレクションからのもの.20世紀のポップミュージックのアナログ版を8万枚揃えているんだそうだ.
思うに大学が持っているコレクションってもっと世に出て良いんじゃないか.いつぞや東京大学の自然史博物館の収蔵品の展覧会があったと思うが,そういうことはもっとあってもいいんじゃなかろうか.我が母校の東北大もそれなりの自然史コレクションがあって,最近自然史博物館という施設が出来たのだが,立地が悪く(なんせ仙台駅からバスで20分ほどの山の中)行かずじまいだった.巨大な恐竜の骨などもあったのだが,それは博物館が出来るまでは立入禁止のホールにひっそりと飾られていた.しかも窓際だったので外から汚れた窓の向こうにうすらぼんやりと見えて結構怖い感じ.さらにそれは市民の憩いの場としても利用されている片平キャンパスでのことだったので,いかにも活用できていないというのが衆目にさらされている状態だったのだ.
他にも夏目漱石や現代心理学の祖ブントの蔵書のコレクションがあるのだから,もっと色んなところに貸し出すなりすればいいのに.そうするとずさんな管理が明るみに出てしまうか;-).
- 10/15
- ケーブルテレビで一年間楽しんできた『聖戦士ダンバイン』もついに最終回.「皆殺しのトミノ」の面目躍如の最終回のように見えるが,別に彼らは死んだわけではない,帰っただけなのだ.いずれにせよこのドラマの週末にふさわしい心震える結末である.
それと前後してイデオンも始まった.異星人バッフクランと遭遇した人類が,戦う意志がないことを示そうと白旗を掲げたら,バッフクランの文化では白旗は死ぬまで徹底抗戦の意思表示だったという話.その結果彼らは人類を「好戦的な種族」と見なしてしまう.人類が亜空間飛行の性質をよく知らないで,いきなりワープアウトをしたのを見てバッフクランは「あのような危険な行為を行うとは」と驚く.そして「やはり戦闘的な種族なのだ」という思いを新たにしてしまう.俺はこのアニメでカルチャーギャップの怖さと思い込みの怖さを知ったね(嘘).
しかしカルチャーギャップの怖さというものは,見るからに異文化同士の場合はそれほどではなく,一見同じ文化を持っている同士の方がより怖いということは大学院になってから知る.大学院に来るような人は皆リベラルだと思っていたおれが悪いのだろうけど.でも「市民運動=左翼」なんてまじめに言い出すやつが大学院にいるなんて思わないよな,普通.
KinkiKidsの堂本剛が宣伝している男性向けの唇のパックの「もっと見て見て」のCMだが,よくよく見ると仙台のファッションビルForus前なのである.
- 10/13
- 先日の日曜日は東京都現代美術館に行った.『身体の夢』というテーマの企画展を見に行ったのである.それ自体は面白かったのだが,ちょいとむかついたこと.沖啓介+鈴木淳子の「身体未来−地球的な身体にさようなら」というインスタレーションが展示されていたのだが,その中に「data body」があった.これはどう見ても鑑賞者に触ってもらうべき作品であったのに,触ると係員に「すいませんが作品ですので..」と注意されるのである.明らかに作品が触れることを誘っているのに(「触れるというアフォーダンスを内在させている」と言った方がうけがいいか),それを係員が止めるとはどういうことだ.お前は何様のつもりだ.と腹が立ったわけである.ちなみに実際そいう注意をされている人は私の他にも数人いたので,作品が鑑賞者の干渉を誘っているのは別に私だけが感じたことではない.
他には常設展で,あのリキテンシュタインの「ヘアリボンの少女」も見れた.あの「なんでこんなアメコミみたいな絵を大枚はたいて買うんだ」と問題になったやつ.この批判はまったく常識的で正しいと思うのだが,常識的である分すでに議論され尽くされていることを,こういった批判をする人が気がついてない点が問題か.私の感想としては,十分に芸術的なほど下らない.ウォーホルの「マリリン・モンロー」のシルクスクリーン版もあったが,本物を見てこれほど感動しない芸術作品というのも希有である.
帰りには売店で"Love you Venus"なるものを購入.古典主義なヌードのヴィーナスの絵(作者名ど忘れ)を印刷したマグネットなのだが,さらに着せ替えのマグネットも付いてくる.それがメイド服や男物のワイシャツの胸がはだけてブラがちらりと見えるもの,ビキニの水着など,つまり男性向けポルノグラフィのクリシェなのである.色々メッセージを読みとることは可能だが,現代美術でメッセージを読み取ろうとしてしまったら鑑賞者の負けなので(と私は勝手に思っているって上で言ってた事と矛盾してるけどそれもまたよし),単純にクラシカルなヴィーナスの着せ替えによる異化効果を楽しみたい.
この美術館の常設展で気に入ったのは,展示室の出口に,そこで展示されている作品のミニ解説のカードが置いてあり,自由に持っていけることである.気に入ったものを見つける度に一々メモする必要がなくよい.
- 10/3
- 私が今住んでいる部屋の近所には,現在ワイドショーをにぎやかしている二子山部屋が近い.それと関係あるかどうか分からないが,ちゃんこ屋もある.その名も「飛騨の花」.しかしこの店名,入り口の上に掲げてある看板には漢字で書いてあるのだが,道に出しておくような看板(という言い方で分かる?)には「ひだの花」とひらがなで書いてあるのである.何かひらがなで書くと淫靡である.「ひだ」に「花」だぜ.青木雄二描く夜の街に出てきそうな名前である.
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