Last modified: Sun May 30 01:45:40 JST 1999

1999年5月

5/30
 ちょうどテレビで『伊賀のカバ丸』をやっている.Japan Action Clubがメインキャスティングな映画である.ちょうど『Comic GON!』でJACの特集がされた直後で,タイミングがよい.放映プログラム担当者がそれを見て決めたんじゃないだろうか,と言うくらい.『Comic GON!』でも触れられているが,真田広之がお耽美ヴィジュアル系の役で,ほほえましい.さらにまだ清純派で売っていた武田久美子も出ていて,現在の貝ブラジャーの彼女を見慣れた我々の微笑を誘う.のちに『宇宙刑事シャイダー』でパンチラで有名になる森永奈緒美も出ている.とりあえずこの手のものにありがちな,見ていていたたまれなくなってチャンネルを変えてしまうということも比較的なく見れたので,まあいい出来かと.つうか真田広之の怪演技のせいか.あるいはJACの皆さんががんがん体はっているためか.彼らのアクションはすごいよなあ.

  この間Rebeccaの"Friends"について書いたが,同じようなことが週間プレイボーイの音楽欄でも書かれていた.同世代なのだろうなあ.曰く,この曲は流行当時の自分を思い出させ,今の汚れた自分を意識させてしまうからだと.確かに今の私はいかにもまがい物なモーニング娘。や浜崎あゆみを聞いて喜んでしまうまでに汚れてしまっている(笑).気をつけねば.

5/29
 盗聴法の異名を取る組織的犯罪対策法が,昨日委員会で可決された.ニュースはその話題で持ち切りだが,TBSが中村敦夫を呼んで時間を取っていたのに対し,日テレの読売新聞ニュースは「組織的な犯罪や銃や麻薬に関する犯罪に効力を発揮しそうです」が第一声だったという.さすがだよな.戦中の新聞の衣鉢を継ぐ方針でこのまま突き進んでほしいね.

 で,うわさのUEFA Chanpion's leagueの決勝だが,なんとまあドラマティックな幕切れ.私はヴィデオにとっておいてみたので,あらかじめニュースで結果やおおざっぱな試合経過を知っていてみたのだが,それでも最後の逆転劇は思わず声を上げてしまった.1994年ワールドカップのいわゆる「ドーハの悲劇」(日本vsイラク)や「シュタット・ドゥ・プランスの悲劇」(フランスvsポーランド)に匹敵する大逆転劇である.

5/23
 ジュビロの名波が絶好調である.フリーキックも美しく決めるし.これまで日本人がフリーキックをけっても,入る予感というのは全然感じたことはなかったのだが,名波のフリーキックは入りそうな予感ぷんぷんである.名波は海外移籍の話があるらしいので,気合いが入っているのだろう.頑張ってほしい.
 名波や中田とともに日本の黄金の中盤を担う予定であるレッズの小野にも,海外移籍の話はいくつか来ているが,どれも断っているらしい.私的には,彼は海外に行ってもまれるべきだと思うのだが.確かに本人の言うようにまだ未熟なので移籍してもすぐレギュラーってわけでもないだろうが,それでも経験を積むために行くべきだと思うのだ.妙に日本人って求道的になって視野が狭くなるので,環境を移してそれを広げてほしいと思うのだ.

 さて,今週の水曜日(日本では木曜日)はいよいよUEFA Chanpion's leagueの決勝である.Manchester UnitedとByern Muenchenの対決であるが,どちらも国内のリーグ戦とカップ戦のどっちもとっているのである.どっちも絶好調ということで,楽しみである.どちらが勝っても三冠達成ということで,気合いの入ったいい試合が見られるだろう.

5/22
 サッカーJ2リーグの大宮アルディージャのオランダ出身の点取り屋,ヨルンが暴漢とけんかして顔を切りつけられて,片目を失ってしまったという.距離感とかもあるだろうし,片目でどの程度サッカーを出来るのだろうか,下手したら引退だよなあ.その今後が気になる.
 選手の引退後というのはなかなか難しいよなあ.高校の同級生で,サッカーをやっていてそれで筑波大に行ったやつがいるのだが,結局ケガでやめてしまったという話がある.これまでスポーツ一筋でやって来たやつがその後何をするにせよ,大変だろう.ちなみにそいつはその当時のユース代表に選出されるくらいの逸材だった.マラドーナみたいな体型で.その当時のユースと言えば多分磯貝(元ガンバ.レッズ,現ゴルファー)や森山(現ヒットゴリツァ)や本田(現アントラーズ)とかと同期なはず.そういう逸材でも,ケガで駄目になったらそれっきりなのである.

 最近はドラマの主題歌ということで,レベッカの『フレンズ』がランクイン中.これは私が高校生のころの曲だ.そのころはバンドブームで,友人のバンドがやっていた思い出がある.今町中で流れているこの曲を聴くたびに,高校生のころの自分(達)に出会うようでぎょっとしてしまう.いや,高校生のころって後から思い起こして一番恥ずかしい頃じゃない.

5/19
 最近の巷の話題は,HazardShield.これはKDDが開発したフィルタリングソフト,要は「有害」(って何?)情報を含むweb pageへのアクセスを禁止するソフトウェア.で,このフィルタによって「有害」と認定されたぺージは,例えば日本の法律Turkeyというマシンペルー日本大使公邸占拠事件資料だそうだ.しかもある時は「有害」と認定されても,その後でもう一度試してみると「有害」ではないと認定されたりすることもあるという話が,ここここに載っている.
 こういう臭い物にフタな発想はそもそもの考え方が誤っているとしか言い様がない.土屋勝氏の言うとおりであるし,一般的な感想であろうから,わざわざ論じない.
 それよりも,もう一つの側面として,技術的な困難を無視していることを,ここでは重視したい.上述のように,有害と看做されたページを後でもう一度チェックするとそうでないと看做されたりするらしい.これは様々な微調整を陰で行っているということなのだろうが,そういう小手先の工夫で改善できるようなものではないことは,ある程度自然言語処理を知っている人になら誰にでも分かる.
 このことは,良くインターネットについて言われる「社会的要請を無視した技術主導」という問題のちょうど逆の,「技術的限界を無視した社会的要請主導」という問題を示したとも言える.この問題は他には高速増殖炉であるとか,アメリカのSDI構想などにも見られるが(山根氏の指摘による),明らかに技術的に不可能である計画を,権力を持つ非技術者が推進してしまうというもの.文科系の人(と簡便のため十把一絡げに呼ぶが)は「技術者が先走っちゃって」とか良く口にするが,同じくらい「文科系の人が先走っちゃって」という事態も存在するのだよ.

 先日書いた偽記憶症候群の話は,sci.skeptic FAQでも言及されている.他には『悪魔を思い出す娘たち』という本でも扱われている.また記憶研究で有名な心理学者Elizabeth Loftusが"Scientific American"にこれについての論文を掲載していて,邦訳が『日経サイエンス』1997年12月号掲載されている.簡便にまとめられているので,概略を知りたいときにはいいかも.

5/12
 昨日仙台市の人口が100万人を突破したらしい(地元紙の新聞記事).聞くところによると,50万人を突破したのは昭和42年.で,この時に「100万人を突破するのはいつでしょう」というクイズをしたらしい.で,ついに正解が判明したので応募者の中から正解者に抽選で商品をわたすらしいのだが,32年前に応募した人が今でもちゃんといるのだろうか.
5/3
 昨日は元X Japanのhideの命日で,ワイドショーで色々扱われていた.それで思い出すのは,彼が亡くなったときのなんとかいう心理学者だか評論家とやらがワイドショーで述べたコメント.hideの「ピンクスパイダー」の歌詞の「失敗だー」とか「もうだめだー」とかいう歌詞を持ち出して,この歌詞は彼の精神状態を示していているのだと,したがって自殺なのだろう,と言う内容.しかし一年たってあれは不慮の事故の可能性が強くなってきているが,その心理学者だか評論家は自分の中でどう折り合いをつけているのだろうか.しかし競馬評論家と野球評論家とテレビに出るような心理学者は,自分の予想が違っていても気にならないようだからな.普通の責任ある人間であれば,自分の予測が外れればなんらかの忸怩があると思うのだが,それを感じさせないのは常人ならざる技である.件の歌詞はどちらかというと,単に詞のさびが「ピンクスパイダー」なのと韻を踏んでいるにすぎないと思うのだが.「すっぱいだー」「しっぱいだー」って.どっちを先に思いついたかはわからないけど.それが詩の真実poetic truthってもんじゃないだろうか.

 今ニュースで,野田文部大臣が,フィンランドはヘルシンキの学校の視察に訪れたという話をしていた.フィンランドのすべての学校はインターネットに接続できる設備が整備されているということで,その点について視察したらしい.生徒達が使っているのはPC/AT互換機であるというのは確認できたが,OSの方は確認できなかった.フィンランドということはやはりLinuxなんだろうか.

 広末は無事早稲田大学に入学したが,さっぱり大学の方には出てこない.一応大学教育に関わる身としては「大学をなめてんじゃねえ」と思う.と言うことで私の中の広末株は急低下中.入学の際の,早稲田の方のほとんど入ってくれと言わんばかりの態度も気に入らんし.

5/2
 チャンネルを回していると,シンクロナイズドスイミングの日本選手権をやっていたのだが,グループ演技の部で,井村シンクロクラブAというグループの演技音楽は伊福部の『ゴジラ』だった.

 深夜にやっている『NNNドキュメント99』で,被差別部落の特集をしていた.私が被差別部落という存在を知ったのは高校生のころだった.東北地方には被差別部落などはほとんど存在しないので,関西地方と比べれば知る機会はほとんどない.それどころか,北関東〜東北地方では,集落・地区のことを今でも部落と呼ぶ.以前あるテレビ番組でその地方の農家の人のインタヴューを放映していたのだが,その人が「こっちの部落では云々」とか喋っていたのを,字幕では「こっちの集落では云々」という風に修正していたっけ.まあそんな感じでそこら辺の地方の人にとっては,「部落」と言う言葉には差別的な意味はない.逆に私なんかは「同和」とかいう言い回しの方に差別を感じてしまう.

 まあ私の感覚で差別的でないからと言って,それはすなわち使ってかまわないというわけではない.差別される人があっての差別だから,差別される人が差別感を感じるのであれば考慮する必要があるだろう.石原東京知事の「支那」発言なんかは,そこら辺の考慮を感じさせない辺りが気に入られないのではないだろうか.
 で,私がいわゆる部落の存在を知ったきっかけは,読書感想文で島崎藤村の『破戒』を読んだことだ.ご存じの通り主人公は被差別部落出身で,それについて色々悩む話である.で,私はこれを読んで「昔はこんな差別があったのかあ」とか思ったのだが,とんでもない,今でもあると言うことを後で思い知る.と言うのは修学旅行で関西に行ったときのこと.道端にあった「身分調査お断り」という立て看板がどのような意味だか分からず気になっていたところに,京都のバスの中で行き先などを表示する電光掲示板に「差別をなくして明るい社会」という標語が流れるのを見て,ようやく立て看板の意味を思い知ったのだった.なんつうか過去の遺物が突然眼前に展開されたわけで,私にとってはものすごい驚きであった,と言う陳腐な言い回ししか思いつかないほど衝撃であった.
 で,今回の番組で実際の被差別部落というものを見たのだが,やはり今でも様々な面で差が存在する.我々の親くらいの世代の人は文盲だという.水道が引かれていなかったりということもあるという.しかし行政の方は「もう差別はなくなったから」とかいって色々な補助を打ちきっているらしい.
ただこういう社会的弱者への援助はやりすぎると,特にその恩恵を受けない低所得者層の反発を買ってしまうので難しい.これはアメリカなどでも見られており,「なんでインディアン(ネイティブアメリカンのこと)の連中は政府の援助で気楽に生活しているのに,白人のおれらは汗水流して働いて雀の涙のはした金を稼がなければならないんだ」みたいな不平があるようだ.それはいずれ人種選別思想,要はネオナチ的な思想の土壌となる.
要は建物を立派なのを建てたのだから差別はなくなった,と言うことらしい(戦後に国で被差別部落に集合住宅を建てているのだ).こういうのも箱もの行政とか言うのだろうか(笑).
 なんにせよ,こういう差別の話を聞くたびに悲しくなってしまう.差別を積極的に認めている人というのはほとんどいないだろう.しかしそういう人が集団となり社会となると,なぜか部落の人を差別し,結婚やらなんやらをさせない方向に働く力が働いてしまう.集団となった人間の愚かさである(もちろんそういった愚かさはよい方向に働くこともあるので,集団になること自体は是も非もないが).悲しいとしか言い様がなく悲しい.
5/1
 最近はR&Bが流行りらしい.宇多田ヒカルとかがそうらしい.私がR&Bと聞くと,BB KingとかBlues Brothersとか,あるいはもっとディープなブラインド・ジェファーソンとかジョン・リー・フッカーとかロバート・ジョンソンとかを連想してしまうのだが,最近の巷で言われるR&Bというのはそういうのではないらしい.いろいろ音楽番組をみていると,どうやら「ラップではない黒人音楽」のことをR&Bと呼んでいるらしい.言葉が同じでも背景が異なれば違う意味になるもんだ.そういえばあわやのりこ(どんな字だっけ?)の「ブルース」もあったな.

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