人工呼吸器についての補足
前書き
お腹の赤ちゃんに重い障害がある・・それも生まれるときに亡くなる可能性がある
なんて告知を受けてしまうと、子どもを受け入れられなくなる方もいらっしゃいますし、
生まれた赤ちゃんにどんな医療処置を行うかなんて、考えられなくなってしまう場合も
あると思います。
私は、身近に障害児教育に携わっていた者がいたので、障害児であるということに
それほどの拒絶感は無かった方かもしれませんが、それでも「人工呼吸器を付ける」なん
て、ただただ苦しい思いをさせて延命させるだけじゃないか・・・と思ってしまいました。
産科の医師も「人工呼吸器を付けたり、強心剤を打ったりはしない」と言ったので、
私も、特に悩まずに同意し、最低限の処置だけで腕の中で看取りたい・・・と思って
いました。実際に、生きて生まれていたら、気持ちも変ったかもしれませんが・・・。
18トリソミーの場合は挿管しない?
しかし、いろいろな情報を得る中で、疑問を持つようになりました。確かに、今でも
「18トリソミーの場合は挿管しない」と言われるケースがあるようです。
平成16年11月のに行われた 親の会の
第2回公開セミナーの資料
を読んでいたら、
出生直後の呼吸管理についてとても興味深い調査結果が書いてありましたので、ご紹介
させていただきたいと思います。(公開セミナーなので記載して良いものと思いますので)
これは、その前年(平成15年)に
親の会でおこなわれた実態調査
にもとづいたものです。
もちろん、この調査は、親の会に入会していてかつ、アンケートに回答した親御さんの情報
だけが対象になっており、全ての18トリソミーのお子さんを把握するものではありません。
私のように、死産になった場合や出生直後にお子さんが亡くなった場合などは、親の会に
入会されない方も多いでしょうし、親の回答によるものなので、医学的記載の正確さに
かける部分もあると思います。その点は、ご了承ください。
出生直後の呼吸管理について
※回答88通(うち死産7通)
「何らかの人工呼吸管理を行った子ども」と「行わなかった子ども」に分けて書いてみます。
↓
何らかの人工呼吸管理を行った子ども・・・・・38人
★気管内挿管・・・29人
★nasal CPAP(またはnasal DiPAP)・・・9人
(重複回答4人と無回答5人あり)
⇒このうち
☆亡くなるまで人工呼吸器を離脱できなかった・・・16人
☆人工呼吸器を離脱できた・・・・・17人
(残る5名は不明)
★
一年以上の長期生存児は、10人
(このうち人工呼吸器を離脱できないのは1人)
行わなかった子ども・・・・・37人
⇒このうち
★
一年以上の長期生存児は、13人
★無回答は1人
この調査結果については、「考察〜医学的側面〜」の「今回得られた新知見」という
ところに以下のようにまとめられていました。
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人工呼吸管理についてもっとも大きい知見は、いったん人工呼吸を始めた子どもの
42%は離脱できませんでしたが、45%は離脱できたという事実です。これまで、
いったん人口呼吸管理を始めると離脱できなくなるのではないかという不安が、
医療従事者にとっても父母にとっても大きな負担となっていたと推測されます。
こうした事実は、18トリソミーの子どもに対する呼吸管理のあり方に
大きい問題提起をしています。
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当時 このような情報を知っていたら、私はとても悩んだと思うのです・・・。
今、考えなければいけない状況にある方は、十分に検討していただきたいな・・・
と思います。
(第二回公開セミナーの資料には、その他にもたくさんの情報があり、
いろいろ知りたい!と思う方には、大変お薦めです。)
【ご参考】素朴な疑問・人工呼吸器管理って延命措置なの?
たつきは死産になってしまったので、私は医師と詳しい話をしたことが無いので、
どうも「人工呼吸管理=延命措置」と思い込んでる面がありました。そうじゃないかも
しれないけれど、18トリソミーの場合はそういうことになっちゃうのかなぁ?と。
そこで、HPがある18トリソミーのお友達、Kouki君の、お母さんのKouki’momさんに
メールで質問させていただいたことがあります。Kouki君のHPの「康ちゃんのがんばり」の
ところで、何度か「挿管」「抜管」と書かれています。そして、kouki’momさんは医療従事者
でもあります。今思うと、質問する私が、いろいろと分かっていなくてお恥ずかしいですが。
ご参考になれば・・・と思い、その時のやり取りの一部をこちらにご紹介させていただきます。
以下、メールより抜粋です
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Q(私)
こうちゃんの頑張りのところで、何度か「挿管」「抜管」と書かれているのは
人工呼吸器ということなのでしょうか?これは、一般に言うところの、
「延命措置」と同じような状況ということなのですか?
A(Kouki’momさん)
「挿管」とは・・・・・
気道や気管支、肺に何らかの問題が起こり充分な酸素が肺へ取り込めない時、
人間は体内の酸素飽和度が保てなくなります。
つまり、私たち(大人もこどもも)体内の酸素飽和度は100%です。
しかし、基礎疾患(染色体異常とか)があり合併症として心臓病がある場合、
心臓と肺とはとても密接な関係があって、だいたい肺が生まれつき形成不全とか
弱いとか何か問題があるのが一般的なようです。きっかけは風邪などで
気道がウィルスとか細菌などに感染し気道よりもっと奥の気管支を侵し
肺、肺胞とばい菌が増殖した過程で呼吸苦となります。これを呼吸不全といって
充分に汚い痰を口へ出すことができないと、肺に無気肺といって、肺に酸素が
入らない部分ができます。これを改善するために「挿管」することで気道を確保
し機械的に酸素を人工的に送ってやることで、本人の呼吸が楽になることです。
延命措置と同じよう言った場合、もし挿管して呼吸が改善できた場合、生命は
助かるわけですから、延命措置とはちょっと意味が違うように思います。
気管支、肺が挿管し治療を受けた後、自己呼吸力が不十分で呼吸が保てない時、
つまり植物人間のような状態、これを延命措置と言うのでしょうか。 Koukiも
数回と挿管して生命を救われていますが、その場に出くわした時、延命措置とか
冷静に判断する余裕が私にはなく、とにかく今のKoukiの呼吸を楽しして欲しいと
しかありません。
「抜管」とは、上記の挿入された気管支チューブを気道より抜くことです。
この行為を抜管といい、この後は自発呼吸で頑張ることです。
Q(私)
私のような素人が読むと、人工呼吸器というは延命措置であって、
なかなか抜管できるものではないと思ってしまうんですが、
実際どんなものなのでしょうか・・・。なんだか気になってしまって・・・。
A(Kouki’momさん)
Koukiの場合、出生当初の挿管呼吸管理は1週間、
誤嚥性肺炎時は1日、 RSウィルス感染時は2週間、インフルエンザ感染時は1週間、
細菌性肺炎時は1週間、 ウィルス性の風邪時1.5日とこの記録を見ると、
なかなか抜けない行為とは思えないでしょ。
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以上メールより抜粋
(
※
kouki君は、たつきと同じ平成12年生まれ。現在4歳(平成17年)で、お母さんと
一緒にとっても頑張っています。是非みなさん応援をよろしくお願いします!!
アドレスは ⇒
http://enjoy.pial.jp/~honey2000/
)
なるほどなあ・・・お子さんによって、お子さんがもともと持っている合併の度合いや、
その時の状況は皆違うと思いますので、呼吸器をつけたことによって
どうなるかは、分からないわけですね。本当に難しいなあと思いました。
ご意見、ご体験がございましたら、こちらに反映させていただきたいと思います
ので、メールか掲示板をご利用ください。