069:片足
貴方に、永久の愛の忠誠を
先輩が俺の部屋に遊びに来ていた。
「先輩」
「何?」
「そろそろ離してくれませんか…」
「却下」
ベッドの上で、俺を座ったまま背中から抱きしめた体勢の先輩に頼んでみるが、一向に放してくれる気はないようだ。
離れたくてもがいてみたけれども、服越しに伝わる温もりがあまりに気持ちがよくて。
項に吹きかけられる先輩の吐息や、耳元で囁かれる声が俺の動きを封じ込める。
体の隅々が先輩に意識されてしまっているのが悔しいのか、嬉しいのか、もうどっちかさえも判らない。
「俺はお前のことが好きだからね、少しでも離れていたくない。結構、独占欲強いんだよ」
「…馬鹿ですか」
「好きな相手の前じゃ、そうなるものさ」
そういうと、突然背中に感じていた温もりが消え去る。
先輩がベッドから降り、足元の方に跪く。
「愛してるよ」
先輩が屈みこむと、俺の右足にそっと軽いくちづけを降らせた。