053:壊れた時計



    右手の紋章を宿したあの日

    自分の肉体は時を止めた

    それを悔いたことはない

    あるのは友への揺ぎ無い思い




    親しい人たちは老い、そして目の前からいなくなる

    刻(とき)の止まった自分の体は

    彼らを追うこともできず

    自分のこころに『記憶』という荷物を増やす




    老いさばらえぬ自分の肉体

    安息の地はまだ遠く

    大切な『記憶』を胸に宿し

    今日もあての無い旅の空の下




    この身は壊れた時計のように

    時を刻むこともなく

    友が辿ったこの旅路を

    一つ、一つと踏みしめる




    2003/01/30 tarasuji

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