100:貴方というひと



    好きな人が、出来ました

    好きな人が、私のことを好きだと言ってくれました

    好きな人と、私は一緒になりました

    好きな人と、私は一緒に眠りました


    外の空気はまだ寒いというのに

    好きな人と一緒に眠ることはとても温かくて

    それだけで何もかもが大丈夫だと、根拠がないのにそう思ってしまった



    だから、私は世界一の幸せ者なのだろう

    そして、貴方も世界一の幸せ者だと思ってくれればいいのだけど



    夢を見た

    子供の私がクレヨンを探すあの夢

    やはり、一色だけが何処にも見つからなくて

    やっぱりいつもと同じように私は泣きべそをかいて

    それでも諦め切れなくてクレヨンを探し続けている夢



    そして最後に誰かがそのクレヨンを見つけてくれる夢

    いつも、そこで目が覚めて

    それが誰だかわからない

    きちんとお礼も言いたいのにそれも叶わず

    だから今日も見れないだろうと思いながらも子供の私は顔をあげる



    「もう、失くしちゃ駄目だよ」



    そう言って笑うその顔は・・・

    そしてそこで目が覚める




    「ごめん、起こした?」

    「ううん・・・」

    私の隣で眠る貴方は、そう言ってもう一度瞳を閉じた

    私も一度目をつぶってから、もう一度貴方の顔を見る



    ようやく判った



    クレヨンを見つけてくれたのは貴方

    私がずっと探していたのは貴方


    私はずっと昔から貴方に出会いたいと思っていたのだと



    ねえ、貴方

    私は貴方のことが好きよ

    それが、今この瞬間だけのことでも

    今の私は貴方というひとをずっと好きでいると誓うわ




    貴方に手渡されたクレヨンがこの胸のうちにある限り

    いつまでも

    いつまでも・・・






    2003/12/11 tarasuji
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    ※この作品は【001:クレヨン】と対になっております。合わせて読んでいただけると嬉しいです。