【動詞30題】
01.いきる 02.のむ 03.きる 04.たつ 05.たぐる 
06.ほころぶ 07.さす 08.ことほぐ 09.ふれる 10.ねむる 
11.ぬる 12.かく 13.さらう 14.はう 15.まどろむ 
16.ちる 17.なでる 
18.わらう 19.たくす 20.かしぐ 
21.かける 
22.こえる 23.うたう 24.すべる 25.ふるえる 
26.のぞく 27.めでる 28.ひたす 29.たべる 30.しぬ

01.いきる


02.のむ


03.きる


04.たつ

最初に出会ったときは、背の大きい先輩だと思いました。それに眼鏡も透けて見えないし、本当に中学生なのかな? 高校生じゃないかと一緒にいた堀尾君や水野君に聞いてしまったぐらいですから。
実際、身長も180cmもあるそうで、僕から見るとますます乾先輩は逆光を受けて見えづらいのです。最初はレギュラーということもあってもっと怖い印象を受けていましたが、ようやく慣れてきました。それに、乾先輩はテニスのこともそれ以外のこともとっても詳しくて、凄いと思ってしまいます。ま、まあ…あの変な汁さえ除けばですけどね。

ある日、いつものように球拾いをしていると乾先輩に偶然通りがかり手伝ってくれました。僕は思い切って先輩にかねてから思っていたことを聞いてみたのです。
「僕たちも、いつか先輩みたいにテニスが上手くなりたいです」
そう言うと乾先輩は、いつものシニカルな笑みを唇に浮かべて言いました。
「加藤たちは他の一年に比べて試合を見ている経験も多いし、練習を頑張っているのはデータにもある。今の気持ちを忘れないでいればいいと思うよ」
俺も、昔は加藤ぐらいの身長だったんだ、と乾先輩は続けて言いました。なら、僕たちもいつか乾先輩のように成長できるかな? いつも乾先輩の隣に立つことが多い僕らも、後輩に同じことが言えたらいいと思いました。

→乾は後輩にはこっそり慕われてて欲しい


05.たぐる


06.ほころぶ

普段の乾先輩は、あの分厚い黒縁メガネのせいで目が見えないせいか表情がよく分かりません。だから、乾先輩がどう思っているかは声とか動きで判断するしかないんです。
でも、結構乾先輩は1年の僕から見てもああ見えてオーバーリアクションなので分かりやすいし、それにいつも試合中でも解らないところを解説してくれる。それに結構1年の面倒を見てくれることが多いです。

そんな僕を始め、堀尾君やカチロー君は他の1年よりも乾先輩の近くにいることが多いです。そんな、乾先輩は最近様子が変です、まあ変といえばそれは…い、いや、今のは聞かなかったことで…。
そ、それで乾先輩は最近うきうきと落ち着かなかったり、そうといえば落ち込んでいたりしていたりして僕たちはどう反応していいかかなり困ります。どうやら海堂先輩とダブルスを組むことが決まった辺りからこうなのですが。
そういえば、最近の乾先輩は海堂先輩と話すことが多い気がします。まあ、ダブルスを組むことになったので当然といえば当然なのでしょうが。

そんな乾先輩が海堂先輩と話すとき凄く顔をほころばせているのを知っているのは僕だけでしょうか。僕がそれに気がついたとき、隣に居た不二先輩が僕を見てにこりと微笑んだので、僕はこのことは誰にも言わないようにしました。

→カツオにすらバレバレの乾


07.さす


08.ことほぐ

あの時の乾にはこの3年間以上の何かがあったのだ。

最初に出会ったときは、あの分厚い眼鏡のせいか何を考えているのか良く分からなかったし、本当に近寄りがたい雰囲気だったんだ。
周囲とも打ち解けていなかったようだし、よくデータをノートに取っていることが多くて、俺も遠目から彼を見ているのが多かった。テニスは中学から始めた俺とは違って、ずっと昔からやっていたんだろうな。中一の後半から先輩を押しのけて、レギュラーの座を勝ち取ったし、それからも青学のナンバー3としてずっとデータを磨き続けていた。
俺も3年になってから念願のレギュラーになることが出来た。
けれども、結構強敵も多くて俺は怪我をすることも多く、皆に迷惑ばかりかけていた。本当に大会っていうのは緊張してしまって手塚や不二や乾はいつもこんな思いをして戦っていたんじゃないかって思うとそれはきっと凄いことだと思う。乾は、3年になってからレギュラーから外れて皆のフォローに回ってくれたし、俺よりも本当にレギュラーに相応しいのは乾だと思っていた。けれども、その間も乾はデータを磨き続けていたし、俺たちと同じ努力をしていたのは知っているつもりだ。

だから、乾が立海大の柳に勝利したとき本当に嬉しそうで俺は精一杯【おめでとう】の意味を込めて校旗を振り続けた。

→タカさんから見た乾とは


09.ふれる

「海堂」

そう呼ばれるようになってから一体どのくらいの月日が経ったのだろうか。最初は頭を撫でられるだけでこんなにも強張っていたのに。何時の間にこんなにも近くで触れ合うようになったのだろうか? 

初めて手を触れたあの日
初めてその背に触れたあの日
初めてその頬に触れたあの日
初めてその唇に触れたあの日
初めてその素肌に触れたあの日

全てが今でも鮮明に思い起こされて、今でもそれを思い起こすと恥ずかしさが全身に満ちる。しかし、一番鮮明に思い起こされたのは初めて先輩の心に触れたと思えるあの日のこと。

この触れ合える距離に居られることを何よりも喜びに思うだなど、先輩が知ったら笑われないか、それが少し怖い。

→乾海数年後乙女チック妄想


10.ねむる

それを提案したのが誰だったのか今は分からない。

夏の合宿中、エージ先輩に誘われ俺は忍び足でこの長い廊下をゆっくりとしかも急いで歩いていた。顧問のばあさんに見つからないようにするのが冷や汗ものだが、それでもそのリスクの分だけの価値があるのだから。
一緒にいたのは、俺とエージ先輩と荒井と林と池田。

「ミッション、かーいしー」

小声でもテンションの高いエージ先輩の後を俺達はゆっくりと付いて行った。今回のミッション、それは乾先輩の寝起きを見ることだ。あの分厚い眼鏡は透けることなく、一部を除いてその素顔を見たことがないのである。青学テニス部七不思議のひとつとなりつつある乾先輩の素顔を拝めるなら少しのリスクも歓迎だった。
ちなみに、マムシの奴にも声をかけたんだが「くだらねぇ」の一言で断られてしまった。付き合い悪いと思いつつ俺達4人は朝早くから起きて乾先輩の部屋の前へと辿り着く。音の立たないようにドアを開け乾先輩が眠っているのを確認したエージ先輩がOKサインを出したのを確認すると、俺達は一気にドアの前まで距離を縮める。ドアをゆっくりと開ける、ほんの僅かな音でも気づかれるのではないかという緊張感が全員に漲っていた。俺を先頭にして部屋に入ろうとする俺の眼の前には…

「やあ、桃。朝早くから何の用だい?」
「い、いぬいしぇんぱい…お、おはようございます…じゃあ!!」

俺達は一目散に自分の部屋へと駆けて言った。息を切らせて2年の部屋に戻った俺達はやはり乾先輩の素顔は当分見れないと思いつつ、今回のミッションは失敗に終わったのであった。いつかリベンジすることを4人で近いながらも朝練の準備に取り掛からなければならなかった。

だから、俺達は誰も気がついていなかったんだ。
マムシの奴が2年の部屋に居なかったことも、奴が何処で眠っていたかも。

→乾の素顔を見よう大作戦。


11.ぬる

「乾ってさー、肌、白いよねー」

着替えをしていると僕の隣のロッカーの英二が何気なく声をかける。英二はそれから僕のほうを見て、不二もお肌白いよねーとか言ってこちらを見る。僕は英二だってそんなに焼けてないじゃないかって言ったら、俺はこれからだもーんって二カっと笑って答える。僕が肌が白いのは、昔からであって何故かあまり焼けることが無いのだ。まあ、そんなこと言ったって英二が聞いているかどうか分からないからそれ以上は言わなくてもいいやって思ってそのまま何も言わずに乾の方に視線を移してみた。
それから、乾の傍に行ってみて彼のTシャツに隠れている二の腕の部分と僕の二の腕の部分を比較してみたけれど。余りに変わらないことにちょっと驚きを隠せなかったりしたけれども、特に何も言わずにまた着替えに戻る。乾は不思議そうな顔をしていたのがちょっと滑稽だったけれども。乾はその後僕の行動に対して英二に何か聞いていたようだけれど、僕の行動の真意なんて分かる訳もないだろうと思いつつ僕は黙っている。

「何、乾?」
「不二は何処の日焼け止めを使ってるんだ?」
「何の話?」
「菊丸が乾は何処の日焼け止めを使ってんのーとか先程聞いてきた。不二も白いけど乾も何か塗ってるんだろう? と」

英二、余計なことを。しかし僕はそれを表に出すことなく乾に問いかける。

「確かに、僕は肌が弱いからね。乾は何処の使ってるの?」
「いや。俺は何処のも使ってないぞ」

僕はその衝撃を隠せなかった。うっかり開眼なんてしてしまったから乾は驚愕してしまったようだけれども僕の驚きの方が大きかったのだからそれぐらいは許される筈だよね。しかし、乾……侮れないな。

→乾に妙な嫉妬心を抱く不二


12.かく

目に入る姿は、いつもメモを取っている姿だった。

先輩は、事あるごとにノートにメモを取る癖があるから皆の間にはノートと見ると先輩を思い出すことが多い。
実際に、先輩は思いついたことをよく何にでも書くから部屋の壁もメモだらけになっている。この間もつい手元に書く紙が無いからと部室の壁に書き出しそうになっていて部長に怒られそうになっていた。先輩はPCだって持っているけれども何か書く方が手っ取り早いと言う。
メニューを作るときもいつも手書きだ、お世辞にも綺麗な字とはいえないけれどもそれでも先輩のこの字が嫌いではない。データばかりのコンピュータではなく、先輩もれっきとした人間だと感じられるからだ。

先輩達が卒業した後に残した色紙を見て、ふと俺はそんな事を思い出した。

→海堂視点乾像。文字には人柄が溢れている。


13.さらう

「出来ることなら、お前をさらって行きたいよ」

そういう話を先輩は真面目な顔で俺に言った。
てっきりいつもの冗談だと思っていたから、他愛の無い会話の隙間にぽろりと零されたものだと流してしまいそうになったから。気がつくのに少し時間がかかってしまった。

先輩の俺に対する真摯なる感情に対する自分の感情に気がついた今ならば、
俺はアンタにならさらわれてもいい。
でも、アンタに勇気が無いと言うならば

俺がアンタをさらって何処までも行ってやる。

→海堂視点乾海。海堂の方が漢前だと思う。


14.はう


15.まどろむ

「乾、いるー?」

借りた数学の教科書を返しに11組までやってきた。視線だけで乾を探すとクラスの女子が半分笑いながら、黙って乾の席を指差した。
乾の席を見ると確かに居たのだが・・・その姿を見て僕はあることを思いついたのだ。

「あれ? 乾・・・」

丁度別の用事で一緒に来ていた英二が声を掛けようとしたのを、制止する。乾は机の上に突っ伏して眠っていのだ。多分今日も午前様だったのだろう。僕は、持っていたノートを一枚終わりの方を破いてペンでさらさらと文字を書く。その文字を見て、英二も笑いを堪えているのは見るだけで分かった。僕と英二は慎重に乾の席まで行く。気配を悟られないように慎重に、細心を重ねて。一番注意したのは乾の背中に紙を張った。
目的を終了したら、教科書を置いて去っていく。

「駄目だよ、僕をフリーにしちゃ」

乾は結局、その後に訪れた海堂に指摘されるまで気がつかなかったらしいよ。

→アニメ「思い出の決着」海堂回想の真相予想


16.ちる


17.なでる


18.わらう

最近、少し乾の笑顔が柔らかくなったような気がする。

以前の彼が笑わなかったという訳ではないが、それでも笑顔から受ける印象がかなり変わったと俺は思っているのだ。
以前は、笑っていても何処かに冷たさを感じている部分もあったし、いやそれは俺だけだったのかもしれないけれども。今の笑顔は何と言うのだろう、少し暖かさを感じる程だというのか。

原因は判明している

一年後輩の海堂。
乾は、彼に練習メニューを作るようになってから少しずつ変化していた。
それは、彼とダブルスを組むようになった後に更に著明になっていった。
何があったかは敢えて聞いていない。けれども、海堂と乾の間にある空気が少し穏やかになり、部にとっても何処かで変化の兆しを見せているのだ。
そんな風に誰かに影響を与えることの出来る存在に出会えて、乾は幸せなんだなあと考えていたら隣に居る英二がボーっとしすぎだと鼻をつまんでくる。俺は乾と海堂を一瞬だけ見て、英二にゴメンと謝った。

→大石視点の乾と海堂観。


19.たくす

「これからの青学テニス部を頼んだよ」

8月の全国大会を終えて先輩達は引退していった。
青学テニス部に入部して半年。アクの強い3年のレギュラーの先輩達に何故か気に入られ、俺、堀尾とカツオ・カチローの3人は1年だというのに色々な出来事に関わることとなった。ボーリングやビリヤードに参加したり、レギュラー専用合宿に参加したりと今考えればめまぐるしいほどの半年だった。だからこそ3年の先輩達の印象は強く残っている。

3年の乾先輩が、部を引退するときに一冊のノートを手渡した。
内容は、今までの部員のデータとこれからのトレーニング方法…そしてあの、【乾汁】のレシピだった。何故新部長ではなくて、俺に手渡したのだろうか不思議になって先輩に思い切って聞いてみた。

「堀尾は、今の部員の中では一番知識もあり洞察力にも優れている。だからそれをこれからのテニス部の為に生かして欲しいと思ってる。これは俺だけでなくて、手塚や大石も同意したんだ」

いつもの透けない眼鏡のまま、それでも優しい声音で、乾先輩はそう言って俺にノートを手渡した。そして、頑張れと頭を軽く叩く。中にはびっしりと書き込まれたデータの数々。

書かれた一言一言を読み返す。
託されたのは、データだけでなく先輩達のテニス部への『思い』だということに気がついて、俺はその『思い』の重さに責任を感じていた。

→堀尾が多分乾の後継者だろうと考える。


20.かしぐ


21.かける


22.こえる

「俺は過去を凌駕する」

そうか、お前はあの日の続きを、あの日の俺たちを越えようとしてそこに立っているのがその一言にて伝わった。
それと同時にお前が今まで見ていたのは今の俺ではなく、過去のあの時の俺であったことにも気がついた。そうか、貞治、お前はずっとそこから抜け出そうとしていたのだな、そして俺も同じだということに改めて気づかされたよ。

互いに過去を越える為に、あの日の続きに進む為に

あの日の続き、現在というこの場所で俺たちは今過去の続きを始めようとしているのだと気がついたならば、続くためには唯一つ。
ここで戦い、決着をつける。

それだけが唯一無二の俺たちの方法。
学校同士というのも何もかもよりも、それでも尚、俺たちが明日へと続く為の手段はこれだけしかないのだから。

ならば、貞治。俺も本気を出そう。
過去を越えて、未来へと歩き出すために。

→過去を引きずっていたのは乾だけでなく柳も同様だったと思う。


23.うたう

乾が、人前で歌うところは見たことがない。

え、俺? 俺は人前で歌うの大好きだよ。おっきー声出して歌うとすっきりするし気持ちがいいじゃん。特に自分の好きな歌とか歌うのってサイコーだって。そうでしょ、流石にあんまり下手だと周りが大変だかんね、それでもそれなりにでも歌うのは楽しいと思ってる。だからカラオケとかは大好き。
あ、俺はよくクラスの奴らとか不二とかと一緒に行くことが多いかな。時々桃とか誘って行くこともあるよん。桃はかなりノリがいいし、やっぱりノリがいい奴と行くと盛り上がるじゃん。
あ、大石とはって。うーん、大石と行くとまた別の意味で大石がテンション高くなって大変なんだよぉ。変に盛り上がっちゃってさぁ(ため息)。それでも前はああでもなかったんだけどボウリングの辺りからやっぱり空回りっつーか、変なテンションになっちゃって。まあ、そうじゃないときは、2人っきりになるとさあ…いつもと違う…って何いわせんのさ。あ、乾、乾のことね。
そう、乾ってあんまりカラオケ行きたがらないんだよね。オンチだっていう話は聞いたこと無いけどなあ・・・そういえばその話をされてから部活とか他のメンバーに聞いてみたけどやっぱり誰も聞いたことが無いって言ってたよん。そうなると気になるんだよね、うーん。

「どうしたの、英二」
「あ、不二」

ちょうど不二が来たから今の話、不二にするね。あのさあ、不二…。

「それってちょっと興味があるね」

不二がにやりと笑ったならば、興味があるってことだよ。あれ、不二どっかいっちゃった。ああ、薫ちゃんのとこか。そうだよね、薫ちゃんなら聞きだせるかも知れない。何てったって乾結構薫ちゃんのこと気にかけてるから。さあて、どうなるか楽しみだなー。じゃあ、行くよ。

→36(特に不二)に乾が策略で勝てるのは困難


24.すべる


25.ふるえる

全身に、痺れが走った。

あれが、先輩の本気なのだと。全ての瀬戸際に於いて尚持てる力の全てを尽くし戦うその姿に、俺はただその一挙一動を見守るしかない。相手は先輩の幼馴染にして元ダブルスを組んでいたコンビの一人。
先輩は、何を思い、何を背負い、あのコートに立っているのだろう。俺には分からない、分かるはずは無い。それでも、俺の視線は全てが先輩に吸い寄せられるように惹きつけられる。俺が先輩と共にメニューを組んで以来先輩の後姿をずっと見てきた。何よりも、人よりも努力するその姿。俺と、先輩は正反対のようでありながら何処か似ていると思ったこともあった。

俺は、あんな先輩は知らない。
先輩は、俺にはあんな姿を見せない。

ただ、俺の身体は確かに震えていた。
それが、何なのか俺は知らない。ただ、今の俺に出来ることは先輩の試合の全てを見ているだけ。信じるしかない、先輩、アンタがきっと勝つと。

→S3・柳戦。乾の本気を身体で感じる


26.のぞく

最近、誰かに覗かれている気がする。

何か背後から視線を感じるんだよね。桃センパイと一緒に帰った時とか、桃センパイと一緒にハンバーガー食べに行ったときとか、桃センパイの自転車の後ろに乗っているときとか、桃センパイと一緒に水族館行った時とか・・・ってこんなこと書いていたら俺がいつも桃センパイと一緒にいるような気がするけどそんなことないからね! 変な誤解はしないでよ。
それ以外にも授業中とか、部活中とか、それとなく誰かに見られているような気がする。それを誰かに話したりはしてないけどさ。何か色々言われそうだし。
で、ある日たまたま一人で帰ってたらやっぱりその視線を感じた。
こういう時って、やっぱり正体わかんないと怖いし。相手はいつも俺に正体見つからないようにしているのは知っているけど。なんとなく予想はついているんだけどね。さり気無く装って、それからゆっくりとさり気無く後ろに視線を移す。
電柱からほんの少しはみ出ている影。予想通りだね。

「センパイ、余りにしつこいと海堂センパイに言いますよ」

乾センパイの表情だけで効果バッチリなのは見え見えだ。
センパイ、まだまだだね。

→さり気無く桃リョ風味。乾といえばこれ。


27.めでる


28.ひたす


29.たべる


30.しぬ

俺達、乾(先輩)に言いたいことがあります。

とりあえずあの汁を止めてください。
いつか……というか既に死人が出ています。以前あれを呑んで三途の川の向こうの祖父母の姿が見えた人間も居ます。あの不二先輩を倒した青酢に飽き足らず、先日はついに青学以外にも犠牲者が出たそうですね。

ボウリングの時の味の検討の話は何処へいったのですか。

…え? し、新作が出来た……? い、いえ結構ですから。
ざ、残念だとか言う以前に……。あ、か、海堂?


(海堂のこの世ならぬ絶叫が響きそのままグラウンドに倒れる)


い、いや何でもありません。あ、手塚部長。ぐ、グラウンド30周!? あの汁よりはマシかもしれない……すいません、走ってきます。
海堂、お前の尊い犠牲は忘れないぜ。

目を覚ました海堂がどうなったかは、誰も知らない。

→1.2年部員の心の叫び

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