Family restaurant master!!


「いらっしゃいませ、マミーズへようこそ!」

 いつもと変わらぬ笑顔を振り巻き、マミーズのアルバイト舞草奈々子はすっかり常連となってしまった二人組を席へと案内した。

「カレー」
「皆守さんはカレーですね。葉佩さんは・・・」
「俺はこの間の続きからね」
「了解しました。今回は何品行きますか?」
「結構腹減ってるから5品ぐらいで行こうかな?」

 舞草は、わかりました! と明るい声で告げると厨房へと向かって行った。皆守は、二人の間に交わされた謎の会話が気になり、葉佩に声を掛ける。葉佩はメニューを見ながらまだあれこれと考えているかのようであった。

「九ちゃん?」
「ん?」
「この間の続きからって、何なんだよ」

 皆守の問いに、葉佩は知らなかったっけ? と少し首を傾げ不可思議そうにしていたが、皆守の意図がが伝わったらしくメニューを置いた。

「この間、タイゾーちゃんとマミーズのメニュー全制覇しよう! って約束したんだけどさ。結局あの後遺跡に行くことになって出来なかったんだよね」
「この間って、確か夜会の夜だよな」
「うん。で、とりあえず上から順番っていうことで始めたんだけど」

 その話を途中で聞いて、皆守は嫌な予感がした。大抵こういう時の勘というものは否応が無しに当たるのが常である。

「で、それを聞いたマミーズのコックさんが、全種類制覇したらマミーズのタダ食券くれるとか言い出したんで、今タイゾーちゃんと一緒に挑戦中なんだよ」
「へー」

 そうこうしている間に、皆守のカレーと葉佩の注文した品物が運ばれてきた。

「はい、皆守さんはカレー。で、こっちが葉佩さんの・・・」
「待ってました」

 運ばれてきた品物は、全部で5品。



・土鍋カレー
・王様プリン(通常のプリンの20倍/パーティ用)
・かにすき
・天香定食
・日替わり定食(舞草スペシャル)


 テーブルの上に並べられた品々を見て、流石の葉佩も顔色を変えた。見ているだけで食欲すら失せそうである。特に土鍋カレーと王様プリンは一人で平らげられるものじゃない。舞草が、残したらチャレンジ終了ですからね、と告げてテーブルを離れていった。

 ふと、九龍が顔を上げて皆守に視線を寄せる。

「コウ、俺とお前は親友だよな」
「俺にはそんな阿呆な親友はいない」
「えー、ひどーい」

 結局、皆守は土鍋カレーだけだという約束で手伝わされ、葉佩はその翌日腹痛で学校を休んだそうだ。端麗の見立てによれば、食べすぎもあるが原因は日替わり定食ではないかと言っていた。
 やはり、葉佩に関わるとロクな目に会わないというのは、今までも、これからも続くであろうと言うことだけは分かっていた。その後、肥後がマミーズの全メニューを制覇したと肥後のサイトにでかでかと掲載され葉佩が闘志を燃やしていたのは別の話である。



当サイトの葉佩はこんな阿呆の子です。
10話辺りで日替わり定食を頼むととんでもないものが出てきたのが記憶にあったので。

04/11/02 tarasuji