中世史専門用語解説(宗教編)

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】 abbey : 大修道院。修道僧(monk)や修道尼僧(nun)が共同生活を営み、基本的には自
           給自足 の独立組織であるが、しばしば、封建的拘束を領主や高位組織に負う。
           現在では一般にmonastery(僧院),convent(尼僧院)と言われる。 

中世の歴史を読んでいて弱るのは専門用語に出くわす時である。特に宗教用語に出合うと、なじみの浅い我々日本人は戸惑う。以下に今までであったこれら用語とその意味を記すが,間違いが多々あると思われるのでご指摘賜りたい。
主としてカソリック教会での意味を述べる。

abbot : 修道院長。女子の場合はabbessという。他の修道僧とは独立した場所住み、又異
       なる収入を得ていた。中世後半まで多くの修道院長は一般の教会司教より政治的
       に重要な地 位を占めていた。

archbishop : 大司教。英国国教会では大主教という。
           僧侶の階級を司教(bishop),司祭(priest),助祭(deacon)分かれてい
           るが、司教団の中で発展してきた主導的地位のものをいう。
           英国ではカンタベリーとヨークに二人いる。 

archdeacon : 副司教

barber-surgeon : 顔の髭や手を剃る職務の修道僧でしばしば簡単な外科手術も行う。

bishop : 司教。カソリック教会は全国を管区(diocese)に分割し、各管区に司教を配置し
       管理した。各管区には聖堂教会(cathedral church)があり,そこに司教座
       (cathedra)を設けそこに常住した。
       現在、英国は43の管区に分かれている。 

b

c

canon : @ 教会法、修道院規則
       A 司教座聖堂参事会員。聖堂教会ー司祭座聖堂,cathedralーに勤めて司教
         の司牧活動に協力する司祭。

clergy : 聖職者でbishop以下の者をいい、僧も俗人も含めて教会関係者を全てさして言
       う。 clericsとも言う。
       聖職者には俗界に住んで俗人の教化に当たるもの(secular clergy)と修道
       院で暮らす者(regular clergy)に大別され、monkは後者を代表する。

chantry : 寄進で建てられた礼拝堂。ある集団の創始者を称えるために牧師個人がで
        永久的に寄進されたものもあれば一定期間に限定されたものもある。

chapter : @大聖堂参事会員(canon)の総会。 A修道会の修道士総会
           ベネディクト派では日々の修道士の業務はchapter house で行われ
           た。具体的には修道会の規則(a chapter of the Role)を読んだり,
           懺悔、苦行の実施や財務管理等の作業が行われた。

clas : ウェールズ特有の教会の一形態。世俗僧(secular canon)により運営される教
     会で,彼らは牧師のように教会の世話をし、独自の礼拝堂を持つ人々により運営さ
     れる教会。

commissary : 司教代理

confessor : @証聖者。殉教はしなかったが迫害に屈せず信仰を守った者
          A懺悔聴聞司祭

curia : @ローマ教皇庁 A教皇の補佐役

curate : 教区の補助司祭、代理牧師。
       英国国教会では司祭助手、副司祭で教区牧師(rector)や司教代理(vicar
       の補助を行う。

d

deacon : 助祭。司祭(priest)の下位の位で、主として教会の財務や管理業務に携わ
        る。

 

dean : 地方司教代理。首席司祭。聖堂参事会の会長。
      英国国教会では主席司祭でbishopの下位に位置し,cathedralの長となる。

diocese : 教区 or 管区。司教(bishop)の管理する教会としての行政区域。名前は管理
        区域を作成したローマ皇帝ダイオクレティアン(Diocletian)に由来する。
        dioseseは司祭の管理する教区(parishに細分される。

e

episcopacy : 司教職 or その在任期間

exhortation : 説教

f

friar : 托鉢修道会(mendicant)に属する修道士で13世紀に教会浄化を目指して起こっ
      た。修道士には隠遁生活を目指すmonkと世俗と交わろうとするfriarがある。後
      者は宗派により服装の色がことなり、色の名前で呼ばれた。
         Gray Frair =フランシスコ派修道士
         Black Frair =ドミニコ会修道士
         White Frair =カルメン会修道士 

collegiate church : 聖堂参事会や主席司祭(dean)が管理する教会でchathedral と異
               なり、司教座はない。中世においては学校法人の資格を与えられ
               た教会。 

laity : 聖職者(clergy)に対する俗人。 cf平信徒(layman) 

monastery : 修道院。修道僧や修道尼僧が宗教生活を送る。
          religious houseともいう。女子修道院はconvent or nunnery

n

novice : 見習い僧。修道士になるにはまず、noviceとなり訓練を受ける。

o

obedientiary : 修道士,修道尼や聖堂会司祭で特に教会の管理、運営を命じられた者 

p

pagan : 異教徒

parish : 教区。教会と牧師を持つ宗教行政上の小区域で中教区(diocese)最終的に
       parishまで分割される。

prebend : 僧録。聖堂教会(cathedral)会員の給与。

prelate : 高位聖職者でarchbishop, bishop, patriach等。

patriach : 長老。開祖。 Patriach:総大司教。東方教会では総主教。

priorabotoの次に位する修道院長もしくは副院長。女性の場合はprioress

priory : 小修道院。priorにより管理されるabbeyより小規模な修道院

s

sacrament : 秘蹟。中世以降キリスト教が生活の細部に入ってきて信徒に義務づけら
          れた儀式。洗礼、堅信,聖体,告解,終油,叙階,婚姻の七つがある。
  

see : 司教の地位。 the see=司教座, The see of Rome=Holy See=ローマ教皇庁

surffragan : 補助司教。教区司教のように宗教法的権力をもっていないが、聖職受認
          式や堅信式のような宗教的儀式を行うように定められた司教。

rector : 小教区(parish)教会に在勤する司祭でその教区の収入を得る代わりに教区
       の区民の宗教活動にたいして責任を持つ。
       主任司祭。修道院長を勤めることもある。

synod : 宗教会議,長老会議

v

vicar : 司教代理。十分の一税を受け取っていた司教や修道院に代わって職務を代行
      した。そのかわり、それら収入の一部を貰った。特に修道院は俗事の処理に疎
      かったので彼らに委託した。

oratory : 小礼拝堂

Lady Chapel : 聖母礼拝堂