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今月の特集

= イギリスの長弓 ( Longbow ) =

《長弓の復元》

《弓部隊の練習風景》

《石弓( Cross-bow)》

《クルシーの戦い》

13〜16世紀にかけて、イングランドを代表する武器は長弓( Longbow )であった。他国に優れたこの武器が、ウェールズやスコットランドの征圧を可能にし、大陸ではフランスに取って代わってヨーロッパ一の軍事大国に押し上げたと言える。
1346年のクルシーの戦いでイングランド軍はフランス軍を打ち破っているが、その戦場でフランス軍の石弓の装着にもたもたしている様が絵画に残されている。

長弓とは当時大陸で使われていた4フィートの弓より長く5〜5.2フィートの長さがあった。当時の農民の平均身長が5フィートであったので、身長かそれより少し長い弓である。

この弓の長所は速射速度で、戦場では個々の兵の命中精度ではなく、如何に早く撃てるかが問題となった。一人前の弓兵は一分間に最低6本の矢を射ることが出来た。
1415年、Jehan de Wavrin は「戦場で一番重要なのは弓隊である。ただし、数を揃えなければ意味がない。」と言っている。彼らは矢を密集して撃ち、まるで雪の降るようでその音は嵐の前の風の唸りに似ていた。

《ウェールズの弓兵》

実際の戦場では、彼らの弱点は騎兵に弱い事であるので、土手や森、沼地といった騎兵の活動を制限する天然の遮蔽物の有るところに陣を敷いた。それらが無いときは塹壕や穴を掘りその前面に逆茂木を設えた。
個々の兵士は位置に着くと、まず大地に跪き、十字を切る。そして土を少し口に含んで、いつでも死んで土に帰る準備が出来ている事を示す。そして矢を矢袋から取り出し、自分の前の地面に突き刺す。そうすることにより速射が可能となる。

弓の材質はイチイの木であるが、数が少ないのでイタリアやスペインから輸入されていた。しかし、その後国産の木で造られるようになっている。
その威力であるが、まっすぐに当たると当時の鎧の標準的厚さの鉄板を貫通した。しかし、相手にとって最大の被害はその馬を傷付けられることであった。

武器から見た百年戦争

1339年に起こった英仏間の百年戦争をその武器から見ると初期においてはフランス軍の旧態依然たる重装備の騎士に対してイギリス軍は弓兵と短槍兵からなる歩兵が三分の二を占めていた。イギリスは特に弓の製作が工夫され奨励されていたし,フランス人の捕虜が帰国するときこの弓を持って変えることが厳しく禁じられていた。そして「英人は世界の弓兵の花だ。」という高評を得た。
フランス軍が優位に転ずるのはジャンヌダルクの活躍もさることながら、大砲という新しい武器の導入によるところが大きい。