弁明書・反論書(羽衣保育所民営化応募事業者の採点の非公開)

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○ 羽衣保育所民営化応募事業者の採点の非公開異議申立てについて、高石市長から提出された弁明書と異議申立人が提出した反論書です。
 
 高石市長が提出した弁明書

                                2013年5月1日

 高石市情報公開審査会
 会長 清 原 泰 司 様

                    異議申立人 高石市職員労働組合     
                          執行委員長 堀 川 和 貴 

                 反  論  書

 平成25年4月8日付、高石保子第2106号の弁明書について、次のとおり反論する。

1 異議申立てに係る処分

 高石市長(以下「実施機関」という。)の行った平成25年1月4日付、高石保子第15
90号による異議申立人に対する公文書部分公開決定(以下「本件処分」という。)。

2 趣旨

 本件処分を取り消し、採点表自由記述欄中の職員の年齢を除いて公開するべきとの答申
を求める。

3 理由

 本件公開請求に対して公開されなかった部分は、不選考応募者の採点結果の点数部分、
採点表の点数部分及び採点表の自由記述欄中の職員の年齢である。公開を求めているのは、
このうち採点結果の点数部分及び採点表の点数部分(以下「採点の点数」という。)である。

(1) 採点の点数を公開しても不選考応募者に不利益が生じることはない

@ 羽衣保育所民営化事業者の選考に係る採点の方法

 羽衣保育所民営化事業者の選考は、高石市立羽衣保育所の民営化に係る事業者選考委員
会(以下「選考委員会」という。)において、選考委員会の委員(以下「選考委員」という。)
が応募者の提出書類、応募者が運営する保育所の見学及び応募者ヒアリングに基づいて応
募者を評価する方法により行われた。評価の項目は、「基準項目」5項目、その細目となる
「審査内容」42項目から構成され、「審査内容」42項目について採点が行われた。「審
査内容」の各項目は10点満点、評価・採点基準は、「大変適切と評価できる法人」である
場合は10点、9点、「適切と評価できる法人」である場合は8点、7点、「概ね適切と評
価できる法人」である場合は6点、5点、「あまり適切でないと評価される法人」である場
合は4点、3点、「適切でないと評価される法人」である場合は2点、1点、0点とされた。
その結果、「基準項目」ごとの合計点数は、「理事及び運営施設の状況・第三者評価」が4
0点、「保育の目標・内容等」が160点、「市民福祉に向けての取り組み状況」が40点、
「施設整備・運営計画等」が110点、「資金計画・経理状況等」が70点となり、総合計
点は420点となる。このように「採点基準」の評価・点数基準は定められたものの、何
をもっていずれの評価に該当するのかという判断の基準は特に定められることはなく、選
考委員の自由な考えや判断に任された。

A 選考委員の付けた点数の性格

 したがって、例えば、現に行われている羽衣保育所の保育内容をそのまま引き継いで欲
しいと考える選考委員は、そのような提案をした応募者に高い点数を付けるが、羽衣保育
所の保育内容ではない新たな保育内容が必要と考える選考委員は、羽衣保育所の保育内容
を引き継ぐ提案をした応募者には低い点数を付けることになる。基準項目は5項目あるが、
このうち「理事及び運営施設の状況・第三者評価」、「保育の目標・内容等」、「市民福祉に
向けての取り組み状況」、「施設整備・運営計画等」の4項目は、保育所運営の基本、保育
内容、地域との関わりなどに関する項目であり、これら4項目(合計350点で総合計点
420点の83%となる。)については、選考委員の価値観・思いに基づく評価がされるこ
とになる。すなわち、これら4項目は、羽衣保育所民営化の引き受け手としてふさわしい
かどうかという点について選考委員がそれぞれの価値観・思いで応募者を評価した結果で
あって、何らかの公的な権威ある客観的・一般的基準に基づいて客観的・一般的な評価を
した結果ではない。
 また、基準項目の「資金計画・経理状況等」は、客観的・一般的な評価がされる項目で
あるが、応募資料が公開されている以上、誰でも客観的・一般的な評価が可能である。

 以上から、基準項目の「理事及び運営施設の状況・第三者評価」、「保育の目標・内容等」、
「市民福祉に向けての取り組み状況」、「施設整備・運営計画等」の4項目の採点の点数は、
選考委員の価値観・思いに基づく評価の結果であって不選考応募者に客観的・一般的な評
価において不適当な点があることを示しているものではないこと、「資金計画・経理状況等」
については、公開されている応募資料から誰でも客観的・一般的な評価が可能であること
から、いずれの基準項目の採点の点数を公開しても不選考応募者に不利益が生じることは
ない。採点の点数を公開することにより不選考応募者の保育内容が選考応募者の保育内容
よりも客観的に劣るなどの誤解が生じることを懸念するのであれば、保護者や市民に対し
て丁寧な説明をすれば足りることであり、説明の努力を省いて情報公開条例によって実施
機関に義務付けられた説明責任をおろそかにしてはならない。

(2) 応募者の利益よりも公共の利益が上回る

@ 公共の利益との比較衡量をするべきである

 高石市情報公開条例は前文で、「市民の知る権利を保障し、市の説明責務を果たすととも
に、情報の共有化を進め、市民と市が一体となって、個性豊かで活力に満ちた地域社会を
形成し、21世紀における高石市のさらなる発展を図る」とし、第1条で「公文書の公開
を求める市民の権利を明らかにすることにより、市政の公正な運営を確保し、市民の市政
への参加及び市の保有する情報が市民生活において積極的に活用されることを推進」する
と謳っている。すなわち、実施機関の保有する情報は市民の情報であって公開されるのが
原則=実施機関に公開義務が課せられる、ことになる。そうすると、情報公開条例第7条
の規定は「公開しないことができる」と規定されているのであるから、公開原則の例外が
定められている=実施機関の公開義務が解除される(非公開が義務付けられるのではな
い。)、ことになる。このように考えると、実施機関が公開しない根拠としている情報公開
条例第7条第1号の規定の解釈・運用は、文言を形式的に解釈・運用するのではなく、情
報公開条例の前文や第1条の規定に即して市民の知る権利の保障や実施機関の説明責任を
前提に、「正当な利益」の意味内容を慎重に考慮し、公開することによる公共の利益と公開
しないことによる不選考応募者の利益とを比較衡量した総合的な判断に基づいて行われる
べきである。

A 採点の点数を公開することによる公共の利益

 採点の点数を公開することによる公共の利益は次のとおりである。

ア 高石市は多額の負担をするのであるから公開されるべきである

 羽衣保育所民営化事業者には、市有地が無償貸与され、建物が無償譲渡され、多額の補
助金が交付される(2013年度当初予算だけでも保育所移管に伴う施設開設準備補助金
11,274千円、私立保育所施設整備費補助金174,714千円が計上されている。)。
このように高石市は羽衣保育所民営化に多額の負担をするのであるから、どのような経
過・理由で民営化事業者が選考されたのかを市民に公開し、市民の納得が得られるように
しなければならない。実施機関は、選考委員会は専門家、公共的団体代表者、保護者代表
者により構成され、会議は傍聴を認め、議事録は公表したので選考の透明性と適正さは確
保されたと主張するが(実施機関のそのような努力は認めるが)、選考の透明性と適正さの
確保は選考委員会の構成、会議の傍聴、議事録の公表に尽きるものではなく、最終的には、
採点の点数も含めて選考経過が市民に明らかにされ、市民の納得が得られてこそ確保され
るものである。

イ 保護者等に対する説明責任を果たすべきである

 羽衣保育所民営化には、保護者等から激しい反発、反対運動がある(これまでの保育所
民営化においても保護者等から繰り返し激しい反発、反対運動があった。)。このような激
しい保護者の反発、反対運動があればこそ、実施機関は、採点の点数を含めて選考経過を
公開し、保護者等の納得が得られるようにするべきである。

ウ 選考委員に利害関係者が就任していたので公開が強く求められる

 選考委員に応募者の役員が就任していた。当該選考委員は事業者の募集時点で辞任した
が、事業者選考の公正さに疑問があると言われても仕方のない事態である。本来、選考委
員が関係する事業者には応募資格を認めるべきではない。したがって、選考の公正さを検
証するために採点の点数の公開が強く求められる。

エ 公益法人にはより公開が求められる

 羽衣保育所民営化事業者の資格は社会福祉法人に限られていた。社会福祉法人は公益を
目的とした公共性の高い法人であり税制で優遇され、補助金の投入や財務監査など公的な
関与もされている。羽衣保育所民営化の場合は、既に述べたように多額の公費が注ぎ込ま
れ、民営化後の運営についても運営経費の多くは高石市や国の委託料、補助金で賄われる。
したがって、情報公開に関しては、私的な性格の強い株式会社等とは異なったより公開性
を高めた扱いがされるべきである。

 以上から、仮に不選考応募者に多少の不利益が生じるとしても(異議申立人は不選考応
募者に不利益は生じないと考えるが)公開することによる公共の利益が上回るので、採点
の点数は公開されるべきである。

(3) 自由記述欄が公開されている

 採点表に附属する自由記述欄は応募者を特定して公開されている。記述内容には相当低
い評価が書かれているものもあり、このような自由記述欄を公開しても不選考応募者に不
利益が生じないのであれば、採点の点数を公開しても不選考応募者に不利益は生じない。

(4) 加茂保育所民営化において同じ内容の文書が事実上公開されている

 加茂保育所民営化において、本件と同じ内容の文書が、点数に対応する不選考応募者名
は公開されなかったが点数は公開された。応募者は3者(応募者名は公開)しかなかった
のであるから不選考応募者は2者となり、財務書類等応募書類を比較検討すれば、いずれ
の点数がいずれの不選考応募者のものなのかほぼ確定すると思われる。実施機関は、点数
は選考委員の裁量で付けるので、応募書類を読んでも不選考応募者と点数との関係は確定
しないと主張する。確かに、確実に確定するとまではいえなかもしれないが、そうであっ
たとしても、不選考応募者と点数との結びつきは二者択一でしかないので、加茂保育所民
営化においては不選考応募者と点数との結びつきは公開されたのも同然である。羽衣保育
所民営化において採点の点数を公開すると不選考応募者に不利益が生じるというのであれ
ば、加茂保育所民営化においては不選考応募者に不利益が生じていたことになり、実施機
関の主張には矛盾が生じる。

(5) 結論

 以上のとおり、採点の点数が公開されても不選考応募者には不利益は生じないこと、仮
に公開によって不選考応募者に不利益が生じるとしても公開することによる公共の利益が
公開しないことによる不選考応募者の利益を上回ること、低い評価が書かれた応募者が特
定された自由記述欄が公開されていること、加茂保育所民営化において同じ内容の文書が
事実上公開されていることから本件処分は違法であり、本件文書は採点表自由記述欄中の
職員の年齢を除いて公開されるべきである。

参考資料
 羽衣保育所選考結果
 羽衣保育所採点表(抜粋)
 加茂保育所選考結果表
 加茂保育所採点表(抜粋)


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高石市職員労働組合 「高石まちづくり情報」
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