弁明書・反論書(取石に設置される認定こども園
応募事業者の採点表の非公開異議申立て)

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○ 取石に設置される認定こども園応募事業者の採点表の非公開異議申立てについて、高石市長から提出された弁明書と異議申立人が提出した反論書です。

 高石市長が提出した弁明書

                              2010年7月12日

 高石市情報公開審査会
 会長 清 原 泰 司 様

                    異議申立人 高石市職員労働組合     
                          執行委員長 堀 川 和 貴 

                 反  論  書

 平成22年6月16日付、高石保子第240号の弁明書について、次のとおり反論する。

1 異議申立に係る処分

 高石市長(以下「実施機関」という。)の行った平成22年2月26日付、高石保子第1
630号による異議申立人に対する公文書部分公開決定(以下「本件処分」という。)。

2 趣旨

 平成22年2月26日付、高石保子第1630号による異議申立人に対する本件処分を
取り消し、本件文書のうち採点表(各委員が、応募法人ごと、項目ごとに採点したもの。
以下「本件文書」という。)を非公開とした部分を取り消し、公開するとの決定を求める。

3 理由

(1) 主張・立証責任について

 高石市情報公開条例(以下「条例」という。)は、前文で、市民は市政について知る権利
を有し、市は市政について市民に説明する責務がある旨を規定し、第3条で、実施機関は、
公文書の公開を求める権利が十分に保障されるように、この条例を解釈し、運用すること
とし、情報公開事務の手引きの解説では、公文書は公開が原則であり、非公開事項に該当
するか否かは客観的かつ具体的に厳格な判断が必要としている。すなわち、公文書は公開
するのが原則なのであるから、実施機関は、公開請求に係る文書を例外として非公開とす
るなら、当該文書がいずれの条文・非公開事項に該当するのか、その理由は何か、主張・
立証責任を負うというべきである。したがって、実施機関が弁明書等によって、適用条文
及び当該条文を適用する理由を十分に説明できていないと判断されるときは、当該文書は
公開されなければならない。

(2) 条例第7条第1号の適用に係る審査について

 本件処分通知書によると、実施機関は、第一に、本件文書を公開すると認定こども園の
運営事業者に応募した法人(以下「応募法人」という。)の正当な事業活動に不利益を及ぼ
し、当該法人の名誉や社会的評判が不当に損なわれるおそれがあることを理由として本件
文書を公開しなかったと主張するが、条例第7条第1号(法人等情報に係る非公開規定)
を適用していなかった。そこで、異議申立人が異議申立書において、公開することにより
法人が被る不利益については、条例第7条第1号を適用するべきではないかと指摘したと
ころ、実施機関は、弁明書において、本件公開請求は、「条例第7条第1号・・・に関する
公開請求ではな」いと、条例第7条第1号の適用を否定した。条例第7条第1号は、「法
人・・・その他の団体に関する情報」に係る非公開規定である。本件文書は、高石市立取
石幼稚園・取石保育所の認定こども園への移行に係る事業者選考委員会(以下「選考委員
会」という。)において、選考委員会委員が、応募書類等を採点し、その結果を記載した文
書である。すなわち、本件文書は、応募法人の評価が記載された応募法人に関する情報で
ある。実施機関が、本件文書を公開すると応募法人の事業活動に不利益を及ぼし、当該法
人の名誉や社会的評判が不当に損なわれるおそれがあると主張しつつ条例第7条第1号の
適用を否定するのは、矛盾している。実施機関の主張について、異議申立人は条例第7条
第1号を適用するべきではないかと指摘したのだが、実施機関はこれを否定した。したが
って、条例第7条第1号の適用の可否及び応募法人が被る不利益については、情報公開審
査会における審査において考慮すべきではない。
 なお、過去においては、本件文書と同様の文書について、条例第7条第1号を適用して
部分公開とした事例、例えば、「選定基準に基づいて法人選考資料と面接質問評価に各選考
委員か記入した資料及びこれらの資料をまとめたもの」(請求番号平成13年度第82号)
がある。

(3) 条例第7条第1号の適用について

 実施機関は条例第7条第1号の適用を否定しているが、本件文書が条例第7条第1号に
該当しないことについて、一応、次のとおり主張する。

 条例第7条第1号は、法人等に関する情報について、公にすることにより、当該法人等
の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるものについて公開しないことがで
きるとする規定である。すなわち、本件文書を公開すると、応募法人の競争上の地位その
他正当な利益を害するかどうかで公開か非公開かが判断される。そこで問題となるのは「正
当な利益を害する」をどう理解するかであるが、条例は、市民の知る権利の保障及び実施
機関の説明責務の履行を目的にしているのであるから、「正当な利益を害する」とは、応募
法人の不利益すべてを意味するのではなく、その判断にあたっては、公文書の公開によっ
て害される法人等の利益が正当といえるかどうか、すなわち、知る権利の保障及び説明責
務の履行により市民が受ける利益との比較衡量が必要となる。
 そこで、まず、本件公開請求を行なった経緯・理由等を説明し、次に本件文書が条例第
7条第1項に該当せず公開されるべきことを説明する。

@ 本件公開請求までの経緯と本件公開請求を行なった理由について

・ 耐震診断の実施と取石保育所・取石幼稚園の廃止、民間による認定こども園の設置に
 ついて

 2009年7月に公立保育所・公立幼稚園の園舎の1次耐震診断が行われた。耐震化工
事を行うためには2次耐震診断が必要であり、耐震化の急がれる保育所について1次耐震
診断をしたのは、1次耐震診断の結果の悪い保育所・幼稚園を選択的に廃止することが目
的であったと推測される。
 1次耐震診断の結果、本市取石3丁目にある取石保育所の耐震性能が極めて悪く、推測
どおり、取石保育所と同保育所に隣接する取石幼稚園とを廃止して保育所と幼稚園とをい
わば合体させたような性格の施設である認定こども園を設置することとし、設置運営は民
間にさせることが決定された。取石保育所、取石幼稚園の保護者は、その決定過程には全
く関与させられず、情報も知らされず、突然、結果だけを知らされた。

・ 認定こども園の運営事業者に社会福祉法人徳友会が選考されたことについて

 運営事業者の募集は公募で行われ、社会福祉法人徳友会(以下「徳友会」という。)が選
考された。徳友会は、本市取石4丁目で取石南保育園を経営している。本市取石地区の就
学前施設は、市立取石保育所、市立取石幼稚園、徳友会取石南保育園の3園しかなく、認
定こども園を徳友会が経営することにより、取石地区の保育所、幼稚園はすべて徳友会が
経営することになる。
 保育所の民営化=市場化は、その是非は別として、民営化=市場化して、保護者と保育
所とが直接契約をするようになると保育所は保護者のニーズに、保護者は園の選択に敏感
となり、保育の質が向上するという考えに基づく。その前提条件は、多様な保育所がたく
さんあって、保護者が自由に保育所を選択できることである(大半の保護者は、住んでい
る地域か、勤務先近くの保育所を選択するしかないので、そもそも保護者の自由な選択が
成立するのか疑問であるが。)。しかし、今回の認定こども園の設置と民営化は、本市取石
地区の保育所・就学前施設の徳友会による独占化をもたらし、地域によっては保護者の選
択肢はほぼなくなる。保護者の中には、取石南保育園に行きたくなくて取石保育所に子ど
もを入所させた者もいる。そのような保護者にとっては、認定こども園の設置、民営化と
徳友会が運営事業者になることは極めて深刻な事態である。

・ 保護者等の運動について

 また、認定こども園の民間による設置については、「保育所・幼稚園の早急な耐震化と『取
石保育所・幼稚園廃止』の凍結を求める請願」が23,461筆の署名を添えて実施機関
に提出される一方、同趣旨の請願が、公立保育所全4園の保護者会会長、市立知的障害児
通園施設松の実園保護者会会長、保育所保護者会連絡会会長、高石保育運動連絡会会長、
加茂幼稚園保護者の集まり、高石手をつなぐ親の会会長の連名で市議会に提出されたが、
賛成少数で否決されている。
 このように、取石保育所・取石幼稚園の廃止と認定こども園の民間による設置は、当事
者である保護者の参加もなければ意向が尊重されることもなく進められた。

・ 選考委員会の選考経過について

 実施機関は、認定こども園運営事業者を公募し、募集は2010年1月14日に締め切
られ、8法人の応募があった。運営事業者の選考は選考委員会に諮られ、選考委員会は、
ヒアリングを含めて4回の会議を開き、1月29日に徳友会を選考している。応募書類は
全部で2279ページ、片面コピーで厚さ24センチメートル、重さ11キログラムもあ
る。このような大量の書類をわずか15日間に読みこなし、会議を4回行い、選考すると
いうのは、極めてハードな仕事である。

・ 本件公開請求を行なった理由について

 別に部分公開された選考集計表によると、選考委員会委員の応募法人ごとの得点順位分
布は、徳友会以外の応募法人については結構バラつきがあるが、徳友会については、全員
が一致して第1位としている。一般的な感覚からすれば、このような採点結果は異様に感
じる。そこで、選考委員会の15日間の議論の結果、なぜ徳友会の評価が飛び抜けてよか
ったのか、徳友会は何が評価されたのか、他の応募法人との違いは何か等を知ろうとして
本件公開請求を行なったものである。
 異議申立人は、選考委員会でどのような議論がされたのかを知ろうとして、第4回選考
委員会から第6回選考委員会までの議事録を公開請求したところ作成されていないことが
判明した(市ホームページには議事内容の記載のない簡易な議事録しか掲載されていなか
ったため、議事内容の記載のある議事録を公開請求した。)。したがって、詳しい選考の理
由がわかる資料は、本件文書しかないことになる。

A 保育所に関する情報提供義務及び第三者評価の公表について

・ 保育所に関する市町村及び保育所の情報提供義務について

 児童福祉法第24条第5項は、市町村に、保護者の保育所の選択及び保育所の適正な運
営の確保に資するため、地域住民に対して、保育所の設置者、設備及び運営の状況等に関
して情報提供することを義務付け、第48条の3は、保育所に、地域住民に対してその行
う保育に関する情報の提供に努めるよう求めている。市町村が提供する情報は、厚生労働
省令で定められ、保育所の名称、位置、設置者、施設・設備の状況、入所定員、入所状況、
職員の状況、開所時間、保育の方針、私立認定保育所である場合の都道府県知事に届け出
た選考の方法、保育所の行う事業、保育料、入所手続、市町村の行う保育の実施の概況等
多岐にわたる。

・ 福祉サービスの第三者評価について

 一方、社会福祉法第78条は、社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービ
スの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者
の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならないと規定
し、厚生労働省は、保育所を含む福祉サービスの第三者評価を推進している(「福祉サービ
ス第三者評価事業に関する指針について」)。第三者評価の評価項目は53項目にも及んで
いる(福祉サービス第三者評価基準ガイドライン)。
 厚生労働省は、自治体による措置制度を廃止し、利用者は施設・事業所と直接契約し、
福祉サービスの提供を受けるという福祉構造改革を推進してきた。そうすると、利用者は、
受けたいサービスを提供する施設・事業所はどこにあるか、その施設・事業所及び提供さ
れるサービスの質・水準はどうか、費用はどの程度必要か等の情報を得る必要がある。し
たがって、児童福祉法第24条第5項、第48条の3のような情報提供の規定や社会福祉
法第78条のような第三者評価の規定が設けられ、福祉サービスの質、利便性、公正性、
透明性等の向上が図られているのである。第三者評価は、評価を受けるかどうか、評価の
結果を公表するかどうかは受ける側に任されているが、評価を受け、その結果を公表する
ことは積極的に推進されている。

B 認定こども園に対する財政上の措置について

 取石保育所・取石幼稚園の廃止及び認定こども園の徳友会による設置について、高石市
は、徳友会に対して、市有地2783.90uを無償貸与し、市有建物641.00uを
無償譲渡し、2010年度当初予算において3億2千万円もの補助金を計上している。

C 本件文書の公開が条例第7条第1号に該当しないことについて

 本件文書が公開されることにより、選考委員会委員が行った応募法人の採点が公になり、
選考委員会及び選考委員会委員による応募法人の評価、得点順位等が明らかとなる。これ
により、得点の低かった応募法人について、マイナスのイメージを与える可能性があるこ
とは異議申立人も否定しない。しかし、問題は、それが「正当な利益を害する」かどうか
であるが、本件文書の公開は、「正当な利益を害する」には該当しない。
 なぜなら、第一に、本件文書は、応募法人の中から徳友会を選考した理由のわかる唯一
の文書であるからである。とりわけ、本件文書は、取石保育所・取石幼稚園の廃止、認定
こども園の民間による設置の決定に一切関わることのできなかった保護者や市有財産の無
償譲渡・無償貸与及び補助金を負担する市民にとって、応募法人の選考過程の適正性を判
断するための唯一の情報といって差し支えない。そのような本件文書の公開は、当該法人
の名誉や社会的評判が不当に損なわれるおそれ程度で妨げられるようなことがあってはな
らない。市民の知る権利の保障と実施機関の説明責務の履行が優先されなければならない。
なお、実施機関は、不利益の「おそれ」を主張しているが、条例第7条第1号は「正当な
利益を害すると認められるもの」という規定であり、条例が非公開とする範囲は、実施機
関の主張よりも狭いと解される。
 第二に、厚生労働省により、福祉サービスの情報提供や第三者評価とその公表が推進さ
れているからである。福祉サービスの情報提供や第三者評価とその公表により当該福祉施
設が何らかの不利益を被ったとしても、当該福祉施設の正当な利益を害したことにはなら
ない。なぜなら、これらの情報の提供等は、福祉サービスの質の向上や、市民や利用者が
適切に福祉サービスを選択し、受けられるようにするために必要不可欠の情報であるから
である。本件文書は、保育所の第三者評価とは項目等に違いがあるが、福祉施設及びそこ
で実施される又は実施される予定のサービスを当該福祉施設ではない第三者が評価すると
いう点において違いはない。本件文書の公開が応募法人の競争上の地位その他正当な利益
を害するというのであれば、第三者評価の公表もあり得ないことになる。特に応募法人は
社会福祉法人等の公益法人であって営利企業ではない。公益法人には公益事業を行ってい
るという点から税制において優遇措置があり、営利企業とは違ってその運営にはより透明
性が求められる。
 なお、異議申立人は、現行の第三者評価の内容とその公表が十分な水準にあると考えて
いるものではない。
 第三に、認定こども園の運営事業者には、市有土地の無償貸与、市有建物の無償譲渡さ
らには多額の補助金が交付されるからである。これらの財政上の措置の負担は、市民が負
うことになる。したがって、市民は、認定こども園の運営事業者の選考方法、選考経過、
選考理由等を知り、それが適正であったのかどうかを判断する権利がある。一方、実施機
関には、財政措置の負担者である市民に、これらのことを説明する責務がある。

 以上から、本件文書は条例第7条第1号には該当せず、公開されなければならない。

D 法人名を除いて公開した場合の法人名の特定について

・ 法人名は確定的には特定されないことについて

 実施機関は、法人名を除いて本件文書を公開すると法人名は特定されると主張する。し
かし、次のとおり法人名は確定的には特定されない。
 応募法人が実施機関に提出した書類は一部を除いて公開されている。また、採点結果を
集計した選考集計表も法人名を除いて公開されている。仮に本件文書が法人名を除いて公
開されたとして、本件文書と応募書類、選考集計表を突合しても、応募書類の評価は突合
する者の主観によって行うのであるから、選考委員会の評価と一致するとは限らないので、
本件文書と応募書類、選考集計表の突合から法人名を確定的に特定することは困難である。
法人名は推測又は憶測の域に止まる。したがって、法人名が確定的に特定されない以上、
応募法人の正当な利益を害するとはいえない。

・ 本件文書の応募法人の並びが50音順であるとの実施機関の主張の審査について

 実施機関は、本件文書の応募法人の並びが公表した応募法人の名簿と同じ50音順であ
り、本件文書の法人名が特定されると主張している。異議申立人は、本件文書の応募法人
の並びが50音順であることは知らない。また、それは公知の事実でもない。実施機関は、
公知の事実でないことを公にすることによって、異議申立人の主張を意味のないものにし
た。このような実施機関の主張立証方法は不当であり信義則に反する。したがって、実施
機関の、本件文書の応募法人の並びが50音順であり、本件文書の法人名が特定されると
の主張は、審査会における審査において考慮すべきではない。

(4) 条例第7条第2号の適用について

@ 本件文書が条例第7条第2号の文書ではないことについて

 条例第7条第2号は、審議、検討及び協議に関する情報に係る非公開規定である。本件
文書は、選考委員会における応募法人の評価に関する情報であるが、選考委員会における
選考は既に終了し、認定こども園の運営事業者を徳友会とすることも決定されている。す
なわち、審議、検討及び協議するべき選考委員会は既に存在せず、選考委員会終了以降の
実施機関における審議、検討及び協議も終了しているのであるから、本件文書を公開して
も、選考委員会委員間の率直な意見交換を損ない、認定こども園の運営事業者の選考に不
当な影響を及ぼすことも、応募法人が本件文書の公開を理由に応募を辞退するようなこと
も、実施機関の決定に不当な影響を及ぼすことも、そもそもあり得ない。したがって、本
件文書は、条例第7条第2号の審議、検討及び協議に関する文書ではない。異議申立書で
も指摘したが、本件文書を公開することによる将来における選考委員会委員の率直な意見
交換を損なうこと、運営事業者の選考に不当な影響を及ぼすこと、応募法人の協力可能性
が低下することを主張するのであれば、審議、検討及び協議が終了している以上、条例第
7条第2号を適用するべきではなく、条例第7条第3号の事務事業執行情報に係る非公開
規定を適用するべきである。条例第7条第2号の適用と条例第7条第3号の適用とでは、
意思決定が終了しているか終了していないかの条件の違いにより、非公開の範囲が異なる
可能性がある。

A 将来の率直な意見交換を不当に損なうこと、意思決定の中立性を不当に損なうこと、
 現応募法人の将来の協力可能性が低下することについて

 実施機関は、本件文書を公開すると、将来の同様の選考があった場合に、将来の率直な
意見交換を不当に損ない、意思決定の中立性を不当に損ない、応募法人の協力を得ること
が著しく困難になると主張している。しかし、実施機関は、将来のさらなる保育所(幼稚
園を含む。)の民営化を現時点で具体的に計画しているわけではなく、将来、保育所の民営
化があるかどうか、保育所の運営事業者の選考があるかどうか、選考があるとした場合の
選考の方法、選考委員会を設置するかどうか、選考委員会の運営方法など当然のことなが
ら全くわからない。そのような将来の不確かなことまで考慮して応募法人の将来の協力可
能性の低下を主張するのは行き過ぎである。

B 情報公開審査会答申事例について

 選考委員会の議事録であるが、選考後の条例第7条第2号の適用の可否について、高石
市情報公開審査会答申は、次のように条例第7条第2号の適用を否定している。「本件処分
を行った時点では、実施機関の意思決定は終了していた・・・。実施機関は、本件文書を
公開すると、選考委員会の委員の発言内容を巡って元委員が批判されることも考えられ、
そうなると将来の幼稚園民営化に関する同種の事務において、委員の選任に困難が生じた
り、委員が発言を控えるなど将来の選考委員会における率直な意見交換を不当に妨げると
主張する。しかしながら、実施機関は、幼稚園を順次民営化するとの方針を決定はしてい
るものの、次の幼稚園民営化の具体的な手続きまで決定しているわけではないので、将来
の幼稚園民営化に関する同種の事務が発生するかどうかは不確定であり、また仮に同種の
事務が発生するとしても、将来の選考委員会の委員の選任に困難が生じるかどうか、率直
な意見の交換が不当に妨げられるようなことがあるかどうか不明である。したがって、本
件文書は本条例第7条第2号に該当しない。」(平成14年4月15日付、答申第8号)。

C 自由闊達な意見を述べるために誰がどの法人に何点を入れたかがわからないように非
 公開としたとの主張について

 実施機関は、自由闊達な意見を述べるために誰がどの法人に何点を入れたかがわからな
いように本件文書を非公開としたと主張している。しかし、審議、検討及び協議は既に終
了しているのであるから、条例第7条第2号は適用できない。条例第7条第3号を適用す
るというのであっても、本件文書には氏名欄はないので、実施機関の主張は成立しない。
仮に本件文書に氏名が記載されているのであれば、その部分を公開しなければよい。過去
に本件文書と同様の文書である「選定基準に基づいて法人選考資料と面接質問評価に各選
考委員か記入した資料及びこれらの資料をまとめたもの」(請求番号平成13年度82号)
が委員氏名等を除いて部分公開決定された事例がある。

 以上から、本件文書は条例第7条第2号には該当せず、公開されなければならない。

(5) 条例第7条第5号の適用について

@ 条例第7条第5号の趣旨について

 実施機関は、条例第7条第5号(非公開条件付任意提供情報規定)を適用している。条
例第7条第5号は、実施機関からの要請を受け、公にしないことを条件(この条件は提供
する側が付ける。)として、任意に提供された情報で非公開の条件を付けたことに合理性が
あるものを公開しないことができるとするものである。すなわち、条例第7条第5号は、
実施機関において作成された情報ではなく、実施機関ではない第三者から実施機関に対し
て提供され、実施機関が取得した情報を対象とした規定である。この規定は、実施機関の
要請により、第三者が非公開の条件を付けて提供した情報は、みだりに公開すると情報を
提供した第三者との信頼関係を損ない、以後の情報収集等に支障を来たすことを防止する
ためのものであるが、非公開の条件が付けば常に非公開となるというものではなく、非公
開の条件を付けたことに合理性がある場合に限られる。

A 本件文書の作成者について

 実施機関は、本件文書は選考委員会委員が作成したものである、第3回選考委員会で非
公開を決定した、したがって、本件文書は、非公開を前提に提供された(誰に提供された
のかは定かではないが。)情報であると主張する。しかし、そもそも本件文書は、実施機関
が作成したものであり実施機関に「提供された」ものではない。
 条例の対象となる文書について、条例第2条第1項は、実施機関の職員が職務上作成し、
又は取得した文書等とし、同条第2項で、市長を実施機関の一つとしている。選考委員会
委員は、市長から一定の期間を区切って委嘱され、実施機関の予算で報酬及び費用弁償が
払われ、市の職員が事務局を担い、事務費も市の予算から支出されていると思われる。そ
うであるなら、選考委員会委員は、明らかに地方公務員法第3条第3号の特別職の地方公
務員であり、選考委員会の事務は市の事務として処理されていることになり、条例上の根
拠がないので、実施機関を構成するいわゆる私的諮問機関と解される。したがって、本件
文書は、選考委員会委員が選考委員会の職務として作成し、選考委員会に提出したもの、
すなわち、本件文書は、実施機関の職員が職務上作成し、実施機関が保有するものであっ
て、実施機関ではない第三者から実施機関に対して提供され、実施機関が取得したもので
はない。実施機関は、選考委員会委員は実施機関の職員ではないと主張しようとしている
ものと思われるが、上記のとおり、選考委員会委員は、明らかに実施機関の職員であり、
本件文書は、その実施機関の職員が職務として作成したものである。実施機関の主張は、
本件文書と同様の文書の公開請求事例である「選定基準に基づいて法人選考資料と面接質
問評価に各選考委員か記入した資料及びこれらの資料をまとめたもの」(請求番号平成13
年度82号)の扱いと異なることになる。

B 本件文書が条例第7条第5号の文書ではないことについて

 上記のとおり、本件文書は、実施機関の職員が職務上作成したものであって、第三者か
ら実施機関に対して提供された情報ではないから、条例第7条第5号は適用できない。
実施機関は、条例第7条第5号の適用を主張しているが、そうであるなら、選考委員会
委員が実施機関の職員ではない第三者であること、また、非公開の条件が付いた情報と主
張するだけでなく、条例第7条第5号後段の「当該条件を付することが当該情報の性質、
内容等に照らして正当であり、かつ、当該個人又は法人等の承諾なく公にすることにより、
当該個人又は法人等の協力を得ることが著しく困難になると認められる」という条件に該
当することの説明も必要である。
 また、実施機関は、本件文書のヒアリング項目は、応募法人が公開しないことを前提に
意見を述べたものであるとの主張もしているが、本件文書は上記のとおり選考委員会委員
が応募書類、ヒアリング等を評価した結果が記載された文書であるから、応募法人から提
供された情報ではない。したがって、条例第7条第5号は適用できない。実施機関の主張
からは、非公開の条件を付けたのは実施機関か応募法人か定かではないが、仮に、本件文
書が応募法人から提供された情報だとしても、条例第7条第5号は実施機関以外の情報提
供者から非公開の条件を付けて情報提供された場合であるから、非公開の条件を実施機関
が付けたのであれば条例第7条第5号には該当しないし、情報提供者から非公開の条件を
付けたのであれば、その経緯、やり取り、文書があればその文書の提示等により非公開の
条件が付いている旨の説明があってしかるべきであり、その上で「当該条件を付すること
が当該情報の性質、内容等に照らして正当であり、かつ、当該個人又は法人等の承諾なく
公にすることにより、当該個人又は法人等の協力を得ることが著しく困難になると認めら
れる」ことの説明が必要である。

C 第3回選考委員会における非公開決定について

 選考委員会は、上記のとおり私的諮問機関として実施機関の一部であるが一定の独立性
が認められた機関である。条例は、付属機関、私的諮問機関等に非公開を決定する権限を
与えてはいない。したがって、選考委員会において公文書の非公開を決定しても法的効果
はない。情報公開法制定当時、付属機関、私的諮問機関等の文書について、当該機関で非
公開事項にあたるかどうかの判断があるとしても、当該機関が非公開を議決すれば自動的
に非公開とするというのは問題であるとの議論があり、情報公開法ではそのような規定は
設けられなかった経緯がある。条例の運用にあたっては、この経緯をふまえるべきである。

 以上から、本件文書は条例第7条第5号には該当せず、公開されなければならない。

4 結論

 以上のとおり、実施機関は、本件文書は条例第7条第2号及び第5号に該当すると主張
しているが、主張・立証責任が尽くされていないこと、本件文書は条例第7条第2号及び
第5号に該当しないことから、本件文書は公開されるべきである。
 なお、参考に次の資料を提出する。資料の中に大阪府、大阪市、横浜市のホームページ
に掲載されていた指定管理者の審査結果がある。いずれも、応募団体ごと、項目ごとの採
点結果が応募団体名入りで掲載されている。先進市といわれている横浜市では、掲載した
施設の応募者ヒアリングが公開で行なわれている(70名参加)。これらは指定管理者の選
考であるが、認定こども園の運営事業者の選考であっても、市の事業として公費が使われ
るのであるから、同様の透明性が求められる。認定こども園の運営事業者の選考過程の透
明性と指定管理者の選考過程の透明性とレベルが異なってよい又は異なるべきだというの
であれば、その説明がされるべきである。

参考資料
@ 採点表
A 認定こども園選考の得点順位分布
B 高石市立取石幼稚園・取石保育所の認定こども園への移行に係る設置・運営法人選考
  集計表
C 福祉サービス第三者評価事業に関する指針について
D 福祉サービス内容評価基準基準ガイドライン(保育所版)
E 福祉サービス第三者評価結果の公表ガイドライン
F 大阪府営公園指定管理者審査結果
G 大阪市立淀川屋内プールの指定管理者の指定について
H 横浜市神奈川区民文化センター指定管理者審査委員会審査報告書

<資料 略>

(2010.7.13 掲載)

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高石市職員労働組合 「高石まちづくり情報」
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