高石市情報公開審査会答申第29号
(高石保育所民営化応募法人の法人名等の非公開)

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○ 高石市立高石保育所の民営化に応募した法人の提出書類の公開請求をしたところ部分公開決定を受けました。このため、法人名その他法人名を想定し得る部分の公開を求めて異議申立てをしていたところ、高石市情報公開審査会から答申が出されたため、ここに掲載するものです。なお、この答申については、次の点に疑問があります。

@ 答申は、市域が狭小で応募条件に該当する社会福祉法人数が少ないということを前提にして、移管先法人に選定されなかった法人ごとの評価点数が明らかになり、評価が低かった法人に対して市民や保護者によって不当な評価がなされる可能性がある、と説明しています。しかし、法人の募集対象地域は、高石市だけではなく、堺市、泉大津市、和泉市を含む人口が100万人を超える地域で、法人数も一定数存在します。すなわち、説明の前提条件が間違っていると考えます。

A 知る権利・選考手続きの透明性等の確保と、公開したときの応募法人の不利益との比較衡量がされ、法人名等の非公開は妥当としていますが、選考委員会の会議の一部の公開等選考手続きにおける一定の透明性の確保が応募法人名等の非公開の妥当性の根拠とはならないと考えます。法人名等の公開が当該法人の正当な利益を害するかどうかが判断されるべきことだと考えます。

B 情報公開条例は、公開を原則としています。したがって、非公開とするなら、その立証責任は実施機関(高石市)にあると考えられますが、非公開の理由は、「評価が低かった法人に対して、市民や保護者によって不当な評価がなされる可能性が高く」、「不採用となったという事実だけが一人歩きし、あたかもその法人の保育内容に問題があったかのような風評が立ち」、「後者の不利益は、当該応募法人が受忍すべき範囲のものであるとまで断ずることはできない」と説明するものの、そのような事態がなぜ生じるのか、どのようにして生じるのか、具体的な説明はされていません。したがって、これらの説明は、単なる推測の域をでておらず、非公開の妥当性が立証されたとはいえないと考えます。


                            答申第31号(諮問第51号)
                                 高石総庶第570号
                                平成20年8月15日

 高石市長 様

                             高石市情報公開審査会
                             会長  清 原 泰 司

                  答 申 書

 平成19年10月12日付け高石保子第13489号で諮問のあった「高石保育所の民営化に応
募のあった保育所運営者の提出書類」の公文書公開請求(以下「本件請求」という。)に対
する公文書部分公開決定(以下「本件処分」という。)について、次のとおり答申する。

異議申立人 高石市職員労働組合 執行委員長 堀川和貴
被異議申立人 実施機関 高石市長 阪口伸六

1.審査会の結論
  実施機関の行った本件処分は妥当である。

2.異議申立ての趣旨及び経過
(1)異議申立ての趣旨
  本件処分に対する異議申立ての趣旨は、本件処分で公開しないとされた部分のうち「法
 人名・所在地・電話・その他法人名を想定しうる部分」を公開するとの決定を求めると
 いうものである。

(2)異議申立ての経過
  異議申立人は、2007年8月10日付けで、実施機関に対して、高石市情報公開条例(以
 下「本条例」という。)第6条第1項の規定に基づき、本件請求を行った。
  実施機関は、本件請求に係る文書を、「各社会福祉法人からの応募書類」(以下「本件
 文書」という。)と特定し、本条例第7条第1号該当及び第8条第1号該当を理由に本件
 処分を行い、平成19年9月7日付け高石保子第11944号で異議申立人に通知した。
  尚、本件文書の詳細は、公文書部分公開決定通知書に添付された別紙(各社会福祉法
 人からの応募書類一覧)によると次のとおりである。
   保育所運営申込書(様式1)、応募に至る動機・目的(様式2)、保育所事業計画書
   (様式3)、職員採用計画書(様式4)、法人の概要及び役員構成・経歴(様式5−
   1)、資産及び役員構成内訳書(様式5−2)、履歴書(様式5−3)、社会福祉法人
   等収支予算書(様式6−1)、保育所等収支予算書(様式6−2)、本部会計貸借対
   照表、施設会計貸借対照表、本部会計収支計算書(予算・決算)、施設会計収支計算
   書(予算・決算)、貸借対照表、残高証明書、財産目録、第三者評価結果(※第三者
   評価を受けている場合)、法人の登記簿謄本及び定款
  異議申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、実施機関に対して2007年9月
 18日付けで異議申立てを行った。
  実施機関は、平成19年10月12日付け高石保子第13489号で高石市情報公開審査会(以
 下「審査会」という。)に諮問した。

(3)公開しない部分
  本作文書中公開をしないとされた部分は、次のとおりである。
   法人名・所在地・電話その他法人名を想定しうる部分、法人の事業内容・事業用資産
  等の経理に関する部分(大区分以外の部分)、法人の役員の氏名・年齢・住所その他特
  定の個人が識別される部分

3.異議申立人の主張の要旨
  異議申立人の主張の要旨は、異議申立書、反論書及び口頭意見陳述の内容によると、概
 ね次のとおりである

(1)異議申立書
 @情報公開条例の解釈を誤っている
   本条例第7条第1号によると、法人等の情報のうち公開されないものは、当該情報を
  「公にすることにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他『正当な利益を害す
  る』と認められるもの」である。ところが、本件部分公開決定通知書によると、「社会
  福祉法人の『正当な事業活動に不利益を及ぼす』」ことを公開しない理由に挙げている。
  通知書の条例解釈では、法人の「正当な事業活動に不利益を及ぼす」情報は非公開、す
  なわち、法人に関するあらゆる情報が非公開となるおそれがある。これは、明らかに情
  報公開条例の趣旨・目的を逸脱し、本条例第7条第1号の解釈を誤っている。

 A応募法人に不利益であったとしても当該法人の正当な利益を害するとはいえない
   高石市立保育所移管に係る選考委員会(以下「選考委員会」という。)で選考されなか
  ったのは、応募資格に満たなかった又は保育内容に問題があったということを含めて、
  応募の動機・目的、事業計画、財務内容等の評価が選考委員会において下位であったこ
  とによる。したがって、選考が公正に行われる限り、選考委員会による評価は正当なも
  のであり、その結果が公になって選考されなかった法人に不利益が生じても、それは当
  該法人の正当な利益を害したとはいえない。なぜなら、評価が低いことによる不利益は、
  低い評価を受けた当該法人の責任に帰するからである。
   例えば、商品テストの結果が公にされ、評価が下位であった商品の売り上げが減少す
  るというようなことがあっても、商品テストが公正である限り、当該商品の製造企業の
  正当な利益を害したとはいえない。商品の評価が低いのは、当該企業の責任であるから
  である。もう一つの例は、福祉サービスの第三者評価である。評価の公表内容は、保育
  所や福祉サービスを行っている事業者にとって不利な情報を含む場合があるが、評価が
  公正である限り、問題にされることはない。不利な情報が公にされ、当該事業者が不利
  益を被ったとしても当該事業者の責任であるからである。

(2)反論書
 @本件非公開部分は当該法人が保有する秘密にされるべき情報ではない
   本件非公開部分は、公になると、民営化する高石保育所の移管先として選考されな
  かった応募法人の正当な利益を害するという理由で非公開となった。本条例第7条第
  1号は、「公にすることにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益
  を害すると認められるもの」を非公開とすることができると規定している。正当な利
  益を害するとは、高度な技術方法のようなノウハウ、著作権、取引先や取引内容、経
  理状況の詳細、事業計画等のような当該法人等が保有する情報であって、公になると
  当該法人等の正当な利益を害するものに限られるべきである。しかし、本件非公開部
  分は、応募法人が保有する高度な技術情報のような情報ではなく、高石保育所の民営
  化に応募したという事実と、本件非公開部分と選定結果とを組み合わせることによっ
  て判明する高石保育所の移管先に選定された又は選定されなかったという事実に過ぎ
  ない。

 A選考過程の公開こそが誤解を防ぐ
   実施機関は、選考委員会に応募法人の評価をさせ、高石保育所の移管先を選考した。
  弁明書は、その選考委員会の評価について、市民一般に誤解が生じると述べているが、
  これは、積極的な情報公開を怠ってきた実施機関の本末転倒な主張である。
   公立保育所の民営化は、公の財産を私に譲り渡し、又は、私に管理を委ねることで
  あり、地方自治の理念から、また、保育に保護者等の積極的な参加が期待される保育
  所から、保育所運営者の保育理念により運営される保育所へと質的に大きく転換する。
  したがって、民営化するかしないかを決定することはもちろん、民営化することを決
  定した後にどの法人に移管するのかを決定することも、保護者はもちろん、市民にと
  っても重大な関心事である。そのような重大なことは、保護者や市民に情報を積極的
  に公開し、合意形成を図るべきであるが、依然として情報公開と市民参加に後ろ向き
  の姿勢である。
   また、実施機関の姿勢が情報公開と市民参加に消極的であったとしても、選考委員
  会の評価について誤解が生じる可能性はない。なぜなら、既に東羽衣保育所を民営化
  しており、移管先法人を選考するために、専門家や保護者等で構成される選考委員会
  でさまざまな観点から評価されることは、広報紙やホームページ等で容易に知ること
  ができ、かつ、既に一般又は少なくとも保護者など関係者には知られていること、全
  国的に保育所民営化の動きがあり、移管先法人は高石市と同様に選考委員会のような
  組織を設けて、評価し、選考していることは、報道やホームページで容易に知ること
  ができ、かつ、既に一般又は少なくとも保護者など関係者には知られていること、高
  石保育所民営化関係資料は行政資料コーナーで公開され、誰でも閲覧できること、そ
  のうちの一部はホームページにも掲載されていることから、問題があったから選考さ
  れなかったと単純に誤解する可能性はない。特に、保護者など関係者は、説明会も開
  かれているので、選考委員会の評価について誤解が生じる余地は全くない。したがっ
  て、本件非公開部分を公開しても、選考委員会の評価について誤解が生じる可能性は
  なく、応募法人に不利益が生じることもない。

 B選考手続きが公正であれば誤解は生じない
   高石保育所の移管先は、保護者や専門家等で構成される選考委員会で選考された。
  選考委員会における評価の基準は公にされ、資料は応募法人名等を除いて公開され、
  応募法人を評価する会議を除いて会議も公開された。したがって、選考委員会の選考
  手続きは、公正な手続きであったとひとまず判断できる。選考手続きが公正ならば、
  選考結果の妥当性も担保され、誤解が生じることもない。また、仮に、選考されなか
  った理由について誤解が生じたとしても、そのことが直接当該法人に何らかの具体的
  な不利益を生じさせるとは限らない。弁明書は、誤解が生じることにより、応募法人
  の名誉や社会的評価を不当に損ない、保育所入所希望者の減少などマイナスの影響が
  あると主張しているが、本当にマイナスの影響があるのか、どの程度の影響なのか、
  具体的に説明されているわけではなく、抽象的なレベルに止まっている。このような
  抽象的な懸念まで考慮して本件非公開部分を非公開にするのであれば、非公開の範囲
  が不当に広がることになる。

 C応募法人に不利益が生じたとしても公開するべき
   保育所の民営化は、保育所の質の転換をもたらす。したがって、移管先の選考手続
  きは、慎重にかつ公正に行われるべきであり、それを担保するものが情報公開である。
  選考手続きは、選考委員会の委員、評価の基準、応募資料の一部等が公開されるだけ
  ではなく、応募法人名も公開されるべきである。なぜなら、保育所に限らず民営化又
  は民間の活用は、価格だけの入札のように評価が単一の基準で、いわば自動的に事業
  者が決まるのではなく、多面的な評価を総合することにより事業者が決まる。その手
  続きがブラックボックスになっていると、そこに腐敗癒着の可能性が生じる。したが
  って、応募した事業者名を含めた手続きが公開され、手続きの透明性を高めることが、
  保護者のみならず市民にとっても必要なことになってくる。仮に、応募した応募法人
  名が公開され、当該法人の評価が多少下がるようなことがあっても、その程度の不利
  益は、応募法人にとって回復不能な程度の重大な不利益ではなく、知る権利、説明責
  任、選考手続きの透明性等の公共の利益のために受忍するべき範囲の不利益であり、
  本条例第7条第1号の法人の正当な利益を害したことにはならない。

 D高石保育所の保護者にとっては重要な情報
   児童福祉法は、保護者に子どもを保育させる保育所を選択する権利を保障している
  が、現実には、保育所の数・配置、通勤の都合等により、選択できる保育所は限られ
  る。高石保育所の保護者は、高石保育所が民営化されるため、高石保育所での保育を
  希望したくなくても高石保育所以外の保育所を選択する余地は限られる。したがって、
  どのような法人が応募し、どのような評価により移管先が選考されるのかを知ること、
  また、選考手続きに参加することは、高石保育所の保護者にとっては切実な要求であ
  る。仮に、応募した応募法人名が公開され、当該法人に多少の不利益が生じても、応
  募法人名の公開が優先されるべきである。

 E選考委員会の評価と商品テスト・保育所の第三者評価とは同じ性質である
   実施機関は、選考委員会の評価と商品テスト・保育所の第三者評価とは性質が違う
  と主張している。選考委員会は、高石市独自の要素を加味した評価の基準を設けたの
  で、一般的客観的基準によって評価される商品テストや保育所の第三者評価とは違う
  ということだが、評価基準に高石市独自の要素を加味したところで、その要素が、高
  石市の地域的特徴や保護者の要求等に基づく正当なものであって、特定の応募法人に
  有利になるように意図的に偏ったものとしない限り、一般的客観的基準であることに
  変わりはない。
   高石保育所の移管先を選考する評価の基準は、選考委員会で決定され、公正な手続
  きを踏んだと考えられるので、加味された高石市独自の要素は正当であり、偏りもな
  いと考えられる。したがって、選考委員会の評価も商品テスト、保育所の第三者評価
  も同じ性質のものであり、本件非公開部分を非公開とする理由にはならない。

 F公開された事例
   民営化や民間の活用には、民間委託、民間への移管、PFI、指定管理者制度など
  さまざまな手法がある。既に述べたように、民営化や民間の活用には、高い透明性が
  求められる。ここに事例を紹介するが、これらの事例は、インターネットを検索する
  ことで容易に収集できた事例である。公開請求によってインターネット上掲載されて
  いるものではなく、自治体が自らホームページ上で公開しているものである。インタ
  ーネット上には、ここに紹介する事例以外に同様の事例が多数掲載されている。これ
  らの事例は、本件非公開部分を公開しても応募法人の正当な利益を書しないことの証
  明である。

  ○保育所民営化
   「市立保育所民営化に係る運営法人選定の経過及び結果」(箕面市)
   「平成19年度茨木市立保育所民営化移管先法人応募状況」・「茨木市立保育所民営化移
   管先法人選考結果について」
   「宝塚市立山本南保育所の移管法人選定に係る報告書」
  ○PFI
   「加古川市立総合体育館整備PFI事業審査経過報告書」
  ○指定管理者制度
   「企業局指定管理候補者審査委員会審査報告書」(鳥取県)
  ○総合評価競争入札
   「総合評価落札方式入札調書」(岩手県)

(3)口頭意見陳述
  高石市情報公開審査会がその答申(平成14年11月28日付、答申第17号)で、本件文
 書とほぼ同じ内容である「保育所の民営化に関して応募のあった社会福祉法人の応募資
 料一切」の公文書部分公開決定に係る異議申立てについて、移管先として不採用であっ
 た法人名及び当該法人が識別される情報を公開しないとの実施機関の決定は妥当である
 と判断しているが、その後他市の状況をみても情報公開をしていくのが時代の趨勢とな
 っており、この5年前の答申における同審査会の判断は、今の時代には合致していない
 のではないか。

4.実施機関の主張の要旨
 実施機関の主張の要旨は、部分公開決定通知書、弁明書及び口頭理由説明の内容による
と、概ね次のとおりである

(1)部分公開決定通知書
  選考委員会の選考の結果選考されなかった場合、社会福祉法人の名称を公開すること
 については、応募資格に満たされなかったとか、保育の内容に問題があったから選考さ
 れなかったというような誤解を招く恐れがあり、社会福祉法人の正当な事業活動に不利
 益を及ぼすとともに、名誉や社会的評判が損なわれる。
  また、応募書類には、法人の予算あるいは決算に関する事項、経営方針に関する事項
 等の法人情報が記載されている。これらの公開は、法人の競争上の地位その他正当な利
 益を害し、かつ法人の事業活動に影響を及ぼす。
  さらに、法人の役員の氏名・年齢・住所その他特定の個人が識別される部分は公開で
 きない。

(2)弁明書
 @高石保育所移管先法人の選考について
  ア.選考の経過
   民営化に係る高石保育所の保育所運営者の募集については、保育を専門とする大学
  教授2名、税理士1名、保護者2名、公共的団体代表3名の合計8名で構成する選考
  委員会において、平成14年4月に民営化された東羽衣保育所の時の応募資格や保育所
  運営の条件などを参考に検討するとともに、保護者の意見なども踏まえながら審議を
  重ねてきた。保育所運営者の募集に関しては、「本市及び本市に隣接する堺市、泉大津
  市、和泉市において現に保育所を運営している社会福祉法人で運営実績は引き続き1
  0年以上あること」等の条件を付けたところである。そして、高石保育所の移管を希
  望する法人として、4法人の応募があった。
   その後、選考委員会で移管先法人の選考が進められ、平成19年10月3日に選考委
  員会から応募4法人のうち1法人が最も適当である旨の報告があり、庁内で検討した
  結果、同年10月4日に同法人を高石保育所の移管先として決定した。

イ.選考の方法
  移管先法人の選考は、前述のように実質的に選考委員会で行われている。
  選考委員会における選考は、法人から提出された「応募に至る動機・目的」等の書
 類及び施設見学を参考に、法人を選考するための基準である「選考の目安」で定めた
 「理事長及び施設長の資格・第三者評価等」、「保育目標及び保育内容等」、「市民福
 祉に向けての取り組み状況」、「特別保育事業等」、「資金計画及び経理状況等」及び
 「ヒアリング」の各分野ごとに4〜8設定した評価項目に、選考委員会の委員が点数
 を付けることによって行った。
  そして各委員が付けた点数を法人ごとに合計し、順位を付け、第1位の法人を高石
 保育所の移管先として最も適切であると市長に報告した。

ウ.選考の適正性、公正性について
  保育所民営化は適正かつ公正に行う必要があるが、前述のように選考の基準を明確
 に定め、選考委員会の委員構成を学識経験者2名、保護者2名、公共的団体代表3名
 と市の職員ではない外部委員のみとし、当事者である保護者も参加させ、応募法人ヒ
 アリングと具体的な法人選考を議題とした会議を除いて会議の公開も行った。したが
 って、法人選考は、適正かつ公正に行われたと考えている。 、

 A「正当な事業活動に不利益を及ぼす」について
   異議申立人は、本条例第7条第1号の非公開理由である「公にすることにより、当
  該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」とい
  う規定と本件処分通知書の非公開理由に記載した「社会福祉法人の正当な事業活動に
  不利益を及ぼす」とは意味が異なると主張しているが、本件部分公開決定通知書の「正
  当な事業活動に不利益を及ぼす」という表現は、本条例第7条第1号の「法人等・・
  の・・正当な利益を害する」と同義に用いたものである。したがって、本件処分通知
  書の「正当な事業活動」は、意味的には、「法人等の正当な利益」に置き換えて差し支
  えない。

 B選考委員会における法人の評価が誤解を生むことについて
   選考委員会が行った評価は、「選考の目安」で定められた各分野、各項目ごとに行わ
  れた。これらの評価項目には、理事等の資格、保育内容、経理状況等一般的、客観的
  に妥当とされる評価基準が既に設けられている又は容易に設定され得るもののみでは
  なく、延長保育等本市独自の保育需要に関連するもの、市立知的障害児通園施設を持
  っているという地域特性に関連するもの、本市の福祉施策との提携に関連するもの等
  一般的、客観的な評価基準を設定することが困難なものをも設けている。しかし、保
  育所関係者ではない市民一般の方が評価の詳細を知り得る機会はほとんどないに等し
  く、市民一般の方が、選考委員会がどのような評価項目に基づいてどのような評価を
  行ったのかを知る可能性は極めて低いと考えられる。
   したがって、市民一般の方は、移管先として選考された又は選考されなかったとい
  う情報のみを知ることとなり、選考されなかった法人について、一般的、客観的に評
  価し得る評価項目、例えば、保育内容について、選考委員会が低い評価をしていない
  のに保育内容に何らかの問題があったのではないかというような誤解を生じさせ、選
  考されなかった法人の社会的評価や名誉を損なうだけではなく、保育所入所希望者の
  減少など保育所運営へのマイナスの影響も考えられる。
 
 C選考されなかったこと自体が当該法人の社会的評価を低下させることについて
   選考委員会における高石保育所の移管先法人の選考は、高石保育所の移管先として
  最もふさわしい法人を選考するために行ったものであるが、選考されなかった法人に
  ついて保育目標、保育内容、経理状況等に何らかの問題があったかどうかに関わりな
  く、市民一般の方に何らかの問題があったと受け取られ、当該法人の社会的評価を損
  ない、当該法人の運営にマイナスの影響を及ぼすことになる。
 
 D商品テストや第三者評価との違いについて
   異議申立人は、選考結果が公になって選考されなかった法人に不利益が生じても、
  それは低い評価を受けた当該法人の責任に帰するから正当な利益を害したとはいえな
  いと主張し、その理由として、商品テストと福祉サービスの第三者評価の例を挙げて
  いる。
   しかし、前述のように、民営化する保育所の移管先は、一般的客観的基準によって
  選考できるようなものではないのに対して、商品テストや第三者評価は、一般的客観
  的な基準で評価が可能である。したがって、これらの例と本件文書の法人関係情報を
  公にすることを同一の視点で論じることは適当ではない。

 E過去の審査会答申で本件異議申立てと同様の事例が法人名等の非公開を妥当と判断し
  ていることについて
   高石市情報公開審査会答申(平成14年11月28日付、答申第17号)は、本件文書
  とほぼ同じ内容である「保育所の民営化に関して応募のあった社会福祉法人の応募資
  料一切」の公文書部分公開決定に係る異議申立てについて、移管先として不採用であ
  った法人名及び当該法人が識別される情報を公開しないとの実施機関の決定は妥当で
  あると判断している。その後、本条例中の公開・非公開の判断に係る条文の改正はな
  く、「情報公開事務の手引き」が改正されるなど本市の本条例の解釈が変更されたこと
  もないので、現在も答申第17号は妥当する。したがって、本件処分は妥当である。

(3)口頭理由説明
  今回は、前回の保育所民営化の際の反省から、選考委員会へ保護者の代表に参加して
 頂き、保護者への説明を行い、30項目の選定基準についても選考委員会で決定すると
 ともに採用法人についても選定基準に基づく点数制により決定するなど、透明性の確保
 に努めた。
  しかし、選考の方法がいかに公正であっても、本市を含む狭い地域からの応募を考え
 ると、悪い風評がたつと保育所の運営に大きな影響を与えることとなり、情報公開にあ
 たっては、こうした小さな市域、地域の実情ということを考慮した判断があっても良い
 のではないか。

5.審査会の判断
 審査会は、異議申立人及び実施機関の主張を検討した結果、次のとおり判断する。
(1)審査の対象について
  本件処分に係る公開をしない部分は、実施機関の部分公開決定通知書によれば、「法人
 名・所在地・電話その他法人名を想定しうる部分、法人の事業内容・事業用資産等の経
 理に関する部分(大区分以外の部分)、法人の役員の氏名・年齢・住所その他特定の個人
 が識別される部分」である。これに対し、異議申立書その他の異議申立人の主張の趣旨
 は、本件処分で公開しないとされた部分のうち、「法人名・所在地・電話・その他法人名
 を想定しうる部分」を公開するとの決定を求めるものである。よって、審査会は、本件
 処分のうち、「法人名・所在地・電話・その他当該法人を特定し得る部分」(なお、「想定」
 は「特定」に修正した)の公開の可否についてのみ審査し判断する。

(2)本条例第7条第1号の趣旨について
  本条例第7条第1号は、公文書公開の原則に対する例外を定めている。すなわち、同
 号によれば、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、
 公にすることにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると
 認められるものについては、一部の例外を除き公開しないことができる。このうち「『競
 争上の地位』を書する」とは、生産技術、営業ノウハウ、取引に関する情報、経営方針、
 経理に関する情報、人事に関する情報等が公開されることによって法人等の正当な事業
 活動に不利益を及ぼすことをいい、「『その他正当な利益』を害する」とは、情報が公開
 されることによって法人等の名誉や社会的評価が不当に損なわれること、当該法人等に
 対する不当な干渉になること等をいう。

(3)本件処分における非公開部分が本条例第7条第1号に該当するか否かについて
  本件文書中の、「法人名・所在地・電話・その他当該法人を特定し得る部分」が、公開す
 ることにより、本条例第7条第1号にいう当該法人等の競争上の地位その他正当な利益を
 害すると認められる情報に該当するか否かについて次のとおり判断する。

 @非公開にできる法人情報の範囲について
  法人名そのものだけでなく、所在地、電話その他法人を特定し得る部分をも含めて判断
 するについては、本条例第7条第1号にいう法人情報は、同第8条第1号にいう個人情
 報のように、特定の法人が識別されることをもって非公開とすることを要件とするもので
 なく、非公開部分を公開することで、高石保育所の民営化に応募した法人がどの法人であ
 るかが一般に判明することが「『競争上の地位』を害する」又は「『その他正当な利益』を
 害する」ことに該当するかどうかによって判断されなければならない。その限りにおいて、
 法人を特定し得る部分の情報の範囲は、当該情報だけでは応募法人を識別することはでき
 ないが、他の情報と照合することによって容易に応募法人を識別することとなる情報をも
 含むものである。

 A本件文書の公開が法人の正当な利益を害するか否かについて
 ア 審査会が確認したところによると、高石保育所移管先法人の選考にあたっては、応募法
  人が4法人しかなく、しかも採用法人名が公になっていることから、応募した法人名等を
  公開し、不採用となった3法人が明らかになると、既に公になっている詳細な点数表と突
  き合わせれば比較的容易に不採用法人の各項目毎の点数が明らかになる。そのことが、市
  域が狭小であり、応募条件に該当する社会福祉法人の数も少ないという本市の特性を考え
  れば、評価が低かった法人に対して、市民や保護者によって不当な評価がなされる可能性
  が高く、ひいては、当該法人の正当な利益が害されることとなろう。

 イ 今回の高石保育所運営者の募集に関して、本市及び本市に隣接する堺市、泉大津市、
  和泉市において現に保育所を運営している社会福祉法人で運営実績が引き続き10年以
  上あることとする条件が付されていること、また、本市は、市域が狭小で前記の条件を
  満たす社会福祉法人の数が限られているといった特性と実情を考え併せると、たとえ選
  考委員会における法人評価の内容が一般に知られていたとしても、不採用となったとい
  う事実だけが一人歩きし、あたかもその法人の保育内容に問題があったかのような風評
  が立ち、当該社会福祉法人の経営に少なからぬ影響を与える可能性が高いものと考えら
  れる。

(4)知る権利、選考手続きの透明性等の確保と応募法人の不利益の比較衡量について
  市民は市政について知る権利を有し、市は市政について市民に説明する責務がある。こ
 のような精神の下に、市の保有する情報を広く市民に公開することにより、市民の知る権
 利を保障し、市の説明責務を果たすことが、本条例の前文にも謳われている。
 高石保育所移管先法人の選考にあたっては、保育を専門とする大学教授や当事者である
 保護者等で構成する選考委員会において、保護者の意見なども踏まえながら審議を重ね、
 各分野ごとに設定した評価項目に選考委員会の委員が点数を付けることによって行われた。
 応募法人ヒアリングと具体的な法人選考を議題とした会議を除いて、会議の公開も行われ
 ている。このように、高石保育所移管先法人の選考過程については、既に一定の透明性が
 確保されており、公正なものであったことが認められる。
 また、応募した応募法人名等が公開された場合に当該法人が被る不利益について、応募
 法人にとって回復不能な程度の重大な不利益ではないと異議申立人は主張するが、前掲

(3)Aにおいて述べたように、必ずしもそのように断定することはできない。
  したがって、応募法人名等が公開されることによりもたらされる、市民の知る権利の保
 障、市の説明責務の履行および選考手続きの透明性の確保といった公共の利益と、応募法
 人名等が公開された場合に当該応募法人が披る不利益を比較衡量したとしても、後者の不
 利益は、当該応募法人が受忍すべき範囲のものであるとまで断ずることもできない。

6.結論
 以上の理由により、「1.審査会の結論」のとおり判断する。

○審査の経過
平成19年10月12日 諮問
平成20年 1月 7日 弁明書の受理 
      1月31日 反論書の受理
      2月23日 口頭意見陳述、口頭理由説明
      4月26日 審議
      6月14日 審議
      8月15日 答申

(2009.1.13 更新、2008.12.29 掲載)

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