高石市情報公開審査会答申第28号
(給食の質と安全を確保するためには調理員が全員正規職員でなければならないと教育委員会が考えた根拠がわかる資料の公開決定)

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○ 高石市教育委員会は、これ以上学校給食調理員の正職員配置を減らすと給食の質を維持することは困難になる(=調理員は全員正規職員でなければならない。)と保護者に説明していますが、教育委員会がそのような考え方をした根拠について情報公開請求したところ、公文書公開決定を受けました。しかし、公開された文書からは、正職員配置を減らすと給食の質が維持できないとする理由は全く理解できないため、公開された文書以外にまだ文書があるはずだという趣旨の異議申立てを行い、このほど高石市情報公開審査会から答申が出されたものです。答申は、教育委員会の行った公文書公開決定は妥当であるとしていますが、公開された文書からは、学校給食の質と安全を確保するためには調理員が全員正規職員でなければならないということを読み取ることは困難といわざるを得ないとし、教育委員会に対して、説明責務を適切に果たすよう求めています。また、公文書公開決定ではなく公文書不存在による非公開決定にもなり得た情報公開請求であり、教育委員会に対して、必要に応じて、公開請求人と協議するなど適切に請求内容の確認を行うことを要請するとの意見が付けられています。


                            答申第28号(諮問第46号)
                               高石総庶第20391号
                                平成20年1月16日

 高石市教育委員会 様

                               高石市情報公開審査会
                               会長 清 原 泰 司

                 答  申  書

 平成19年1月25日付け高石教委総第4818号で諮問のあった「2006年11月に高石小学
校及び高陽小学校の保護者あてに送付されたアンケートの回答中に『これ以上正職員配置
を減らす事は、給食の質を維持する事すら困難であると判断しております。』、『今後調理職
員の定年退職等により現状のままですと11名不足することになり、現在の給食の質を維持
することすら困難な状況であると考えています。』とあるが、そのような判断、考えをした
根拠がわかる資料」(以下「本件文書」という。)の公文書公開請求(以下「本件請求」と
いう。)に対する公文書公開決定(以下「本件処分」という。)について、次のとおり答申
する。
異議申立人  高石市職員労働組合 執行委員長 小倉望
被異議申立人  実施機関 高石市教育委員会

1 審査会の結論

 実施機関の行った本件処分は妥当である。しかし、実施機関には、高石市情報公開条例
(以下「本条例」という。)の趣旨、目的に則り、説明責務を適切に果たすよう要請するも
のである。

2 異議申立ての趣旨及び経過

(1) 異議中立ての趣旨

 本件異議申立ての趣旨は、異議申立人が行った本件請求に対して実施機関の行った本件
処分を取消し、本件文書を公開するとの決定を求めるというものである。

(2) 経過

 異議申立人は、本条例第6条第1項の規定に基づいて、実施機関に対して2006年12月
15日付けで本件請求を行った。
 実施機関は、本件請求に係る文書を「給食調理員配置基準」及び「学校給食調理委託業
務実施に関する基本方針参考資料1」と特定し、公文書公開決定を行い、平成19年1月9
日付け高石教委総第4450号で異議申立人に通知した。
 異議申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づいて、実施機関に対して2007年1
月17日付けで異議申立てを行った。
 実施機関は、平成19年1月25日付け高石教委総第4818号で高石市情報公開審査会(以
下「審査会」という。)に諮問した。

3 異議申立人の主張の要旨

 異議申立人の主張は、異議申立書、反論書、口頭意見陳述及び再反論書によると、概ね
次のとおりである。

(1) 本件請求に係る文書の意義について

 実施機関は、2006年5月に、2007年4月から小学校の学校給食調理業務を委託する方針
を決めた。委託する理由は、「効率的な学校給食の運営を図る」(学校給食調理委託業務実
施に関する基本方針)こと、すなわち、経費の節減を目的に委託するとされたのであるが、
異議申立人が、委託した方が、定年退職する正規職員の調理員を臨時職員の調理員で代替
して直営を維持するよりも、2校委託時で年2000万円、3校委託時で年3000万円、8年間
で2億円を超える負担増となり、しかも、全校委託の場合の経費と全校直営の場合の経費
とがほぼ同じであるので、将来にわたって委託による経費節減効果は全くないとの試算を
明らかにすると、実施機関は、委託経費と調理員全員を正規職員とした場合の直営経費と
を比較するべきで、そういう比較では委託経費の方が安いという説明をした。そういう比
較をする理由は、給食の質と安全を確保するためには、調理員が全員正規職員でなければ
ならないというものである。例えば、2006年11月に保護者に配布したアンケート回答に
は、「これ以上正職員配置を減らす事は、給食の質を維持する事すら困難であると判断して
おります」、「今後調理職員の定年退職等により現状のままですと11名不足することになり、
現在の給食の質を維持することすら困難な状況であると考えています」と記載している。
 このように、実施機関が委託を進める唯一の理由が、給食の質と安全を確保するために
は調理員が全員正規職員でなければならないという考え方を前提にした経費比較であるこ
とから、給食の質と安全を確保するためには調理員が全員正規職員でなければならないと
いうことを説明できる文書が存在しなければならない。
 なお、実施機関は、異議申立人に、委託業者には調理員全員を正規職員とするという義
務付けはしないと説明し、委託される高石小学校、高陽小学校とも配置する調理員は4名、
うち常勤は2名との条件しか付けていない。実施機関の考え方にしたがえば、委託校では、
給食の質と安全を確保することはできないことになる。また、正規職員が退職しても臨時
職員、パート職員で対応している現状から、正規職員でなければ給食の質が維持できない
とは、必ずしもいえない。

(2) 公開された文書について

 本件請求に対して公開された文書は、「児童数別・喫食数別の調理員配置基準」、「平成
13年度から平成21年度までの喫食数、配置基準、正規職員数、臨時職員数及び退職者数
の経緯と推計」、「調理員の年齢構成」の3種類の資料のみである。これらの資料からは、
既に正規職員の調理員数が配置基準を下回っていること、新規採用をしなければ、将来に
わたって正規職員の調理員数が配置基準に不足することがわかるだけで、配置基準をすべ
て正規職員の調理員としなければ給食の質と安全を確保することができないということは
全く読みとれない。学校給食の質と安全を確保するために正規職員配置が必要とする根拠
となる資料として、異物混入等の事故発生状況、冷凍食品・加工食品の使用状況、衛生基
準の遵守状況、献立内容、検食等を、配置基準どおり正規職員が配置されている場合と非
正規職員が多数配置されている場合とを比較したデータ、正規職員・非正規職員それぞれ
の経験年数・雇用条件、職員の雇用条件又は経験年数の差等と仕事の質を論じた文献等が
想定されるが、公開されたのは、配置基準、正規職員数・非正規職員数の経緯と推計、調
理員の年齢構成等のみであり、給食の質と安全に関する資料もこれらの資料と正規職員か
非正規職員かという調理員の雇用形態とを開連づける資料も全くない。

(3) 本件請求に係る文書の存在について

 以上のとおり、本件請求に係る文書は、公開された文書以外にも存在することが強く推
定される。実施機関の弁明書は、「高石市教育委員会が公開決定した『給食調理員配置基準』
は、安全で衛生的な給食調理を維持するため文部科学省が定めた基準を基に高石市教育委
員会が策定したものである。その運用にあたっては、原則的には全て正職員を充てること
で配置基準を守るべきであるとされている」と述べているが、「原則的には全て正職員を充
てることで配置基準を守るべきであるとされている」としたその根拠こそが、本件文書で
ある。実施機関は、「原則的には全て正職員を充てることで配置基準を守るべきであるとさ
れている」と言った以上、それを説明する文書を持っていなければならない。
 文部科学省(当時は文部省)は、1985年に「学校給食業務の運営の合理化について」と
いう通知を全国の都道府県教育委員会に出している。その中で、「地域の実情等に応じ、パ
ートタイム職員の活用、共同調理場方式、民間委託等の方法により、人件費等の経営経費
の適正化を図る必要があること」とパートタイム職員の活用を求め、具体的に「ア.パー
トタイム職員の勤務日数及び1日の勤務時間は、常勤の職員のそれと明確に異なるものと
すること。イ.パートタイム職員に対しては、必要に応じて適切な研修を行うこと。」と勤
務・研修のあり方も明らかにしている。このように文部科学省はパートタイム調理員の活
用を推進していることから、実施機関の「原則的には全て正職員を充てることで配置基準
を守るべきであるとされている」というものは、実施機関独自の考え方に基づくものと考
えられる。したがって、実施機関は、そのような考え方に至ったことを裏付ける資料を持
っていなければならない。
 仮に実施機関が学校給食の質と安全を確保する条件は調理員が全員正規職員であるとす
る根拠となる資料を持っていないのであれば、公文書公開決定ではなく公文書不存在によ
る非公開決定をするべきである。

(4) 学校給食の質と安全を確保する条件について

 給食調理は、熟練の必要な労働である。年間数十種類以上もの献立を日替わりで作って
いる。作り方を習得するのに年数がかかるばかりか、新しい献立も次々と覚えなければな
らない。学校給食は大量調理なので、食中毒などの事故を起こさないために実行すべき手
順は、手洗い、消毒、エプロン交換、温度管理、異物チェック、品質検査など数多くあり、
それぞれを確実に実行しなければならない。少量調理では想像できないような手順を踏ん
で、子どもたちのことを考えながら、安全でおいしい学校給食を作る努力が毎日続けられ
ている。衛生基準にしたがって調理後2時間以内に給食を届けるために、仕上がり時間を
計算して作業に取りかかったり、食材ごとに煮上がるタイミングを考え、個々の釜の状態
や癖を見極め、釜の余熱も考慮し、給食が届く時間がベストの状態になるように作業をす
るというようなことは、各献立をローテーションで担当することを考慮すると5年以上の
経験がないとできない。
 このように、学校給食の質と安全を確保する条件は、熟練の技能を持った調理員を確保
することであり、熟練の技能を持った調理員は長期に勤務することで養成され、調理員が
長期に勤務しようとする意欲を持つことができる条件は、正規か非正規かという雇用形態
よりも、むしろ長期に勤務しようとする意欲を持ち得る賃金・労働条件か否かである。
 求人広告によると民間給食会社の学校給食パート調理員の賃金単価は750円/時前後で
ある。 750円/時で1日8時間、月23日勤いても月収は13万円8千円にしかならない。
これは、1人暮らしの生活保護基準を少し上回る額でしかない。したがって、民間給食会
社のパート調理員は、平均勤続年数が3年(「民間委託の5年間を検証する」2004年、船
橋市職労学校給食委託検証プロジェクト)にしかならず、熟練の技能を身に付けることが
難しい。一方、高石市の臨時・パート調理員の賃金単価は975円/時である。パート調理
員の中には、10数年も続けて勤務している者もおり、熟練の技能を身に付け、調理をこな
すことができるようになる。
 非熟練の調理員でも安全な給食を作ろうとすれば、献立の簡略化や手作り給食から冷凍
食材、調理済み食材を多用した給食とならざるを得ない。給食会社から、作業軽減のため、
野菜の手切りを機械切りにしたい、泥付き野菜を使わない、献立の組み合わせに考慮して
ほしいなどの要望が出され、その要望を取り入れたガイドラインが作成される(「足立区の
民間委託の経過と問題点」2005年)というような事態にまで至っているのが学校給食調理
業務の委託の現状である。

(5) 審査会の質問に対する実施機関の回答について

 審査会の「公開した資料のみで『調理員が全員正規職員であることが給食の質を確保す
る条件』であることをどのようにして理解できるのか具体的に説明してください。」という
質問に対して実施機関は、「本来学校給食は、その責任の度合いから配置基準に準拠した人
数の正職員でもって調理にあたるべきである。それにより児童に安全でおいしい給食を提
供できる。」と回答しているが、この回答は、審査会の質問に答えていない。しかも、回答
は虚偽説明である。実施機関は、2007年4月27日に異議申立人に対して、学校給食調理
業務を委託する唯一の理由は、学校給食の質と安全を確保する条件は調理員が全員正規職
員であることだが、直営校ではそれが確保できない、しかし、正規職員でなければならな
い根拠はない、という説明をしている。

(6) まとめ

 実施機関が学校給食調理業務の委託を進める唯一の理由は、委託経費と調理員を全員正
規職員とした場合の直営経費とを比較すると直営経費の方が高いというもので、そのよう
な比較方法を取ったのは、給食の質と安全を確保するためには調理員が全員正規職員でな
ければならないという考え方に基づく。公開された配置基準や正規職員の調理員数だけで
は給食の質と安全を確保するためには調理員が全員正規職員でなければならないというこ
とは読み取れないので、「公開された文書について」の項で説明したような文書が存在する
はずで、公開されなければならない。
 実施機関は、これまで、保護者に対するアンケート回答のみでなく、異議申立人に対し
ても、給食の質を維持するためには調理員が正規職員でなければならないと繰り返し説明
してきたので、それを根拠付ける資料は必ず持っているはずである。そうでなければ、保
護者や我々に、給食の質を維持するためには調理員が正規職員でなければならないという
ような説明はできないはずである。
 本当に給食の質を維持するためには調理員が正規職員でなければならないことを根拠付
ける資料を持っていないのであれば、公文書公開決定ではなく、公文書不存在による非公
開決定をしなければならないが、そうであるなら、これまでの保護者や異議申立人に対す
る説明は虚偽説明になる。

4 実施機関の主張の要旨

 実施機関の主張は、本件処分通知書、弁明書、口頭理由説明及び審査会からの質問に対
する実施機関の回答書によると、概ね次のとおりである。

(1) 本件文書の存否について

 公開した「給食調理員配置基準」は、安全で衛生的な給食調理を維持するため文部科学
省が定めた基準を基に実施機関が策定したものである。その運用にあたっては、原則的に
は全て正規職員を充てることで配置基準を守るべきであるとされているが、退職等に伴い
正規職員だけて配置基準を満たすことができない学校については、臨時的任用職員を補充
し、かつ、パート調理員の配置を行って正規職員不足の補完に努め、喫食数の多い学校で
配置職員の休暇が出た際にパート調理員の補充を行うという工夫で各校の配置基準を維持
してきた経緯がある。
 また、同時に公開した「学校給食調理委託業務実施に関する基本方針参考資料1」にお
ける平成21年度までの正規職員数の推移をみると、今後は「給食調理員配置基準」を満
たす正規職員の配置はより困難となり、「安全で衛生的な給食調理」を維持することが難し
くなることは明らかである。
 以上から、実施機関が「給食調理員配置基準」及び「学校給食調理員委託業務実施に関
する基本方針参考資料1」をもって、「これ以上正職員配置を減らす事は、給食の質を維持
する事すら困難であると判断し」たこと及び「今後調理職員の定年退職等により現状のま
まですと11名不足することになり、現在の給食の質を維持することすら困難な状況である
と考えてい」ると判断したことは至当である。
 平成17年度の給食調理員の配置状況は、必要数28名のところ、正規職員の調理員は21
名しかおらず、7名不足する。不足する7名分は臨時的任用職員を任用した。平成19年度
は、喫食数の関係で必要数が29名となるが、正規職員の調理員は21名のままで臨時的任
用職員は8名必要になる。ところが、平成18年度末で早期退職者が2名出たため、調理業
務の委託をしないと臨時的任用職員が10名必要となる。議会や保護者説明会で出した資料
には、平成21年度になると正規職員の調理員が18名、臨時的任用職員が11名となり、臨
時的任用職員の率が非常に高くなる。したがって、平成19年度は、7名分の委託をすると、
それ以外の学校では、正規職員の調理員で配置基準を満たすことができる。本来は、正規
職員の調理員で対応するべきだが、調理業務の委託をしないと、各校の配置が、正規職員
2名、臨時的任用職員2名ということになり、正規職員の責任が重くなり、臨時的任用職
員にどこまで責任を持たせることができるかということもあり、安全な学校給食を進める
ために調理業務を委託した。
 臨時的任用職員は、雇用期間が6ケ月で、延長も6ケ月1回だけである。国の配置基準
も長期に雇用できない臨時的任用職員ではなく常勤職員を前提にしていると思われる。
 文部科学省の学校給食調理業務の運営の合理化についての通知には、パート職員の活用、
共同調理場方式の活用、民間委託等について書かれているが、パート職員は、勤務日数や
勤務時間を常勤職員と明確に異なるものとするとされている。本来はそういう形のもので
あり、忙しい部分はパート職員にさせ、これ以上臨時的任用職員を増やすことはできない。
 保護者には、「これ以上正職員配置を減らす事は、給食の質を維持する事すら困難である
と判断しております。」、「今後調理職員の定年退職等により現状のままですと11名不足す
ることになり、現在の給食の質を維持することすら困難な状況であると考えています。」と
いう回答文書を出したが、給食の質を維持することは困難であるということを証する文書
はない。

(2) 審査会の質問に対する実施機関の回答書の要旨

・ 学校給食を直営で行う場合は、調理員は正規職員でなければならない、又は正規職員
が望ましいとしたことを教育委員会の方針として決定、確認した決裁文書、会議録等は保
有していない。
・ 異議申立人に公開した資料のみで「調理員が全員正規職員であることが給食の質を確
保する条件」であることをどのようにして理解できるのか具体的に説明すると次のように
なる。
 本来学校給食は、その責任の度合いから配置基準に準拠した人数の正規職員で調理にあ
たるべきであり、それにより児童に安全でおいしい給食を提供できる。しかし、現状ではそ
れはかなわず、正規職員の配置基準枠を臨時職員、パート職員で補充をし、急場を凌いでい
る。それが今後、定年退職等による正規職員数の減により、益々困難な状況に追い込まれる
ことになる。

5 審査会の調査結果について

 審査会は、本条例第21条第4項の規定に基づいて、事務局職員をして、平成19年9月
19日に、公用ファイル(平成18年度)である「調査報告書」綴り、「庶務」綴り、「復命
書」綴り、「予算関係1」綴り、「出張命令簿」綴り、「旅費・時間外」綴り、「情報公開請
求」綴り、「会議録」綴り、「学校保健庶務」綴り、「給食庶務」綴り、「学校給食会」綴り、
「学校給食衛生管理」綴り、「学校給食重要N0.1」綴り、「学校給食重要N0.2」綴り、「委託関
係(契約)N0.1」綴り及び「委託関係(契約)N0.1」綴りを閲覧させ、さらに、任意で教育
部長、教育部次長兼教育総務課長及び教育総務課参事兼課長代理の個人ファイルを閲覧さ
せた。その結果、いずれのファイルにも異議申立人が存在するはずだと主張する文書は存
在しなかった。

6 審査会の判断

 審査会は、異議申立人及び実施機関の主張並びに調査結果を検討した結果、次のとおり
判断する。

(1) 異議申立人がその存在を主張する文書の存否について

 異議申立人は、実施機関が学校給食の質と安全を確保するためには調理員が全員正規職
員でなければならないと主張するのであれば、公開された文書だけではなく、異物混入等
の事故発生状況、冷凍食品・加工食品の使用状況、献立内容等を、配置基準どおり正規職
員が配置されている場合と非正規職員が多数配置されている場合とを比較したデータ、正
規職員・非正規職員それぞれの経験年数・雇用条件、職員の雇用条件又は経験年数の差等
と仕事の質を論じた文献等の資料が必要だと主張している。
 しかし、実施機関は、保護者に「これ以上正職員配置を減らす事は、給食の質を維持す
る事すら困難であると判断しております。」、「今後調理職員の定年退職等により現状のまま
ですと11名不足することになり、現在の給食の質を維持することすら困難な状況であると
考えています。」と説明したものの、説明内容である、調理員が正規職員でなければ給食の
質を維持することは困難であるということを証する文書はないことを認め、この説明自体
には一応矛盾はないこと、審査会が調査したところ、異議申立人がその存在を主張するよ
うな文書は発見できなかったことから、異議申立人がその存在を主張するような文書は存
在しないものと判断する。

(2) 実施機関の説明責務について

 実施機関が公開した資料は、「喫食数と給食調理員の配置状況」、「給食調理員の年齢構成」
及び「給食調理員配置基準」の3種類の文書であるが、これらの資料からは、平成13年度
から平成21年度までの喫食数・配置基準・正職員数・臨時職員数・退職者数、給食調理員
の年齢別人数及び児童数・喫食数別の給食調理員国公基準・市基準が判明するが、そこか
ら学校給食の質と安全を確保するためには調理員が全員正規職員でなければならないとい
うことを読み取ることは困難といわざるを得ない。異議申立人が、公開された資料以外に
学校給食の質と安全を確保するためには調理員が全員正規職員でなければならないことを
根拠づける文書があるはずだと本件異議申立を行ったことは、異議申立人の立場としては、
理解できる。
 本条例は、市の保有する情報を公開することによって、市民の知る権利を保障し、市が
説明責務を果たすことを目的としているところから、本件異議申立てのような事態を招い
たことは、実施機関が説明責務を適切に果たしていなかったからだといわざるを得ない。
したがって、審査会は、実施機関に、本条例によって課せられた説明責務を適切に果たす
よう強く要請するものである。

(3) 結論

以上から、本件処分は妥当とせざるを得ないと判断する。

(4) 意見付記−公開請求に対する実施機関の対応について

 本件異議申立ては公文書公開決定に対するもので、実施機関が公開した文書以外にまだ
文書があるはずだという内容であるが、実施機関は、学校給食の質と安全を確保するため
には調理員が全員正規職員でなければならないことを証する文書はないことを認め、審査
会の調査でも異議申立人がその存在を主張するような文書は発見できなかった。本件請求
は、請求があった時点で請求内容の確認が適切に行われていたのであれば、公文書不存在
による非公開決定になり得た請求であったと考えられる。したがって、審査会は、実施機
関に、公開請求があれば、必要に応じて、公開請求人と協議するなど適切に請求内容の確
認を行うことを要請するものである。

○ 審査の経過

平成19年 1月25日  諮問
      3月 2日  弁明書の受理
      3月26日  反論書の受理
      4月 3日  反論書補足説明の受理
      4月23日  口頭意見陳述、口頭理由説明
      6月14日  審議
      7月26日  実施機関からの回答書の受理
      8月21日  再反論書の受理
      9月10日  審議
      9月19日  調査の実施
     11月 9日  審議
平成20年 1月11日  審議
      1月16日  答申

(2008.1.29 掲載)

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高石市職員労働組合 「高石まちづくり情報」
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