高石市情報公開審査会答申第27号
(予算要求書及び付属書類の部分公開決定)

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○ 高石市職員労働組合が高石市教育委員会教育総務課に係る2006年9月議会の予算要求書及び説明資料等の付属書類を情報公開請求したところ、部分公開決定を受けました。このため異議申立てを行い、このほど高石市情報公開審査会から答申が出されたものです。答申は、非公開部分を公開しても具体的に予定価格を推測することはできないとして、部分公開決定を取り消し、全部を公開するべきとしています。また、被異議申立人である高石市教育委員会に対して、弁明書の提出が大幅に遅延したこと、弁明書及び情報公開審査会の質問に対する回答書の内容が乏しいことについて、今後このようなことがないよう適切な対応を求める旨の意見が付されています。


                           答申第27号(諮問第45号)
                              高石総庶第20389号
                               平成20年1月16日

 高石市教育委員会 様

                              高石市情報公開審査会
                              会長 清 原 泰 司

                答  申  書

 平成18年10月4日付け高石教委総第2882号で諮問のあった「教育総務課に係る2006
年9月議会の予算要求書及び説明資料等の付属書類」の公文書公開請求(以下「本件請求」
という。)に対する「18年第3回定例会提出予定案件について(回答)1式」(以下「本件
文書」という。)の公文書部分公開決定(以下「本件処分」という。)について、次のとお
り答申する。

異議申立人 高石市職員労働組合 執行委員長 小倉望
被異議申立人 実施機関 高石市教育委員会

1 審査会の結論 

実施機関は、本件処分を取り消し、本件文書を公開するべきである。

2 異議申立ての趣旨及び経過

(1) 異議申立ての趣旨

 本件異議申立ての趣旨は、異議申立人の行った本件請求に対して実施機関の行った本件
処分を取り消し、本件文書を公開するとの決定を求めるというものである。

(2) 経過

 異議申立人は、高石市情報公開条例(以下「本条例」という。)第6条第1項の規定に基
づき、実施機関に対して2006年8月16日付けで本件請求を行った。
 実施機関は、本件請求に係る文書を本件文書と特定し、本条例第7条第3号該当を理由
に本件処分を行い、平成18年8月30日付け高石教委総第2575号で異議申立人に通知した。
 異議申立人は、行政不服審査法第6条の規定に基づき、実施機関に対して2006年9月
12日付けで異議申立てを行った。
 実施機関は、平成18年10月4日付け高石教委総第2882号で高石市情報公開審査会(以
下「審査会」という。)に諮問した。

3 異議申立人及び実施機関の主張の要旨

 異議申立人及び実施機関の主張は、本件処分通知書、異議申立書、弁明書、反論書、口
頭意見陳述、口頭理由説明、審査会の質問に対する実施機関の回答書及び再反論書による
と、概ね次のとおりである。

(1) 異議申立人の異議申立書における主張の要旨

 実施機関が公開しないとした理由は、公開すると「かなり具体的に予定価格が推測され、
同事務の適正な遂行に支障がある」とするものであるが、本作文書中の非公開部分からは
具体的に予定価格を推測することは困難である。
 高石市における予算は、ア.担当課において経費を見積もる、イ.その見積もりに基づ
いて予算要求書と予算見積書が作成され、企画財政課に提出される、ウ.企画財政課は内
容を精査し、市長査定を経て予算案が作成される、エ.予算案は議会に提案され、議決さ
れると予算となる、という過程を経て編成される。したがって、予算の範囲内で決定され
る予定価格は、本件文書中の非公開部分を見ても具体的に推測することは困難である。例
えば、「歳出予算補正見積書」の「今回補正額の積算基礎」欄に「1万円×10個=10万円」、
「今回要求額」欄に「10万円」と記載されていたとしても、予算が8万円となれば契約も
8万円の範囲内で締結されることになり、予定価格も8万円の範囲内で決定されることに
なる。「歳出予算補正見積書」に記載される「1万円×10個=10万円」とか「10万円」か
らは、具体的に予定価格を推測することはできない。予算要求書や予算見積書から具体的
に予定価格が推測できるのであれば、予算からは、さらに予定価格を推測しやすいことに
なる。予算は公開される情報である。したがって、より予定価格が推測しやすい予算を公
開して、より予定価格を推測しにくい予算要求書や予算見積書を公開しないのは、矛盾し
ている。
 これまで、予算要求書と予算見積書は、個人情報を除いて繰り返し公開されてきた。公
開されることにより予定価格が具体的に推測されたとも契約事務の適正な遂行に支障があ
ったとも聞いていない。今回に限って予算要求書と予算見積書を部分公開に止める合理性
はない。
 また、予定価格の事前公表を行っている自治体すらあるのであるから、予定価格を推測
できる情報を公開すると事務の適正な遂行に支障があるのか慎重な検討が必要であるが、
本件処分には、そのような検討が行われた形跡はない。

(2) 実施機関の弁明書における主張の要旨

 本件文書には、予定価格の積算根拠とする数字が多数含まれている。従って、全部公開
すると、容易に予定価格の試算が可能となり、適正な契約事務が期待できない。本市では
予定価格の公表制度を採用していないことを考慮すると、本件処分は当然の措置である。

(3) 異議申立人の反論書における主張の要旨

@ 弁明書は、弁明書としての内容を備えていないので、再提出を求める

 弁明書には、非公開部分を非公開部分ごとに、そこにどのようなことが書かれているの
か、それが公開されるとどのようにして予定価格が推測されるのか、予定価格が推測され
ると具体的にどのような問題が生じるのか、それが条例のいずれの条項に該当するのか等
が詳しく説明されていなければならないが、本件弁明書には、そのようなことは全く説明
されていない。本件文書中には表の枠外に黒塗り部分のあるものがあるが、そこに何か書
かれているのか全く説明されていない。これでは反論のしようがない。したがって、次の
ことを記載した弁明書の再提出を実施機関に強く求める。弁明書が再提出されたなら、改
めて反論書を提出する。
・ 非公開部分に記載されている内容
・ 当該部分が公開されるとどのようにして予定価格が推測されるのかの説明
・ 予定価格が推測されると具体的にどのような問題が生じるのかの説明
・ その問題が情報公開条例のどの条項に該当するのかの説明

A 非公開の立証責任は実施機関にあるが実施機関は立証していない

 本条例は、市民に知る権利を保障し、実施機関に説明責任を果たさせることを目的とし、
公開が原則であって、非公開は例外とされる。公文書を公開の例外として非公開にするの
であれば、その立証責任は実施機関にある。部分公開決定通知書及び弁明言にはごく簡単
な説明しか書かれておらず、立証責任が果たされたとは到底いえない。よって、本件文書
は、公開されなければならない。

B 弁明書に反論する

 実施機関は非公開部分の内容を説明していないので、反論言は非公開部分の内容を推測
又は仮定した上で作成した。したがって、推測又は仮定が事実から外れているのであれば
反論書を提出したことにならないので、そのときは、異議申立人に反論書を再提出する権
利があることの確認を求める。

○ 非公開部分を公開すると具体的かつ容易に予定価格が推測されるかどうかについて

非公開部分とその内容(推測又は仮定を含む。)は次のとおりである。

a 18年度、補正第2号、歳入予算補正見積書、小学校、都市計画費補助金、住宅・建
築物耐震改修等事業補助金中今回補正額の積算基礎、今回補正額見積、充当先金額

・内容 事業費の額、国庫補助率、国庫補助額

b 18年度、補正第2号、歳入予算補正見積書、中学校、都市計画費補助金、住宅・建
築物耐震改修等事業補助金中今回補正額の積算基礎、今回補正額見積、充当先金額

・内容 事業費の額、国庫補助率、国庫補助額

c 18年度、補正第2号、歳出予算補正見積書、小学校、小学校校舎等耐震診断業務委
託料中今回補正額の積算基礎、今回要求額見積

・内容 委託料の額

d 18年度、補正第2号、歳出予算補正見積書、中学校、中学校校舎等耐震診断業務委
託料中今回補正額の積算基礎、今回要求額見積

・内容 委託料の額

e 高石市立小・中学校耐震診断実施状況中各校・各棟別のコア試験費、耐震化優先度調
査、一次診断(計算書あり)、一次診断(計算書なし)、枠外の記載

・内容 各調査ごとの委託料の額、枠外は委託料の合計額と国庫補助率・国庫補助金の額
と仮定

f 債務負担行為について中高石小学校、高陽小学校それぞれの一食単価、各校ごとの委
託料、各校ごとの委託料を合算した額

・内容 上記のとおり

g 学校給食調理委託料学校別見積金額一覧表中見積金額、1食当たり単価

・内容 各校ごとの委託料の1食単価、各校ごとの委託料見積額、枠外は委託を予定して
いる2校分の委託料見積額を合算した額と仮定

 予定価格が決定されるまでの過程は、次のとおりである。

ア 設計書、仕様書等に基づいて必要な資機材の量、作業量等を見積もり、単価を掛けて
事業費を算定する。
イ アで算定した事業費を基に財政部門に予算要求をする。
ウ 予算要求を査定し(最終の査定は市長)、予算案を作成する。
エ 予算案は市議会で議決されて予算となる。
オ 予算に基づいて権限のある職員がアの積算を参考に予算の範囲内で予定価格を決定す
る。

 予定価格は、予算の範囲内で決定される。予算は、財政事情、予算編成過程での事業内
容の変更、補助金との関係などの事情により、アで積算された事業費よりも上下すること
もあるので、予定価格の推測は、予算の方がアで積算された事業費よりもより具体的かつ
容易にできるはずである。したがって、アで積算された事業費から予算案までのいずれの
情報も、予算よりも、より具体的かつ容易に予定価格を推測できる情報ではない。予算よ
りもより具体的かつ容易に予定価格を推測できる可能性があるのは、アの積算で使われた
資機材の量、作業量等と単価である。資機材の量、作業量等と単価がわかれば、予算を参
考にそれぞれの数字を上下させ、ある程度具体的に予定価格を推測することができる可能
性はある。したがって、一応、アで使われた資機材の量、作業量等と単価を予定価格を具
体的かつ容易に推測できる情報とし、非公開部分がこの情報に該当するかどうかを前記a
からgの情報について見ていく。
 aとbは、アの事業費に相当するものと国庫補助率、国庫補助額である。
 cとdは、アの事業費に相当するものである。
 eは、一見、アの資機材の量、作業量等と単価のように見えるが、耐震診断業務をコア
試験、耐震化優先度調査、一次診断(計算書あり、計算書なし)の各業務に分解して記載
しただけのもので、アの資機材の量、作業量等と単価に相当するものではない。
 fとgは、1食単価は、一見、アの資機材の量、作業量等と単価に相当するもののよう
に見えるが、この1食単価は、単に他市の委託例から計算した1食単価と推測される(こ
れまで、実施機関は、1食単価を150円として委託料を試算している旨、繰り返し、保護
者、教育委員、市議会、市職労等に説明し、資料も配布している。)。資機材、作業量等と
単価に相当するものは、1食単価の基となる積算で用いられる給食調理業務に必要な職種
別人数と給与費単価、委託会社の負担となる消耗品等の必要量と単価、事務費等である。
各校ごとの委託料及び各校の合計額はアに相当する事業費である。
 以上のとおり、本件文書の非公開部分は、予定価格を具体的かつ容易に推測できる情報
ではない。eの枠外には、「35,000コア試験費単価」という記載があるが、実施機関の主
張からは、この数字は非公開としなければならないはずである。

○ 予定価格が推測されると契約事務に支障が生じるかどうかについて

 実施機関の主張する契約事務の支障とは、実施機関は説明していないが、談合を容易に
することと思われる。予定価格が事前に公開されると、談合を行って予定価格に近い額で
応札することが容易になることが考えられるが、一般競争入札を活用する、指名業者がお
互いにわからないような指名競争入札手続きを行う等により談合を防止することは可能で
あり、予定価格が公開されたからといって談合が容易になるというものではない。
 国土交通省の調査によると、2005年10月1日現在で、予定価格の事前公表をしている
自治体は32.4%、事前公表と事後公表を併用している自治体は21.6%、両方をあわせると
過半数の自治体で予定価格の事前公表又は事前公表と事後公表の併用が行われている。そ
して、事前公表、事前公表と事後公表の併用のいずれもが、前年よりそれぞれ6.4ポイン
ト、3.1ポイント増加しており、事前を含む予定価格の公表は大きな流れとなってきてい
る。高石市においても、2007年2月1日から一定額以上の請負契約について、予定価格の
事前公表制度が設けられた。実施機関は、弁明言で「本市では予定価格の公表制度を採用
していないことを考慮すると当然の措置である」と主張しているが、そのような前提は既
になくなっている。

(4) 異議申立人の口頭意見陳述における主張の要旨

 弁明書には、非公開部分ごとにそこに何か書かれているか、その部分が公開されるとど
のようにして予定価格が推測されるのか、予定価格が推測されると具体的にどのような問
題が生じるのか、それは、情報公開条例のいずれの条項に該当するのかについて、詳しく
説明されていなければならないが、そのようなことは全く説明されていない。非公開にし
たことの立証責任は実施機関にあるが、これでは、立証責任が果たされたとは言えない。
 予定価格は、設計書、仕様書等に基づいて必要な資機材の量、作業量等を見積もり、単
価を掛けて事業費を算定し、これを基に財政部門に予算を要求し、市長の査定を経て予算
案を作成し、市議会が議決して予算となり、権限ある職員が当初の積算を参考に予算の範
囲内で決定する。 したがって、積算された事業費よりも予算の方が予定価格を具体的に推
測できるはずである。
 学校給食委託料の1食単価は、資機材の量と単価に相当するように見えるが、この1食
単価は、実施機関が保護者、教育委員会、市議会、異議申立人に繰り返し1食150円で委
託料を積算したと説明し、資料を配布しているので、150円と推測される。資機材の量と
単価に相当するものは、1食単価の元となる積算で用いられる調理業務に必要な職種別人
数と給与費単価、消耗品等の必要量と単価、事務費等である。各校ごとの委託料と各校合
計額は事業費である。したがって、非公開部分から予定価格を具体的に推測することはで
きない。
 実施機関は説明していないが、予定価格を公開すると談合を容易にし、契約事務に支障
が生じると説明したいのだと推測される。しかし、談合の防止は、指名業者がお互いにわ
からないような入札手続をすれば防止できるので、予定価格が公開されたからといって談
合が容易になるというものではない。国土交通省の調査によると、2005年10月1日現在、
過半数の自治体で予定価格の事前公表又は事前公表と事後公表の併用が行われており、毎
年公表自治体が増加している。高石市においても2007年2月1日に一定額以上の請負契約
について、予定価格の事前公表制度が設けられた。
 これまで、予算要求書とそれに附属する予算見積書は、個人情報を除いて繰り返し公開
されてきた。部分公開にする理由は全くない。

(5) 実施機関の口頭理由説明における主張の要旨

 小中学校の第1次耐震診断の資料は、建築住宅課が設計会社から資料を取り寄せ積算し
たものである。金額は設計金額で、これを企画財政課に予算要求する。予定価格は、設計
金額を基に決定するので、公開すると設計金額を事前に公開することになり非公開とした。
 「債務負担行為について」は、複数の業者から仮見積を取り、1食あたりの金額を市で
積算し、それに各校の喫食数と年間給食回数190回を掛け、委託料を出したものである。
高石小学校は、喫食数が少ないので割高になる。こういう方法で補正予算の要求額を積算
した。「学校給食調理委託料学校別見積金額一覧表」は、全7校の喫食数から額を出し、平
均でどの位の単価になるかを出したものである。複数の業者の見積から総額を出し、喫食
数と年間190回で割って出す。これは、限りなく予定価格に近い額であり、それに基づい
て予定価格を出すので、事前に開示することはできない。見積金額は工事でいう設計金額
で、予定価格は、設計金額の範囲内で予定価格設定権者が決定する。設計金額は公表して
いない。見積金額も公表できない。異議申立人の説明に出てくる1食150円は、600人、
700人規模の学校であれば、この程度に落ち着くのではないかとして、一つの目安として
議会説明として示した。見積金額は業者見積を平均した。栄養士、調理師の単価は、近隣
市に問い合わせてチェックした。予算は2校まとめての額で、本件文書では各校個別にわ
かる。予定価格をあらかじめ示すと、業者は、安い金額を入れる予定が高止まりとなる。
工事は事前公表となったが、これまで公表しなかったのは、高止まりを防ぐ意味があった
と思われる。入札不調で給食開始の4月2日に間に合わなくなるのが怖い。財政部門はだ
いたい予算要求どおり予算を付けた。予算を削って質の悪い業者になっても困る。

(6) 審査会の質問に対する実施機関の回答書の要旨

@ 校舎耐震診断業務について

○ 審査会の質問ア
 非公開部分に何が記載されているか項目ごとに説明されたい。
○ 実施機関の回答ア
 「18年度補正第2号歳入予算補正見積書(小学校)」中「今回補正額の積算基礎」・「今回補
正額(見積)」、「18年度補正第2号歳入予算補正見積書(中学校)」中「今回補正額の積算基
礎」・「今回補正額(見積)」
非公開の理由一補助金の額が分かると歳出予算要求額が判明するため。

 「18年度補正第2号歳出予算補正見積書(小学校)」中「今回補正額の積算基礎」・「今回補
正額(見積)」、「18年度補正第2号歳出予算補正見積書(中学校)」中「今回補正額の積算基
礎」・「今回補正額(見積)」
非公開の理由一高石市情報公開条例第7条第3号に該当。市が直接積算、見積を行った部
分であり、今後当該業務に係る契約事務を行う際、かなり具体的に予定価格設定の判断基
準となる額が推測され、適正な事務執行に支障があると認められるから。

「高石市立小・中学校耐震診断実施状況」中「コア試験費」・「耐震化優先度調査」・「一次診
断(計算書あり)」・「一次診断(計算書なし)」
非公開の理由一公開すると歳出補正見積額が判明するため。

○ 審査会の質問イ
  「歳入予算補正見積書」中「今回補正額の積算基礎」の積算方法を説明されたい。
○ 実施機関の回答イ
 住宅・建築物耐震改修等事業補助金の補助率は3分の1であるため、歳出補正見積額の3
分の1とした。

○ 審査会の質問ウ
 「高石市立小・中学校耐震診断実施状況」中「コア試験費」、「耐震化優先度調査」、「一時
診断(計算書あり)」及び「一時診断(計算書なし)の」各項目の積算方法を説明されたい。
○ 実施機関の回答ウ
 国、府の積算基準を基に作成した高石市の積算基準によって行っている。

○ 審査会の質問工
 校舎耐震診断業務に係る予定価格の積算方法・決定方法を説明されたい。
○ 実施機関の回答工
 予定価格設定の判断基準となる額は、高石市の積算基準による各項目の積算結果を積み
上げたものである。

○ 審査会の質問オ
 非公開部分を公開するとどのようにして予定価格を具体的に推測することができるのか、
その推測方法を説明されたい。
○ 実施機関の回答オ
 通常、予算要求額に近い金額で予算金額が決定されることが多く、しかも要求額が市の
積算によるものなので、業務施行決裁時における設計書の価格に近く、情報公開請求時に
これを公開すると比較的容易に予定価格設定額を具体的に推測することができる。

○ 審査会の質問カ
 予定価格が推測されると契約事務の適正な遂行に支障があるとするその理由を説明され
たい。
○ 実施機関の回答カ
 予定価格設定額が類推されることにより、本来、正当な競争の原理が入札において働か
ず、契約金額の高止まり現象を招きかねず、落札率が100%に近いものとなる可能性があ
る。

A 学校給食調理業務について

○ 審査会の質問ア
 非公開部分に何が記載されているのか項目ごとに説明されたい。
○ 実施機関の回答ア
「債務負担行為について」中「学校給食の調理業務委託年間経費」・「高石小学校一食単価」・
「高石小学校調理委託年間経費」・「高陽小学校一食単価」・「高陽小学校調理委託年間経費」
非公開の理由一高石市情報公開条例第7条第3号に該当。市が直接積算、見積を行った部
分であり、今後当該業務に係る契約事務を行う際、かなり具体的に予定価格設定の判断基
準となる額が推測され、同事務の適正な遂行に支障があると認められるから。

○ 審査会の質問イ
 「債務負担行為について」中「高石小学校1食単価」及び「高陽小学校1食単価」の積
算方法を説明されたい。
○ 実施機関の回答イ
 業者見積額を喫食数及び給食日数で除して得た額。

○ 審査会の質問ウ
 「学校給食調理委託料学校別見積金額一覧表」中「見積金額」及び「1食あたり単価」の
積算方法を説明されたい。
○ 実施機関の回答ウ
 業者見積額を喫食数及び給食日数で除して得た額。

○ 審査会の質問工
 学校給食調理業務に係る予定価格の積算方法・決定方法を説明されたい。
○ 実施機関の回答工
 予定価格設定の判断基準となる額は、調理員の数は本市の配置基準に基づく人数とし、
栄養士、調理師、調理助手及び代替要員(有資格者)それぞれの人件費については複数の
業者から徴取した見積書を参考にし、市において単価及び経費率を定め、算定した。

○ 審査会の質問オ
 非公開部分を公開するとどのようにして予定価格を具体的に推測することができるのか、
その推測方法を説明されたい。
○ 実施機関の回答オ
 給食調理委託料の予算要求額は、工事に換言すれば、予算要求の基礎的設計金額にあた
り、予定価格設定の判断基準となる額を算定する際の重要な数字であり、当該給食業務委
託に係る予算要求額は工事の設計金額に類するものとして、非公開の取扱いとした。

○ 審査会の質問カ
 予定価格が推測されると契約事務の適正な遂行に支障があるとするその理由を説明され
たい。
○ 実施機関の回答カ
 予定価格設定額が類推されることにより、本来、正当な競争の原理が入札において働か
ず、契約金額の高止り現象を招きかねず、落札率が100%に近いものとなる可能性がある。

(7) 実施機関の回答書に対する異議申立人の再反論書における主張の要旨

@ 校舎耐震診断業務について

 審査会の質問は、実施機関に、校舎耐震診断業務の経費の積算方法を説明させ、予算要
求額等から予定価格を推測する方法を説明させ、予定価格が推測されるとなぜ契約事務に
支障が生じるのか説明させようとする意図があったと思われるが、実施機関の回答は、肩
透かしである。

回答アについて
 予算補正見積書の「積算基礎」に何か書かれているのか説明していない。「積算基礎」及
び「補正額(見積)」が公になると、かなり具体的に予定価格設定の判断基準となる額が推
測され、適正な事務執行に支障がある、と説明しているが、予定価格設定の判断基準とな
る額とは何か、その額は積算基礎からどのようにして計算できるのか、適正な事務執行の
支障とは何か、予定価格設定の判断基準となる額が推測されるとなぜ適正な事務執行に支
障が生じるのか説明していない。「高石市立小・中学校耐震診断業務実施状況」の表の枠外
に黒塗りで消した部分があるが、ここに何か書かれているのか、なぜ非公開なのかも説明
していない。

回答ウについて
 質問ウは、「高石市立小・中学校耐震診断業務実施状況」の各項目の積算方法を聞いてい
るが、回答ウは、積算は、国、府の積算基準を基に作成した高石市の積算基準によって行
っている、としか説明していない。国、府の積算基準や高石市の積算基準の説明がないと
積算方法の説明にはならない。

回答エについて
 質問エは、予定価格の積算方法、決定方法を聞いているが、回答エは、予定価格設定の
判断基準となる額は、回答ウの積算結果を積み上げたもの、としか説明していない。予定
価格の判断基準となる額とは何か、それから予定価格がどのようにして決定されるのか説
明がない。また、回答エは、回答ウの高石市の積算基準を用いて説明しているが、高石市
の積算基準の説明はないので、結局、回答エの積算方法もわからない。

回答オについて
 質問オは、非公開部分から予定価格を推測する方法を聞いているが、回答オは、予算要
求額に近い金額で予算額が決定されることが多く、要求額は市の積算によるものなので業
務施行決裁時における設計書の価格に近く、予算要求額を公開すると比較的容易に予定価
格を推測できる、としか書かれていない。予算要求額は設計書の価格に近く、予定価格は
設計書の価格から具体的に推測できる、と言おうとしているように思われるが、そうであ
るなら、設計書の価格から予算要求額を決定する方法、予算要求額から予定価格を推測す
る方法、設計書の価格とは何かについて説明しなければならない。また、回答オによると、
予算額に予算要求額は近く、予算要求額は設計書の価格に近いので、予算額は設計書の価
格に近いことになる。設計書の価格から予定価格が推測できるのなら、設計書の価格に近
いとされる予算額から予定価格が推測できることになり、予算要求額を非公開にする理由
はない。

回答カについて
 質問カは、予定価格が推測されると契約事務に支障があるとする理由を聞いているが、
回答カは、予定価格が類推されることにより、正当な競争原理が入札において働かず、契
約金額の高止り現象を招きかねず、落札率が100%近いものとなる可能性がある、としか
説明していない。正当な競争原理が働かない理由について、回答カは説明していない。

A 学校給食調理業務について

 審査会の質問は、実施機関に、学校給食調理業務の経費の積算方法を説明させ、それを
基に予算要求額等から予定価格が推測されるとする方法を説明させ、さらに、予定価格が
推測されるとなぜ契約事務に支障が生じるのか説明させようとする意図があったと思われ
るが、実施機関の回答は、次のとおり質問に答えていない部分や回答間の矛盾がある。

回答アについて
 質問アは、非公開部分の記載内容と非公開の理由を聞いているのであるが、回答アは、
「債務負担行為について」中の非公開部分について説明したのみで、「学校給食調理委託料
学校別見積金額一覧表」中の非公開部分については説明していない。「学校給食調理委託料
学校別見積金額一覧表」には、表の枠外にも黒塗りで消した部分がある。

回答イについて
 質問イは、「債務負担行為について」中の1食単価の積算方法を聞いているのであるが、
回答アでは、市が直接積算、見積を行った、と説明し、回答イでは、業者見積額を喫食数
及び給食日数で除した、と説明している。説明が矛盾している。

回答オについて
 質問オは、非公開部分から予定価格を具体的に推測する方法を聞いているのであるが、
回答オは、予算要求金額は、工事の予算要求の基礎的設計金額にあたり、予定価格設定の
判断基準となる額を算定する際の重要な数字であり、当該給食業務委託に係る予算要求額
は工事の設計金額に類するもの、としか説明していない。予算要求の基礎的設計金額とは
何か、予定価格設定の判断基準となる額とは何か、それはどのようにして計算されるのか、
予算要求額が工事の設計金額に類するものとする意味は何か(「工事の設計金額」と「予算
要求の基礎的設計金額」とは同じものなのか違うものなのか)、予定価格の判断基準となる
額から予定価格を決定する方法、予算要求額から予定価格を推測する方法の説明はない。

回答カについて
 質問カは、予定価格が推測されると契約事務の適正な遂行に支障があるとする理由を聞
いているのであるが、回答カは、予定価格設定額が類推されることにより、正当な競争の
原理が入札において働かず、契約金額の高止り現象を招きかねず、落札率が100%に近い
ものとなる可能性がある、としか説明していない。正当な競争原理が働かない理由につい
て、回答カは説明していない。

 以上のとおり、実施機関の回答には、質問に答えていない部分、矛盾する部分がある。
本件異議申立ての最大の争点は、予定価格が推測されると契約事務の適切な執行に支障が
生じるかどうかという点であるが、実施機関は、予定価格設定額が類推されることにより
正当な競争の原理が入札において働かない、としか答えず、正当な競争原理が働かない理
由は説明していない。高石市においても、2007年2月1日から一定額以上の請負契約につ
いて、予定価格の事前公表制度が設けられている。予定価格を事前公表しても、正当な競
争原理が働かないことはないと判断されたからこそである。回答書は実施機関から提出さ
れているが、契約事務は市長の権限である。耐震診断業務、学校給食調理業務と予定価格
を事前公表している請負業務とでは業務の性格が異なり、予定価格の公表・非公表の判断
も異なるというのならともかく(実施機関は、異なるというような主張はしていない。)、
実施機関の回答は、いわば庁内不統一である。

4 審査会の判断

審査会は、異議申立人及び実施機関の主張を検討した結果、次のとおり判断する。

(1) 本件異議中立ての争点について

 実施機関は、本件処分をした理由を、本作文書中の非公開部分を公開するとかなり具体
的に予定価格が推測され、契約事務の適正な遂行に支障が生じる、と説明している。した
がって、本件異議申立の争点は、第一に、本作文書中の非公開部分から予定価格が具体的
に推測できるかどうか、第二に、予定価格が具体的に推測されると契約事務の適正な遂行
に支障が生じるかどうか、の2点である。

(2) 具体的に予定価格が推測できるかどうかについて

 まず、はじめに、本作文書中の非公開部分を公開すると予定価格が具体的に推測される
かどうかという点について検討する。

@ 予算編成と予定価格の決定過程について

 予算編成と予定価格の決定過程は、異議申立人及び実施機関の主張から次のことが認め
られる。
 校舎耐震診断業務又は学校給食調理業務のいずれについても、担当課において、設計書、
仕様書等に基づいて事業費を算定し、担当課は、その事業費に基づいて財政部門に予算要
求をし、予算要求を財政部門と市長が査定して予算案を作成し、議会が予算案を議決して
予算となり、その予算の範囲内で権限ある職員が予定価格を決定する。具体的には次のよ
うになる。校舎耐震診断業務については、設計会社から資料を取り寄せ、本市の積算基準
に基づいて積算し、この積算を基に財政部門に予算要求をする。学校給食調理委託業務に
ついては、実施機関の見積額又は業者の見積額のいずれか(実施機関は、実施機関が見積
もったとも業者の見積額から見積ったとも説明しているので確定的なことはわからない。)
から委託料を算出し、その委託料を基に予算要求をする。予定価格については、異議申立
人は、予算の範囲内で権限ある職員が決定すると説明しているが、実施機関は、校舎耐震
診断業務については、本市の積算基準による各項目の積算結果を積み上げて予定価格設定
の判断基準となる額を決定し、学校給食調理委託業務については、複数の業者から聴取し
た見積書を参考に、本市で単価及び経費率を定めて予定価格設定の判断基準となる額を決
定すると説明しているが、校舎耐震診断業務についても学校給食調理業務についても予定
価格設定の判断基準となる額から予定価格を決定する方法の説明は、十分にはされていな
い。

A 本件文書中の非公開部分から予定価格を具体的に推測する方法について

 本件文書中の非公開部分から予定価格を推測する方法について、実施機関の説明による
と、校舎耐震診断業務については、予算額は予算要求額に近く、予算要求額は設計金額に
近く、したがって、設計金額を公開すると予定価格が具体的に推測されることになり、学
校給食調理業務については、予算要求額は工事で言えば設計金額に該当するので、予算要
求額を公開すると予定価格が具体的に推測されることとなる。この説明の意味するところ
は必ずしも明らかではないが、具体的な方法はともかく、この説明によれば、少なくとも、
設計金額又は設計金額に相当するもの又はそれと近い額である予算要求額及び予算額が公
開されると予定価格が具体的に推測されることになる。

(3) 結論

 予定価格とは、「地方公共団体が契約する際に契約金額を決定する基準として長があらか
じめ作成する価格」をいうものとされ、高石市契約規則第16条第3項に「予定価格は、契
約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易度、数
量の多少、履行期限の長短等を考慮して適正に定めなければならない。」と規定されている。
 実施機関は、予定価格は、校舎耐震診断業務についても学校給食調理業務についても積
算又は見積を基に予定価格設定の判断基準となる額を設定すると説明するものの、予定価
格設定の判断基準となる額から予定価格を決定する手順は明確には説明していない。しか
し、この予定価格を決定する手順こそが高石市契約規則第16条第3項の「取引の実例価格、
需要の状況、履行の難易度、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮」することだと考えら
れる。
 そうすると、本件文書中の非公開部分から予定価格設定の判断基準となる額は推測でき
るとしても、「取引の実例価格、需要の状況、履行の難易度、数量の多寡、履行期間の長短
等」をどのように考慮するのかがわからない限り、予定価格設定の判断基準となる額から
予定価格を具体的に推測することはできない。設計金額又はこれに相当する額若しくは予
算要求順にかかわらず、確実にいえることは、予定価格は予算額以下でしかあり得ないと
いうことのみであって、このことからも、本件文書中の非公開部分から具体的に予定価格
を推測することはできないといえる。
 また、予定価格は、総額について設定されるので、本件文書中の非公開部分には、「高石
市立小・中学校耐震診断実施状況」中のコア試験費、耐震化優先度調査、一次診断(計算
書あり)、一次診断(計算書なし)のように内訳が記載されているものがあるが、その非公
開部分が公開されたところで予定価格を具体的に推測することもできない。
 以上のとおり、予定価格が具体的に推測されない以上、争点の第二である予定価格が具
体的に推測されると契約事務の適正な遂行に支障が生じるかどうかについて検討するまで
もなく、本件処分は取消し、公文書公開決定をするべきである。

(4) 意見付記−本件異議中立てに係る実施機関の対応について

 本件異議申立てに係る実施機関の対応について、次のとおり意見を述べる。
 審査会による異議申立ての審査手続は、公正かつ簡易迅速に異議申立人の権利を救済す
る手続として本条例により設けられたものである。ところが、本件異議申立ては、平成18
年10月4日に実施機関から審査会に諮問され、平成18年10月10日に、審査会から実施
機関に対して平成18年10月31日を提出期限として弁明書の提出を求めたところ、実際に
弁明書が提出されたのは、期限を2ケ月以上も経過した平成19年1月11日であった。し
かも、詳しく非公開の理由を述べるべき弁明書であるにもかかわらず理由の説明は不十分
であった。このため、審査会は、実施機関に質問書を提出し、回答を得たのであるが、こ
れまた内容は乏しいものであった。このような実施機関の対応では、審査会は、公正かつ
簡易迅速な権利救済機関としての役割を果たすことができない。審査会は、実施機関に、
今後、このようなことがないよう、適切な対応を厳に求めるものである。

○ 審査の経過

平成18年10月 4日  諮問
平成19年 1月11日  弁明書の受理
      2月 5日  反論書の受理
      4月23日  口頭意見陳述、口頭理由説明
      6月14日  審議
      7月26日  実施機関からの回答書の受理
      8月21日  再反論書の受理
      9月10日  審議
     11月 9日  審議
平成20年 1月11日  審議
      1月16日  答申

(2008.1.22 掲載)

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