2018新春インタビュー/「働き方改革」で人間らしい労働と生活は実現するのか?

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○ 高石市職員労働組合機関紙(2018.1.4付)から転載します。

 2018新春インタビュー/「働き方改革」で人間らしい労働と生活は実現するのか?

 新聞やテレビから「働き方改革」という言葉がしきりに聞かれます。働き方改革で過労
死を起こさせるような長時間労働が本当に規制されるのか、正規労働者と非正規労働者と
の間の格差が本当に是正されるのか、労働問題に詳しい堺総合法律事務所の村田浩治弁護
士にお聞きしました。聞き手は吉田副委員長です。

吉田 明けましておめでとうございます。
村田 明けましておめでとうございます。

 働き方改革のねらい

吉田 今日は、安倍政権が行おうとしている「働き方改革」について、本当にこれで私た
 ちの労働と生活が人間らしいものになるのか、お聞きしたいと思います。はじめに、働
 き方改革にはどのようなねらいがあるのか、ご説明をお願いします。
村田 働き方改革とは一言で言うと羊頭狗肉です。大企業を中心に内部留保という形で利
 益が積みあがっている一方、労働者にはそれが還元されていない。そのため、賃金や労
 働条件の改善で労働者にも利益を、という看板なのですが、実はそうはならずに、羊の
 肉の看板で犬の肉を売る、つまり、看板倒れの粗悪品と言わざるを得ません。

 長時間労働規制は実現するのか?

吉田 長時間労働規制では、電通過労死事件をきっかけに100時間以上の残業を法的に
 規制しようとしていますが、これはどのように考えればいいのでしょうか。
村田 本来、残業をして働くということは労働基準法では例外です。残業するなら労使で
 協定を結んで(三六協定)労働基準監督署に届けなければなりません。三六協定に係る
 厚労省通知では、月の残業時間の上限は45時間というのが基準です。それを100時
 間未満ならOKというのでは、人間らしい労働と生活をするための長時間労働規制には
 なりません。
吉田 どうして100時間という数字が持ち出されたのでしょうか。
村田 民間では1日に16時間、つまり24時間働かすことができるような三六協定がざ
 らにあります。繁忙期には残業の上限が月45時間では対応できない、ということです。
 しかし、これではいつまでたっても労働時間の短縮はできません。法制化するなら厚労
 省通知の基準でするべきです。
吉田 高石市役所では月100時間を超えるような残業が発生しています。どのような解
 決策が考えられるでしょうか。
村田 月45時間を超えるような残業があれば人員不足です。人員を増やすべきです。い
 くら忙しくても過労死ラインを超えるような残業は絶対にしてはいけません。取り返し
 のつかない事態を招きます。日に8時間、週に40時間を超える労働は例外であること
 を認識するべきです。

 正規・非正規間の格差は改善するのか?

吉田 同一労働同一賃金(同一価値労働同一賃金)も話題になっています。非正規労働者
 の期待があると思うのですが、どのようなことをしようとしているのでしょうか。
村田 現行法では労働基準法である均等待遇という表現ではなく非正規雇用については
 「均衡処遇」という表現を使っています。これは契約形態の違いで合理的な理由があれ
 ば差をつけてもいいという考えで、責任の程度、人材活用の仕組み(つまり転勤の有無
 など)等の違いを理由に賃金などで差をつけてもいいことになっています。改正法の要
 綱案を見る限りではこの点での変更はなさそうです。
吉田 同じ仕事をしているのにあれこれ理由をつけて処遇に差をつけるのでは同一労働同
 一賃金(同一価値労働同一賃金)にはならない、ということでしょうか。
村田 そういうことです。転勤があってもなくても同じ仕事なら同じ賃金が同一労働同一
 賃金(同一価値労働同一賃金)です。処遇に差をつける理由は、つけようと思えばいく
 らでもつけることができます。本来は同じ仕事=同じ賃金でなければならないと思いま
 す。ヨーロッパでは、地域の労働組合が経営者団体と協定を結んで、ある程度の幅で仕
 事の価値で賃金額を認めさせその地域では同程度の経験と業務を持っていればどの会
 社でも同じ賃金(同一価値労働同一賃金)を実現してきました。日本でも労働組合が仕
 事の価値を労働側が決定する職務評価に取り組む必要があると思います。

 会計年度任用職員で処遇改善は実現するのか

吉田 地方公務員法と地方自治法が改正され、2020年度に会計年度任用職員の制度が 
 導入されます。高石市役所では、正規職員、臨時的任用職員、非常勤嘱託職員、パート
 職員、派遣労働者、委託業者労働者などさまざま雇用形態の職員により業務が遂行され
 ています。これらの雇用形態は、いわば身分制社会のような様相すらあります。会計年
 度任用職員の制度は、これらの非正規職員の処遇改善に資するものとなるのでしょうか。
村田 会計年度任用職員は、公務員の非正規職員に一定の法的根拠を与えるものとなって
 いますが、この制度を導入したからといってそれだけで処遇改善が実現することはあり
 ません。制度ができても労働組合の運動でそこによい内容を盛り込んでいかなければな
 りません。
吉田 よい制度になるか悪い制度になるかは労働組合の運動次第、というところでしょう
 か。今日はお忙しいところありがとうございました。高石市職労も地道に運動を積み重
 ね、人間らしい労働と生活を実現していきたいと思います。

(2018.14 掲載)

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高石市職員労働組合 「高石まちづくり情報」
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