第3回市政研究学習会
現代地方自治の課題−革新自治体の記憶と高石市

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         現代地方自治の課題−革新自治体の記憶と高石市

 2010年8月30日に行われた第3回市政研究学習会における森裕之立命館大学教授
の講演「現代地方自治の課題−革新自治体の記憶と高石市」の要旨を市職労の責任でまと
めたものです。

 依然として続く行革=政府の規模を小さくする

 全国で行革が進められています。政府の規模を小さくしようとするもので、今も続いて
います。昨年の民主党政権への交代で2010年度予算は劇的な変化がありました。公共
事業は大幅に削減されました。一方、子ども手当、高校授業料無償化など人的給付が実現
されました。しかし、これらの施策はメッキまみれです。税収が大きく落ち込み、それを
地方交付税代わりの臨時財政対策債という借金を増発するなどして財政規模を膨らませて
何とか辻褄をあわせています。菅首相は、財政危機という認識を強め、消費税増税を明言
しました。政府の行った試算では、社会保障の自然増分は削れないので消費税増税は9%
必要といっています。公共事業は大きく削減されましたので、行革を進めざるを得ない事
態となっています。したがって、地方行革も続くと見ておかなければなりません。

 政府機能の弱体化は社会問題の深刻化を招く

 大阪市の生活保護の財政負担は半端ではありません。それだけ貧困化が進んでいるとい
えます。景気刺激策として富裕層や企業の減税がされましたが、景気は回復せず、所得の
不平等化が進み、格差と貧困の都市問題も激化しました。しかし、これらを社会問題とし
て取り上げる取り組みが少ないのが現状です。
 かつての革新都政を支えたブレーンが「東京問題」という本を出版しました。土地、住
宅、雇用、防災、環境、医療など問題が深刻化しているのに、オリンピックなどのイベン
トに力を入ている都政を批判しています。政府の機能が小さくなれば社会問題は深刻化し
ます。地方では産業政策が確立していないため、一次産業は衰退、工場は撤退、過疎化・
高齢者問題など深刻な事態となっています。これは、自治体の機能が弱まっているからと
いえます。

 アスベスト問題に見る自治体の対応

 アスベスト問題は深刻です。尼崎市を対象に被害者実態調査を行おうとして尼崎市に協
力を要請したところ、協力できないとの回答でした。理由は対応するだけの職員がいない
ということでした。尼崎市では、アスベストで既に200人の方が亡くなっています。深
刻な地域問題であっても対応できないような事態に自治体は追い込まれています。高石市
には、例えば、コンビナート災害が発生し有毒ガスが発生したというときに対応できるだ
けの能力はあるのでしょうか。

 高度成長期と同じ誤りでは

 全国各地で企業の誘致合戦が繰り広げられています。補助金の交付や減税により企業の
誘致を図ろうとするものです。これは、高度成長期にも繰り広げられたことと同じことで
す。企業が誘致されると雇用が増え、税収も増えるというのですが、深刻な公害問題を引
き起こしました。

 経常収支比率が高い高石市の財政

 税金や地方交付税のような経常的な収入と人件費や扶助費のような経常的な支出との比
率を経常収支比率といいますが、高石市は経常収支比率が高く、経常的な収入で経常的な
支出を賄えない状態が続いています。人件費は削減され、扶助費は高くありませんが、起
債の償還である公債費が高くなっています。このままの状態では持ちません。先ごろ発表
された総合計画基本構想案を見ても通り一遍のことが書かれているだけです。財政危機で
あるのに危機感が感じられません。

 革新自治体に見る自治体の役割

 これからの自治体は、限られた資源、財源の中で地域の問題とどう対峙するのかという
ことが重要になります。かつての革新自治体は、最盛期には、全国の人口の43%をカバ
ーしていました。大阪でも、環境保護、福祉の充実を求める運動が行政への対抗運動であ
り、高度成長一辺倒から住民生活重視へ政策変更が行われました。自治体条例が実態に合
わせて法の上乗せを行い、1970年の公害国会、1973年の福祉元年のように国を動
かすことになりました。こうした地域、自治体からの取り組みは、現在でも大事なことで
す。例えば、子ども手当を外国籍の子どもにも出すというような決断を自治体がしてもお
かしくありません。世論の支持があれば国を動かすこともできます。

 革新自治体の財政改革案

 さまざまな成果をあげた革新自治体も衰退しましたが、その原因のひとつに財政政策の
欠如がいわれています。しかし、東京、大阪では、財政改革案が提案されていました。企
業は減税で優遇される一方、環境問題など大都市への集積による不利益が住民にもたらさ
れていました。したがって、企業に対する超過課税が必要ではないかという議論です。し
かし、国・地方間の構造的問題には踏み込めてはいませんでした。

 劇場型首長の危険な動き

 パフォーマンスに長けた劇場型首長が増加しています。例えば橋下知事。橋下知事への
府民の支持は高いのですが、何を支持するのかはっきりしません。施策で支持している人
は1割もいません。何かしてくれそうという期待で支持されています。無茶を言う人に人
気があるというのはかなり危ない動きです。

 運動にどう取り組むか

 大阪では、かつて、わかりにくい財政問題であるにもかかわらず、地方財政の充実を求
める100万人署名運動が2回も取り組まれ、衆議院、参議院ともに全会一致で採択され
ました。また、原因不明の異常出産が多かったので、情報を把握し、原因を究明する最前
線と位置づけた府立母子保健総合センターを設置し、その成果を府政に生かしました。問
題点を掴み、社会政策に生かすダイナミックな動きであったのですが、今、それが忘れら
れていないでしょうか。市役所は、単なる事務処理であってはいけません。国を動かすぐ
らいの気概をもって、もっと能動的であるべきです。

(2010.9.22 掲載)

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高石市職員労働組合 「高石まちづくり情報」
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