第1回高石市政研究学習会/地方自治の動向と市政研究の意義(講演要旨)

戻る  新着情報

○ 2010年1月28日に行われた第1回高石市政研究学習会における中山徹奈良女子大学准教授/大阪自治体問題研究所副理事長の講演の要旨を市職労の責任でまとめたものです。


   第1回高石市政研究学習会/地方自治の動向と市政研究の意義(講演要旨)

 なぜ都道府県合併といわずに道州制というのか

 今、地方自治の仕組みを大きく変える動きが活発になっています。それは、道州制の導
入です。市町村がいくつか一緒になると市町村合併といいます。市町村が合併しても市町
村なのですが、都道府県が一緒になると都道府県合併とはいわずに道州制といいます。そ
れは、都道府県合併には単なる合併ではない地方自治全体の仕組みを変えようとする意図
があるからです。

 道州制でどう変わる、国、都道府県、市町村

 道州制の導入により、国、都道府県(道州)、市町村の仕事はどのように変わるのでし
ょうか。
 今の国の仕事は、国と道州とに振り分け、国は、外交、防衛、貿易、全国的経済対策な
どを、道州は、国の出先機関を吸収して大規模公共事業、国直轄事業、地域経済対策、高
等教育などを担当することが考えられています。そして、都道府県の仕事は、道州と市町
村とに振り分け、道州は、大規模公共事業、地域経済対策などを、市町村は、保健、医療、
福祉、義務教育などを担当することが考えられています。例えば、私立保育所は、現在は、
市町村と都道府県が認可や保育の実施などで仕事を受け持っていますが、都道府県の仕事
をなくして市町村又は民間に任せるという方向になります。このような「改革」は、国の
仕事が多すぎる、という発想に基づきます。つまり、「土建国家」の大きな部分を道州に
移し、地元財界が予算を使いやすいようにしたいということです。

 民主党政権で道州制はどうなるのか

 昨年の選挙で民主党政権となりました。自公マニフェストには道州制を導入すると書か
れていますが、民主党のマニフェストには検討すると書かれています。ただし、地域主権
が大きな柱となっています。この地域主権が、地方自治の確立と一体のものとして実行さ
れるのであればいいのですが、今のところよくわかりません。小沢民主党幹事長は、もと
もと、300小選挙区制、300市町村、国・市町村の2層制という主張をしていましたので、
民主党もさらなる市町村合併に進むかもしれません。財界の主張する道州制は、国、地方
関係の根本的な見直しという点で自公マニフェストと同じです。

 地方主権推進一括法案−規制撤廃

 地方主権推進一括法案が今の国会に提出されます。内容は、国が定めているさまざまな
規制基準を撤廃して自治体に任せるというものです。例えば、保育所には、国が定めた職
員配置や施設の最低基準があります。認可保育所は、必ずこの基準を守らなければなりま
せん。したがって、この国基準には、北海道から沖縄まで、全国どこでも認可保育所の職
員配置や施設について、一定の水準を保障するという役割があります。ただし、これは、
最低基準なので、上回る職員配置や施設整備は可能です。一部の報道機関がこの最低基準
について、この基準しか認めないというような規制と報道しましたが、それは間違ってい
ます。このような基準を国が決めずに自治体条例で決めるというようにするというのが法
案の内容です。厚生労働省は、自治体ごとにバラバラになったら困るので、実際には、厚
生労働省で基準を定め、その基準に基づいて自治体が決めるということになりそうです。
 このように国が関与することが減り、自治体が決めることが増えると、自治体は今まで
以上に大きくならざるを得ませんが、財政、職員が保障されるのか明確にはされていませ
ん。財政と職員が保障された上で自治体での判断が増えるという地方自治を強化する地方
分権なら賛成ですが、そうでない地方分権なら反対せざるを得ません。

 職員の力量を高めることが重要

 今後の地方自治の動向は流動的ですが、事態がどう動いても職員が市民とともに歩める
力量を付けていくことが重要です。先ほど述べたように、地方分権推進一括法案が成立す
ると、条例で保育所最低基準を決めることになります。それを実行するためには、都道府
県、市町村の職員の力量を高めていかなければなりません。安全・安心など全国どこでも
最低限守られなければならないことは国で責任をもって定めるべきですが、地域のニーズ、
実情にあったものが必要とされるときは、地域で決められるようにするべきです。そうい
う点からも職員の力量を高めていく必要があります。補助金を取ってくるのが力のある職
員という時代は終りました。

 どのようにして職員は力量を高めるのか

 職員が能力を身に付ける場の第一は、仕事を通じてです。これが本筋です。しかし、こ
れだけに止まっていてはいけません。市民の生活は総合的なものです。したがって、担当
以外のことはよくわからないでは済まされません。能力を身に付ける場の第二は、自治会
や学校のPTA、保育所の保護者会など地域を通じてです。場の第三は、労働組合を通じ
てです。ひとりの公務労働者として、仕事の立場から離れて客観的に仕事を見直すことが
できます。ここに、労働組合が取り組む自治研活動、市政研究活動の意義があります。
 地域に出かけていって、直接市民の声を聞く、企業や団体の意見を聞く、市の施策をど
う見ているか聞く、というようなことは、仕事としては難しい面があり、どうしても苦情
を聞く、というような形になってしまいます。しかし、労働組合として行うときは、仕事
とは違った立場で、市民や団体と率直なやり取りが期待できます。また、仕事の場合は、
市の方針、上司の考え方などにより、どうしても制約されます。職員個人の考えとは反対
の方向で仕事を進めなければならないこともあります。労働組合は、そのような制約の少
ない、自由な発想ができます。自治体労働組合は、賃金労働条件の問題だけに止まらない、
仕事の中身を考えていける組織であるというところに特徴があります。
 皆さんも労働組合の自治研活動、市政研究活動に参加して、職員としての能力を高めて
いっていただくことを期待します。

                             (編集責任:高石市職労)

(2010.2.5 掲載)

戻る  新着情報

 

高石市職員労働組合 「高石まちづくり情報」
http://www5e.biglobe.ne.jp/~t-joho/
E-mail sroso-takaishi@mse.biglobe.ne.jp