学校給食調理業務の委託は違法・不当として住民監査請求(第2次)

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○ 学校給食調理業務の委託は違法・不当として市民88人が住民監査請求(第2次)を行いました。ここに掲載している文書は、その監査請求書です。弁護団から提供していただきました。

住民監査請求書

2006年11月20日

高石市監査委員  殿

請 求 人   別紙請求人目録のとおり   
  
             右請求人ら代理人       
                 弁護士 山 ア 国 満 
                                        同  村 田 浩 治 
同  西 村 英一郎 

請求の要旨
1 監査対象
  高石市議会は、平成18年9月議会の補正予算の中で、学校給食調理業務委託事業に関し、平成18年度から平成19年度の期間に金2735万円を限度とする債務負担行為の追加を可決した(甲1号証)。
  これは、高石市教育委員会が平成19年度に2校(既に高石小学校と高陽小学校に決定済み)の学校給食の調理業務を業者に委託(以下「業者委託」という)することを前提に、委託業者との間で、平成18年度から平成19年度の期間に金2735万円を限度する学校給食調理業務の委託契約を締結し、学校給食を業者委託し、委託業者に対して委託料を支払おうとするものである。
2 違法もしくは不当な行為
(1)大幅な経費持ち出し
   そもそも学校給食の業者委託は、平成18年2月に策定された第三次高石市財政健全化計画案において、歳出削減に向けた取り組みの「その他」として指摘されたものである(甲2号証、13頁)。
   しかるに、学校給食を業者委託すると、高石市の試算によっても3年間で6325万2000円もの経費の持ち出しになり(甲5号証の参考資料4)、他の試算では8年間で2億2千万円以上もの経費の持ち出しになるとの指摘もある(甲6号証)。
   高石市の財政状況は、一部事務組合や特別会計を含めて多額の起債残高を抱える一方、税収は、2005年度決算では原油高により9億円の増収になり、赤字再建団体への転落を回避することができたが、今年度はそれが急減することが予想され、長期的には減少し続けている。また、124億円もの借入金を抱える土地開発公社の財政は、金利が上昇すればたちまち破綻してしまうおそれがあるし、市立診療センターの赤字も解消されていない。
   このような厳しい財政状況の中で、なぜ、あえて大幅な経費持ち出しになる学校給食の業者委託を進めるのか、その必要性は全くなく、明らかに財務会計上の法規に違反する違法、不当な施策というべきである。
また、高石市は学校給食の業者委託と同時に、公立保育所2園の民営化も進めているが、公立保育所の正規保育士数は既に配置基準を相当下回っているため、2園を廃止しても人件費は減少せず、逆に高石市の負担は6000万円から7000万円程度増加するとの試算も出ている。そうすると、高石市は、学校給食の3校委託で3000万円程度、保育所の民営化で6000万円から7000万円、合計すると毎年1億円近い経費の持ち出しとなるのであって、ますますもって違法、不当な施策というべきである。
高石市の小中学校の耐震化は、わずか5.6パーセントで、大阪府下で最低となっているが、校舎の改修、建て替えの目処すら立っていない。にもかかわらず、なぜ毎年1億円近い公金をかけて保育所の民営化と学校給食の業者委託をしようとするのか。高石市は校舎の耐震化よりも学校給食の委託の方が重要だと判断したのか、また、本件2校委託による1年分の負担増分で全校にコンベンションオーブンを設置して焼魚が調理できると言われており、高石市はそれよりも委託する方が重要だと判断したのか、全く理解出来ない違法、不当な施策というべきである。
なお,この点について、先の監査請求(高石監第95号)の結果では、臨時的任用職員の学校給食調理業務への配置は6ヶ月の任用期間を原則とする臨時的措置であり、今後、長期に任用契約を更新して学校給食調理業務を実施することは、現実的ではないと考えられるとし、義務教育学校における給食事業の重要性及び当該事業の安定性の観点から、正職員の配置との比較に基づくことは合理性があり、請求人の主張は理由がないとする。
しかし、定数外職員(非正規職員)には、臨時職員、非常勤嘱託員、パート職員があるが、現在各校に配置されている臨時職員は、毎日の勤務時間は正規職員と同じであるが、3季休業中は業務につかないというものである。臨時的職員の任用といっても、解釈の問題であるし、また、正規職員の4分の3の勤務時間で仕事がこなせるのであれば、パート職員でも対応可能で、極端にいえば、午前パート、午後パートとすることもありえる。
しかも、高石市は、委託業者に調理員の正職員対応は義務づけないとしており、実際上も1食当たり150円の単価では、正職員での対応は不可能である。また、今回の民営化で、同じ市立小学校でありながら、正規調理員で内容が維持された直営校とそうではない委託校とができることになる。
   また、前記のとおり高石市議会は金2735万円を限度とする債務負担行為の追加を可決したが、この内訳内容については必ずしも明確ではない。後述のとおり、@3季休業中の委託校の清掃をどのようにするのか、その場合の委託料は上記金額に含まれているのか、A震度5以上で職員には出勤が義務づけられてるが(調理員の場合炊き出しなどが予想される)、委託調理員にも義務づけるのか、その場合の委託料は前記金額に含まれているのか、B現在調理員が行っている掲示板の作成、アンケート、投書など子供たちとの交流、食育も委託するのか、その場合の委託料も前記金額に含まれているのか、C学校は地域づくりの核となる場所で、地域の食教育も担っているが、それも委託するのか、その場合の委託料は前記金額に含まれているのか、全く不明である。
   もしこれらの金員が含まれていないとしたら、これらのことを業者に委託せず、従来学校で行われてきたことが行われなくなる可能性があるし、逆に、これらのことも業者に委託するとすれば、さらなる経費の持ち出しになる。
(2)行政財産を貸与できるのか
   次に、学校給食の調理業務を委託する場合、調理器具や調理室を委託業者に貸与することになると思われるが、地方自治法上、行政財産は、一定の場合を除き、貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又は私権を設定することができないとされており(同法第238条の4第1項)、最近の同条の改正を考慮に入れても、その例外の定めには該当しないから、行政財産のままでこれを貸与することは違法であり、無効である。
(3)法律上の根拠を欠くこと
   ところで、@学校給食の業者委託をするには法律上の根拠が必要であるが、学校給食法は、学校給食の業者委託を予定しておらず、学校給食の業者委託は同法に違反する。Aまた、派遣と請負の事業の区分は、昭和61年4月17日付労働省告示第37号及びこれを具体化した労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成11年11月17日職発814号、女発325号、以下取扱要領という)により定められているが、学校給食の業者委託は、同取扱要領が定める要件には該当せず、労働者供給事業の禁止を定めた職業安定法第44条に違反する。B仮に、「物の製造の業務」として派遣が可能としても、労働者派遣法の規制を受け、同法が定める期間(3年)を超えて実施できず、それを超えて実施すれば、労働者派遣法及び職業安定法に違反することになる。高石市の試算によれば3年間で6325万2000円の経費の持ち出しになることを考えれば、3年を超えて実施できないとすると、まさに、高石市に無用の赤字を負担させるためだけの施策ということになり、その違法・不当性は著しい。
   この点について、前記監査請求の結果では、@の点について、文部科学省の通知では学校給食の調理業務の委託を禁止していないので、学校給食法に違反ないとするが、ここで問題となっているのは、学校給食法が調理業務の委託を認めているか、その法律上の根拠があるのかということであり、文部科学省の通知でもって同法に違反するかどうかを判断するのは本末転倒である。
   また、同監査請求の結果では、Aの点について、職業安定法や労働者派遣法に違反するかどうかは、どのような実施方法を採用するかにかかっており、具体的な実施方法及び委託内容が定まっていない現段階においては同法に違反するとはいえないとするが、平成19年度から調理業務の委託事業を実施するというのに、具体的な実施方法や委託内容が決まっていないと言うことはありえないはずである。もしそれが決まっていないとすれば、全く無責任な調理業務の民営化であり、ますます違法であるといわなければならない。
(4)内容・質・安全性等の確保が図れないこと
   また、学校給食の業者委託については、ミスが多発、仕上り時間の遅れ、衛生面等種々の問題の発生が指摘されている。委託業者からもアレルギーの個別対応には限界がある等とされており、学校給食の業者委託では、学校給食の内容や質、安全性を確保することは出来ない。
   民間の事業者は、コスト削減のため、臨時・パートの調理員を多数投入しているのが現状であり、学校給食の調理業務を委託することは、学校給食にとって最も大切な安全面等にしわ寄せが行くか、実際にも委託費そのものの値上げになることは他市の例を見ても明らかである。すなわち、学校給食を委託すると、@委託料をアップする、A高くなりすぎてアップできなくなる、B質を落とし始めるのであって、委託料のアップか、品質の低下はさけられない。
   前述の通り、@これまで3季休業中は正規職員によって、清掃(床、溝、窓、換気扇、調理器具他)、食器磨き等が行われ、また研修も行われてきたが、これが委託された場合どのようになるのか、Aこれまでは震度5以上で職員には出勤が義務づけられ、調理員の場合炊き出しなどに従事してもらえてきたが、委託調理員にも義務づけられることになるのか、B現在調理員が行っている掲示板の作成、アンケート、投書など子供たちとの交流、「食育」も委託するのか、C学校は地域づくりの核となる場所で、地域の食教育も担っているが、それも委託するのか、公務員ならともかく、民間の業者にそれができるのか、学校給食の業者委託に伴い、これらのことが行われなくなるとすると、明らかにこれまで学校給食が担ってきた役割の低下となる。
   子育て支援懇談会学校給食専門部会の報告では、「公民の役割分担を考える中で、民間活力の導入について、その課題や問題点を含め検討する必要がある」とされているが、その後の高石市の検討内容や経過は全く不明で、ほとんど全く検討していないと言っても過言でない。とりわけ、情報公開によって明らかになったところでは、高石市は、学校給食を業者委託した場合の長期的な財政的な見通しすら試算していない。
   また、高石市は、少なくとも学校給食の業者委託を決定するまでを保護者や市民に説明したこともなければ、意見を聴いたこともない。その後高石市は、委託校を一方的に高石小学校と高陽小学校に決定し、同校の保護者に対して説明会を行うなどしてきたが、出席者の数や当日の内容などからして十分な理解が得られたとはいえない。
   前述のとおり、学校給食の業者委託は大幅な経費の持ち出しになり、少なくとも財政上の理由から学校給食の業者委託を急ぐ理由は全くない。高石市は、保護者や市民に対する十分な説明も意見聴取もしないまま、学校給食の内容や質、安全等様々な問題が指摘され、かつ、経費の持ち出しになる学校給食の業者委託を一方的に決定し、それを推進しようとしているものである。
   なお、この点について、前記監査請求の結果では、学校給食の内容や質、安全性については、どのような実施方法を採用するかにかかっており、具体的な実施方法及び委託内容が定まっていない現段階では、違法・不当であるとはいえないとするが、前述の通り、平成19年度から調理業務の委託事業を実施するというのであるから、そのようなことはありえないはずである。もしそれが決まっていないとすれば、全く無責任な調理業務の民営化であり、それは学校給食にとって最も大切な内容や質、安全性にかかることで、ますます違法であるといわなければならない。
 3 現在、高石市は、学校給食の民営化に関して、平成19年度の委託校を高石小学校と高陽小学校に決定し、前記の通り、債務負担行為の追加の補正予算を可決し、これまで関係団体には保護者の理解がえられなければ、中止・延期もありうるとしながら、何度か行ってきた委託校の説明会を一方的に打ち切り、委託校の保護者に平成19年度から学校給食の調理業務の委託をする旨通知し(甲14号証)、平成19年度の学校給食の調理業務の委託を強行しようとしている。この補正予算に基づき、委託業者と調理業務の委託契約を結んでしまえば、高石市は前記の通り大幅な経費の持ち出しになるなど違法・不当な支出を余儀なくされ、しかもその委託契約を解除することは事実上不可能であるから、とりかえしのつかない事態になる。
   よって、監査委員は、市長ほか関係機関に対して、上記違法な学校給食の業者委託契約に基づく支出をしないよう必要な措置を講ずるよう勧告することを求める。
 
 上記のとおり、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添付の上、必要な措置を請求します。                

(2006.11.22 掲載)

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