「大阪府財政運営基本条例(仮称)」の骨子案についての意見

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○ 「大阪府財政運営基本条例(仮称)」の骨子案についてパブリックコメントの募集がありましたので、5月2日に市職労から次のような意見書を提出しました。

 条例の目的について

 地方公共団体は、憲法第25条の生存権を保障するために存在するのであって、地方自
治法第1条の2においても地方公共団体の役割について「住民の福祉の増進を図ることを
基本」とする旨規定されている。すなわち、財政は、これら住民の生存権保障や福祉の増
進を図るための手段にすぎないので、「財政の健全な運営」を強調するあまり目的と手段
とを取り違え、切実な府民要求を抑制するようなことになってはならない。したがって、
条例の目的には大阪府には府民の生存権を保障し、福祉の向上を図るべき責務があること
を確認的に規定するべきである。

 「受益者による適正負担の基本原則」について

 地方公共団体は、住民の生存権を保障し、福祉の増進を図るべき団体であり、住民は権
利を保障される主体であって単なる「受益者」ではなく、そのような団体の運営の原則は、
能力に応じて負担し、必要に応じて給付することとするべきである。一定の範囲について
「受益者」に負担を求めることがあるとしてもそれは地方公共団体の運営の原則になるも
のではない。したがって、「受益者による適正負担の基本原則」は規定するべきではない。
そもそも、「受益者」は誰か、「受益」の範囲はどこまでか、「受益」のうち誰がどこまで
を負担するのか、決めることは極めて困難である。例えば、保育所で子どもを保育した場
合の「受益者」は、健全に育成される子ども、子どもを保育所に預けることによって働く
機会を得ることのできた保護者、保護者を雇用することができた企業、子どもが健全に育
成されることによる社会全体の利益などが考えられ、簡単に決められるようなものではな
い。「受益」の負担割合を決めることはさらに困難である。そもそも、子どもが保育所で
健全に育成されることや保護者が保育所に子どもを預けて働くことは、子どもや保護者の
権利であって単なる「受益」ではない。仮に「受益者」に負担を求めるとしても、誰がど
の程度を負担するべきかは、単に「受益」の程度で決めるようなものではなく、権利の保
障を前提に住民合意で決めるべきものである。

 「市場原理を可能な限り尊重」について

 条例の骨子案に参考として「事業スキーム検証の視点」が掲載されているが、条例には
「市場原理を可能な限り尊重」する旨は規定するべきではない。例えば、公立保育所の民
間移譲が続いているが、民間保育所は、一定の法的枠組みがあるとしても、基本的に経営
者の保育理念に基づいて運営される。モデル的に言えば、保護者は、民間保育所の保育理
念を調べ、最も保護者の考えに合う保育所を選択し、子どもを預けることになる。これは、
まさに市場原理である。保育所や保育の内容によって保育料が異なればさらに市場性は強
まる。このような保育所のあり方を全否定するものではないが、現実には、保護者は居住
地や通勤経路から、選択できる保育所は極めて限定される。したがって、本来、保育所は、
市場において供給され、保護者の自己責任による「自由な選択」にすべて任されるのでは
なく、保護者が保育所運営に参加し、保護者の納得と合意で運営されることを基本とする
べきである。生存権保障や福祉の増進を責務とする地方公共団体は、必要な給付が確実に
行われる保障のない市場原理ではなく、給付の必要性がより確実に把握でき、給付の内容
も住民要求に基づく妥当なものとすることができる住民による「公開と参加」により運営
されるのが原則と考える。

 府独自の財政指標について

 既に地方公共団体の財政の健全化に関する法律により早期健全化基準と財政再生基準が
定められ、財政運営は厳しく規制されている。これらの基準を上回るような財政指標を定
め、財政運営の目標とするならば、府民要求を抑制することにしかならない。したがって、
府独自の財政指標は設けるべきではない。

(2011.5.10 掲載)

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