浜名湖の県立青年の家における死亡事故、
施設は4月から指定管理者の管理に
指定管理者制度の導入や審査基準・選定項目に問題はなかったか?

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   浜名湖の県立青年の家における死亡事故、施設は4月から指定管理者の管理に
     指定管理者制度の導入や審査基準・選定項目に問題はなかったか?

 6月18日に浜名湖でボートが転覆し中学生1人が死亡するという痛ましい事故が発生
しました。ボートの訓練を主催したのは静岡県立三ケ日青年の家で、この施設にはこの4
月から指定管理者制度が導入され、指定管理者には株式会社小学館集英社プロダクション
が指定されていました。

 指定管理者の選定基準

 指定管理者募集要項によると、指定管理者の選定基準は、ア 県民の平等な使用の確保
とサービスの向上が図られること、イ 施設の効用が最大限発揮する事業計画であること、
ウ 管理運営に係る経費の縮減が図られものであること、エ 事業計画に沿った管理運営
を安定して行う能力を有していること、の4点となっています。この選定基準は、指定管
理者制度が導入されたときの平成15年7月17日付総務省自治行政局長通知に掲載され
ている「選定する際の基準」の例示である、ア 住民の平等利用が確保されること、イ 
事業計画書の内容が、施設の効用を最大限に発揮するとともに管理経費の縮減が図られる
ものであること、ウ 事業計画書に沿った管理を安定して行う物的能力、人的能力を有し
ていること、とほぼ同じです。

 安全確保の配点の妥当性は

 選定基準の細目である審査項目には、「利用者の安全確保・情報保護」という項目があ
り、100点満点中30点が配点されています。「利用者の安全確保・情報保護」は、選
定基準の「イ 施設の効用が最大限発揮する事業計画であること。」を構成する6項目の
中の1項目に過ぎません。6項目がそれぞれ同じ配点とすれば、「利用者の安全確保・情
報保護」には5点の配点となります。一方、選定基準の「ウ 管理運営に係る経費の縮減
が図られものであること。」には30点の配点がされています。指定管理者募集時の仕様
書によると、教育目標の一つとして「自然体験活動をとおして、環境への関心を高め、健
やかな心身を育む」ことが掲げられ、実施内容に集団宿泊訓練、青少年の団体宿泊訓練・
野外活動の指導・助言、青少年の自然探求その他自然に親しむ諸活動の指導・助言等があ
り、主催事業として、初級ヨット講習会、初級ボードセーリング講習会、レッツトライマ
リンスポーツ等が示されています。このように、青年の家は、屋外において自然相手とい
う一定の危険を伴う事業を行うことを予定しており、今回の事故については、事故の直接
の原因の究明はもちろんのこと、指定管理者の選定基準として、「管理運営に係る経費の
縮減が図られものであること」よりも「利用者の安全確保・情報保護」の配点がかなり少
ないということの妥当性、審査基準や選定項目の設定・配点の妥当性、社会教育施設への
指定管理者制度の導入の妥当性等の検証が、今後の事故再発防止や他の類似施設の運営の
あり方の検討のために期待されます。

 賠償責任は誰に

 また、募集要項のリスク管理・責任分担によると、管理、運営に係る事故等による第三
者への損害賠償は、指定管理者の責に帰すべき事由によるものは指定管理者にあることと
されています。しかし、最高裁判決(2007年1月25日)によると、措置制度のとき
の事案ですが、民間児童養護施設における児童による暴行事件で、民間児童養護施設の職
員は国家賠償法第1条の公権力の行使にあたる公務員に該当するとして県の賠償責任を認
めています。したがって、今回の事故で指定管理者職員の過失が認められると、賠償責任
は、募集要項のリスク管理・責任分担に関わらず県が負うことになる可能性が高いと思わ
れます。このように指定管理者制度においても、指定管理者を指定したことによって指定
した側の責任はなくなるのではないので、指定した側は、安全確保等について積極的に当
該施設の運営に関わっていく必要があると考えられます。

 ふれあいゾーン指定管理者の選定の妥当性は

 一方、高石市では、ふれあいゾーンの一部をジムに改装して温水プールと一体の施設と
し、そこに指定管理者制度を導入することとし、指定管理者にコナミスポーツ&ライフ・
近鉄ビルサービスのグループを指定することがこの6月議会で議決されました。募集要項
を見てみると、審査基準のうち「11 安全確保についての考え方や施設内の事故発生時
等における対応の方策が講じられているか、12 個人情報の保獲について」には170
点満点中5点の配点となっています。安全確保という点において青年の家と同様に審査基
準の設定・配点の妥当性の検証が求められます。運営が民間企業に委託されていたふじみ
の市のプールにおける死亡事故では、市の賠償責任はもちろん、市の職員が業務上過失致
死罪に問われて禁固刑を受け、失職しています。市と職員の責任は、指定管理者に指定し
た、業務を委託した、で終わらないことを肝に銘じておかなければなりません。

 それにしても、社会教育施設に指定管理者制度を導入し、民間団体、とりわけ営利企業
を指定することについて、違和感が拭えません。利用者は、社会教育の主体なのか客体=
お客様なのか。社会教育の根本が問われているように思われます。

(2010.7.2 掲載)

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高石市職員労働組合 「高石まちづくり情報」
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