「東宝特撮映画感想文」スペシャル
「シン・ゴジラ」感想文


(はじめに)
 ということで昨年公開され、今年日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞する、という偉業
を成し遂げた「シン・ゴジラ」のBDを拝見しましたのでそれの感想文を発表したいと思います。
 今年(2017年)の秋には日本制作としては初めてとなる劇場版アニメ「GODZILLA 怪獣惑星
の3部作の第1作が公開されることが決定していますが、これをきっかけとしてまた再びゴジラ
シリーズの作品が公開されることになるといいのですが。
(ただ2019年と20年にレジェンダリー版の続編が公開が決まっているので、いつ公開する
のか、という事になるが)
 それでは感想に参りましょう。なお、本文中作品のネタバレを含んでいるので注意して
くださいませ。

現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)
「シン・ゴジラ」

(スタッフ)脚本・編集・総監督/庵野秀明、監督・特技監督/樋口真嗣、
      准監督・特技総括/尾上克郎、音楽/鷲巣詩郎

2004年、「GODZILLA FINAL WARS」でスクリーンを離れてから12年、おそらく全国のファン
が待ちに待ったであろう日本版「ゴジラ」シリーズの最新作「シン・ゴジラ」が公開され
て話題となったわけですが、管理人BDを見て思ったのは「1954(昭和29)年の第1作をも
し今制作するとなったらこういった作品になるのかな」という気がしましたね。

これまでの「ゴジラ」シリーズというのはある意味、一つの設定がもはやテンプレとなっ
ていたような感じがあったんですよね。
それは「昭和29年にゴジラが東京に上陸している」という所謂第1作を踏まえた設定でし
て。それは1975年までのいわゆる「昭和シリーズ」も、1984年以降の「平成シリーズ」も
1999年の「ゴジラ2000 ミレニアム」以降、設定を作品ごとにリセットしていた「ミレニ
アム」シリーズもその「昭和29年のゴジラ上陸」を前提に話を作っていたのですが、今回
の「シン・ゴジラ」はそれすらもない、つまりこれまで一度も怪獣が上陸したことがなか
った、という世界観の設定(ただし、「呉爾羅」について言及する場面はあるが)にしたこ
とでして。
正直言って管理人、この設定を知ったとき、「これで大丈夫なのかな?」と思ったのですが、
話が進むうちに「ああ、確かにこの設定(一度も怪獣が上陸したことがない)じゃなきゃ
この話は作れないな」と思ったんですよね。というのももし過去に一度でもゴジラが上陸
していた世界だと何らかの形で自衛隊が対策を取っているでしょうから、ゴジラ対策に
あんなに四苦八苦することはないような気がするんですよね。
(一例をあげれば1984年版の「ゴジラ」もゴジラ上陸が30年なかった世界だが、ゴジラ
対策としてスーパーXを作っていたし)
 それに前作から12年経っている間に現実の日本もいろいろなことが起こりましたが
(苦笑)、巨大生物の出現に対する政府の対応もなんだか東日本大震災のそれと同じような
感じがしたな、という人も多いのではないか、と思いますし実際にゴジラが出現したら今
の日本政府もこんなことになってしまうのかな、と思うとちょっと怖くなって気もします
が。
 そういう意味では「もし21世紀の現代にいきなり巨大怪獣が出現したらどうなるか」と
いうシミュレーション映画としてはよくできた映画ではなかったかと思います。

 とはいえ全部が全部よくできた映画か、と言われれば「?」な部分もあるわけで。
たとえば国連がゴジラに対して核兵器を使うかどうか「ヤシオリ作戦」の成否によって決
定、みたいなのが後半のクライマックスなわけですが、実際国際社会だって核兵器の怖さ
は知っていると思いますし、そんなことを日本国民が知ったら大騒ぎになってしまうので
はないか、と思いますしね。まあ、今回の作品もギリギリまで里見臨時総理がフランスを
説得する場面がありましたが…。
それにヤシオリ作戦の後日本政府はゴジラをどうするつもりなんでしょうかね? 例えば
84ゴジラでは最後に大島の三原山火口にゴジラをおびき寄せて閉じ込める、というように
やはり最後には日本本土からゴジラの脅威を取り除く、というところまで行かないと。
もしかしたら続編を作ることを考えてああいった終わり方にしたのかもしれませんが、で
もあのラストじゃ続編を作るのは難しいのではないか、とも思えてきますが。

それにヤシオリ作戦だってもっと自衛隊に活躍の場面を与えてもよかったのではないか、
とも思えますね。もちろん今回の「シン・ゴジラ」はオキシジェンデストロイヤーやスー
パーXのような超兵器はありませんから、今の現実に存在する兵器だけでゴジラに挑む、
というある意味ではトライスター版やレジェンダリー版のそれに近いつくりだから仕方が
ない、と言えば仕方がないかもしれませんが。

今回のゴジラは「平成ガメラのスタッフがゴジラを作ったら」といったような形で制作さ
れた2001年の金子修介監督の「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」のように
「エヴァのスタッフがゴジラを作ったら」という実験作だったように思えますし、その試
みは成功だったとは思います。「日本沈没」があんな出来だったので正直樋口監督には心配
な部分があったのですが、「こういったことを『日本沈没』でやってればなあ」と思える演
出もあったのも事実ですしね(笑)。

個人的にはせっかくゴジラが復活したし、前述したようにアニメ版やレジェンダリー版も
控えていますが、やはりこうなったら(別に庵野脚本や樋口監督でなくても構わないので)。
これからもシリーズ化に期待したいし、かつてのように「毎年新作映画が公開される」こ
とになってほしいと思いますね。

それともう一つ。個人的に管理人、「シン・ゴジラ」を見た後に「今回のゴジラは『エヴァ』
のスタッフが参加してるけど、もしゴジラを平成仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シ
リーズの坂本浩一監督が撮るとしたらどういったゴジラになるのかな?」と思ったんです
よね。
ですのでいつか坂本監督の「ゴジラ」も見てみたいと思います。




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