Ten Little Nigger Boys (訳・谷川俊太郎)

 十人のニグロの子供 ご飯を食べに行く
 一人が咽喉をつまらせて 九人になった

 九人のニグロの子供 とても夜更かし
 一人がぐうぐう寝過ごして 八人になった

 八人のニグロの子供 デヴォンへ旅をする
 一人がそこに残ると言って 七人になった

 七人のニグロの子供 薪を割る
 一人が自分を真っ二つ 六人になった

 六人のニグロの子供 蜂の巣で遊ぶ
 マルハナバチが一人を刺して 五人になった

 五人のニグロの子供 法律の勉強
 一人がどうにもならなくなって 四人になった

 四人のニグロの子供 海へ出る
 燻製ニシンが一人を飲み込み 三人になった

 三人のニグロの子供 動物園へ
 大きな熊が一人を抱きしめ 二人になった

 二人のニグロの子供 日向ぼっこ
 一人がじりじり焦げ付いて 一人になった

 一人のニグロの子供 ひとりぼっちで暮らしていたが
 結婚して 誰もいなくなった