ポップンVSオレキャラ

(その2、林原優香対マリー)

 

「神風ウォーズ」、後にそう囁かれるほど今回の試合展開は目まぐるしく一進一退の攻防が繰り広げられた。

縦横無尽にフィールドを動き回りリズミカルにパンチを決めていくマリーが優勢と思えば

対西岡戦で見せた脅威の打たれ強さとスタミナを活かした「肉を切らせて骨を絶つ」戦法でマリーに一撃を加えていく優香が巻き返す。

正に閃光の如く凄まじい打ち合いがリング上で展開して行った。

そして迎える最終ラウンド、両者とも体力、気力とも限界値に近く、お互い最後の一撃を虎視眈々と狙っていた。

「うーん、ちょっとヤバイですぅ・・・」優香は少しフラツキながら呟いた、足が言う事を聞かなくなってきたのだ。

それをマリーは見逃さなかった、「ふっ、アイツ足が死に始めてきたようね・・チャンスだわ・・・」

構えたグローブ越しにマリーは紫色に変色した口元を歪めて微笑んだ。

「ヤツに比べてアタシの足はまだ生きている・・・一気に決めてやる・・・!!」

バン、バン!とマリーが激しく両手を打ち鳴らし優香の周りをゆっくりと回り始める。

「うう・・激ヤバですぅ・・・」優香も焦ってた、このままじゃあのスピード殺法でやられる、しかし足が思うように動かない・・・・

その間にもマリーは徐々に間合いを調整して行く、その眼はまるで獲物を追い詰めた猛獣のようにギラついている。

「もう少し・・もう一歩・・・アイツを的確に殺せる位置まで・・・ウフフ・・・」

「ど、ど〜しよう・・・」そう優香が思った時、パッと頭に電球が浮かんだ。「よしっ・・チャンスは一度だけ・・・です」

ピタッ、遂にマリーの足が止まった、間合いが、詰まった。

「死ねっ!」とマリーが叫んで一気に優香目掛けてすっ飛んでくる、優香はガードもせずマリーを見据えていた。

「覚悟を、決めたかっ!」自分の勝利を確信し止めのフックを打ち込もうとした刹那、

突然、マリーの視界から優香が消えた。「!」マリーがそう思った次の瞬間

優香が下からロケットのようにせり上がって来た。

ブシャァァァァァァッ!!

新必殺技誕生の瞬間!

マリー口から大量の唾液が噴水のように上がりマウスピースが勢いよく飛び出して来た。

「ご・・ぶっ・・・べ」その言葉を最後にマリーはマットに倒れ小さく痙攣しやがてピクリとも動かなくなった。

試合終了のゴングが打ち鳴らされ優香は逆転ノックアウトで見事勝者となった。

後に優香の放ったダッキングアッパーは「神風アッパー」と命名され

優香の新しい必殺ブローとなったのだ。

 

退場