ボディーの達人

  

この所優香の戦績がかなり伸びている、故郷から戻って来て西岡達とは遅れてのリーグ参戦だが。

初試合早々に勝利を収めてしまうという快挙を成し遂げてしまった、派手なKOは無くTKOや判定勝ちが多いものの

動き、戦法は去年のそれよりも良く試合運びも上達しているという成長ぶり、まるで人が変わったか誰かに憑かれてるみたいだ。

人が変わったと言えば試合中に優香は怪しい笑顔を見せる時がしばしば見受けられる。

パンチがヒットした時、相手がグロッキー状態の時には決まって恍惚とした表情の優香がそこにいる。

まるで相手を打ちのめすのが楽しくてしょうがなく一種エクスタシーを感じてるように怪しく瞳を輝かせて笑顔を浮かべる。

優香の変貌ぶりは西岡達をも驚かせた、実力もそうだが何よりもその性格の変わりようが、である。

  

今回の試合でもその性格の変貌ぶりが所々に見受けられた、対戦相手のレベルがやや低い事も手伝ってか

試合は優香が殆ど支配しているが如く無数のパンチが次々に相手に襲い掛かっていってはヒットしていく。

「ぐあ・・・!」相手が小さい呻き声を上げる度に優香の口元に楽しそうな笑みが浮かぶ「フフ・・・苦しいですか?次は強烈に苦しいよ・・」

ドスウッ!と優香の赤いグローブが相手の腹部を思い切りへこませ内臓を圧迫する、「ぐぅえおっ!おぐっ・・・!」

相手の口から唾液が飛び散り顔は苦痛で歪む、「アハ・・・・苦しすぎて逆に気持ちいいですか?」優香の言葉に不気味さが漂う。

「もう一発め.し.あ.が.れ♪」ドスウッ!更に追い討ちで相手の腹部の同じ箇所にパンチをこれでもかと叩き込む。

まるで鬼のようです優香

「うぎゃ・・・・!」相手が悲鳴を上げる、「あれ?折角力一杯打ったのに○ロしませんね・・・・残念」

優香はちょっと残念そうな顔をすると両拳をバスッ!と打ち鳴らしてニッコリ笑った。

「じゃ今度はもっともっと凄いパンチ打ちますねっ♪吐くまで倒れちゃイヤですからねー」

ドスウッ!ボスッ!ドギャッ!ドゴォ!ボスゥ!ドゴン!優香のボディーラッシュが次々に相手に襲い掛かる。

その度に相手の顔が苦痛に歪み悲鳴が会場内に響き渡る、もはや試合ではなく一方的なリンチと化していた

「ぐぇ・・・・・もう・・・止め・・ぐお!」相手が悲痛な声で哀願する「う〜ん、まだ物足りないけど・・まぁいいかな」

優香の右拳が思いっきり振りかぶられる「これで勘弁してあげますね・・・でももう子供産めなるかも知れないけどね!」

ドグゥオッ!腹を打ち破らんばかりに最後の一発が腹にめり込んだ瞬間、相手の目が完全に白目を向き

口から泡を吐いてガクンと頭を垂れる、そのままマットに糸の切れた人形のように崩れ落ちていった。

「・・・・・・・」口を開いたまま唖然としてるレフェリーに優香が言う「あ、カウントしないでいいですからね」

はっと我に返ったレフェリーは即座に手を交差して試合終了を告げる、同時に鳴り響くゴングの大音響。

優香はマットに倒れ付している相手を見つめながら笑顔を浮かべて呟いた。

「もう・・・そんなに気持ち良さそうな顔しちゃって・・・もしかしてマゾさんでしたか?アハハ・・」

スポットライトに照らされながら優香はさも嬉しそうにに笑いながら立ち尽くしていた・・・・・。

    

    

退場