トドの生態 その3



トドの性的二型について

 トドの体格はオスとメスで大きく異なっていて、オスの体重のほうがメスよりも2倍以上あります。このような雌雄差を性的二型と言い、これは繁殖期の繁殖形態、すなわちハーレムと関係があります。オスはより体の大きな個体が闘争に勝ち、優勢的な遺伝子として子孫に残していく過程の中で、このような雌雄差が生じました。このため、ハーレム形成、そして維持に関係のある形質が発達しています。具体的には、大きくて太い犬歯、幅広の吻部(口蓋部)、そして顎や首周りの筋肉の発達が挙げられます。

 具体的に見てみましょう。トドの頭骸骨の写真を下に載せました。左がオスで右がメス、どちらも成獣です。メジャーがありませんがオスの方で30cm強あります。一目見て、雌雄の大きさの違いとオスの頑強さが目につくと思います。吻部(口蓋部)の発達は威嚇行動と闘争行動に関連して発達したのでしょう。頬骨弓、矢状稜の発達、そして脳函部の発達は、咬む筋肉や首を持ち上げる筋肉の発達と関連しています。

 このような筋肉の発達はトドに限ったことではありません。皆さん、ゴリラのオスの頭がぽこっと盛り上がっている様を見たことあると思います。これは矢状稜の発達、そしてこれにつながる顎の筋肉が発達していることを示します。これも性的二型です。

 雌雄差が見られればすべて性的二型かというとそうではありません。ヒトでは、男の人の鼻毛がよく伸びますがこれは性的二型とは関係ないでしょうね。きっと。












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