MENU

第3章 低級霊・邪悪霊……霊界の存在者たち〈2〉

霊界には、守護霊や背後霊といった善い働きをする霊ばかりではなく、地上人に悪なる影響を及ぼす未熟霊(低級霊・邪悪霊)もいます。こうした霊たちが、地上人を絶えず霊的成長の道から逸(そ)らせようと画策しています。

ここでは地上人に悪い働きかけをする「低級霊・邪悪霊」について見ていきます。

(一)地縛霊の存在

死の自覚を持てない地縛霊の存在

地上でつくり上げた魂のレベル(霊格)が、その人間の死後の状態を決定することになりますが、地上人生をただ物欲や肉欲の追求だけで終えた者は、霊的成長がなされないどころか肉体本能性の染みついた魂をつくり上げてしまいます。

そうした人間は霊界に入ってからも「死の自覚」を持てず、いつまでも“地上で生きている”と思い込むようになります。そして地上時代と同じように、物質的・本能的欲望を追求し続けます。地上の同類の人間に働きかけて間接的に物質的快楽を味わおうとしたり、地上人をそそのかして悪の道に誘い込もうとします。

このように死後も地上的意識を取り除くことができず、地上に執着して悪事を重ねる未熟霊を地縛霊と言います。“地縛霊”とは――「自分の“死”を悟ることができず、意識が地上に縛られたまま離れられなくなっている霊」という意味です。なかなか地上的意識を拭い去れず、死後も物質世界に自分自身を縛りつけている霊のことなのです。地縛霊は霊的成長レベルが低いため“低級霊”と呼ばれたり、悪事を重ねることから“邪悪霊”と呼ばれます。

この地縛霊の中で特殊なケースが、地上時代の間違った宗教的信条(*例えば、「死後は再臨の時まで墓で待ち続ける」といった考え)を強く持ち続けたまま他界した霊たちです。このような地上の宗教の狂信者たちは、死後も自分の死を悟ることができず、地上時代の宗教を信仰し続けます。そのためいつまで経っても霊的自覚が芽生えず“地縛霊”になってしまうのです。(*『スピリチュアリズム入門』の「死の直後の様子」を参照)

地縛霊の住む場所

こうした地縛霊(低級霊・邪悪霊)たちが集まるのは、いまだ物質的なバイブレーションが残っている地上に近い幽界の下層に限られます。特に地上人の物欲や肉欲が渦巻く場所にたむろして住み着くようになります。

地縛霊の住む場所は、霊界全体の中ではごく狭い領域に限られます。地縛霊は霊界の上層界に入って行くことはできないため、その力が及ぶのは幽界下層と地上界だけです。したがって地縛霊の存在は、霊界全体から見れば、それほど大きな問題とは言えません。

地縛霊の地上人への影響力

しかし幽界の下層に住む地縛霊は、相当な数にのぼります。しかも地縛霊は物質性を多く持っているため、地上に強く働きかけることができるのです。それに対して物質性を持たない高級霊は、鈍重な地上世界には直接働きかけることが難しくなります。地上近くに降りると、その鈍重さゆえに自由に身動きをすることができなくなってしまいます。また高級霊が地上人に向けて働きかけをしようとすると、低級霊・邪悪霊が妨害に出てきます。そのため高級霊の勢力は、低級霊・邪悪霊の妨害を取り除いたり防いだりしながら地上人に働きかけることになります。

さらに厄介なことがあります。それは肉体に包まれている地上人は、高級霊が与えようとする霊的なものよりも、物質的なものに容易に惹かれてしまうということです。こうした問題があるため、高級霊の働きかけが善い実を結ぶことは、いっそう難しくなります。

結局、地上に近い幽界の下層では、どうしても低級霊が強い勢力を持つことになってしまいます。したがって地上の人間にとって“地縛霊”の存在は、きわめて深刻な問題となるのです。

霊界の悪の一大勢力とは?

低級霊・邪悪霊は、単なるイタズラやカラカイから、あるいは妬(ねた)みや憎しみといった利己的な感情から地上人に働きかけます。幽界は、地上的な腕力や暴力がまだ物(もの)を言う世界なので、ボス的な低級霊を中心とした小グループが存在するようになります。しかし低級霊はそれぞれが勝手気ままに行動するため、なかなか一致団結した組織活動ができません。“善”に対する共通の悪意や嫉妬(しっと)から一時的に結束することはあっても、時間とともに内部分裂を引き起こし長続きしません。

これまでキリスト教などの伝統宗教では、神に対峙(たいじ)する悪の一大勢力・組織的な神への反対勢力があるかのように教えてきましたが、実際にはそうしたものは霊界には存在しません。「善の神」対「悪のサタン」という二大勢力間の闘争の構図は、地上の宗教がつくり出したフィクションです。聖書に描かれている堕天使サタンの話も、地上人がつくり出した物語にすぎないのです。

(二)低級霊・邪悪霊への対処

常に働きかけのチャンスを狙っている低級霊・邪悪霊

低級霊・邪悪霊は、隙(すき)あらばいつでも地上人に働きかけようとします。地上人は常に、こうした低級霊・邪悪霊に取り囲まれているのです。霊界からは地上人の心の動きは手に取るように分かります。地上人が物欲や利己心にとらわれ、嫉妬や憎しみ・怒り・情欲などの悪感情を持つと、邪悪霊はすぐにキャッチし、それを働きかけのチャンスとします。

むやみに心霊現象に関心を持つような者も、低級霊にとっては願ってもないカモとなります。心霊現象に対する異常な好奇心の根底には、利己的な思いが潜んでいます。そうした人間は、自分の方からわざわざ低級霊を呼び寄せるようなことをしているのです。低級霊に「私をからかってください」と言っているようなものなのです。またご利益信仰に走るような人間も、低級霊の格好の餌食(えじき)となります。

さらには高級霊の支配の及ばない交霊会も、低級霊にとっては絶好の働き場所となります。霊との正しい交わりを求めるためには低級霊を寄せつけない地上人の心の清さと高級霊の守護が不可欠ですが、大半の交霊会は低俗な好奇心から行われるため、多くの低級霊を惹きつけることになっています。

そうした中で特に注意が必要なのが、オーラを大量に発散させている“霊媒体質者”です。彼らが放つオーラは、低級霊には誘蛾灯(ゆうがとう)の光のように映ります。低級霊はその光に引き寄せられ、霊媒体質者の周りを取り囲むようになります。このとき霊媒体質者が低級霊の働きかけを跳ね返すことができないならば低級霊に“憑依(ひょうい)”され、生命に関わるような危険な状況を招くことになってしまいます。

低級霊・邪悪霊を引き寄せないためには

低級霊・邪悪霊を引き寄せないようにするためには――「むやみに心霊現象に関心を持たない」「物欲や本能に流されないように自分の心を清く保ち、利己的な思いをなくす努力をする」ということが大切です。そして低級霊の集まりやすい人ごみなどには、立ち入らないようにします。自分の心を高めて常に「霊主肉従」の状態を維持できれば、善なる霊たちによって守られ、低級霊は近づくことができなくなります。これが最も効果的な低級霊・邪悪霊の排除法です。

こうした努力によって低級霊・邪悪霊を寄せ付けないようにしないかぎり問題は解決しません。霊能者などに頼んで悪い霊を取り除こうとしても決して良い結果は得られません。本人が命(いのち)がけで心を高め清める努力をしてこそ低級霊を退け、身を守ることができるようになるのです。世間一般に見られるお守りやお札、また形だけの祈りや九字(くじ)や呪文(じゅもん)の類には何の効力もありません。そうした行為は、ますます低級霊を面白がらせ、付け入るチャンスを与えることになってしまいます。

(三)憑依(ひょうい)現象について

最も危険な低級霊・邪悪霊の仕業

低級霊・邪悪霊の働きかけの中で、最も凶悪なものが「憑依現象」です。これは地上人の潜在意識を低級霊が支配し、狂人や二重人格者のようにしてしまう現象のことです。霊が地上人の意識を支配する場合、普通はお互いの納得と協力のもとで進められますが、憑依の場合はこれとは異なります。低級霊が地上人の許可がないのに力ずくでその人間の潜在意識を支配し、自分の操り人形にしてしまうのです。

大きなショックを受けたり、病気や出産などで身体が衰弱して心身のバランスが崩れているようなときには憑依が起こりやすくなります。憑依現象には本人の「カルマ」が関係していることが多く、憑依の苦しみによって過去の罪を償うような道を歩まされることになります。

とは言ってもいずれの憑依も、直接的な原因は本人の心の持ち方・考え方にあります。地上人の「利己的・本能的欲望」が憑依の引き金となるのです。どのようなカルマがあっても、心を正しく保つように努力する者には低級霊は近づけませんし、憑依現象も起こりません。

一人の人間が低級霊に憑依されて常軌を逸するようになると、周りの人々はその者(患者)に振り回され疲れ果ててしまうことになります。ひどい憑依状態が続くと、患者はまともな生活ができなくなります。何日も食事を摂らず、ほとんど寝ることもできなくなります。また夜中に家出をして放浪したり、辺りのモノを壊したり自殺を企てるなど手に負えなくなります。

憑依現象への現実的な対処法

そうした者を抱えた家族は、たいへんな苦しみを体験するようになりますが、実はそれが患者本人ばかりでなく家族にとっても必要な「カルマ清算の道」となっていることが多いのです。考え方によっては身内が憑依現象の被害者になることは、必ずしも悪いこととは言えません。その苦しみを通じて過去につくったカルマを償い、新しい進歩の道を歩み出せるようになるからです。

身近な人間が憑依状態になったときの現実的な対処法としては、まず患者を精神病院に強制的に入院させ隔離することです。現代医学では憑依現象を“統合失調症(精神分裂症)”とか“多重人格症”として扱います。そして薬によって疲弊した身体を休ませ、心身のバランスを取り戻させるようにします。大半の患者が、長期の不眠と断食状態に陥り心身が衰弱しているため、薬を用いて最低限の心身のバランスを回復させるようにすると、憑依状態は徐々に消滅していきます。

しかしいったん病状が良くなっても、それ以後、患者本人が心の持ち方を変える努力をしないかぎり、何度も憑依現象を繰り返すことになります。低級霊の働きかけを最終的に許すのは患者自身であり、本人がしっかりとした心がまえを保っているなら、低級霊の働きかけを跳ね返すことができるのです。「低級霊・邪悪霊」は地上人の心に直接ささやきかけ、利己的な思いや悪感情を誘発しようとします。しかし地上人がその誘惑を無視して利他的な思いを持ち続ける努力をするなら、最悪の事態は防ぐことができるようになるのです。