MENU

16章 睡眠中は何をしているのか

〔睡眠中に体験したことを翌朝思い出せる人が何人いるであろうか。肉体の睡眠中は霊界で活動しているのが事実であるのなら、肉体に戻った時にその間のことを少しでも思い出しても良さそうなものである。実際にはそういうことが滅多にないのはなぜか、シルバーバーチの説明を聞いてみよう〕

脳を中枢とした小さな物的意識では、より大きな霊的意識の中で生じたことを思い出すのは難しいのです。それが物質界の宿命です。死ぬまでは本当の意味で生きているとは言えないと言っても過言ではありません。

ただ、覚醒中であっても霊の波動が高まり、背後霊との一体化が成就されると、一瞬の間ではありますが、物質界では味わえない超越的喜悦に浸ることがあります。

実際には人間の全てが睡眠中に霊界を訪れております。これは霊的身体を死後の環境に適応しやすくするための自然の配慮の一つです。地上でも子供時代を過ごした土地を訪れると懐かしい記憶がゆっくりと蘇ってくるように、いよいよ肉体との縁が切れて霊界の住民となった時のショックを和らげると同時に、地上時代に訪れた時の記憶が次第に蘇ってその環境への適応が促進されるのです。

霊性の発達程度いわゆる霊格は、魂の進化の程度によって決まります。例えば誰でも行きたいところへ行けますが、その行き先の波動の高さや距離は、霊性の開発の程度によって制約があります。暗い界層へ行くこともあります。その場合は二つのケースが考えられます。その人の霊性の程度が低くて、親和力で同じ程度の環境へ引きつけられる場合が一つ。もう一つは、霊性の高い人が救済の目的で自発的にそういう環境へ出向く場合です。

実は死後の世界には、高級霊よりも肉体に宿った人間の霊の方が役に立つ地縛霊が多いのです。バイブルにもイエスがいわゆる地獄へ降りて行った話があります。睡眠中ではありませんでしたが、原理的には同じです。

訓練によって睡眠中のことを思い出せるようになることは不可能ではありませんが、霊的意識を脳の細胞に印象づける作用ですから、これはよほどの集中力を要します。人によって難しさの程度が異なります。物的身体と霊的身体との連携作用がどの程度まで緊密かによります。簡単に思い出せるようになる人は精神的霊媒に適した人と言えます。

質疑応答

――夢について説明していただけませんか。どう考えても霊界での体験の記憶とは思えないものがありますが……

夢には数え切れないほどの種類があります。主のいなくなった脳に残っている残像の反映にすぎないものとか、食べたものの影響など、物理的な説明のつくものもありますが、そうしたものに混じって、霊界での体験が断片的に入っていることがあります。

夢が支離滅裂になりがちなのは、霊界へ行っている間は脳の制約から放たれて別の次元で体験していたのが、再び肉体に戻ってからその記憶を思い出した時に、それが脳の意識に馴染めなくて歪んでしまうからです。

――睡眠中の人間に働きかけるスピリットは、自分の言いつけたことがきちんとその人間の意識に印象づけられたかどうかが分かるものでしょうか。

いえ、必ずしも分かっていないのです。それは、こうした交霊でも同じでして、伝わったかどうかは後になって分かることで、その時点では判断がつきません。日常生活で印象づける場合でも同じです。

――睡眠中に指導霊としばしば会っている割には交霊会での話の中でそのことに言及することが少ないのはなぜでしょうか。

言及しているのです。ただそれが霊的意識の中に印象づけられているために、すぐに脳の意識に上って来ないだけのことです。今は知らなくても、そのうちその記憶が蘇ってくる日がきます。これは、知っているといないとにかかわらず事実は事実であることの良い例です。

――私たちは睡眠中は肉体を離れていて、その間の肉体はいわば「空き家」になっているわけですが、そんな時に地縛霊に侵入されたり憑依されたりすることがないのは、背後霊の誰かが監視してくれているからでしょうか。

当人に憑依される原因がある場合は別として、普通睡眠中に低級霊に憑依されることがないのは、自然の仕組みがそのようになっているからです。

誤解があるようなので注意しておきますが、自我の本体である霊は肉体の「中」にあるのではありません。霊は肉体とはバイブレーションが違うので、内側にあるとか外側にあるとかの表現はできません。心臓と肺の間に挟まれて小さくなっているのではありません。本来のあなたは肉体という器官を通して自我を表現している「意識体」です。

睡眠中はその意識体が肉体ではなく霊体を通して自我を表現しているのであって、その間は霊界のどこかの界層にいるわけです。ですから、その肉体に他の霊が入り込む気遣いは無用です。肉体のドアを開けて外出し、その間に別の者が入り込んでドアを閉めてしまう――そういう図を想像してはいけません。そういうものではありません。意識体は肉体から霊体へと移行したあとも相変わらず肉体を管理しており、その肉体に戻る時間がくれば再び脳とつながった意識を取り戻すわけです。

――と言うことは、憑依する霊は憑依される人間の霊の許しを得て侵入するということでしょうか。

そうではありません。憑依されるのは憑依される霊的原因が内部にあってのことで、それぞれの人間によって違ってくる問題です。

例えばあなた方が愛と奉仕の精神に燃えた時は、そのバイブレーションに感応した高級霊が引きつけられます。それと同じ法則です。法則は善の方向にだけ働くのではありません。悪の方向にも働きます。最大の奉仕を成就するために働く法則が最大の悪逆無道の行為にも働くのです。なぜなら、高く上がれるということは、それだけ下がる可能性があるということであり、下がれるだけ下がれば、その分だけ高く上がれるというのが道理だからです。どちらも同じ法則の働きです。どちらを選ぶかは各自の自由意志によって決まることです。

――予知的な夢はそちら側から「伝達」されるのでしょうか。

そういうこともあります。愛の絆で結ばれた霊からの警告であることもあります。が、物的束縛から放たれた霊的身体が未来の出来事を感知して、それを夢の形で持ち帰ることもあり得ます。

――睡眠中は霊が肉体を離れているのに、どうやって肉体に生気を与え続け、死なないように出来るのでしょうか。

シルバーコード(玉の緒)でつながっていて意識が残っているからです。シルバーコードが切れて霊とのつながりが無くなったら、肉体は生気を失ってしまいます。

――麻酔をかけられている間、霊はどこにいるのでしょうか。

それは分かりません。どこかにいるのでしょう。どれくらい遠くへ行けるか、どんな環境へ行くかは、その人の魂の進化の程度によって違ってきます。

――脳の障害によって生じた無意識状態と睡眠中の無意識状態とは何か違いがあるのでしょうか。

もちろんです。障害によって無意識になった場合は霊と肉体との正常な関係を妨げる何ものかが生じています。一方、睡眠というのは自然な生理現象で、夜になると霊は肉体のバイブレーションが下がることを知っていて、霊界へ行く準備をします。前者は物的身体に障害を与える異常現象であり、後者は正常な人間的営みの一部です。睡眠の場合は霊は自発的に肉体を離れますが、障害による場合は肉体が正常に使用出来ないために、無理やりに追い出されている状態です。