MENU

7章 神とは何か

〔スピリチュアリストの中にもシルバーバーチの説く神の概念が理解できない人がいるようである。次の質疑応答が参考になるであろう〕

質疑応答

――大霊というのは「誰」なのでしょうか「何」なのでしょうか。あらゆるものに内在する愛、愛の精神ないしは情でしょうか。

大霊とは宇宙の自然法則です。全生命――物質界のものと霊界のもの全て――の背後の創造的エネルギーです。完全なる愛であり、完全なる叡智です。それが全宇宙のすみずみまで行きわたっているのです。人間の知り得た限りの小さなものであろうと、まだ物質界には明かされていないものであろうと、同じです。

あらゆる生命体に大霊が充満しています。あらゆる存在に大霊が内在しています。あらゆる法則の中にも大霊が内在しています。大霊は大霊です、生命です、愛です、全てです。従僕に過ぎないわれわれが一体どうして主人を表現できましょう? ちっぽけな概念しか抱けないわれわれが、どうして広大無辺の存在を表現できましょう?

――スズメ一羽が落ちて死ぬのも大霊はご存じということですが、この地球上の全人口の一人一人の身の上に起きることを神はどうやって知り得るのでしょうか。ましてや、すでに他界した数え切れない人たちの身の上のことまで果たして知り得るのでしょうか。

人間が「神」と呼んでいるのは実は宇宙の自然法則のことです。私の言う「大霊」です。大霊は万物の生命の中に内在しております。生命の全てが大霊であると言ってもよろしい。生命そのものはその事を自覚していますから、大霊は全生命のことを知っていることになります。スズメの生命も大霊ですから、大霊はスズメが落ちるのを知っていることになります。大霊は風にそよぐ木の葉でもありますから木の葉も大霊であることになります。

地上界の全て、霊界の全て、宇宙間のもの全て、そしてまだあなた方に知らされていない世界を通じて、大霊の法則が絶対的に支配しております。その法則から離れて何一つ生じません。全てが法則の範囲で生じていますから、大霊は全てを知っていることになるわけです。

――あなたは、大霊はあらゆるものの中に存在する、全存在の根源である、愛にも憎しみにも、叡智の中にも愚かさの中にも存在する、とおっしゃっています。その論法でいくと、間違ったことをする人間も正しいことをする人間も大霊の摂理の中で行動していることになります。同じことが戦争と憎しみを煽動する者と平和と愛を唱道する者とについても言えるように思います。となると誰一人として神の摂理を犯す者はいないことになりますが、この矛盾をどう説明されますか。

一方に「完全なるもの」があり、他方に「不完全なるもの」があります。しかし、不完全なるものもその内部に完全性の種子を宿しております。なぜなら完全性は不完全性から生じるものだからです。完全性は完全性から生まれるのではなくて不完全性から生まれるのです。

生命の旅路は進化です。進歩です。向上を求めての葛藤です。発達・発展・拡大・拡張です。あなた方が善だとか悪だとか言っているのは、その旅路における途中の段階の高い低いの善に過ぎません。終着点ではありません。あなた方の判断はその中途の不完全な理解力によって行われているのであって、善だと言ってもその段階での善であり、悪だと言ってもその段階での悪に過ぎません。その段階での判断に過ぎません。その時の事情との関連で判断した結果であって、その事情から離れればまた別の判断をするかも知れません。しかし、いかなる事情にも大霊が宿っているということです。

――すると地震にも大霊が関わっているのでしょうか。

大霊とは法則です、摂理です。それが全てを支配しています。摂理に関わりなく生じるものは何一つありません。

地震、雷、嵐――こうしたものが地上の人間の理解力を惑わしていることは私もよく承知しております。しかし、それらも大霊の支配する宇宙で発生しているものの一部です。宇宙は、そこに生を営む者が進化するように、やはり進化しています。中でもこの物質界は完全からほど遠い存在です。まだまだ完全性には届きません。これからも高く高く進化して行くのです。

――大霊も進化しているということでしょうか。

それは違います。大霊は摂理であり、その摂理は完ぺきです。ただ、物質界で顕現している部分が「顕現の仕方」において進化しつつあるということです。その点をよく理解してください。地球も進化していて、地震や雷などの天変地異はその進化のしるしであるということです。地球は火焔と嵐の中で誕生して、今もなお完成へ向けてゆっくりと進化しているのです。

日の出と日の入りの美しさ、夜空に輝く天の川の美しさ、小鳥のさえずりの愉しさに大霊の存在を偲びながら、雷雨や嵐や稲妻は大霊とは関係ないというのでは理不尽です。全ては大霊の法則の働きによって生じているのです。

その意味では、堕落した人間や同胞に害を及ぼすような人間も大霊の責である、と言ってもあながち間違いではありません。しかし忘れないでいただきたいのは、人間の一人一人に、霊性の進化の程度に応じてそれ相応の自由意志が与えられているということです。霊的段階を高く上れば上るほど、自由意志を行使できる範囲が広くなります。つまり現在のあなたは、霊的に言えばそこまでが限界ということです。が、その段階で生じる困難や障害は、大霊の一部を宿しているが故に全てを克服できるのです。

霊は物質に優ります。霊が王様で物質は従僕です。霊は全てに優ります。全生命が生み出されるエッセンスです。霊は生命であり、生命は霊です。

――大霊はこの宇宙とは別個に存在するのでしょうか。

そうではありません。宇宙は大霊の物的反映に過ぎません。大霊は物的宇宙と霊的宇宙にまたがる全体の統一原理です。

ハエに地球が理解できるでしょうか。魚に小鳥の生活が分かるでしょうか。犬が人間のように理性を働かせることが出来るでしょうか。星に空全体が分かるでしょうか。人間的知性を遥かに超えた大霊があなた方に理解できるでしょうか。

それはできないに決まっています。でも、口に一言も発することなく、皆さんの魂の静寂の中で霊が大霊と交わることが出来るまでに霊性を磨くことは可能です。その瞬間には皆さんと大霊とが一つであることを実感します。それがどういうものであるかは人間の言語では説明できませんが、自分の魂と森羅万象とが一つであることを静寂の中で悟ります。

――霊は、意識ある個性をそなえるためには物質との接合が必要なのでしょうか。

その通りです。意識をそなえるためには物的媒体をまとって、物的体験をしなければなりません。それによって物質から霊へと進化するのです。物質との合体が物的個性を通しての表現を可能にするという意味です。霊は物質をまとうことによって初めて自我を自覚するのです。

――そうなると大霊はわれわれを通して体験を得ているということでしょうか。

それは違います。あなた方の進化がすでに完ぺきなものに影響を及ぼすことはありません。

――でも、われわれは皆、大霊の一部です。その一部の進化は全体に影響を及ぼさないでしょうか。

あなたを通して顕現している部分に影響を及ぼすに過ぎません。その一部も本来は完ぺきなものですが、あなた方を通しての顕現の仕方が不完全だということです。霊はそれ自体は完ぺきです。宇宙の根源的要素です。生命の息吹きです。ただ、あなた方が不完全であるがために、あなた方を通しての顕現の仕方が不完全ということです。あなた方が進化するにつれて、より完全なものが顕現するようになります。あなたが霊を進化させているのではありません。霊が自我を顕現するための媒体を進化させていると言ってよいでしょう。

――霊が自我を発現するための物的媒体にもいろいろな形態があるということでしょうか。

その通りです。摂理は完ぺきなのです。が、あなたを通して顕現している摂理は、あなたが不完全であるがゆえに不完全なのです。完ぺきな摂理はあなたを通して顕現できません。しかし、あなたが完全へ向けて進化するにつれて、大霊の摂理がより多くあなたを通して働くようになるのです。

鏡と光の譬えで説明しましょう。鏡は光を反射するものですが、鏡が粗悪であれば光の全てを反射することが出来ません。鏡を磨くことによってより多くの光が反射するようになります。

全存在が絶え間なくより一層の顕現を求めて努力しているのです。すでに申し上げたと思いますが、生命(霊)とは黄金のようなものです。つまりその本来の姿を現すまでには原鉱を砕き、手間を掛けて磨き上げなくてはなりません。「原鉱はいらない、黄金だけくれ」――こんな要求は通りません。

――しかし、われわれにも何が善で何が悪かの概念はあると思いますが……

それは、その時での概念です。進化の過程で到達したその段階での顕現に過ぎません。さらに進化すれば捨て去られます。完全なる摂理が、正道から外れた媒体を通して顕現しようとしている、その不完全な表現に過ぎません。私が完全にも不完全にも存在意義を認めるわけはそこにあります。

――ということは、神は、その原初においては必ずしも善ではなかったということでしょうか。

私は“原初”については何も知りません。“終末”についても何も知りません。知っているのは、大霊は常に存在してきて、これからも常に存在し続けるということだけです。その摂理の働きは完ぺきです。仮にあなたが完ぺきな光を放っても磨きの悪い鏡では完ぺきに反射してくれないという譬えはお分かりいただけると思います。それを、光が不完全だ、悪だ、とは言えないでしょう。それと同じで、内部には完全な霊を宿していても、媒体を通してそれを完全な形で表現できないだけのことです。人間が“悪”と呼んでいるのは“不完全”のことです。大霊の表現が不完全だということです。

――宇宙には創造力をもつ一個の存在、ないしは一人の絶対的存在がいるだけで、われわれには創造力はないという考えは正しいでしょうか。

大霊は無限の過去から存在し、無限の未来にも存在します。全生命が大霊であり、大霊は全生命です。あなた方に一体何が創造できましょう。しかし、霊性が進化するにつれて、より美しく、より高く向上します。進化の程度が低いほど宇宙における存在の位置が低くなります。