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4章 物理的心霊現象のメカニズム

さて、霊の実在が理論と実際の両面から立証され、また霊が物質界に働きかけることが可能であることも明らかとなったが、続いて確認しなければならない問題として、テーブルなどの、動くはずもない物体がどういう原理で動くのか、霊はどういう手段を用いるのかという点が残っている。

初めの頃は我々は人間の常識的判断で大よそのことを想像していた。ところが霊との交信が始まってその点を質すと、我々の想像は簡単に一蹴された。ということは、霊信は我々の想像力の反映ではないことの証明ともなった。

実験会における現象が霊の有するダブルという半物質体の仕業であること、人間とそっくりの感触のある手が出現して物体を握ったり持ち上げたりするところを観察すると、霊媒は存在しなくてもいいのではないかと思いたくなる。霊媒は物体にまったく触れないのである。

我々の霊団の統括霊である“聖(セント)ルイ”が我々の質問に次のように答えている。(ルイ九世のこと。一二二六年から四十四年間も王位にあって六十六才で他界した名君の一人で、“聖人”に列せられている。この霊がパリの「カルデック協会」の主宰霊であり、霊団の最高指導霊だった――訳注)

――宇宙に遍満する流動性の半物質体というのは宇宙の大霊からの放射物でしょうか。

「違います。」

――やはり大霊による創造物でしょうか。

「大霊を除いて、すべてが創造されたものです。」

――その流動体は普遍的要素でしょうか。

「そうです。すべての存在物の基本的原理です。」

――電気という、我々が反応によってのみその存在を知っている流動体と何か関係がありますか。

「その基本的要素です。」

――その普遍的流動体が我々人間の感覚に訴えるものの中で最も純粋なものはどういう状態でしょうか。

「絶対的純粋性を求めていけば、完全に浄化されつくした最高級の霊にまで行き着かねばなりません。地上においては多かれ少なかれ濃密な物的環境に相応しい形に変質させてあります。その条件下で最も純粋な状態のものを挙げるとすれば、生体磁気でしょう。」

――その普遍的流動体は生命の源であると言われておりますが、知性の源でもあるのでしょうか。

「違います。流動体の働きは物質を活性化するだけです。」

――ダブルを構成している流動体は、地球圏との係わりにおいては、ある程度まで物質性を帯びた凝縮状態で存在しているのではないかと思われますが、いかがでしょうか。

「その通りです。ただし、おっしゃる通り、ある程度までです。流動体には物質の成分のすべてが含まれているわけではないからです。各天体の物質に合わせて凝縮してあります。」

――霊が固体の物体を動かせるのはなぜでしょうか。

「いま述べた流動体の一部に霊媒の身体から抽出した流動体を結合させます。」

――テーブルを持ち上げる場合、そちら側のプロセスによって固体化した手足を使うのでしょうか。

「その質問に対する回答は、残念ながらあなた方が想像なさっているメカニズムの確認とはなりません。あなた方が両手を置いているテーブルが動き始めた時、そのテーブルに働きかけている霊は、テーブルを活性化するための成分を普遍的流動体から抽出し、合成エネルギーをこしらえて、言わば充電のようなことをします。

そうした下準備のあと、担当の霊は意念によって放出した自分の流動体を使ってテーブルを引き寄せ、操ります。エネルギーが不足して思うように動かせない時は、複数の他の霊の援助を求めます。霊性の発達がほぼ同等の霊です。

霊は、その性質上、何らかの媒体がなければ鈍重な物質に働きかけることはできません。霊と物質とを結びつけるための媒体です。それがペリスピリット(ダブル)と呼んでいるもので、それが物理的心霊現象を理解するカギです。」

編者(カルデック)注――冒頭の一文「その質問に対する回答は、残念ながらあなた方が想像なさっているメカニズムの確認とはなりません」に注目していただきたい。この通信霊は我々が想像しているメカニズムをあらかじめ承知していて、我々の質問がそれを引き出すように順序立てられていることも承知していたので、それとは全く異なる回答になることを、あらかじめそういう言い方で予告したわけである。

――他の霊の援助を求めるとおっしゃいましたが、霊格の低い霊ですか――命令下に置かれている……

「ほとんどが同じ程度の霊と思ってよろしい。そして、自ら援助を申し出ることがよくあります。」

――物理現象はどんな霊にでも起こせるのでしょうか。

「この種の現象を起こすことができるのは、物的影響力から完全に脱し切っていない下層界の霊と思って間違いありません。」

――高級霊が低級な波動の物体に関知しないことは理解できますが、お聞きしたいのは、高級霊でもその気になれば同じような現象が起こせるのかということです。

「高級霊は倫理・道徳に係わる影響力を行使し、低級霊は物理的な影響力を行使します。高級霊が物理的な力を必要とする時は、それを行使できる者を雇います。荷物運搬人を雇う要領で低級霊を雇うということは、すでに述べた通りです。」

――あなたのおっしゃるところによると、普遍的流動体に生命原理が存在し、霊はダブルを構成している半物質的媒体をその流動体から抜き取り、それを手段として物質に働きかける――そういう理解の仕方でよろしいでしょうか。

「それでよろしい。言いかえれば一種の合成エネルギーによって物質に活性を与え、生命原理が動物的身体に宿って生命活動を営むのと同じ要領で、その物体を一時的に生かしめていると理解すればよろしい。

手を置いているテーブルが動き始めた時、そのテーブルを構成している物質は、その間だけは肉体に宿って生きているのと同じように生きているということです。言わば、雇い主である知的存在の言う通りに従います。知的存在(霊)が、人間が手で物を動かすのと同じ要領でテーブルを動かすわけではなく、知的意志の働きかけを受けて、みずから動くのです。

それゆえテーブルが動いた時、それは霊が腕を使って動かしているのではなく、霊が発した指令に従って、一時的に活性化されたテーブルの素材が反応し、自然に動いているのです。」

――そうした現象の発生に霊媒はどのような役割をしているのでしょうか。

「すでに述べたように、霊媒が有する流動エネルギーと普遍的流動エネルギーとが化合する。この二種類の流動体すなわち活性化されたエネルギーと普遍的に存在するエネルギーとの合成は、テーブルに生命を付与する上で必要です。

ただし、忘れてならないのは、テーブルに付与されたエネルギーは一時的なものであることです。それを付与した霊による働きかけが終われば、そのエネルギーは消滅します。また、流動エネルギーの補給が不足して現象を支えられなくなった時は、霊の働きかけが終わらないうちにでも消滅してしまいます。」

――霊は霊媒の流動エネルギーを使用せずに物体に働きかけることができますか。

「霊は、霊媒が自分が使用されていることを意識していなくても、現象を起こすことができます。同じ意味で、列席者の中にも利用されていながら気づかない人が多くいます。

霊は井戸から水を汲み上げるように列席者から活性化された流動エネルギーを抜き出します。霊媒という特殊な存在が必ずしもその場にいなくてもよい場合があるのは、そういう理由からです。特に突発性の現象の時は、当然、霊媒はいません。」

――テーブル自体は自分の働きを自覚しているのでしょうか。つまり思考力がありますか。

「かりに棒切れで知的な合図をした場合、その棒切れに知性があるわけではないのと同じで、テーブルに思考力はありません。一時的に付与された生命力によって、霊による知的な働きかけに従うことができているまでです。動き始めたテーブルが霊に代わるわけではありません。それ自体には思念も意志もありません」

――こうした現象を起こす上で最も大切な要素は何でしょうか。霊でしょうか流動体でしょうか。

「霊は働きかける動因であり、流動体はそのための材料です。どちらも大切です。」

――霊媒の意思はどのような役割をするのでしょうか。

「霊を呼び寄せること、そして霊が流動体に働きかける時に力を貸すこと、この二つです。」

――その霊媒の意思は絶対に不可欠のものでしょうか。

「霊のパワーを増すことになるということで、不可欠というものではありません。霊が意図した動きは霊媒の意思に逆らってでも、あるいは無視してでも、起こすことができます。ということは、霊媒の働きとは別個の、もっと基本的な要因があるということの証明と言えます。」

編者注――物体を動かす上で、手を触れるということは必ずしも必要でない。大ていの場合、最初の衝動を与えるために必要であるが、いったん物体が活性化したら、それ以上触れている必要はない。霊媒のパワーないしは物体そのものの性質によってまちまちである。場合によっては最初の接触も必要でないことすらある。我々の会でも、物理現象が生じることをまったく予想していなかった時に、いきなり物体が浮揚したり移動したりしたことがある。

――人間の誰もが霊媒と同じことができるわけではないこと、また、全ての霊媒のパワーが同じでないのはなぜでしょうか。

「それは全て体質の違い、および霊媒の流動体と普遍的流動体との合成の難易度の違いによります。さらには霊媒の霊性と霊団の霊性との親和性が高い場合と低い場合があります。

時には霊媒の体質の中に適当なエネルギーが見出せないこともあります。生体磁気の強い人と弱い人がいるのと同じで、流動体のパワーが強烈な霊媒と弱い霊媒とがいます。さらには、活性化された流動エネルギーがきわめて融和性に富む霊媒もいれば、意志による努力を必要とする霊媒もいます。

出席者の中にもその合成が本人の気づかないうちに自然に行われていて、自分が霊媒と同じ役目を果たしていることを知らない者もいます。」

編者注――生体磁気が心霊現象の基本要素であることは間違いないが、その働きは一般に想像されているのとは違うようである。と言うのは、強い磁気的体質をした人で小さなテーブルを動かせない人もいるし、反対に磁気的反応を見せない人、たとえば子供などでも、指先をそっと触れるだけで大きなテーブルが動き出すという人もいる。このように霊媒的パワーと磁気力とは必ずしも一致しないところからも、心霊現象には別の要素が加わっていることは明らかである。

――生体磁気の強い人は霊媒的体質の人とみてよいでしょうか。

「そういう体質の人は現象の発生に必要な流動エネルギーを引き寄せることができるので、外的援助なしに現象を起こすことができます。ですから、そういう人はあなた方のいう意味での霊媒ではないにしても、霊がその体質を利用して現象を起こすことは可能です。」

――霊が堅い物体を動かす時、その霊は物体の中にいるのですか、外にいるのですか。

「中にいる時もあれば外にいる時もあります。何度も述べているように、霊にとって物質は何の障害にもなりません。全てを貫通します。霊自身のダブルの一部が、貫通する物体と結びつくのです。」

――霊はどうやって音を出すのですか。何か物的なものを使うのですか。

「腕も使いませんし、いかなる物体も使いません。ハンマーを持ち合わせないことはご存じでしょう。物体を動かすにせよ音を出すにせよ、そのための道具は意念で合成した流動エネルギーです。物体が動いたことは照明があれば分かります。音がした時は空気がその波動を伝えています。」

――堅い物体を叩いたというのなら理解もいきますが、そういうものが存在しない空中から聞こえる――それも明瞭に聞こえるのはなぜでしょうか。

「霊が物質に働きかけることができる以上、テーブルだけでなく空気にも働きかけることができるのは当然です。明確に聞こえるというのは、そういう音をこしらえることができるということです。」

――テーブルを動かすのに手は使わないとおっしゃいますが、物質化現象の実験会で両手が出現して、それがキーボードの上を動きながらキーを叩き、音を出すところを我々は見ています。そうした場合、キーの動きは物質化した指が押さえるからではないのでしょうか。その押さえるという動作は、我々が自分の身体を押さえて感じる、その“押さえ”と同じく直接的で現実的なものではないのでしょうか。

「霊の本質およびその行動様式は人間には理解できません。譬えで説明するしかないのですが、それも、およそ十分とは言えません。というのは、人間はどうしても自分たちの行動様式に当てはめて理解しようとするのですが、それは間違いです。

我々霊は、霊という組織体の特質に合った方法で現象を起こす以外に方法がありません。申し上げた通り、ダブルの流動エネルギーが物体に浸透し、霊的化学反応を起こして、一時的に特殊なエネルギーを合成します。(これをウィリアム・クルックスは“サイキック・フォース”と呼んでいる――訳注)

さて、おっしゃる通り、物質化した指先をキーの上に置きます。その時、指先がキーに触れるのは事実です。ですが、キーを押して音を出した時、それは人間のように筋力を使っているのではありません。さきにテーブルを活性化すると言いましたが、それと同じ要領で、指が触れたことによってキーが活性化されます。するとキーは霊の意念の言う通りに動くのです。指先でキーを叩いているように見えても、メカニズムはまったく違うのです。

さらにもう一つ人間に理解しがたいことを申し上げます。それに携わっている霊は、あなた方が想像しているように自分では地上時代と同じように自分の指でキーを叩いているつもりでいるということです。物理現象に直接携わる霊は波動的には地上圏に属していて、まだ地上的感覚で生活しています。ですから、音楽の素人が音が出る仕組みが分からないままピアノのキーを叩くのと同じで、その霊たちは自分たちが起こしている現象のメカニズムを知らないまま、高級霊の言う通りにしているのです。

ですから、彼らにどうやってピアノを弾いているのかと尋ねたら、指で叩いていると答えるでしょう。初めからそう思って弾いているのですから、地上時代と同じ感覚で……ですが実際は弾こうと思うその意念がキーを動かしているのです。」

――“超自然的”なエネルギーの存在の証拠とされている現象の中には、明らかに自然法則と矛盾しているものがあります。それを疑問視するのも一理あるのではないでしょうか。

「人間が大自然の法則を知り尽くすなどということは到底あり得ないことです。そうやって大自然に限りがあるかに思う自負心が日一日と崩れていきつつあります。それでもなお人間は自惚れを止めません。大霊は絶え間なく神秘のベールを剥いで見せることによって、人間の知識の狭さを思い知らせているのです。そうしないと、いかなる大学者でも、いつかは知識の無限さにうろたえる時がまいります。

引力の法則にしても、その法則に逆らった動きをしているものならば身の周りにいくらでもあります。弾丸がその一例です。一時的には引力なんか物ともしないではないですか。万物の霊長であるかに誇り、それがいかに愚かしい自惚れであるかを毎日のように思い知らされている人間は、宇宙にあっては実にちっぽけな、そして何も知らずにいる哀れな存在であることを、そろそろ自覚しないといけません。」

以上の説明によって我々は次のような重大な知識を確認することになった。すなわち普遍的流動体には生命原理が宿されており、その流動体が心霊現象の主役を演じていること。その流動体が霊の働きかけを受けて、あたかも人間の手で操っているかのように物体を動かしていること。が、同じように見えて、実はメカニズムはまったく異なること。

たとえばテーブルが移動したり空中へ浮揚したりする時、霊が手や腕を使っているかに見えるが実際は霊自身の流動体と霊媒の流動体とで合成した半物質体(エクトプラズム)でテーブルを一時的に活性化し、霊の意思によって操っているということ。

こうした説明を聞いて成るほどと納得がいった現象がある。虚弱そうに見える若い女性がたった二本の指で、ガッチリとした体格の男性を、腰かけているイスごと、まるで羽毛をつまむように軽々と持ち上げるのを何度も目撃している。そのパワーの本当の源は見えざる世界にあったのである。

訳注――私自身が高校生時代に心霊実験に出席して強烈な影響を受けているから断言できることであるが、霊の実在を確信する上で物理的現象は不可欠である。しかも、聖ルイの説明をお読みいただけば分かるように、その現象の裏には宇宙の秘密がまだまだ沢山隠されているようである。

直接携わっている霊は確かに低級かも知れないが、その背後には高級霊が控えていて、その低級霊の知らない原理をこうして説明してくれるのは、それが大切な意味を持っているからにほかならない。

もっとも、だからといって安易に物理実験会を催したり、誘われて出席したりするのは危険である。前章の訳注でも述べたが、スピリチュアリズムは地球浄化の大事業として始められたものであって、そのリーダー的な役割を果たす人はみな、そうした使命を授かり、その背後には高級霊による指導と監視の目があり、直接携わる低級霊も霊性の向上のための修行として、同じ高級霊団の監視のもとに置かれている。面白半分に、あるいは興味本位に行う者にはそうした守護と監視がない。そこに危険性があるのである。

カルデックの時代には原子エネルギーはまだ発見されていなかった。戦争に触発されて急速に発達した物理学は、ついに原子の秘密を発(あば)いた。電子顕微鏡でも正体がつかめないほどの極微の原子核に、地球をも破壊してしまうほどの莫大なエネルギーが潜在していることを人類は知ってしまった。

シルバーバーチは百年早すぎたと言っている。つまり霊性の進化が伴っていないということで、それが悲劇を生んでいきつつある。が、それすら大霊は人間の自由意志の産物として許している。これから先どういう秘密が発かれていくか想像すらつかない。